高村議員の教育委員会委員選任賛成討論(5/21) |
第2号、教育委員会委員の選任について賛成の討論を行ないます。 前島章良さんを長野県の教育委員に、という知事の提案は、2月県議会最終日の3月18日に、島田基正議員・石坂ちほ議員2人の賛成討論、反対討論はないまま、採決で否決しました。 わが子の健やかな成長を願わない親はいませんし、県民誰もが子どもたちの幸せを心から願っています。学校現場では、多くの先生方が、忙しさに追われながらも、どの子にもゆきとどいた教育を、とがんばっています。にもかかわらず、子どもたちを取り巻く環境は厳しく、いじめ、不登校も残念ながら有効な解決策を見出せないまま増え続けています。1ヶ月に一度も学校に、行かれなかった子どもは、小学校で700人、中学校で2000人にものぼっています。この数には、1ヶ月間に一度、半日の登校・保健室・げたばこ登校など学校の敷地内に行った子は入っていません。いったいどれだけの子どもたちが本来楽しく学べるはずの学校に行かれず、義務教育を受けられないまま、放置され父母、教職員が心を痛め苦しんでいるのでしょうか。 前島さんの当時中学1年生の長男は、平成9年1月、「いじめられていた、ぼくみたいなことは、二度とくりかえさないようにしてほしい」との遺書を残して自殺しました。 前島さんの教育委員に反対する理由として、前島さんが須坂市教育委員会を相手に裁判係争中であることが問題にされたようです。しかし、この点は教育委員会が繰り返し「何の支障もない。」と答弁しています。何よりも前島さんは、罪を問われている加害者ではなく、被害者です。前島さんの裁判は、自殺した息子さんの遺書に「暴力ではないけれど、暴力よりも悲惨だった。悲しかった。僕はすべて聞いていた。あの4人にいじめられていた。僕は死ぬ。」と書かれていたにもかかわらず、「自殺の原因はいじめではない。」という教育委員会の判断に納得できないからでした。「あの4人にいじめられていた。僕は死ぬ。」という遺書を残して自殺した息子の死はいじめが原因ではない、と告げられて、納得する親が果たしているのでしょうか。なぜ、死ななければならなかったのか、真実を知りたいと願うことが、なぜ、いけないのでしょうか。子どもの命と引き換えにされたものに立ち向かいたいと願うことは、教育行政にとってマイナスなのでしょうか。 この人事案件の承認にあたって、今、わたしたち県議会のひとりひとりが、このどちらの側の県民の立場にたつのかが問われているのではないでしょうか。人事案件の否決という事態は、提案されている人の人格の否定、人間としての価値の否定にもつながりかねず、犯罪者や社会的道義に反する人でない限りは、極めて慎重な扱いが求められるものであり、そもそも私たち県議会議員にそんな重大な、人を品定めするような権限は与えられているものではありません。 前議会で否決されて以降、多くの関係者のみなさんや教育問題で悩んでおられる父母のみなさんから、前島章良さんの教育委員の選任を求める声が多く寄せられています。 最後に、「県教育委員は、平成14年(2002年)10月13日以降、すでに約7ヶ月にわたって空席となっております。長野県教育が抱える山積する課題を速やかに解決し、教育県としての輝きを取り戻すためには、適任者を一刻も早く県教育委員に任命することが、220万県民から選ばれた県知事に課せられた責務であると考えます。」と提案者である知事もおっしゃっています。これ以上空白の期間をおいてはいけないと思います。 |