2.しなの鉄道と長野以北の課題について
次にしなの鉄道と長野以北問題について知事にお伺いいたします。
過日、日本共産党県議団は上田のしなの鉄道本社を訪れ、交渉会派として始めての訪問だと歓迎を受けながら杉野社長と懇談してまいりました。
しなの鉄道の支援策をどうするかがいま問題になっていますが、そもそもこの問題の根底には長野新幹線開通に際して建設費の地元負担とあわせて、並行在来線をJRから切り離して廃止するという不当な申し合わせが政府・与党の間で決められ、全国ではじめて幹線である信越線に適用されたことにあります。
私たちはこの不当な「政府・与党申し合わせ」に反対してきました。また全国の第三セクター鉄道としてこれもはじめて鉄道資産の有償譲渡をおしつけられたこと、長野―篠ノ井間を取り上げられたことも、今日のしなの鉄道の困難の原因となっています。
旧信越本線は文字通り地域住民の生活の足、観光の足として交通権を保障する重要な役割をはたしていました。いま環境を守るという点からも公共交通を維持し充実発展させていくことは時代の流れでもあるのに、このような形で切り捨ててしまったことは本当に許せません。県ではこの間篠ノ井―長野間およびその周辺部における旅客流動調査をJRと共同して実施し情報開示したり、鉄道の未来を語る懇談会を県内私鉄が同じテーブルについて開催したり、「長野県」調査委員会を立ち上げ、しなの鉄道設立経過について調査を開始するなど、前向きな取り組みをおこなってきており、このこと自体は大いに評価するものです。
以下4点について知事に伺います。
1つとして、政府・与党合意は長野以北を視野に入れて考える場合でもまったく不当なものであり、整備新幹線の建設がすすむなかで全国の在来線沿線住民と自治体に困難を広げるもので、粘り強く撤回を求めるべきだと思いますがいかがですか。
2つとして、公表されている資料をみても無償譲渡が有償になった問題、篠ノ井―長野間の問題については結果として、不当で一方的な結論だけをおしつけられています。ことの不当性を明らかにし、改めてJRと交渉すべきと考えますが見解を伺います。
3つとして、しなの鉄道の処理策は長野以北をどうするかを見通しながらトータルとして考えるべきと思いますがどうでしょうか。
4つとして、しなの鉄道の支援策は100億をこえる県財政の使い方にかかわることであり、県民の足をどう守るのかという県の責任が問われる問題で、株式化した上で減損会計を適用するという県の考え方を拙速に決めて下ろすのではなく、債権の株式化がいいのか、上下分離方式がいいのか、料金値上げをどうするのかなど、考えられるさまざまな選択肢を示したうえで県民的議論をまきおこし、意見を徴すべきと思います。長野―篠ノ井間の獲得問題を交渉するのに、JR対しなの鉄道の交渉で勝ち目があるのか、JR対県との交渉にするべきではないかという考え方もあります。
上下分離方式での英国での失敗は、細かく民間に切り売りし、事故があった場合に責任のなすりつけあいになったと聞いています。そのことも教訓とした対応も検討されてよいのではないでしょうか。知事の見解をお聞かせください。
つぎにしなの鉄道の問題につきまして、知事からご答弁をいただき私がご提案申し上げたことについて、前向きなお答えをいただきました。こういう点を是非また押さえてほしいというふうに思います。本日の新聞報道によりますと、与党の整備新幹線建設促進プロジェクトチームが北陸新幹線長野―金沢間を平成18年度に開通を目指すとしています。いよいよこの対応が急務となっております。知事は対ということで対立ではなく、国土交通省、JRと話し合いたいとおっしゃっておられましたが、政府・与党合意の中でも「本申し合わせにかかる事項については国、地方公共団体の財政事情、行財政改革の進捗状況、建設費の変動等の社会経済情勢等にてらし、必要になった場合には逐次みなおすことにする」という一項があります。是非、国の三位一体改革の影響で地方自治体はかつてない苦境に陥られているわけですから、この項目自身もぜひ核にとっていただいてですね、強力な交渉にあたっていただきたいと思います。
それから、先ほど減損会計の問題の中ではですね現行のしなの鉄道の経営の到達のなかでやられているとおもうわけですが、しかし、今後のことを考えれば長野以北も含めて考えていたなかなければなりません。
政府・与長野・黒姫間は現行のしなの鉄道どころではなく完全に赤字になることは目にみえています。ですからそれらを含めて処理策を考えなければ次々と税金を投入しなければならない仕組みになってしまうわけです。また篠ノ井―長野間をJRに中抜けされたまま、長野以北がまたしなの鉄道の運行になると言う線としてつながらない不正常さはなんとしても解決しなければなりません。
ここで、ドル箱である篠ノ井―長野間をしなの鉄道にという交渉が避けられないものになるわけで、それができるのは長野県しかありません。改めて、知事の決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
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