* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。 |
第9号、監査委員の選任についてのうち、垣内基良氏について討論をいたします。 地方自治法第196条で監査委員については「人格が高潔で、優れた識見を有するもの」と規定され、また198条の3では「常に公正普遍の態度を保持して監査をしなければならない」とされている重要な職責を持つ機関で、近年問題になっている税金の使い方を納税者の視点に立って厳しくチェックすることが求められています。日本共産党県議団は従来人事案件については知事の選任権を最大限尊重するというスタンスを取ってまいりました。しかし今回提案されている垣内基良氏の人事案件を見たときに、到底適正とはいいがたく賛成するわけにはいきません。以下反対の意見を述べます。 第1に議員の海外視察にかかわっての問題です。平成13年12月に県民オンブズマンが吉田博美元議長のヨーロッパ視察が観光旅行ではないかと指摘し、住民監査請求を行ないました。県監査委員として海外視察の中身を精査した結果、旅費等の57%に公務性がないと判断し、返還を勧告しましたが、これは全国的にみても異例の勧告で長野県にとっても史上初めての画期的な勧告でした。これに基づいて知事が返還を指示し、それに応じて218万7900円の返還がされました。 その後住民訴訟が提起され、吉田博美元議長は裁判所の和解勧告に基づいてこの9月には全額を返還したところであります。この経過の中で97年から2001年のすべての海外視察についても住民訴訟が提起され、垣内氏は現在被告として係争中であります。垣内基良氏は2001年5月27日から6月1日にかけて6日間20万円の県税を使い吉田元議長の海外視察と大差のないタイ、カンボジア視察にいっており、吉田博美元議長の返還とのかかわりで見ても公務性に乏しいものです。 企業を訪問したのはたった1日だけでアンコールワット遺跡、アンコールトム遺跡、エメラルド寺院、暁の寺院、水上マーケットなど名所旧跡めぐりの旅行となっています。このことに何の反省もなく、何ら解決のための対応もしようとしていないことは、訴訟が起こされていてもいなくても「自分たちの納めた税金は自分たちのために適正に使ってほしい」と願っている多くの県民の思いからみてきわめてずれているとしか思えません。このような人物が監査委員として県税の使途について果たして厳正なチェックができるかどうか疑問です。到底県民の納得は得られないものです。 また、提出者の田中知事は、2002年2月議会で我が堀内瑛議員の監査委員の人選についての質問にこたえ、「昭和39年に住民監査請求制度ができて以来はじめての監査委員の勧告でございますのでその意味を県知事としても重く受け止めております。税金を負担して下さっている県民の方々の視点に立つことが必要」と明確にこたえています。このような知事の答弁に照らしあわせてみても今回の垣内氏の提案は矛盾するもので、人事についてはもっと慎重に対応すべきと考えます。 第2に、垣内氏は県議になる前の辰野町長時代に大型店誘致にともなう補償に絡んで移転会社の大型店の進出場所とは関係のない別の場所にあるショールームなどの買収を議会の承認もえないまま口約束をし、補償費の支払いは選挙後としていましたが選挙で落選。その残任期間中にあわてて議会へ提案しましたが、議会では唐突で補償料が高すぎるとしてこれを否決しました。当事者は口約束に基づいてすでに新たな土地を購入していたところから町を相手取って1億円を越える損害賠償を求める裁判をおこしました。裁判では不法行為があったと断がくだされ、辰野町が1700万円余の賠償の支払いを余儀なくされ、町民は多大な損失を被りました。垣内氏のあたかも自分の一存で町政は動かせるような私物化的対応は到底容認できません。 この損害に対し、垣内氏本人の賠償責任が問われ、現在被告として裁判が進行中です。町長時代の、地方自治の観点からかけ離れ、住民意識からもかけ離れたこのような対応を見るにつけても、垣内氏に地方自治法第2条の14で定められている「住民の福祉の増進のために最小の経費で最大の効果」をあげるべき地方自治体の本来の事務を、公金支出が正当か否か、公正不偏な態度で監査することができるかどうか非常に疑問を感ずるところであります。また、知事は無駄な公共事業の見直しを改革の柱に掲げておりますが垣内氏は県議時代「ヤジ将軍」の異名を取るほどの人物で「公共事業に無駄があるか!」と県民世論に逆行し、常に不規則発言していた方でもあります。 知事はなぜ提案したのかについて「たとえつまずきのあった人でもそれを乗り越えて前向きにがんばろうとしている人には挑戦のチャンスをあたえる」と言っておられます。しかし、県民はつまずきを乗り越えたこと確認できてはいませんし、垣内氏は自らの税金の使い方について県民に納得の行く説明もしていなければ反省の言葉も述べておりません。以上の理由により垣内氏の選任には同意できません。 |