5.児童虐待について
次に児童虐待について伺います。
県は、児童相談所の相談体制の強化のためこの4年間に児童福祉司など職員を35人から53人に増やし、一時保護所の通年開所や松本児童相談所の移転等体制の強化が図られ、職員が24時間の緊急対応にも献身的に応えて奮闘されています。
今年10月の「児童虐待の予防に関する法律の一部改正」にともなって、9月議会では「児童虐待での犠牲児童を出さない長野県のために更なる体制の強化」を求めたところです。
そこで制度改正によって県の責務と児童相談所の役割がどのようになったのか社会部長に伺います。
あわせて県下5箇所の児童相談所の現状はどうなっているでしょうか、地方交付税算定基準に照らして不足している児童福祉司の補充状況はどうでしょうか、法改正にともない求められる機能と児童相談所の状況から現在直面している課題をうかがいます。
児童虐待の予防、早期発見、迅速な児童保護および自立支援、家族関係の支援、また調査研究等の機能も求められるということでございます。こういった中で関係機関団体との連携・調整この役割が強く求められてきていると思います。特に虐待発見の場として保育園・幼稚園・学校教職員の取り組みの強化が求められる中で、教育委員会、教育事務所の認識と対応はどのようになっているでしょうか教育長に伺います。
また、小児科医師や看護師など医療現場で虐待を受けている児童に関わることもあり、衛生部としてはどのような対応があるのでしょうか、この点衛生部長に伺います。
【答弁 瀬良教育長】
お答えいたします。児童虐待について県教育委員会としての取り組みについてのおたずねでございます。本県における児童虐待は平成15年465件という相談件数がございまして、前年比23%という増加でございます。被虐待児という者は、ほとんどは幼児そして小中高の児童または生徒でございまして、また一方、虐待を加える者はそのうちの83.7%が実母または実父であるという極めて悲惨な状況にあります。このようなか先ほど議員のお話のように、10月1日に児童虐待防止法の一部を改正しようということで強化されたところでございまして、社会部長からお話があったように保護者以外の同居人による児童虐待を見過ごしていたもの、ネグレクトとしての児童虐待にあたるんだとか、それから児童の目の前でドメスティックバイオレンスというふうな暴力行為とか、児童の恐怖をあおるような行動をとった者も間接的な児童虐待行為になると、それから、以前は児童虐待を受けた児童について通告義務の対象としていた
ものを、今回は児童虐待を受けたと思われる児童というふうに拡大してその実効性を高めている。また、児童虐待を受けたために学力が遅れた児童に対しての就業と就学援助、進学・就職の際の支援というふうなことも考えております。今児童虐待におきましては予防と早期発見、さらには児童虐待を受けた子ども達の自立の支援というのが何より大切でございまして、県教育委員会といたしましては、保育所とか学校等の教育現場は子どもの身体的、状況的変化に気づきやすく、また保護者や家族の訴える問題について知りうる機会が多く、また虐待を早期に発見しやすい立場にあります。
このような観点から踏まえて、県教育事務所と小・中学校区の該当者等が児童虐待防止ネットワークに参加して関係機関との連携・協力に努めております。更に、県教育委員会といたしましては、福祉・医療との関係強化も充分に深めておりまして、児童虐待防止等、児童虐待を受けた児童の自立の支援 取組みを進めていきたいと考えております。具体的な取組みといたしましては、県教育委員会では今年2月に児童虐待への適切な対応について教育現場に通知したほか、9月に児童虐待に関する教育研修を実施して十分な体制を整えております。また11月の児童虐待防止月間を中心にポスター、リーフレット等各学校に配布するとともに、郡市の校長会、私立幼稚園協会、保育連盟等通じて児童虐待防止法の改正等について、教育の現場への指示の徹底、そして関連機関との連携等について、指導助言をしておるところでございます。
【答弁 鈴木衛生部長】
児童虐待防止に関しましては、常日頃、直接児童を診察する機会の多い小児科医などが、その虐待の疑いを発見することも大変多いわけでございます。そういう面で大変重要な役割を果たしていると認識をしておりまして、現在県下の各広域ごとに個別の児童虐待防止ネットワークが設置されておりますけれども、その中には複数の医療関係者が参加をしておりまして連携を図っておるところでございます。これまでにも医師が日常診察業務の中で、児童の身体あるいは様子に虐待の疑いがあるということを感じた場合には児童虐待の防止に関する法律に基いて通告義務があるわけでございますけれども、通告をいたしておるところでございます。今後は市町村単位で、児童虐待防止のネットワークが構築がなされていくとこういう方向性がありますので、医療機関がこういった役割期待されておりますので十分な役割を果たせることができるように一層関係の機関みなさまと連携を図ってやってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
教育委員会および衛生部の所管の関係機関におかれましても、そういった視点で単に児童相談所機能にすべてそこに任せるということではなく、ともに考えるということを是非お願いしたいと思います。
乳幼児健診での保健師、市町村児童福祉員、児童福祉施設の職員、弁護士、警察など地域のネットワークと連携した子どもたちを守るネットワークが大切です。その束ね役が県とおよび児童相談所に求められていると思います。
児童相談所の業務としたしまして、通報から初期対応、児童の一時保護とか、あるいは家族状況把握や児童養護施設への入所やその後の親との良好な関係作りなど大変な作業がございます。家族再統合に向けての援助、どの場面でも複数職員での対応、関係機関との共通認識を持ちながらすすめること、親が虐待を否認し続け問題解決に向けて進まないなど、「子どもを保護しながら、一方で親から憎しみをもたれてしまう」危険な場面にも直面する事態があると思います。
このように児童相談所の職員は、現在の社会のゆがみの犠牲となっている子どもたちとともに、もがき苦しみながらぎりぎりの状態で頑張っています。心理判定員を正規職員する事や、24時間の相談体制や専門機能強化を視野に入れて専門職員の配置を長野中央児童相談所や松本児童相談所で充実することを強く提案したいと思います。
来年から児童福祉法の一部改正案が示され、市町村では対応困難な専門性の高い困難事例への対応や市町村の後方支援の役割など、ますます指導援助体制の強化が必要となってくることが予測されます。
児童虐待を予防し、長野県子どもたちの幸せのために児童相談所の充実やネットワーク構築にむけてどのように取り組まれるのか、最後に再度社会部長におたずねして私の質問を終わらせていただきます。
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