2004年 12月議会
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議第12号2003年度一般会計及び特別会計の決算の認定について賛成の討論をいたします。 2003年度は財政改革推進プログラムの初年度の年となりました。 私たち党県議団は4年間で投資的経費、事務事業、人件費など見直しと削減を計りながら、福祉や教育、環境、雇用などに重点投資していくという財政改革プログラムを基本的には賛同してきました。 又、重点施策の実施のための財源確保として設けた長野モデル創造枠事業としての300億円の特別枠も賛同の立場を取ってきたところです。 田中知事は2003年度の予算提案にあたっても、福祉、医療、環境、教育、産業、雇用など真に必要な施策に重点的に財源を配分したと述べましたが、県民の願いを前進させる改革の流れを一層鮮明にした2003年度の決算を党県議団は評価し、認定するものです。 以下、県民の立場からの検証を踏まえ、具体的に賛成の趣旨と今後の更なる努力への要望を申し上げます。 先ず、厳しい財政運営の中で黒字基調を維持してきたと言う点についての評価です。 決算額の現状をみてみますと、2003年度の長野県一般会計決算額は歳入総額9,039億円で昨年度の1兆57億円と比べマイナス10.1%、5年連続のマイナス決算で11年ぶりに1兆円を切りました。 県税収入は対前年度マイナス41億円で3年連続の減収となり、依然として景気の回復には程遠い状況がみられますし、更に国庫支出金も228億円の減収となる中、土木費や、農林水産費の減額を中心に歳出総額を前年度の9,925億円に対しマイナス10.8%の8,853億円に抑えた結果、実質収支額は46億円で対前年度比プラス6億円となり、黒字基調を維持することが出来ました。 次に社会保障等に重点投資の財政運営であったという点です。 公共事業費は行政投資額で見ると1,561億円で対前年度から644億円29.2%の減額です。 これは、財政改革推進プログラムの投資的経費の引き下げ目標値である、2,184億円を下回り、前県政時の2000年度決算の3,170億円の半分以下、額でみれば1980年代初頭の水準となりました。 県財政を危機に招いた負債の八割を3公共がつくりだしたことからしても、県民の願いである福祉や教育の前進のためにも公共投資の総額をおさえていくことは避けて通れない道であります。 党県議団は一貫して公共事業の中の無駄を削り、大型事業から県道の歩道整備など生活道路の改善や維持補修、高校の改修など県民生活にとって身近で必要な公共事業に転換し促進するよう求めてきたところです。 この結果公共事業費は1600億円台に、社会保障費は1300億円台となり、公共事業に4000億円、社会保障に1200億円であった90年代の予算の使い方は社会保障重視へと大きく転換しました。 福祉、教育、雇用にも力が入りました。 民生費の予算全体に占める構成比は90年代の4%台から,2003年度は7.7%と前進し、小規模ケア施設(宅幼老所)44箇所整備をはじめ、老人福祉施設20箇所の整備、中央児童相談所に加え、松本児童相談所の一時保護所の通年化など切実な県民要望事業が前進しています。 商工費の構成比は初めて8%台に乗りました。緊急雇用創出基金事業として県事業では8万2千日、市町村事業として14万人日の雇用が創出されるなど国の雇用対策事業を積極的に取り入れた対応は評価の出来ることです。 教育費は2001年度に土木費を上回って以来、連続トップとなっています。 小学校3年生まで県が全額負担で30人規模学級事業を拡大したことは、県民からも、教育現場からも歓迎の言葉が上がりました。 さて、財政の健全化にとって不可欠の県債への対応は全国でもその努力はぬきんでています。 新たな借金を出来るだけ抑制してきた結果、2003年度で県債残高が初めて減少に転じました。これは全国では長野県のみです。 しかし、借金は後年度に付けを回すと言いますが、 前県政が作り出した莫大な負債は現県政の努力にもかかわらず、今その負担はピ−クに達しています。 公債費負担比率は27.2%と上昇を続け、起債制限比率は17.1%と相変わらず全国ワ−スト2位となっているのは本当に残念と言うほかありませんが、現県政の努力はこれからの財政再建に展望を開いていくことと期待をするところであります。 最後に今後の取り組みに生かしてほしい三点について要望いたします。 1つ、公共事業削減や入札制度の改革は建設業者に少なからぬ影響を及ぼしました。 党県議団は建設事業者の皆さんとの懇談を重ねる中で、大変な思いや努力をお聞きしてきました。 県としても建設産業の構造改革を支援するための建設相談110番の設置や新分野への進出を図ろうとする企業への支援も始まりましたが、事業者の皆さんから共通して指摘されたのが低入札価格などを生じさせた入札制度の早急な改善でした。 私たちは透明性や、公正さを確保する改革の趣旨や小規模事業者が入札に参加できる参加希望型発注制度の拡大は歓迎しますが、再生産もままならないような低入札は即刻改める必要があると言う立場で最低制限価格の設定など真摯な改善を求めてきたところでありますが更なる改善を望むものです。 2つ、人件費は前年度費で98億円の減額となり、予算の構成比では30.07%ですが、全国平均31.4%に較べ下回っています。 財政改革に伴う給与の引き下げは、労使の真摯な交渉と職員の皆さんのご協力により、合意された結果によるものですが、党県議団はこの結果職員給与が全国一低額となったこともあり、今後給与の安易な削減はすべきではないということを一言申上げておきます。 3つめ、財政改革推進プログラムに基づいて2003年度に初めて導入された長野モデル創造枠予算50億円は財政難の中、削減ありきではなく、30人学級の財源を生み出したように県民に要望実現の希望ある予算枠として設定されたものと受け止め、歓迎するものですが、不執行の事業を生じたことを教訓にして更に県民が望む、県民にとって本当に必要な施策を取り入れ、創造枠予算が本来の目的を果たすことが出来るよう強く求めるものです。 討論の終わりにあたりまして、知事に一言申し上げます。私たち日本共産党県議団はただいま申し上げてきたように、福祉や教育が大切にされる新しい県政の前進を心から願い、そのために必要な提案をしてまいりました。この前進は知事一人だけではなく、県民の運動と職員の努力があったればこそ実ってきたものであります。皆で力を合わせてこそ改革は進む、このことを肝に銘じてこれからの県政運営をしていただくよう心から求めて2003年度の決算についての賛成討論といたします。 |