2005年 2月議会
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議第15号に賛成の討論を行ないます。 もともと、知事の住所問題のきっかけは、2003年の秋、長野市議選の際に、議員の海外視察が市民の批判をあび、知事は、「こんなことに自分のおさめた税金が使われるのかと思うと暗澹たる思い。それならば、厳しい財政状況の中で福祉に予算を重点的に使っている泰阜村に自分の税金を払いたい。」ということだったのではないでしょうか。私は、そのこと自体は、ひとつの重要な問題提起だったと思います。 しかし、だからと言って、県政の最高責任者である知事が、「好きな町に住民税を払いたい。」と、住民票を移し、生活実態を無理やり泰阜村とするために、知事就任当初は「365日、24時間知事として責任を負わなければならない。」とみずから選んだはずの県庁近くのマンションを引き払って、長続きしない無理な遠距離通勤をしたり、長野市や泰阜村をはじめとする多くの人々を裁判などに巻き込んで公費を出費させてしまったことを、よしとするわけには行きません。 県政の責任者としての知事には、これは、私たち議員にもいえることですが、税金を納める県民が、自分の税金の使い道について納得できない思いを抱くことのないように、「きらいな町」でも、「好きな町」にできるように、努力することこそ、求められているのではないでしょうか。 その意味で、私は、この問題での議論が、いつもすれ違ってしまい、本質の議論にならないことを、大変残念に思っています。今回、総務委員会の議論の過程で、松林経営戦略局長の、「県民益」発言をめぐって、審議が空転し、議会運営に混乱が生じましたのも、裁判が終結し、その判断に知事も従って、住所を軽井沢のご両親のお宅に移され、長野市に住民税を払われたと言う一連の決着を見たことから、結果として、住民税を払って、財政的にも支援するはずだった泰阜村に、逆に80万円余の裁判費用を負担させることになってしまったという事実に対して、「ご迷惑をかけて申し訳なかった。」という気持ちがあるのかどうかが問題にされたのです。 もちろん、私たちは、日弁連の元会長である土屋委員長のもとで「住所認定に関する審査委員会」の「住所複数説」の見解を一概に否定するものでもなく、これらの議論が無意味と言う立場でもありませんが、このことが、県民の目線から見て、長野県政として取り組まなければならない最重要な課題とは思えません。 知事からの、総務委員会での発言申し出の内容を見る限りでは、私たちが住所問題の是非を論じているのではなく、このことによって引き起こされた長野市や泰阜村などへの被害を問題にしている以上、問題がすりかえられてしまうばかりです。 委員会の設置も、県および長野市、泰阜村の裁判費用も、貴重な県民の税金です。ちなみに、日本共産党長野市会議員団は、長野市長が裁判を起こすとき、そんなことに市民の税金を使うべきではないと反対しました。今回、長野市長が裁判を取り下げたことにより、これ以上の税金の無駄遣いがストップされたことを長野市民は歓迎していますが、残念ながら、日本共産党長野市会議員団の指摘したとおり、無駄な税金の出費に結果としてなった事実だけは残ってしまいました。 地方分権の流れの中でも、地方自治体には厳しい財政状況が続くことが予想され、県民の願いも待ったなしの状況です。知事におかれましても、県政運営の正念場、真の県民益のため全力を尽くされますよう強く希望して、賛成討論とさせていただきます。 |