まず、一番最初のいわゆるイラク復興特別措置法案、イラク特措法に関してでございますが、これは、6月13日の日にも内閣の安全保障会議と臨時閣議が開かれてこの方向が決定されたわけでございますが、この6月の13日はくしくも金曜日でございまして、私は、後世、13日の金曜日として日本の歴史の上に残るのではないかという感懐を持っております。
さきのエビアンサミットの際に、ジャック・シラク大統領は、ジョージ・W・ブッシュ大統領に対して、わずか20分の会談の中で、戦争は一国においてなし得るが、平和は一国においてはなし得ないという発言をいたしておりますが、私はこれはけだし名言ではなかろうかと思っております。
日本の恐らくは政界再編の部分も含めて、今後、私どもが米国追従主義でいくのか、あるいは国連中心主義という多元的な、多様的な考えでいくのかであろうかと思います。
考えてみますれば、アメリカという私どもの真の友人であるべき存在は、本来は大変に開かれた国であったわけでございます。語弊を恐れず申し上げれば、移民の国でございまして、ある意味では多民族であり、多宗教であり、多様性というものを認める国であったわけでございます。この国が方向を見失い、まさに開かれた国が閉ざされた国になり、ある意味では、アメリカニズムのもと、マッカーシズムのような動きになっているわけでございます。
私は、日本は真の友人として、この閉ざされた国が再び開かれた国となるように助言をせねばならないと思っております。
最近、いわゆる論壇の中で言われております言葉に、ホッブスのアメリカ的なるものとカントのヨーロッパ的なるものという言葉がございます。御存じのように、ホッブスは、力こそ正義の源である、万人の万人に対する戦いを制御し得るのは力のみであると述べているわけですが、これに対してカントは、御存じのように恒久平和論を語っておりまして、国際法理と国際協調システムの構築こそが私たちが目指すべきものであるということで、これは、私は、日本においても、米国追従主義と国連中心主義というもとで恐らくは政治及び言論というものが判断をされていく時期が遠からず来ようかと思っております。
話は少し長くなりますが、三井物産の戦略研究所長であります寺島実郎氏が同様の見解を述べておりますが、仮にイラク国民のために日本がなすべきことがあるならば、医療なら医療に限定をした旗を立てるべきではなかろうか、丸腰のこのような自衛隊員こそが一番気の毒な存在である、自国の青年を秩序の不安定なところに送り出すというときに指導者は真剣に考えているのであろうか、特別措置法によるつけ焼き刃の派遣ではなく、国際貢献について世界から評価を受ける仕組みを構想する必要があろうと、政府のさまざまな委員もなさっている寺島氏は述べております。
いずれにいたしましても、武力をもって紛争の解決手段とはしないということは日本が述べてきたことでして、ある意味、公共事業としての戦争というものに偏りがちな閉ざされた国に対して私たちは助言をし続けるべきであろうと思っております。
松本空港の問題に関しましては、これは既にお答えを申し上げてきているところでございますが、松本空港のジェット化整備に当たっては、平成元年の6月24日に、松本市及び松本市の和田、神林、笹賀、さらに今井の地元4地区空港対策委員会とそれぞれ、松本空港整備事業及び松本空港周辺環境整備事業の実施に関する基本的な事項について協定を締結をいたしております。この中には、長野県は「松本空港を軍事目的の用に供さないものとする。」という一文がございまして、私の就任前から長野県は一貫この協定を尊重する姿勢で対応してきております。
仮に国から松本空港の軍事使用という形を求められた場合におきましても、この協定を尊重する形で対処することになろうと、このように考えております。