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2005年 02月議会 高村議員の一般質問(3/8)

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。

  1. 高齢者対策について
  2. 保育行政について
  3. 産婦人科医療について
  4. 高額療養費の受領委任払いについて
  5. 雇用対策について
  6. スペシャルオリンピックスについて


1.高齢者対策について

 介護保険制度「改正」案が国会に提出されました。
介護保険が始まってから5年が経ちます。老化に伴い認定を受け必要なサービスを受ける高齢者が増えており、公的保健サービスとして定着しましたが、「一割負担が重くサービスが受けられない」「いつまで待てば施設に入れるのか」「少ない年金から保険料の天引きはつらい」こういった高齢者の悲痛な声が聞こえてきます。厚生労働省は、財源の不足を理由に、軽度要介護者への生活ヘルパーなどサービス制限とこの空きからは施設入所者に居住費と食費の全額負担を求めるなど、老後の生活をさらに不安にする方向を示しています。厚生労働省は軽度の要介護者が主に利用しているサービスは訪問介護であり、「不必要な家事代行が高齢者の機能低下をまねき、老化をいっそう加速させている」と批判していますが、本当にそうでしょうか。
 全国民医連では、昨年の秋、介護支援専門員が要支援介護度1の皆さん約6000件の実態調査を行っています。その内容を見ると、軽度介護度は全体の50.6%をしめ、7割が女性、75歳以上の後期高齢者が74.8%、一人暮らし40.2%、「老老世帯」は22%あわせて高齢者のみの世帯は、66.2%です。この皆さんの7割がホームヘルパーのサービスを受けていました。
 内容は掃除・買い物・調理・洗濯などまさに生きてゆくために必要な最低の支援がほとんどです。ヘルパーさんの支援が、老化に伴う生活の不安の精神的支えになっていると感謝されています。またデイサービスやデイケアーは要支援で3割・介護度1では4割が受けており、楽しみながらのリハビリや趣味の活動が生きがいとなっており、これらのサービスが受けている皆さんにとっては大変ありがたい介護保険であります。今度の改正では財源不足を理由に、老化予防の筋力トレーニングで廊下を予防する制度の導入と引き換えに、生活支援ヘルパーやデイサービスの利用などを制限するとしていますが、このような方向で高齢者の自立生活や安心が保障されるでしょうか。どのような影響が出ると推測されるでしょうか。社会部長に伺います。
 またデイサービスやデイケアーの食費の負担料金は各施設で自由設定し、全額自己負担の料金は食材料と調理費用1日1000円近くになり、1割の利用料とあわせて1日の利用料が2000円にもなることが予想されます。
 さらに施設入所者にも同じように、給食費と居住費用いわゆる「ホテルコスト」も保険給付からはずして、全額自己負担を請求できるようにすることが示されています。政府案では現在入所者に平均年間40万円、1ヶ月平均3万円以上にもなる負担の導入を、この10月から実施しようとしています。65歳以上の高齢者の75%が住民税非課税者です。月1割の利用料負担とあわせて6万から8万にもなる施設入所費を請求されては入所できません。現在の高齢者の生活にどのような状況が起こってくると予測あるいは危惧をもっておられるのか社会部長に伺います。

      【答弁 堀内社会部長
       お答えいたします。平成17年10月から実施されます、施設給付の見直しにつきましては、在宅と施設の利用者負担の公平性や、それから介護保険と年金給付を調整するという観点から行なわれるものでありまして、基本的な介護サービスは引続き介護保険で給付を行ないながら、特別養護老人ホームなどの入所施設に於ける居住費それから食費、これは自己負担という内容でございます。高齢者の生活にどのような状況が発生するかというおたずねでございますが、施設入所者や食事が提供されるサービスの利用者につきましては当然のことながら、居住費・食費の保険給付が対象外になるということでございますので、サービス利用本人が一定限度の負担増という動きが見込まれます。この負担増が高齢者の生活のどの程度影響を及ぼすかということにつきましては、それぞれの個人の親族の有無とか、本人を取り巻く環境等によってそれぞれの負担の状況が変ってくるということでございまして、しかしながら、低所得者の施設  が困難にならないよう負担軽減を図る観点から新たに補足的給付が創設され、所得段階に応じて負担の上限額を設定の上、従来と同程度の負担になるような措置が講じられると、一定の標準の額があって、全員が上がっていくわけでなくて、低所得者の関係については所得に応じて段階的に限度額が決まって、この差分を介護給付で埋めるということで、低所得者の人達には上限を決めて抑えてある。そのほかに現行制度におきましても、生活困難者に対する負担軽減制度というのはあるわけでございます。国におきましては、保険制度の見直しにあわせましてその運用改善を図ることとしております。いずれにいたしましても、県といたしましても、今回の改正に伴って低所得者のサービス利用者が困難にならないよう引き続き国へ低所得者対策の充実についてお願いしていきたい、このように考えております。以上でございます。

