7.山口村越県合併について
1、 住民自治の尊重について
2、 道義的責任について
それでは質問の最後になりますが、山口村の越県合併問題について知事にお伺いします。
高村議員も申し上げましたように、日本共産党は、「平成の大合併」の名による、合併特例債を条件に期限を区切って合併をおしつけるやり方には基本的に反対です。「自治体リストラ」とも言われる今回の合併の先に道州制が展望されていることも明らかで、これは越県である無しにかかわらない、自治体のあり方そのものが問われる問題です。しかし、同時に、その自治体の進むべき道は、そこに住む住民が住民の責任において決めるべきだという住民自治の立場で、「地域住民の利益をまもる」「住民の意思を尊重して決める」ことを判断の基準にしています。これは越県合併であっても同じです。日本共産党の山口村の議員や党支部も、合併反対でがんばりました。日本共産党県議団は、村民意向調査の結果が出たからには、それを覆す相当の材料が無ければ尊重せざるを得ないという立場で、私たちは歴史の検証に耐えうる議論を要望し、総務委員会の現地調査も実現しました。
総務委員会で山口村と中津川市へ調査にうかがった際、そこに出席した南木曽商工会の事務局長は、総理大臣裁定で旧神坂村が二分された昭和の合併で、一軒一軒の戸口に合併賛成の家、反対の家と張り紙をされ、親兄弟や身内も引き裂かれた苦悩の体験を語り、涙で絶句されました。村の選択を知事や県議会が、まるで「領地をわたすことはまかりならん。」と村を私物化する封建時代の領主のように認めようとしなかった「昭和の合併」の経験が、今なお、山口村の人たちに大きな傷跡を残していること、合併しても良いことばかりではないと思っても、もう、あの時のような思いや混乱が繰り返されるのは終わりにしてほしいという思いが、合併に賛成している人々の中にもあるのだということも、私は知りました。合併に賛成しているこの人々も、現時点では大切な長野県民です。
先日、青山出納長が答弁の中で、「昭和の合併と平成の合併の大きな違いは、住民の意思が尊重されるようになったこと」と述べられていますが、そのとおりです。
できることならば、今からでも考え直して長野県に残ってほしい、合併しても本当に村がよくなるかは疑問もある、というのが私自身の現在の正直な気持ちでもありますが、それが「正義」だと、山口村の人たちに私が一方的に押し付けることはできません。
11月4日の県世論調査協会の調査結果では、「島崎藤村や馬籠宿へのこだわりがある」と45.5%の人が答えている反面、「越県合併についてもっとも尊重されるべきは山口村村民」と答えた人が78.1%で、実際に多くの県民の意見をお聞きしてみてもこの傾向はほぼ正確な県民の民主主義の到達点です。これは、決して、知事がおっしゃるような、「長野県が溶けて流れても良い。」とか、「軽井沢や山ノ内町ならだめで山口村だからいい。」ということではありません。
住民自治の尊重について、改めて知事の見解をお伺いしたいと思います。
先ほど、県の世論調査協会の調査結果、それから南木曽町商工会事務局長さんのお話もご紹介しましたが、合併に賛成している人も、反対している人もみんな苦渋の選択です。みんな本当に大切な長野県民です。そのとき私たちは、例えば選挙で私たちが正しいと思う政策を訴え続けても負けることはあります。しかし、その結果が民主主義のルールとしてお互い尊重することで世の中が進んでいくのではないでしょうか。改めて住民自治の尊重ということについて知事にお考えをいただきたいと思います。
また、先ほど竹内議員もおっしゃっておられましたが、改めて今回の経過を振り返って見ますと、知事は山口村を合併重点支援地域に指定し、今なお解除はしておりません。県のまちづくり支援室の職員を派遣し、中津川市長や山口村村長にたいして、「困ったことがあったらなんでも相談してください。」と合併の準備を事実上応援してきました。総務委員会で山口村へうかがった際、手続きが民主的に進められたのかと私たちは質問し、私が「村長さんは、村民への説明で、自立は自滅と説明されたそうですが、根拠はなんですか。」とおたずねしたところ、「県のまちづくり支援室の出してくれた財政シュミレーションが根拠です。」と答えられました。県として、自立の展望がもてるシュミレーション作りがもっと早く援助できなかったことが本当に悔やまれます。
