毛利議員の提案説明
議第3号「県議会議場の日章旗を撤去する決議」につきまして提案説明をいたします。
去る10月8日、県議会議場へ「日の丸」を掲げる問題ではじめて全員協議会が開催されました。この席上において、本質的な話し合いには入れないまま決め方を話し合っている段階で、慎重に時間をかけて審議してほしいという意見を無視し、「採決先にありき」で採決が強行され、本定例会から掲揚されています。そもそも議会運営委員会、各派代表者会議の議論を経て、全員協議会の場に議論が移されたのは、それらの会議では一致を見ることができず、一人一人の議員の内心の自由にかかわる問題であるがゆえに対等の立場に立ってそれぞれの思いのなかで、意義や目的など十分な議論を尽くすことにあったのではないでしょうか。
決定方法に抗議し2割以上の議員が退場するなか、出席者の3分の2以上ということで、一方的に強行採決したやり方は慎重さと配慮に欠け、民主主義のルールからもかけ離れています。
「日の丸」は戦前の軍国主義の時代に、他国への侵略戦争に際して、国民の戦意高揚のために使用された歴史的経緯があり、日本国民ならず、世界の人々とりわけアジアの人々に深い悲しみと憤りをもたらしました。
「日の丸」に接することで、辛く悲しい思い出を想起したり、国民主権を制定した憲法の基本原則にふさわしくないという信条を持ったりする国民も少なくありません。
憲法19条では「思想および良心の自由はこれを侵してはならない」と規定しています。「日の丸」を掲げるか否かはすべからく思想・良心など内心の自由にかかわる問題であり、「国旗・国歌」と制定するまでに半世紀以上の歳月を費やし、これを制定した国会においても当時の小渕内閣総理大臣は「国旗の掲揚に関して義務付けを行うことは考えていない」旨答弁しています。議場は議員ばかりでなく様々な考え方や感情をもった県民が傍聴にくる公の場です。県民の思想信条内心の自由に慎重に配慮した対応でなければなりません。
「日の丸」は既に慣習として定着しており、長野県以外の全ての都道府県の議場において掲揚されているとの議論もありますが、満蒙開拓団を日本でダントツ一番多く送った県であり、中国残留孤児問題もクローズアップされているもとで、今なお癒されることのない苦難を強いられている皆さんも多く、「日の丸」掲揚が県民の利益につながるとは思えずむしろ掲げないことが誇りではないでしょうか。
「日の丸」掲揚問題の核心は強制しないことにあります。いま東京都の教育現場では「日の丸」掲揚、「君が代」斉唱の強制をめぐって起立や斉唱しない生徒にたいし、教師を大量に処分するという大変な事態がおきています。全員協議会での採決の強行はこのような強制につながるものであり、改めて時間をかけて慎重に議論することが求められていると思います。
以上の理由から「県議会議場への日章旗を撤去する決議」をあげていただきますようお願いいたします。
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