 在宅と施設との公平性を図るとしていますが、県内では保険料を払いながらも、施設に入れない方が在宅で3300人以上もおられます。また緊急ショートも空きがありません。新年度予算事業に宅幼老所の開設支援と、新しく緊急宿泊支援事業を盛り込まれていることは、県の職員が実態をよく把握し、当事者の声を踏まえての施策であり、意欲ある市町村との共同事業として歓迎するものです。しかし、これは介護保険外事業であり、本来の1割で受けられるはずのショートスティ対応は常時保障されなければならないと思います。このことは藤沢県議も代表質問で求めました。
 そこで具体的に提案しますが、圏域ごとにショートスティの確保を位置づけ、緊急対応のベッド基本料金の一定額を保障して緊急ショート対策を実効あるものにすべきではないでしょうか。この点社会部長にもう一度お願いします。
 つづいて知事に伺います。県では、昨年の3月に厚生労働省に「介護保険の見直しに関する提言」を行い、国にショートベッド確保のための補助制度を求める事、国の財政支援を求める事、介護保険が将来にわたり安定的で、誰もが老後に安心感を抱けるような制度を構築する事などを提言していますが、あらためて国に強く求めるお気持ちはおありでしょうか。よろしくお願いいたします。

      【答弁 堀内社会部長
       お答えいたします。ショートスティに関するご提案でございます。
       在宅で高齢者の介護をしているご家族の方が都合によりまして、ショートスティを利用したいと申し込んでも、希望通りに添えないという例がままあるということは承知しております。この対策として、平成15年8月から県独自に、週単位で空き情報を日単位にするショートスティ空き情報システムを稼動しまして、緊急時における円滑な利用をサーポートしているところです。
       また平成15年9月に取りまとめました、市町村に於ける在宅介護緊急時対応調査によりましとショートスティの空きベットが無かった場合にどういう対応をしているのかことを照会しましたところ、ケアマネージャーと訪問介護事業者が連携し緊急時には事業者がヘルパーを派遣できる体制をとっているという市町村が87市町村、それから利用者が通っている宅幼老所等で緊急時に一時的に宿泊する町村も17町村とございます。地域に実情にあわせて要介護者に対して必要なサービスが用意されていると言う状況でございます。なお、現在見直しが進められております介護保険制度の中で、平成18年度から新たに高齢者が身近な地域で、通って泊まれる、地域密着型の小規模多機能居宅介護サービスが創設されます。これはつまり、通いを中心にしながら、要介護者が容態によりまして訪問だとか、泊まりだとか、こういうものを組み合わせてサービス提供することによりまして、在宅を支援するという中身でございます。このサービスについて、17年度に策定する、18年度から20年度までの市町村介護保険事業計画で整備を進めることとしておりまして、これにより、緊急時のショートスティが対応できるのではないかと思っています。さらに先ほど、議員言われましたように県といたしましても、緊急時の一時宿泊へのニーズが高いことを踏まえまして、平成17年新たに県単独事業といたしまして、日頃から通いなれた宅幼老所やデイサービスなどで緊急宿泊の宿泊費用の一部を助成する「宅幼老所等緊急宿泊支援事業」を創設し、利用者や介護者の緊急時の対応が出来る体制を整えているところでございます。以上です。

      【答弁 田中知事
       ご指摘の点に関してお答えすると同時に、若干お話を申し上げます。
       私どもはより相対的少数者、あるいはより弱きものというものに対してこそ行政というものが、生命や財産を守るために究極的にはあると考えているわけでございます。その観点に立たずしてその費用が非常にかかって、国があるいは自治体が負担しきれないから見直すという観点の考え方というのが従来の行政改革でございまして、これではならないということだと思います。
       その意味では、若干異なるように聞こえになるかもしれませんが、私は最近、より良い形の補助制度というものを国がきちんと、国民のためにたてていかなくちゃいけないと、従来から申し上げている特別養護老人ホームとグループホームの問題も単純計算すればグループホームの方が雇用は2倍になるわけでございまして、また、一人あたりのベッド建設費というものも3分の1であると、しかしながら特別養護老人ホームのほうが今までなかば優先的であったというのは結果的に介護報酬が特別養護老人ホームの方が同程度の方をグループホームでお世話をする場合よりも介護報酬が1人当たり10万円以上多いという制度に問題があるわけでございまして、ここが仮に逆転されれば、もっと地域の中において、グループホームあるいはそうしたデイサービス・ショートスティという形ができるわけでございまして、この点は近くやはり本県が具体的に、そうした制度の改変というものは提言をしなくてはいけないと私は思っております。そうした形がそれぞれのコモンズ、過疎化を招かない、空洞化を招かない地域の中で、様々な年齢層、様々な方々が共に暮らせるというかたちになるのであろうと思っております。従いまして、施設給付の見直しと言う点に関しましても、無論低所得者への細やかな配慮が必要であるということは大事でございます。税制改正によっては、現在、住民税非課税者であっても課税者となって利用者負担が増加してしまうというような懸念はあるわけでございます。それは踏まえた上で、やはり本県として、具体的に知事会、あるいは厚生労働省、また私も今申し上げたような観点からのむしろあるべき福祉、高齢者福祉はこうであると言う観点からそれに伴う交付税であったり補助金の改変というかたちを具体的に提言いたしたいと思っております。それはおそらく議員がおっしゃられておられる方向性と合致してくるものであろうかと考えております。