さらに、「できれば投票方式での村民の意向の確認をしてほしい」という知事の意見も受け、賛成、反対の両者が納得して行なわれた投票方式の意向調査で賛成多数の結果が出て、それを受けて村議会が多数で決定した合併の申請を県にあげたのちも、今日にいたるまで、知事からは、手続きに問題があったとか、反対だとか、やり直すようにとの意思表示はいっさいなく、その条件のもとで合併を前提としたさまざまな準備が進んでしまい、すでに600項目をこえる事務手続きの準備は完了、子ども達の交流も進んできました。そして、9月県議会への合併関連議案の提出を見送った知事は、古田議長あてに「12月議会に提案を予定している」「手続きが間に合わないことでの影響が極力出ないように誠意をもって対応する」と文書で回答されました。
以上の経過から、一方では一連の合併手続きと申請、その後の合併準備を事実上応援してきながら、最終段階のこの期に及んで関連議案の提出をするのかしないのかわからない、結果として提案しないと言うのでは、越県合併の是非を超えての道義上の責任が生じるのではないでしょうか。このままの状態で結論を引き延ばし12月議会が終了すれば、この問題が残念ながら政争の具となり、犠牲になるのは宙に浮いた山口村の皆さんです。
どうか、たとえさまざまな無念の思いがあっても、「熟慮」の結果の結論を、県政改革を200万県民の立場に立ってすすめる大局的な立場からその結論を出して頂きたいと思いますが、知事のご見解をお伺いします。
残念ながら私の質問にお答えいただけていないのですが、もう一度お答えいただきたいわけですが、事実として知事は合併支援重点地域の指定をはじめ一方では合併の準備を進める応援を県の職員を通じてされてきたわけです。そして9月議会でも議長に対し、12月議会に予定をしていると提案するとお約束をされたわけです。ですから、これは議会が権利があるから出せばよいという問題ではなく、知事ご自身の責任で提案するのか、されないのかを決めなければならない知事ご自身の責任の問題です。これまでの経過の中で道義上の責任からもこの議会でお出しにならないならばならない理由、お出しになるならばいつどのような形で出されるのか、それを知事の責任でお答えをいただきたいと私はお聞きをしております。お願いをいたします。
残念ながら議論がかみ合いませんが、合併の応援は出来ないというのであればこの議場で私たちにこもごもお話になってくださっていることを何よりも知事は山口村村民に語らなければならないと思います。先ほど議場から、共産党合併反対なのにどうしたと野次をとばした方がいらっしゃいましたが、そのことにつきましては今日の質問の中でも最初に明確に私たちは反対であること、山口村でもその立場でがんばってきたこと、しかし残念ながら私たちの主張が村民多数の皆様に正義と受け止めていただけなかったこと、そうなったからにはその村民の皆さんの選択を尊重しなければならないという民主主義のルールの立場を申し上げました。決して矛盾していることではないと思います。
そういう中で改めて知事にお伺いいたします。提案するしないだけの議論ではないと言っても、9月に出します。見送りました。12月に予定しています。12月になったらわかりません。議会の方が出されれば良いのではないか。これはどんどん問題がすり変えられていくばかりです。知事はこの提案をしないおつもりなのか、それともしかるべときにするおつもりなのか、しない場合はその理由は何なのか、山口村村民の皆様と県民に対して明確なご説明をお願いしたいと思います。
山口村の皆さんお一人お一人にとってこの問題は本当に人生が変わるかもしれない重要な問題だと私も自覚をしております。しかし、県議会はその問題に留まらず「国の三位一体改革」で一層厳しい財政状況になる中でより多く県民の願いを議論しなければならないはずです。知事が議案提案の態度をはっきりされないがために、結局私たちの思いに反して今日も全員の方がこの問題に触れざるを得ませんでした。私も予定した質問の多くを割愛せざるを得ませんでした。大変残念です。知事には是非ただいまご答弁いただきましたが残りの期間誠実なご検討をお願いしたいと思います。質問終わります。 |