高村議員の人事委員提案賛成討論(7/11) |
第11号議案 人事委員会委員の選任についてのうち、茅野實氏の人事委員提案に賛成の討論を行ないます。 まず最初に、この人事案件についての具体的な討論を行なうことに先立って、人事案件に対する議論のあり方について、私が感じている点について、一言述べさせていただきます。 さて、人事委員会は、県職員の人事や給与、勤務時間などの勤務条件に関して必要な措置をとることを任務とし、職員に対する不利益な処分についての不服申し立てを審査するなどの重要な任務があります。地方公務員法第9条2項では、「委員は、人格が高潔で、地方自治の本旨および民主的で能率的な事務の処理に理解があり、かつ、人事行政に関し識見を有するもののうちから、議会の同意を得て、地方公共団体の長が選任する。」と定めており、茅野實さんは人格、識見から見てふさわしい方であることは、すでにこの間の知事の答弁、説明からも明らかと思います。 今回の人事委員会の委員の提案にあたり、国籍条項撤廃の考え方を賛否の基準にするというようなご意見もありますが、時代の大きな発展の中で、国際化が進み、個人の人格がより尊重される時代となり、定住外国人の参政権の問題も大きな現実的な課題となってきているとき、確かに国籍条項問題は重要な課題であり、今後の議論が人事委員会においても、おおいに時代にふさわしく論議が交わされることが重要であります。しかし、現時点では、人事委員会委員の適否を決めるのに、この国籍条項問題をとりざたするのはあまりにも狭い見方、考え方であり、ある一定の見解を持つ委員しか認めないとすることこそ、委員会の独立性・中立性を侵すものではないでしょうか。 ちなみに、時代の流れは確実に国籍条項撤廃の方向に向いています。すでに、都道府県レベルでも高知県、神奈川県などで撤廃が始まっていますが、地方公務員法には、外国人が公務員になれないという明文規定はありません。内閣法制局は、1953年に「公務員に関する当然の法理として、公権力の行使または国家意志の形成への参画に携わる公務員となる者には日本国籍が必要。」との見解を出し、サンフランシスコ条約の発効後間もない時期のこの見解を根拠として国は自治体の国籍条項の撤廃を制限してきました。高知県の橋本知事は、「『当然の法理』などと言う法律でもないものを持ち出して無理に基準にするのは法治主義の原則に反する。」という見解を示し、たとえ公権力の行使などがあっても、公務員の仕事はすべて法律や条例、通達の枠内にしばられており、職員相互のチェックもあるので、「外国人だからといって特別の裁量が働く余地は無い。」としています。さらに「地方行政は住民を統治するものではなく、住民にサービスする機関であり、地域のために仕事をしてくれる人なら外国人でも問題はない。」「国際社会の中で日本が生きていくためにも、国籍条項の撤廃は必要だ。」と主張しています。 また、一部に、茅野實さんが知事の後援会「しなやか会」の顧問であることを問題にする意見があります。良識ある茅野さんは、仮に正式にこの人事案件が承認されたあかつきには、誤解を受けないよう、この問題にも役員を辞任されるなどしかるべき対処をなされる方と確信しています。 ご承知のように、人事委員会は3名の委員全員がそろわなければ会議を開き、審議することができません。今回の人事案が否決されれば、人事委員会の機能が停止し、停滞がもたらされる可能性があります。日々、県民の奉仕者としてがんばっている県職員にとっても人事委員会が機能しない、というような事態は、到底納得できるものではありません。 県議会の中の良心の声として、人事問題を政争の具にするべきではないと言うご意見がありますが、私もまったく同感です。深い見識を持ち、人格、識見とも豊かな人物である茅野實さんの人事委員の選任に心から賛成の討論といたします。 |