 今、長野県として、知事会としてこの高齢者の現状の諸問題の根本解決に向けて、高齢者の立場に立った提言をしていただけるとご答弁をいただきました。長野県では要支援・要介護1の認定者はあわせて3万5千人。全体認定者の約4〜5割がこの皆さんです。どうかこの皆さんを泣かせないように、本当に知事この立場でがんばっていただきたいと思います。



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2.保育行政について

 次に保育行政について伺います。
 子どもが健やかに育つのに大切なのが「心の栄養」です。もっとも大切なのが「安心感」です。「自分が大切にされている。という安心感、この私を・僕を絶対的に受け入れてくれる人がそばに居るという安心感、これがあって自分を外の世界へと行動を広げ、仲間とともに育ってゆけるのです。」あるベテランの保育士さんが言いました。「でも現実はとてもそんな環境を作ることさえできない。毎日がとにかく事故のないように、子どもを見守りするのだけで精一杯です。」と述べています。国基準の保育士配置は、0歳児で3人の乳児に1人の保育士、1歳児・2歳児では6人の幼児に1人、3歳児は20人の幼児に1人の保育士です。4歳児・5歳児では30人の子どもに1人の保育士配置です。長野県は私立保育園で1歳児6人を4人に1人の保育士配置を支援していただき、大変感謝されています。塩尻市は来年度は4歳・5歳児は30人から25人に定員を下げます。独自に加配している市町村もある一方、まだ多くの公立保育園では国基準そのままです。
 特に3歳児では、4月新入園者が多く、まちまちの発達段階で初めて園生活に入る子どもたちを1人の保育士が常時20人も対応しなければならない現状は、とてもそれぞれの発達過程に丁寧に関わることはできません。部屋から出さないようにドアに鍵をかけている、散歩にはとても出られないなど本来の保育環境として考えられない現実があるのです。
 過日の今井正子県議の質問に三田村教育次長は、本県は3・4歳児では幼稚園対比95.2%が保育園に入園し、全国一番高い県となっていること、親の育ちも支援する役割が保育園にあることを指摘されました。昨年から保育士は国家資格となり、保育士さんたちは今まで以上に保育の仕事に誇りと責任を持ち、一人一人の子どもたちの育ちを支え保護者を支え、子育てに優しい社会をつくろうとがんばっています。ところが昨年から保育所運営費は一般財源化され、市町村によって保育行政をむしろ悪化させる方向が進んでいます。
 人間形成の基礎をつくる大切な幼児期の保育を市町村とともに充実する姿勢を持つべきではないでしょうか。3歳児保育については、20人基準から半分の10人程度に1人の保育士配置となるよう、市町村への支援など真剣に検討する時期にあると思います。三田村教育次長に伺います。

      【答弁 三田村教育次長】
       お答え申し上げます。
       3歳児保育につきましては、概ね4つの特徴が認識されております。
       1つ目といたしましては、親と離れて初めて保育所に入所する子どもが多いこと。2つ目としたしましては、2歳児に比べてより活発な活動が始まるとともに、基礎的な運動能力が育つこと。3番目は1人独立した存在として、行動しようとすること。4番目としては、さらに話し言葉の基礎ができまして、集団生活を通じて社会的に必要な基本的能力を身に着ける重要な時期であるということ。でございます。
       加えて近年の特徴として、3歳でもオムツがとれない子どもが増えているという指摘があるほか、3歳児のみならずすべての年齢で表情のない子とか、多動性の傾向が指摘されております。
       確かに、国の配置基準のみで保育を行なうことは年々厳しい状況になっているという声をいただいております。そのため3歳児の保育、幼児教育をいかに充実させるかにつきましては今回お願いしています、1歳児保育についで、年齢別では大切なテーマではございます。しかしながら、3歳児保育の保育士基準を県独自に見直す場合、慎重な検討が必要でございます。理由としましては、1つには3歳児未満児と3歳以上児との就園構造の違いからでございまして、極めて多くの経費が必要なことでございます。平成16年4月1日現在、0から2歳児は84.7%が在宅で過ごしていますが、3歳児になると保育所に66.9%、幼稚園に20.9%が通うようになっております。そのため、3歳以上児において保育士の配置基準を見直す場合、多くの保育士の加配が必要となりまして、事業規模が数億から10億円になることが見込まれております。この巨額の経費を県・市町村および保護者がいかに分担していくかにつきましては、県民レベルでの議論が必要不可欠と考えております。
       2つ目でございますが、幼稚園との関係です。先ほど述べましたように、3歳以上の場合、幼稚園に在籍する児童が20〜25%でございますので、幼稚園を含めた議論も必要でございます。幼稚園の場合、3歳から5歳の年齢に関わらず35人学級になっていますから、保育所のみの加配では、保育所・幼稚園のバランスが損なわれることになりますので、慎重な検討が必要でございます。このような状況から、県といたしましては、年齢により保育士の配置基準を充実することも重要であると認識していますが、今後は年齢別の視点のみではなく、保育を行なうことが困難なケースとして、保育に配慮すべき子どもが入所している場合に保育士を拡充することも検討が必要であると認識しております。いずれにいたしましても、子ども1人1人の成長に応じたきめ細やかな保育が重要でございますから、3歳児保育につきましては保育士の配置基準をさらに充実するように国に求めて参りたいと存じます。以上でございます。

