2.大型店出店問題について
次に大型店出店問題について、知事に伺います。
住民に慣れ親しまれ、暮らしと地域を支えてきた地元商店がつぎつぎに閉店においこまれ商店街に空き店舗やシャッター通りがふえており、地域の衰退傾向は顕著になっています。
衰退の原因は様々ですが、現在の状況は個々の商店や商店街の努力をはるかに超えたものになっており、相次ぐ大型店の出店攻勢は目に余るものがあります。6月議会でも高村京子議員が上田のイオンの問題を取り上げましたが、県議会としても12月議会で「街づくり3法」の見直しを求め全会一致で意見書をあげたところです。
県内の市段階での小売面積に占める大型店シェアは60%をこえており、いまや大型店同士が競合し、出店と撤退をくりかえしており、街づくりに大きな問題を投げかけています。
岡谷市では駅前再開発の核店舗として出店してきたイトーヨーカドーが撤退し、そのあとが埋まらない中で2階、3階を閉鎖したまま、地元権利者が必死の営業を続けてきましたが、これ以上放置できないとして岡谷市が1億7千万円で買い取り、再々開発目指して構想が練られています。地元権利者は「はたしてそれまでもつか」とたいへん心配しています。
中心市街地ではキーテナントとして東急を呼び、再開発ビルをオープンさせましたがわずか5年で撤退し、巨大な空きビルとなってしまい、これも様々な努力にも関わらず、核となる出店者がいないために、岡谷市が11億6千万円で買い取り、公共施設としての利用も入れながら再オープンさせたところです。こんな状態なのに製造業が移転して空き地になった3箇所の跡地にさらにヤマダ電機やオギノなどの大型店が出店してくる計画があり、すでに工事が始まっているところもあって、「いったい岡谷の街はどうなってしまうのか」と心配がひろがっています。
このような状況は決して岡谷ばかりでは無く、県内各地、たとえば長野市でも起こっており、再利用しているダイエービルに加え、そごうの跡地は35億の市税を投入して再開発がはじまっているところです。
その一方あらたに数店の大型店の出店計画があり、これも商連あげて大問題になっています。出店を計画しているひとつであるイオンは日本で最大級のショッピングセンターを作りたいと地元説明会で語ったとされ、中心市街地の商店街がすっぽりはいってしまう25ヘクタールもの開発を行おうとしています。計画されている地域は農業振興地域であり、広大な農地がつぶされ、自然環境や農業振興、均衡ある街づくりの面でも大きな問題となるもので、商連として反対決議をあげ、阻止するために各方面に協力を求めています。
そこで知事にお伺いします。知事は6月議会で大型店問題は「評価と選択、競争の問題」だといっておられます。しかし、ルールなき大型店の出店攻勢は街こわしにつながっており、知事が言う勤勉で誠実な長野県民を苦しめるものでしかなく、地域社会もなりたちません。このような事態にいったいどう対処するつもりなのか、ご所見を伺います。
私は消費生活そのものを否定している立場には立っているわけではありません。ただ今、出店攻勢というのは、ひじょうに異常でありまして、本当にルールなき出店攻勢であります。知事が今いくつかのがんばっておられる町おこし、あるいは空き店舗利用の対策についてのご紹介もありました。岡谷市でもニュー維新塾、そして下諏訪町でも匠のショップということで非常に皆さんがんばっておられます。しかし、そういう頑張りが今の大型店のルールなきと言われる出店攻勢のもとでは、なかなか努力が実りにくいというところに非常に問題があると思うわけであります。大型店はルールなき出店で中小小売店をつぶし、儲からなければ「あとは野となれ山となれ」で撤退する。こんな身勝手がまかりとおっていいはずはありません。
いまや歩いていける商店がなくなりお年よりは本当に困っています。再度知事にお伺いします。
大店法から大店立地法に変わって出店調整ができなくなったもとで、大型店の出店攻勢はいっそう激しくなってきましたが、出店は企業の自由競争の原理で仕方の無いものということではなく、今全国的には小売商業調整特別措置法いわゆる「商調法」を使って商店街や中小商業者を守る取り組みが広がりつつあり、成果をあげているところも出始めています。
商調法は大企業者と中小業者の紛争処理を行うもので、第1条でその目的を「小売商の事業活動の機会を適正に確保し、小売商業の正常な秩序を阻害する要因を除去し、国民経済の健全な発展に寄与する」と明確に謳っており、出店計画に際し、14条2にもとづく中小小売団体の申請により、知事は経営に悪影響を及ぼす恐れに対し計画の内容や規模、開始時期などについて調査し、報告することになります。
また、16条2に基づく申請では中小企業への影響の度合いによって、出店規模の縮小や開店の延期を勧告でき、応急措置として一時停止も勧告できることになっています。
法の目的からみても中小小売商業者を守り発展させる立場から、積極的にこれを活用すべきと思いますがいかがでしょうか。
商調法に対する知事の決意をお聞かせください。
商調法につきましては、今知事の方から街づくりの観点から事例を調べ、権限を行使していきたいと、そのようなご答弁がありました。是非期待したいところであります。ただこの問題は法定受託事務ということで、知事も冒頭述べられましたが、国の事務を受託しているという内容であります。私はもっと能動的にこんなことをやっていただきたいということで提案をさせていただきますが、いかがでしょうか。福岡県ではこの2月1日、福岡県中心市街地再生検討委員会の設置を立ち上げて、焼畑的な店舗展開をする大型店出店を懸念し、出店を広域的に調整する条例制定も視野に入れて検討が始まったといわれております。また、新潟県では、02年の7月に21世紀新潟県都市政策ビジョンを策定し、その中で大規模商業施設立地委員会を立ち上げて、条例を検討するという段階であるようであります。いずれもそれらの両県につきましては、今の大型店の出店攻勢が中心市街地の商店街を寂れさせ、高齢化社会に向けて大きな課題になっていると、街全体の発展を見たときに問題があると、そういう観点から適切に県としても対応したいということでの取り組みのようであります。知事には是非これらの県にも習って、長野県としても是非能動的に条例等を制定するなど検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
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