2.県内の企業動向と社会的責任について
次の質問に進まさせていただきます。長野県は、今補正予算総額26億円余を計上し、「産業活性化・雇用創出関係」において、スリーバイスリーによる新たな産業づくり、福祉・医療、環境、教育関連施策の充実、総合的な創業支援、厳しい雇用情勢に対応した臨時的な雇用機会の創出、生活密着の公的な施設修繕などの事業に重点をおいています。県行政が何とか長野県地域経済を支え、職を求める人々の支援に力を入れるべく、新たな発想や細やかな事業に取り組む姿勢を高く評価させていただきます。
さてここ数年の県内の事業所・企業動向を見てみたいと思います。
1996年から2001年の5年間に、県内企業は事業内容が不詳のものをのぞいて13万3597企業から12万8969企業となり、4628、3.5%の企業が減少しました。また従業者数は同じ5年間に110万7235人から107万7961人となり、2万9274人、2.9%減少しています。
県内の有効求人倍率を8月で見てみますと平成13年は0.80倍、14年は0.67倍とかなり落ち込み、今年8月は0.68倍と言う状況です。
そこで特に求人倍率が低くなった平成14年、2002年度の企業閉鎖と従業員の状況はどのようなものだったのでしょうか、産業活性化・雇用創出推進局長に企業数や従業員数の変化と原因をどう見ておられるか伺いたいと思います。
3.企業の社会的責任について
特に平成14年度以前厳しい整理解雇の状況等があったということでございます。
そこで私は、地域経済にとっての企業の背負っている社会的役割を確認したいと思うのです。大企業・中堅企業の身勝手な企業閉鎖は、従業員の働く権利をないがしろにし、家族を含めた生活を不安に落としいれ、企業自身がそれまで地域ではぐくまれ、作り上げてきた経済循環を破壊に導き、地域の不況をさらに悪化させるものであります。
ヨーロッパでは企業には、株主だけでなく、従業員、取引先、環境、人権など対する責任があり、それらを果たしてこそ企業も、まともに発展できるという社会的責任重視の流れが常識となってきております。EUの産業空洞化対策は「企業の社会的責任が競争力ある健全な経済を作る」として労働組合やNGOが連携して政策作りが行われています。
また、日本におきまして経済同友会は今年3月、第15回企業白書「市場の進化と社会的責任経営 企業の信頼構築と持続可能な価値創造に向けて」を発表しました。昨今の企業不祥事の頻発を背景に、「企業の社会的責任」を問う声が高まっており、一年にわたる調査研究をもとに、市場の評価が極端に経済偏重に陥ると企業第一主義や株主利益至上主義を招き社会の価値観との間に著しい乖離をもたらす事に警鐘を鳴らしています。企業が人々の価値感や生き方にますます大きな影響を持つ社会的存在であることを改めて認識し、企業と社会との相互信頼をより確かなものにしてゆく必要があるとして、経営者の自覚を喚起しています。
また、地域経済・環境・社会のあらゆる側面において企業がその責任を果たすことが、その企業の持続的な発展を促し、日本経済・社会の活力再生につながるものとして、積極的に位置づけるものであると述べています。
今、企業の社会的責任を果たすために、立ち上がった人々がいます。
上田市にある旧信州ハーネス工場には約100人が働いてきました。この9月末で工場を岩手に移し、岩手に転勤できない人は退職を強要されています。この工場は、資本金3000万円100%住友電装の子会社として26年間上田の地で工場経営行を行い今日まで借金のない超優良企業です。東信地域の4ヶ所の関連企業がすでに閉鎖をし、関わる約400人の従業員が職場を失いつつあります。
昨年9月に通告を受けた一人の女性は、悶々と悩み、「大企業が、勝手に工場を閉鎖し、東北の岩手に工場を移し、まるでコマをまわすように弱い立場の従業員には、岩手への転勤を迫り、行かれなければ退職を強要する。この様な一方的で理不尽な労働者いじめがまかり通ってよいのだろうか」とあらゆるところに相談をし、たどり着いた県労連傘下の日本金属情報機器労働者組合に加盟、この4月に「JMIU東北住電装信州支部」を旗揚げし、現在26名の従業員が工場の存続と雇用の確保を求めて活動し、ありとあらゆるところに相談し支援を求めています。
長野地労委への斡旋申請や、長野地裁上田支部へ地位保全の仮処分の申請をし、上田市議会では工場閉鎖反対の趣旨採択、上田市長が東北住電装への働きかけをされるなど、また住友本社への要請行動、国会では日本共産党の木島日出夫衆議院議員と小池晃参議院議員が本社住友電装に工場存続を要請されました。
8月8日には当事者のみなさんが田中知事に事情をお話しに伺いました。「皆さんのお気持ちは良くわかります」と知事が何度もおっしゃってくださった事がその後の活動のエネルギーになっておられます。最近経済産業省も住友電装本社が従業員と納得の行く話し合いを持つように指導をしています。9月15日には「信州ハーネスの従業員を激励し、雇用と地域経済を守る総決起集会」が上田で行われ、県内県外からの支援者500人余があつまり、大企業の社会的責任を求めて、雇用と地域経済を守ろうと誓い合いました。
そこで知事にお伺いいたします。
大企業の横暴が野放しの日本の現状の中で、働くものの暮らしと権利を求めて立ち上がった人々、企業の社会的責任を求めて立ち上がった人々に長野県は具体的な、支援の手をさしのべるべきではありませんか?
大資本・大企業の前には従業員は弱い存在です。人間として当然の叫びを支援することでリストラや過労死などに象徴される異常な労働環境に悩む、多くの働く人々を励ますことができるのではないでしょうか。具体的には親会社の住友電装に、工場の存続に力を尽くすこと、最後の1人までの仕事、雇用を確保するまで、雇い主としての責任を果たすことを要請していただきたいのです。
自民党政治が大企業から政治献金を受け身勝手な企業再編、リストラを奨励する中で、長野県政が県民の暮らしと雇用・地域経済を守る防波堤の役割を担っていただくことを強く求めたいと思います。
知事のご所見を伺います。
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