 4つの点で人生にとって一番基礎的な活動が始まる大切な時期である、このことは県民的世論がすぐに私は一致できる現実の問題があると思います。ぜひこの点、予算の問題についても県民みんなで考えると、そういう視点があれば必ずいい方向が開けると期待をしておりますので、よろしくお願いいたします。



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3.産婦人医療について

 次に産婦人医療の現状について伺います。
 私は昨年の12月、「娘さんとお嫁さんの二人がお産を受けてくれる医療機関がなくて困っている」との相談を受けました。毎年出産件数が少なくなっている中で、お産予約を受けてくれないなんてあるのかしらと思いながら、上田小県地域を調べてみると産院の閉鎖があり、2年前に産科を止めたところもあり小県ではお産をするところがなくなっていました。日本産婦人科学会では昨年、産婦人科医師不足の実体について全国の大学病院からアンケートをとり調査結果をまとめました。その結果は2月17日、新聞のトップ記事となるほど深刻な実態が生じていました。大学病院から医師の派遣を受けている全国の約1,100病院のうち、2003年以降に産婦人科医師が不在になっていたり今後ゼロになるのが確実だったりする病院は、少なくとも117あり、ほとんどが業務休止を余儀なくされている実態が明らかになりました。ほかに医師は居ても分娩の取り扱いを休止した病院は43、分娩数の制限や手術中止などの業務縮小も25、さらに調査後に医師の引き上げも行われており、閉鎖危機にある病院はさらに増えてゆく可能性があるとしています。
 そこで衛生部長に伺いますが、県内の産院や産婦人科病院の状況はどのようになっているでしょうか、産院の閉鎖や病院・産婦人科の廃止の原因をどのようにとらえておられるでしょうか。お願いいたします。

      【答弁 鈴木衛生部長】
       産婦人科医療の関係でございます。まず、県内の産婦人科あるいは産科の医療機関の状況でございますけれども、現在、県内には産婦人科もしくは産科を標榜しております病院は42施設、それから診療所は71施設ありまして合計113施設となっております。5年前の平成11年度と比較いたしますと、病院については、1施設の減少、それから診療所は20施設の減少ということで合計21の施設が減少しておるというのが現状でございます。この減っている原因でございますけれども、いろいろ考えられるわけでございます。1つとして、先ほど議員おっしゃったように分娩件数が減少しているということで、例えば昭和60年には出生数が24,176人であったものが平成15年では19,735人でこの20年間で約4,500人減っておるわけでございます。
       それから、2番目といたしましては、高齢な産科あるいは産婦人科の医師が高齢を理由として、例えば婦人科はやっておるけれども、産科の部分については休止をしておるというような状況もうかがわれるわけでございます。
       それから3つ目といたしましては、若手の医師が産婦人科を敬遠しがちであるということ、この理由といたしましては、夜間の分娩が多いこともよくあるわけでございまして、月のうちの半分が当直でありますとか、呼び出しオンコールで拘束されていると大変過酷な勤務実態があること、それから産科といいますとご指摘のように、妊娠判明時から生まれるまで非常に長期の医療契約ということで大変特殊な契約でございますけれども、まあ普通に言って当たり前ということで、常に医療過誤訴訟などの危険性もともっているということなどなどから敬遠されているというふうに考えられます。
       それから第4つ目といたしましては、特に若い女性医師でございますけれども、産科あるいは産婦人科につきましては女性医師の占める割合が多い、トータルでは女性医師は産科・産婦人科につきまして約2割でございますけれど、研修終了後の5年くらいの方につきましては約5割が女性であるということでございますけれど、子育て、妊娠、出産などで退職する方が多いなどがあげられると思います。
       原因としてはいろいろございますけれども、今申し上げたようなことが原因で産科の診療所等の閉鎖等もあるのではないかと考えております。

