議第 3号三位一体の改革に関しての意見書(案)に賛成の討論をいたします。
小泉内閣は、財政改革骨太方針第3弾として、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で見直す方向を打ち出しました。
この改革は三位一体とはいうものの、その中身は国庫補助負担金を2006年度までに4兆円をめどに廃止・縮減する一方で地方にはその8割程度しか税源移譲をしないというものです。
つまり、地方は2割分約8000億円の財源を奪われてしまうということになります。
国庫補助負担金は憲法で保障された国民生活を支える重要な財源として国に負担を義務付けられたものであり、その大部分が住民サービスのために使われてきました。
今年の国の予算をみても国庫補助負担金のうち、社会保障関係費が61.2%と、その6割が介護や医療・保育などに、また18.1%約2割が文教・科学振興費に使われています。福祉・教育でその8割を占めているのが現状です。
国が基準を定めた、地方が行っている義務的事業は全額移譲との説明もありますが、徹底的な効率化を前程にしており、塩川財務大臣も2割削減すべきとして実質的には削減される可能性は高いというのが大方の見方になっています。
また、これまでは国庫補助を削減する場合はそれに替わる財源は地方交付税などで手当てをしてきましたが、今回の改革ではこの手立てとしての交付税も縮小するとしております。地方自治体はこの削減分を自前で補うか、住民サービスの切捨てを余儀なくされることになります。
近畿ブロック知事会が国庫負担金と交付税削減が同時に行われた場合の試算を出しておりますが、この改革での整理、合理化方針の重点項目として明記された義務教育費や保育所関係費をみますと、削減が強行されれば、小中学校は40人学級が、45人学級規模となり、強い国民要望である少人数学級が逆行の事態に陥ること。また、公立高校の授業料は2.3倍化、保育についてみると大阪府は約50億円、徳島でも約11億円の新たな負担が生じるとしています。この試算は、当県についても同様の状況を生じさせるでありましょう。
さて、もう一つの問題点としてあげられるのが、自治体間の財政力の差を調整し、どの自治体でも標準的なサービスを行えるよう財源保障をしてきた地方交付税の縮小です。
この仕組みを無視した形で税源移譲だけ行われても小規模自治体は困難をきたします。人口1万人未満の町村では財政力指数が0.3未満の町村が約8割を占めている中、地方交付税を廃止して法定率分、たとえば所得税の32%を地方共同税として地方に移譲し、地方財政計画で国が補填してきた不足分は削減、また新規発行の臨時財政対策債の返済についての交付税措置はとらないなど実質的な地方負担を導入するなどという案も出されている中、人口が少ない自治体は増える収入よりも補助金の削減の方が多くなるところもでるとされています。
それも、国庫補助負担金と地方交付税を減らすことは具体的な内容が決まってきておりますが、税源移譲は所得税など税金の1部を地方に移すというにとどまり、後回しになっていますし、増税実施まで先送りという動きもみられます。
以上のような改革ならぬ改悪に対し、地方自治体をはじめ各方面から反対・批判の声があがるのも当然であります。
全国知事会、市長会、町村会など地方公共6団体をはじめ、当長野県からも田中知事の名で地方行政を苦境に陥れる問題点の指摘と税源移譲に対する緊急提案もされました。
また、6月6日に小泉首相に提出された地方分権改革推進会議の意見書に対しても谷本石川県知事、赤崎鹿児島市長をはじめとする少なくない委員が反対の表明をされているのです。
地方から批判があがるこの背景にある大変厳しい地方財政の現状は改革推進会議の意見でもいみじくも記述されています。
現状報告には地方財政はバブル崩壊以降悪化の一途をたどっており、特に景気対策に伴う地方債発行の急増が後年度に公債費負担の大幅な増加をもたらしており、景気低迷に伴う地方税収の伸び悩みと相俟って地方公共団体の財政構造の硬直化をもたらしているとし、その財政運営が大変困難になっているとされています。地方自治体をここまで追いつめてきた大もとには景気対策にはならなかったと多くの人々が認めている毎年30兆円もの公共投資への国による地方自治体への誘導があります。国と地方あわせて686兆円という借金、1兆6000億円の長野県の借金。国・県の財政危機も正に大型開発、公共事業がもたらしたものであります。長野県はこのあり方を見直し、財政再建にとりくむ努力をはじめておりますが、この大もとを真摯に見直しをせず、又、この国の責任を回避して地方だけに負担を押しつけるという小泉内閣の三位一体の改革が地方自治体や、国民の理解を得られるものではありません。
日本共産党は地方分権を名実共に実らせ、地方自治体が住民サービスに積極的にとりくめる財源保障を徹底する改革こそ必要という立場で努力をするものです。
以上申し上げ賛成の討論といたします。 |