2005年 2月議会
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第1号平成17年度長野県一般会計予算案に賛成と修正案に対するそれぞれの討論を行います。 政府の05年度予算では、小泉政権の構造改革、とりわけ地方自治体と県民にいっそうの痛みを強いる「三位一体の改革」が押し付けられるもとで、義務教育費国庫負担金の削減、生活保護費の国庫負担率引き下げの検討、地方交付税の引き続く削減をする一方で、補助金廃止に見合う税源移譲額とはなっていないことなど、自治体の財政運営を一段と厳しくする方向となっています。国が福祉・医療・教育などに対する責任を投げ捨てようとしている中、県民の生活を支え、向上させていく楯となることがいっそう県政に求められています。 こうした状況下、本県の2005年度当初予算の使い道を大きく社会保障と公共事業にわけて試算した結果は、社会保障に1,336億円、公共事業に1,564億円となります。公共事業費を100とした場合の社会保障費の割合は85.5になります。かつて長野冬季オリンピックのための公共事業が最盛期だった1996年には、社会保障費は1,289億円で、公共事業費は4784億円でした。この場合の公共事業費に比較した社会保障費の割合はなんと26.9でしかありませんでした。 1兆円といわれた長野県の予算額も、2005年度当初予算では8.531億円となり、8千億円台になってきたもとで、社会保障に使う予算が1.300億円台を確保されていることは、予算の使い方が社会保障を重視する方向に向かってきたことを示しており、私たちも評価したい点であります。 とくに今議会中多く論議された「信州モデル創造枠」予算は、154事業109億円の予算化がはかられています。このなかには新規事業として、「廃棄物の減量化・資源化を進める市町村との協働事業」、「信州ふるさとの住まいづくり支援事業」、いじめや体罰、これによる不登校問題などにおかれている子どもたちを支える体制をつくる「子どもの権利支援システム構築事業」さらに、養護学校高等部での年齢制限のために就学の機会に恵まれなかった方たちへの「だれでも訪問教育推進事業」、など県民が切実に求めてきた事業が実現しました。 また、新たに充実する福祉事業では、宅幼老所を夜間も利用できるよう緊急宿泊の経費助成、児童虐待・DV24時間ホットラインの創設などがあり、教育事業では「医療的ケア看護師配置事業」、30人規模学級の県費全額負担を小学校4年生までの拡大が実現しました。 さらに、2005年度末の一般会計の県債残高見込みは、1兆6千億円台からようやく1兆5千億円台(普通債1兆3639億円・特例債等2357億円)になります。これは3年連続の減少であり、土木・農林などの公共事業によりできる普通債残高は5年連続の減少となります。これは自然減どころか、意識的に公共事業を見直してきた結果が反映しています。 一方、今回提案されている値上げ案には承服しかねる内容が含まれており、県民の所得が減少しているときこそ、暮らしを守る姿勢に立つべきであり、認められるものではないと考えます。 とくに高校授業料の値上げについては、昨年も提案されましたが、全会一致で否決したものです。今回改めて提案されましたが、県民に納得されるものではありません。私ども県議団でも調査しましたが、鳥取県では国の基準に横並びではなく、国基準から2回値上げの提案を知事が見送っており、9000円のままです。 この他、各種県立学校の入学金特に、看護大学、工科短大の県民入学者は今後2年間で14万円が28万円へと2倍にもなる異常な値上げです。この他、寄宿料などの値上げも提案されていますが、老朽化する寄宿舎に対して値上げするのも県民理解が到底得られません。 今後とも県民の目線に立ち、県民や職員の声を聞き、県民サービスの向上に向けての努力を期待するものです。 次に、一般会計予算案の修正案に対する討論を行ないます。 スキー王国NAGANO構築事業の負担金1,303万5千円の削減につきましては、日本共産党県議団として、北陸信越索道協会(いわゆるリフト協会)の役員に見解をお聞きしましたが、スキーが全体として停滞傾向にある中で、個々の事業者ではできない付加価値をつけてがんばっていることを示してきた事業であり、事業効果が現れないからといって打ち切るのではなく、少なくとも5年くらいは見てほしい、県内のスキー産業をどうするかの県の姿勢が問われる問題だ、と削減に反対のご意見でした。 企画の内容を見直したり、改善することは必要かもしれませんが、予算の削減には賛成できません。 「信州型木製ガードレール」設置事業費1億1700万円の削減につきましては、賛成できません。削減の理由として費用対効果や耐久性の検証がまだ不充分とされていますが、地球温暖化対策効果や環境への配慮による景観の効果、間伐材の有効利用や雇用対策としての効果も国も注目するなどこれを考えますと、費用対効果も安易に単純な比較もできませんので、原案に賛成です。 環境保全研究所長の報酬480万円の削減につきましては、昨年の「中国産『はるさめ』等からの過酸化ベンゾイル誤検出・誤公表」問題の検証の中から明らかになった環境保全研究所の役割の重要性をふまえ、研究所の所長は常勤でなければならないと考え、賛成します。日本共産党県議団としても、独自に大阪堺市や埼玉県、横浜市など他県の検査ミスによる職員の処分の事例についての調査をしましたが、埼玉県のハムからのO―157誤検出で、最も重い処分を受けたのは保健所長であり、他県の事例に比べても長野県の場合、直接検査にあたった職員や担当課長の処分の重さに比べて、研究所長の処分の軽さの著しい不公平感はぬぐえません。検査結果を集団として検証する体制の確立と、日常的に責任を負える所長の存在は、二度とこのような事故をおこさず、県民の信頼にこたえるためにも、不可欠であると考えます。 ITバスによる移動パソコン教室事業費3,109万4千円の削減については反対です。削減の理由として、「すでに市町村において同様の目的によりパソコン教室を行なっていることから、県がみずから事業を行なう必要性、緊急性を認めることは困難である。」とのことですが、15日の朝、総務委員会が行なった市町村長会との懇談の席では、下伊那郡の町村会の代表から、「必要な事業であり、是非、実施してほしい。」との要望が出されたと言うことです。お年寄りや障害のある方、短時間しか家を明けられない主婦などが、自宅に近いところで、まず、パソコンに触ってみる、ITへの入門のきっかけになるだけでも、効果は大きいと思います。 県の広報事業費1億2千万円の削減につきましては、その理由が「現在の広報は単に知事個人の意見を表現する場となっていることが多く、県の広報のあり方として問題がある。」とされていますが、長野県の広報費は、提案されている原案3億4,304万円が可決されたとしても、全国的に見ても決して多いほうではなく、広報費の削減には慎重であるべきだと考え、削減の修正案には反対します。もちろん、議会内で指摘されている、県の広報が議員の個人名を名指しするなど、節度をこえたり、広報としての妥当性を欠いているというのであるとすれば、それらのご意見については、内容の改善を求める建設的な提案と論戦を、堂々と県当局と行なうことで解決していくべきだと考えます。 以上申し上げ、第一号平成17年度一般会計予算案におよびそれぞれの修正案に対する討論といたします。 |