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2004年 9月議会 議題3号
「まちづくりに関する意見書(案)」提案説明

高村議員(10/1)    

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。



 大規模小売店店舗立地法、改正都市計画法、中心市街地活性法などいわゆる「まちづくり3法」は、大型店をはじめとする店舗の立地の規制・誘導を行い空洞化の進む中心市街地の活性化を図る目的で制定されました。
 これらの法律が施行されて4年以上経過しましたが、中心市街地の空き店舗が増加し、ますます衰退が進んでいます。大型店の出店・撤退にともなう問題もさらに顕在化してきており、地域社会への影響が深刻化していることから、「まちづくり3法」の制度・運用実績の検証を行う必要性が指摘されています。
 
 日本商工会議所や全国中小企業団体中央会など4団体は、本年7月末「まちづくりに関する要望書」を政府に提出しました。
 冒頭の文章を紹介しますと
 −まちづくり3法は当初期待されていた効果は得られず、全国の中心市街地は活性化するどころか、3法制定時よりさらに寂れている。現実は、市場経済主義の行き過ぎにより、コミュニティが衰退、伝統文化の継承が困難となり、治安や青少年問題が深刻化し、また高齢者が生活の不便を強いられる等さまざまな、社会問題が増大している。さらに市街地への官民投資が無駄になったり、大規模な農地転用や無秩序な郊外開発によって良好な農地や田園景観が失われつつある。−と述べ現状に警鐘をならしています。
 さらに−政府・与党をはじめとする関係者は、単に地域商業の視点としてではなくわが国の将来に関わる重大な地域社会問題であると認識し、「まちづくり3法」の抜本的見直しなどの対策を早急に実施するよう要望する−と述べています。
 大規模小売店舗立地法の「指針」を直接審議する中小企業政策審議会・商工部でも「中心市街地活性化に向けて独自の努力をしても、隣町に大型店が出展して、努力が水泡に帰す事態になっている」などの意見や「イギリスやドイツフランスなど WTO世界貿易機関協定を批准している国々でも、自国のまちづくりの観点から現在は結果的に、商業調整を行っている。日本でも本格的な実施が必要な時期に来ている」などの見直し意見が相ついでいます。
 
 そもそも「指針」は、周辺地域の生活環境の保持を通じた商業の健全な発展を図る事を目的としながら一方で、大型店の配慮すべき事項を駐車場の確保や騒音・ごみ対策に限定し、地域商店街との共存や住民の生活環境に大きな影響を与える店舗面積や営業時間の制限などの「商業調整」を排除したものです。
 つまり巨大大型店の進出や撤退、深夜営業などに何ら歯止めとはならず、全国で多くの商店街が疲弊・衰退し、まち全体を荒廃させる状況がいっそう広がっています。
 全国の商店街は、この10年ほどの間に1万8千からなんと、1万2千まで33%も減っています。
 平成14年3月にまとめられた長野県商工部の実態調査では、県内商店街の数はH5年の419からH14年には325箇所22.5%も商店街が減ってしまいました。共同経済活動ができない困難な商店街が増えているのです。当面している問題を問うアンケートでは「地域外の大型店やロード店への客流出」を一番の問題と49.5%が答えています。
  このような中さらに、県内佐久市ではイオン・ベイシア・カインズなど大型量販店が集積し、岩村田・中込・野沢商店街は個性ある取り組みでがんばっていますが展望は見えてきません。また上田でも2万平米のイオンが7月末に24時間営業で開店し、中心商店街の客足が吸い取られています。
 さらに今後長野市篠ノ井の南長野運動公園に隣接して7万平米もの全国最大級のショッピングセンター「イオン」の進出が計画されています。長野市商業関係者は「中心商店街にとっては、死活問題と」日本経済新聞で述べています。このような状況は県内各地に起きております。
 政府の規制緩和政策が、真っ先に流通・商業分野で強行され、広範な中小商工業の基盤が破壊されてきました。今立場の違いを超えて、政府が進めてきた政策に警鐘をならし、地域から独自のまちを守る条例づくりが全国で巻き起こっています。福島県では「広域調整」の視点から、大型店立地の適否について意見表明する仕組みを作りました。京都市では、大型店と中小業者の調停・斡旋を知事に求める「小売商業調整特別措置法」1959年制定法の活用を復活させるなど取り組まれています。
 また、大分県湯布院町では、「美しい自然、景観、温泉に恵まれた生活環境こそ町のかけがえのない資産」として「湯布院・潤いのある町づくり条例」を制定しています。長野県内では安曇の豊かな景観・田園風景を守る「穂高町まちづくり条例」が制定されています。このような街づくり条例や要綱を独自に制定している自治体は、全国市町村の4分の一にもなっています。
 それぞれの地域の歴史・景観、生活環境を大切に守りながら、文化の交差点である商店街や魅力・個性あるまちづくりが進むように、政府においては早急な「まちづくり3法」の見直しを求めるものです。
 立場の違いを超えて、県議会議員各位のご賛同をお願い申し上げ、意見書の提案とさせていただきます。


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