 この間私は、信州大学をたずね産婦人科の小西教授と医師、地元の産院の医師をたずねお話を伺いました。この中で言われたことは、「分娩はお母さんと新生児の二つの命を守らなければなりません。私たちは、常に二つのいのちの救急医療に直面しているのです」と述べられました。産婦人科医は、激務や医療訴訟の増加で若手のなり手が減っていることに加え、新人医師は2年間の研修期間指定病院での臨床研修が義務付けられています。大学からの派遣ができなくなってきています。
 その他、病院と産院との連携支援、一人医師や高齢化の問題、女性医師への支援体制の問題などの課題については、どのように受けとめておられるでしょうか。
 また、12月議会で備前県議が提案した長野県全体の医師不足に対する医師確保対策に向けて、具体化が図られているでしょうか。衛生部長に伺います。

      【答弁 鈴木衛生部長】
       現状に対する認識、それからその対応についてでございます。今議員がおっしゃったように確かに臨床研修が2年間義務付けが始まりまして、それによって減っておるということ1つございます。それから先ほど申し上げたような医師の高齢化、女性医師の増えたのは大変好ましく思いますけれども、そういう問題点があるということがございます。そういったことをふまえまして、いろいろ対応策考えられるわけでございますけれど、平成14年から16年、3ヵ年で厚生労働省のほうの研究事業で小児科・産科若手医師の確保育成に関する研究というのがございまして、そこの中など見ますと1つの例として、浜松市あたりで成功している例とうことでございますけれども、オープンシステムといっているようですけれども、病院と病院それから病院と産院が連携をいたしまして、日頃の診察等は地域の産院で行なって、分娩につきましては地域の中核病院で行なうというネットワークといいますか、連携の中でそのへんの問題を解消しているという例もあるわけでございます。
       それから、女性医師の支援の問題でございますけれど、今後の産科あるいは産婦人科の領域につきましては女性医師に期待するところが大変大きいわけでございますけれど、先ほど申し上げましたような妊娠・出産に伴うリタイヤ、一時的なリタイヤ含めましてあるわけでございまして、これについてはこういった研究等々見ますと、提言等もあるわけでございますが、産休あるいは育休中の代替要員の確保であるとか、当直なども連続しては出来ないということの中から、2・3人の女性医師がチームを組みましていわゆるジョブシェアリングと申しますか、そういう形でそういう場で乗り切っていくというようなアイディアもあるわけでございます。
       それから、臨床研修に関して申し上げますと、一時的には人手が取られているわけでございますけれど、これを逆手にとりまして現在県内にはいわゆる単独型、それから管理型といわれております臨床研修病院、県立病院も含めまして28病院ございます。こういうとこで若手の医師に幅広い研修をしていただきまして、すべての科をまわるようになっていますので産婦人科あるいは産科につきましては先ほど申し上げましたような勤務上のハンディはあるわけでございますけれども、悪いことばかりではなく一方子どもの命の輝きに立ち会えるという大変すばらしい面もあるわけでございますから、そういう面はアピールしていく中で若い医師に産婦人科あるいは産科の医師になっていただくという方向をやはり進めて行かなければいけないというふうに考えております。
       それから、議員おっしゃいました、12月定例会で備前議員の質問でお答えをいたしまして、県内の医療機関それから医師の供給機関であります信大でありますとか、その他医療関係者の方に集まっていただいて、医療体制がどうあるべきなのか、それから医師の派遣等も含めまして人材の確保がどうあるべきなのかというようなことを話し合う場を新年度早いうちに立ち上げるべく、いま準備をしておるところでございます。いずれにいたしましても、いろんな提言・アイディア等もございますので、そういったこともふまえ、先ほど申し上げたような協議会というようなものを通じましてシステムあるいは人の確保そういったことを通じまして、子どもの産める場所も確保に今後努めてまいるよう検討してまいりたいと考えております。

 産婦人科医を含めまして医師確保に向けての実行ある対策をぜひ希望しておきます。
 つづきまして、知事に伺いたいわけですが、医師は述べております。「産婦人科医のやりがいを語り後継者を養成するのは私たちの仕事です。しかしいつ始まるかわからない分娩に少ない体制で24時間対応し、常に二つの命の救命を担っていることに対する社会的な理解と、正当な評価を戴きたい。医師の確保が困難な現状では分娩手当てなどでの評価がほしい」と言われました。
 少子化問題から考えても産婦人科医の減少は大問題です。「赤ちゃんの誕生を守ってくれてありがとう」と社会全体で評価し、県としても安心して出産できる環境を整えるために何らかの応援をすることが求められているのではないでしょうか。知事ご見解を伺います。


