1.知事の政治姿勢について
まず最初に、知事の政治姿勢についてお尋ねをいたします。
イラクへの自衛隊派兵について、アメリカのブッシュ大統はイラクに大量破壊兵器が存在し、世界を脅威にさらしておりこれを除去するための戦争であるとして、国連をも無視して戦争を強行しました。小泉総理もブッシュ大統領の「イラクは大量破壊兵器を持っている」との言葉をオウム返しにして、いち早くこの不法な戦争に支持を表明してきました。
デビット・ケイ氏、昨年の6月から、1,400人の捜査部隊を指揮する「イラクの大量破壊兵器調査グループの責任者で、アメリカのイラク戦争の正当性を立証すべき切り札でもありましたが、そのデビット・ケイ氏が「私はイラクには大量破壊兵器はもともと存在しなかったと考え、90年代に大規模な生産はなかった」と証言しております。
イラク攻撃の最大の根拠であった、大量破壊兵器が存在しないという結論が出たわけですから、これまでの方針を見直すのは当然です。それにもかかわらず小泉内閣は米英のイラク戦争を支持したことに何の反省も無いばかりか、今度はイラク復興支援を口実に、米英占領軍の指揮のもと自衛隊の派兵を強行しました。
日本国憲法、第九条一項で「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇(いかく)又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と明記しております。イラクへの自衛隊派兵は憲法とは両立しえないものであります。
一刻も早く占領支配から手を引き、国連主導の復興支援を政府に働きかけるべきではないか。県民の命と暮らしを守る立場にある知事の所見をお尋ねします。
つぎに、国民保護法についてお尋ねいたします。
自民党は今国会に「国民保護法」など有事関連7法案を提案することを決め、連立を組む公明党も了承をされました。
有事法制は、アメリカによる海外での先制攻撃の戦争に自衛隊が武力行使をもって参戦し、国民を強制動員する戦争国家をつくる目的にしています。7法案のひとつ「国民保護法案」は、有事の際に「国民保護」をうたっていますが、国民生活を統制することをめざしています。「武力攻撃予測事態」に加えて、大規模テロなどの危険がある場合にも発動する内容ともなっています。自治体やJRなど「指定公共機関」には協力が義務付けられ、一般国民も、物資の保管や土地・家屋の収用、道路の通行禁止、特定区域への立ち入り制限など、罰則付きで強制されるもので、戦前の国家総動員法を思わせる、憲法にも抵触する内容です。
国民も望んでいるものではありません。地方自治体をもうむを言わせずに戦争に協力をおしつける、このような法案の提案はとりやめるべきと思いますが知事の見解をお尋ねをいたします。
つぎに、憲法問題について自民党などは、今の日本国憲法はアメリカに押し付けられた憲法である。自前の憲法、いわゆる自主憲法制定を根拠に憲法改正を打ち出しております。
しかし、その自民党や公明党の与党のやっていることは、アメリカのイラク攻撃に諸手を上げ賛成し、アメリカの求めに応じて自衛隊をイラクに派兵するなど世界のどの国よりもアメリカの言いなりの対応に、世界とアジアの国から厳しい批判が寄せられているのは当然であります。
2000年10月にアーミテージ現米国国務副長官が中心になって作成した対日報告書では「日本の憲法が集団的自衛権を禁じていることが、日米両国の同盟協力を制約している」と憲法を変えるを求めたことが明らかになりました。自民党や財界がこれを受け、相次ぐ海外派兵の立法の強行と改憲論の起爆剤となっていることは明らかであります。アメリカから押し付けられた憲法と言いながらアメリカに言われて憲法改正であることが明らかです。
日本国憲法は、2000万人にも及ぶ人々の犠牲を生み出したあの痛ましい戦争を反省して、再びあの悲惨な戦争を繰り返してはならないとの反省の上に、第九条では、いかなる国際紛争も武力を持って解決することを永久に放棄することを全世界に誓ったものであります。
この憲法が戦後60年間世界のどこの国へも軍隊を送らず、他国の人々を一人も殺す事も無く、世界の信頼を勝ち取ってきた最大の保障であったことは間違いありません。しかし今回の自衛隊の派兵によりアジア諸国からは「自分の国の憲法を自ら覆してしまう国は信頼できないばかりか恐ろしさを感じる」こういうのはまさに日本への警告ではないでしょうか。この憲法を厳格に守ることこそ世界の信頼と平和を守ることになります。
一方の野党の民主党も「論憲」から「創憲」へと憲法の改悪へと重大な一歩を踏み出しました。自民党が2005年までに憲法改定案をまとめると言えば、民主党も2006年までに改憲案をまとめると改憲に向けて各党が競い合っています。その論調の基本には日米関係の強化、国際貢献がうたわれており、九条の改悪による自衛隊の公然とした海外派兵が焦点になっていることは明らかです。
日本国憲法は単に9条だけでなく、憲法全体が国民の暮らしにとって極めて重要です。第25条では、生存権と国の社会的使命が規定され、その1項では、「全ての国民は、健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する」とあります。2項では、「国は全ての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなくてはならない」とうたわれています。
しかし、自民党と公明党の連立内閣による医療、年金税制の改悪は国民生活を深刻な事態に陥れています。自殺者はなんと年間3万人にものぼるわけであります。国民が自ら命を絶たなければならないというこの深刻な事態を放置するわけにはまいりません。全ての国民に健康で文化的な生活を営む権利を保障している憲法の蹂躙(じゅうりん)ではないでしょうか。
昨今の地方自治体にたいする、財源保障もなく一方的な交付税や国庫補助負担金の削減の三位一体改革は、憲法25条の乱暴な蹂躙ではないでしょうか。
第26条では義務教育はこれを無償とすると明記されているにもかかわらず、父母の負担は増え続けています。
第27条では全ての国民は勤労の権利を有し、義務を負うとありますが、失業者は増え続け、リストラは放置され働くものは無権利状態にさらされています。
今求められているのは、憲法の改悪ではなく、政治や社会の実態を憲法に近づけること、憲法を守ることこそ日本の平和も国民の暮らしも守られるのではないでしょうか。知事は現在の憲法をどのように見ており、長野県政の中でどのように位置付けておるのかお尋ねします。
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