1.医療政策について
今医療制度の大問題となっている、「混合診療の解禁」について知事のご所見を伺いたいと思います。混合診療は11月23日にも約1000人の全県的な反対集会が開かれましたが、これは、経済力のない人には必要な医療が受けられなくなる恐れがあり、大問題だと思いますが、知事はこれに対しどうお考えかお伺いいたします。
知事から非常に前向きな答弁ではないかと思います。いずれにしましても全国民的な問題であります。この弱者に優しい長野県として国に対しても、やはり保険で良い医療を全国民にというこの立場で国に対しても今運動が広がりつつあるわけですけども、働きかけを行っていただきたいと思います。
次に医療機関の医師不足への対策について衛生部長にお伺いいたします。
今、県内では深刻な医師不足がおきています。先日「県立木曽病院の医師体制が不備であり、欠員状況が深刻である」こういう声が寄せられました。特に患者との信頼関係が重要な精神科の常勤医師が不在で、非常勤で対応されているとのことです。そこで衛生部にお聞きしたところ、木曽病院は非常勤での対応が全17診療科中、9科にもなっており、医師不足が顕著であることがわかりました。また県の資料によりますと、県立病院の医師の充足状況は木曽病院が80.8%、また。阿南病院に至っては76.9%と低いものとなっています。
また、一方、塩尻と辰野町で運営している両小野国保病院では、医師の高齢化のため、これを補うために、新たに県の自治医科大卒業医師の派遣希望に応募しましたが、その後いっこうに返事がなく困惑しています。
私は多くの中山間・僻地の病院や診療所の運営を行う、国保病院連絡会で医師確保の担当者に話を伺いましたが、県国保連では医師紹介センターで医師確保への対応をしてきていますが、多い年は10人以上の紹介が成立してきたこともあるそうですが、昨年は50、60人の要請数に対して5人。今年は要請数52人に対して0人だそうです。
またマスコミでもこのことが取り上げられています。新聞報道では「上伊那の自治体3病院―医師不足の心配」とあり、伊那中央病院、昭和伊南病院、町立辰野病院では深刻な医師不足が伝えられていますし、また8月にはSBCテレビが、下伊那の日赤病院の医師不足も深刻で、院長自ら診療の合間を使って医師確保のために奔走しているが、成果になかなか結びつかないと伝えています。
そこで以下に質問しますが、まず1つ、県内の山間地や僻地での医師の確保状況はどうでしょうか。
2としまして、県内病院からの医師の派遣要請に県はどの程度応えられているのでしょうか。
3つ目としまして、医師不足が問題とされております公立病院の補充についての支援をどのように進めるのでしょうか。
そして4番目としまして、特に木曽病院は木曽地域の二次救急医療を唯一一病院で担っているという他の医療圏とは違った状況があり、木曽地域の住民のかけがえのない医療施設です。救急搬送の割合も木曽広域消防の80.5%にもなっています。ここの欠員状況5名、非常勤9科についての対応は急務であると思いますが、どう考えていらっしゃるのか衛生部長にお聞きいたします。
ただいまご答弁ありましたけれど、信大病院より特にこの木曽地域というのは特別大変な地域、ここに非常勤で対応させるということ、先ほど申し上げました2次救急医療圏におきまして唯一の病院がこのような非常勤で対応せざるを得ないということ、やはりここを是非とも改善をしていただきたい、そのことを重ねて要望いたします。
さて、医師不足の背景に先ほども答弁にありました本年度から始まりました新卒医師の臨床研修制度の影響で大学が病院への派遣を控えていることも言われています。医学部の卒業生の臨床研修は、都市部の大病院指向が強まり、地方の中核病院や診療所など、山村、過疎地の医師体制への影響が懸念されています。大学病院に医師が今までのように残らないために大学病院での診療体制の維持のために、今まで派遣してきた病院からの撤退や、派遣打ち切りが行われてきており、山間地や診療所などは医師不足に一層拍車をかける状態になっているといわれています。私は信州大学病院院長に話を伺う機会がありましたが、院長からはやはり、「新卒医師の臨床研修制度でこれまで派遣してきた病院への派遣が難しくなっている。地方病院の診療体制の厳しさがいわれるが、県的な対応が必要ではないか」と示唆されました。
私は医師確保が大変な北海道を調査してみましたが、厚労省の2000年の資料では人口10万人あたり医師数が192.2で全国24位、一方長野県は178.2人で37位です。北海道は85年から地域医療振興財団という組織をつくり、道、市町村、医療関係団体が地域医療の充実をめざした、公益法人を設置して医師確保の努力をしています。
また道内の札幌医科大、北大、旭川医大の3大学に道が協力して、地域医療に積極的に支援が得られるように、それぞれの大学や付属病院に過疎地医療と連携したプライマリケア医の養成が行われています。
医師充足率が北海道よりも遅れている本県においても、先ほど県民医療室というお話もありましたけれども、やはり民間もふくめた県内医療機関の医師確保のための体制をもつべきだと思いますがこれについての答弁をお願いしたいと思います。
また、この新臨床研修制度の本県での影響は実際はどうなっているのでしょうか。やはり信州大学からの医師派遣が得にくいとか、あるいは引き揚げられているということがあちこちで聞かされています。北海道では知事の公約で医師確保のために、この新臨床研修制度に対し、行政や民間を含めた懇談会を開催して対応を始めているそうです。例えば、東京と地元札幌で医学生を対象に道主催による、北海道の臨床研修病院の合同プレゼンテーションも毎年開催しています。いわゆる医学生向けガイダンスです。長野県でもこのような医師確保に関わる体制と組織を学生を対象としてつくるべきではないかというふうに思いますが、衛生部長のお考えをお伺いいたします。
是非とも医学生というのは長野県だけではないわけであります。東京にも多くの医科大学があるわけですけども、そういったとこに県出身の学生がいる、全国に県内の医療情勢を知っていただき、そんな中で長野県に戻ってきてもらうあるいは長野県で働きたいというこういった医師を育てていく、これを民間も含めて行っていくことを提案させていただきたいと思います。 |