      【答弁 田中知事】
       今の点は大事なご指摘だと思うんです。小児科医が減っているというようなこともあります。あるいは、産婦人科医や産科医が減っていると、これは無論かりに医療過誤があった場合に、とりわけ新しい生命であるということで、非常に訴訟の対象になりやすいというようなこともありますし、またこれは敢えて誤解を恐れず申し上げれば、様々な障害をもってお生まれになるお子さんというものもいるわけですが、これをご出産なさる側からすれば、それが出産時の何らかの不手際ではないかというふにとらえるお気持ちというものもあるわけでございまして、これはとても大きな問題でして、これはすぐにどうお答えすべきかなということがございまして、ただ本県は例えば自治医科大学にも多額の費用を払いながらも、そうした医師の最小限の義務を命じることすら怠ってきたような忌むべき大変な衛生行政での不手際がある県でございますので、この意識改革をするということが大きな問題でございます。何かすぐに申し上げられるものがあるわけではございませんが、私としても大変重要な課題だと思っております。どのようにするべきかということを議員からもご質問もいただきましたから、ご相談の上、何かこの場で当たり障りのないご発言を申し上げるというよりも、むしろその点を本県として考えるということをいたしたいと、そのように思っております。

 県としてこの問題を重く受け止めていただけるということで、この点についても大変期待をしております。



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4.高額療養費の受療委任払い制度について

 次に高額療養費の受療委任払い制度について伺います。
 前12月議会で私は制度の実現を求めました。再度取り上げた石坂県議の質問には知事は前向きなご答弁をされました。現在どのように検討がなされ、実行に向けてすすめておられるのか社会部長にうかがいます。
 2003年度の社会保障推進協議会国保部会がまとめた県内国保の実態調査では加入世帯の特徴では「年金受給者」と「所得のないもの」が47.2%をしめ増える傾向にあること、「所得のないもの」と「100万円未満の所得」が48.1%をしめ増え続けています。そのため保険料法定軽減世帯が12万5千世帯となっており国保世帯の3割にも達していました。国保世帯の厳しい経済状況が伺えます。
 すべての高額療養費対象者に国の制度の保障がいきわたるよう、この手続きを市町村とともに共同事業を築き上げてほしいとあらためて強く要望いたします。社会部長にご答弁を願います。
 また先ほど産婦人科の問題を取り上げましたが、出産は保険が利かず35万円から45万円の支払いとなり、中には収めていただけないケースも発生しているようです。 
 出産の場合に出産一時金の受療委任払いの手続きを受けやすくするために市町村に助言をしていただきたいと思いますが、この点もあわせて社会部長にお願いします。

      【答弁 堀内社会部長】
       お答えいたします。高額療養費の受領委任払いの検討の状況でございます。12月定例会以降、市町村に於ける受領委任払いの実態を的確に把握すると共に、受給者に対するアンケート調査を行うために、市長会それから町村会とも調整しながら準備をすすめてまいりました。すでに実施している市町村に対しましては、受領委任の対象となる方の範囲、それから入院・外来の対象となる医療費、および世帯合算をしているかどうか等について、また実施していない市町村については、実施しない理由、制度の課題などについて本年度中に実態調査とアンケートを実施いたします。実態調査をふまえまして、保険者である市町村、国保連合会、それから医療機関などとも高額療養費の受領委任払いのあり方を早急に検討してまいりたいと考えております。
       それから、出産育児一時金についてでございます。出産育児一時金の受領委任につきましては、県内では8市町村が実施しております。この受領委任払いについては市町村の判断で実施するものでありますが、出産費用の支払いが困難な方の窓口負担の軽減のためにはやはり受領委任払いの導入についても市町村へ助言をしてまいりたいと考えております。以上です。


 この問題は、私が県会議員になるときから求めていることでして、今年度中に本当に早急に進めていただくことを強くお願いしておきたいと思います。



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5.雇用対策について

 つづきまして、上田の東北住電装労働組合は向上の一方的な移転、一方的な解雇通告に人間としての声をあげました。1年8ヶ月の厳しい裁判闘争を闘い、本社住友電装と昨年12月に勝利和解を勝ちとられました。内容は、会社の都合による退職であること。本社は今後跡地利用など新事業おこしに協力することを確認しました。巨大な多国籍企業に対して24名の労働者が例えて「アリが象に勝った」闘いです。私はまじめに働く労働者が大企業のリストラや解雇に痛めつけられ、苦しむ県民も多い中でこの教訓を県政に生かしてほしいと願うものです。
 商工部長に伺います。東北住電装労組の和解をどのように受け止めていただいているでしょうか。和解の覚書にあるように企業の撤退にあたっては、一方的な整理解雇は許されないこと。再就職のあっせんや跡地利用など企業の社会的責任を最後まで果たすよう今後の県行政に生かすよう、よろしくお願いしたいと思います。
 また、産業活性化・雇用創出推進局が統廃合の対象になっていますが、雇用プランの促進について責任が負える体制は保障されるのでしょうか。
 以上、商工部長にお伺います。

      【答弁 志村商工部長】
       お答え申し上げます。まず東北住電装の和解の関係でございます。自由主義社会におきまして企業の工場移転、閉鎖あるいは事業縮小、こういったものは経営者自らが行なう意思決定ということでございまして、県が個別企業の経営判断に直接関与するということは難しいものだと考えてございます。しかしながら、地域の方々の生活は働きことから成り立っているということでございますので、雇用主としての法に基づいた責務を適切に果たしていただくことが非常に重要ではないかと考えてございます。いわゆる今回の件でございますが、県としては工場閉鎖等があった場合に通常ハローワークなどと一緒になりまして職業訓練の仲介斡旋などを行なっておるところでございますが、今回の場合ですが、前丸山産業活性化・雇用創出推進局長の時代でございますけれども、和解にいたるまでの間でございますが、従業員の方々に対しまして新しい事業おこしの1例として例えばトナーカートリッジの再生事業や、人材育成事業などに関する情報提供を行なってきたところでございます。今回に和解に至ったということでございまして今後従業員の方々が跡地を利用して事業をなさるというふうにお聞きしてございますけれども、こういった工場跡地を活用した新事業をすすめるという際には、上田市などと連携をはかりながら販路開拓や金融支援、これはもう県の商工部の施策ということも当然こういう施策を行なっておりますので、こういった面で協力してまいりたいと考えているところでございます。なおこれからも、地域の企業が事業縮小などを行なうことによりまして多数の方々が職を失うような状況にたった場合には、長野労働局、ハローワークなどと一緒になりまして就職支援のための相談会の開催や再就職に結びつくための職業訓練の仲介斡旋などといった対策を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
       それから、2番目の産業活性化・雇用創出プランの促進の関係でございます。産業活性化・雇用創出推進局につきましては商工部の組織を見直す中で今まで産業活性化・雇用創出推進局が担って参りました産業活性化・雇用創出の業務を推進する体制を強化を図るにあたりまして、業務を新たな体制に引き継ぎ発展的解消を図るものでございます。おたずねでございました産業活性化・雇用創出プランにつきましては、プランの中にも書いてございますけれども、自律的で持続可能な経済社会システムの構築に向けて福祉・医療・環境・教育といった分野に力点をおいて中長期的な視点で新たな産業の育成と雇用の創出を目指すというものでございます。このプランに関わる業務に関しましては商工行政および雇用創出にかかる企画調整等を分署させるため新たに産業政策課に引き継ぎまして、これまでと同様に責任を持ってプランの進捗管理を行い雇用創出目標の達成に努めてまいりたいと考えいるところでございます。以上でございます。


 東北住電装労組の取り組みは21名の県会議員さんもご賛同いただきました。県民や全国の皆さんからもご支援をいただいております。これはひとつ労働組合の皆さんのということではなくて、私は県民・全国民の皆さんの財産にしていただいて、これをぜひ行政に活かしていただきたいと、一人一人の労働者の立場に立った労働行政ということにもぜひ力を入れていただきたいと思います。期待をしております。お願いいたします。



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6.スペシャルオリンピックスについて

 最後の質問です。スペシャルオリンピックスの成果と課題について田中知事に質問します。
 アジアではじめて開かれた知的発達障害者のスポーツの祭典、スペシャルオリンピックス冬季世界大会長野が2月16日から3月5日まで開催されました。アスリートのチャレンジを支援し、すべての参加者の笑顔と交流が広がった感動の8日間でした。この祭典を支えた多くの皆様に感謝と敬意の気持ちを送りたいと思います。
 私が知っている方の息子さんはスペシャルオリンピックスのフロアホッケーに参加しました。このお子さんのお母さんは、競技を始めて2年目の昨年2月に子どもさんから「お母さん、産んでくれてありがとう!」と思いがけない一言に驚かれたそうです。
 「おれはダウン症で体が弱かった。でもいまは楽しい。産んでくれて感謝です。」と話してくれたそうです。スポーツに関わり性格も変ったそうです。
 このお子さんの成長に寄り添ってきたコーチは、「スペシャルオリンピックスにかかわる人はみんな笑顔と優しさをもらえます。なぜなら違いを超えてお互いを認め、支えあうのが原点だから。世界の平和につながる活動でもあるんです。」との声は、大会の特徴を言いあてた言葉ではないでしょうか。スポーツがお互いの発達や成長にとって大きな力を持っていることを県民はこの祭典を通じて学びました。確認しました。
 ところが現状は課題がいくつもあります。
 一つは財政面で、知的障害者のスポーツ団体に対する財政支援は「障害者スポーツ支援基金」のほか、県障害者スポーツ協会からの補助がありますが、非常に少ないです。十分な額ではありません。
 二つ目は、5日の閉会式後、SO日本の細川佳代子理事長が述べられたように、知的障害者スポーツを支える「人」の不足の指摘です。日常的なボランティアの少なさもあります。
 大会の招致から開催まで関わられた田中知事は、大会の成果と課題をどのように受けとめられたのでしょうか。また、今大会を契機に障害者スポーツの充実、団体への財政支援の増額、ボランティア団体などへの日常活動への支援をはかるべきではないでしょうか。田中知事に伺います。

      【答弁 田中知事】
       スペシャルオリンピックスというのはいわゆる競技大会という限定されたものではないわけです。このことを私も改めて感じましたのは、開会式の前日に東京でNHKと朝日新聞が後援をいたしまして、盛田英夫氏が代表をつとめるJOIとそれからティモシー・シュライバー氏が代表をつとめるSOIとでホテルオオクラでエデュケーショナルフォーラムというものが開催されました。ここで、私もティモシー・シュライバー氏と同じように講演をさせていただいて、女優のバネッサ・ウイリアムズ女史の横でその討議に参加したわけでございますけれども、ここで改めて私も感じましたのは、ご存知のように大変ご高齢でありながらかくしゃくとしている、ユニス・ケネディ・シュライバー女史は常に障害をハンディキャップを持った人達が訓練をする必要があるんだと、社会参加をするための訓練の一環としてスポーツというものがあり、そのスポーツをすることによって彼らが閉ざされた社会に閉じ込められないで社会に積極的に参加していくと、そこでともに手伝う者たちがいることによって、そこで愛情であったり、友情であったり、社会参加が生まれると、その一つの発表の場所としてスペシャルオリンピックスというものがあるんだということです。ですからこの点が、もちろんオリンピックやパラリンピックに出られる方々も様々これはある意味では非常に商業主義ではないにせよ、プロフェッショナルとしてのスポーツを目指されている方々、その練習の成果、あるいは記録の競い合う場がオリンピックやパラリンピックかもしれませんけれども、その意味においてはこのスペシャルオリンピックスというのは、彼らが良い意味でのディスプリンのもとでエクササイズをして訓練をしていくと、その中で分け隔てのない社会があることを確認するのが競技大会ということだと思うんです。この点においてはオリンピックやパラリンピックといささか私は異なる点があると私は思っております。そうした中で例えばユニファイドといういわゆる健常者と一般的には我々は呼ぶものと障害をお持ちの方が一緒のフィールドで競技に参加をするというような数々のものをユニス・シュライバーは考案してきたわけです。このあたりは遠藤雅子さんという今回のスペシャルオリンピックスに関しまして大変に多大な協力を頂いた方の集英社新書の「スペシャルオリンピックス」というのがございます。私のところにも何冊か彼女から恵贈がありまして、余裕がありますので議員にも後ほどお届けしたいと思いますが、これを見ると改めて、競技大会ではないということであります。同時にそのことは先般信越放送でもやっております「アクセス」というラジオのところでも述べたのでございますが、単純に言えばスウェーデンのほうが日本よりも段差の歩道はいっぱいあるわけでございます。これのみをもってスウェーデンよりも日本の方が進んでいるとか、スウェーデンもさしたる福祉大国ではないなどというのは非常に愚かな話でありまして、まさに人的なネットワークとして見知らぬ人でも例えば車椅子の人がいたり、あるいは目の不自由な人がいたらそこで誰かが手伝う、欧米ですと目の不自由な方はそのままチケットを買わずとも仲間で入って行けると、そしてそこで車掌がいて切符が買えるというような形が一般的にあるわけです。そのあたりが今のようなイオカードの社会ではなかなかできないというところ、このあたりの目に見えるか見えないかということではないサービス、目に見える部分ではスウェーデンのほうが段差は多いかもしれませんけれども、目に見えないサービスとしてユニバーサル社会になっていると、このようなことを改めて私たちが考えねばならないことであると思いました。先般その点はユニス・シュライバーとポッター・シュライバーと息子さんのサミエル・シュライバーと松本の養護学校そして才能教育、あと清水中学校といったところを訪れたときにも、彼女たちが述べることで改めて痛感したところです。
       もう1点は今回のスペシャルオリンピックスに関してはこれはもう県内のみならず、県外・世界的に東京の方々も含めて多くの方にご尽力いただいたわけですが、今までのスペシャルオリンピックスというのは基本的に申し上げてアメリカかカナダで開かれてきた。オーストリーで1度だけ開かれてはおりますが、それに対して、前回の閉会式の時に皆さんご覧になったように、次期開催の上海というものはオリンピックが北京で開かれるということもあるかもしれませんが、極めて国威発揚的というか国家的なプロジェクトになっているわけです。余談でありますが、あの中で  といって「アイ キャン」といってましたけれども、やはり中国と言う国はあれだけ自己主張というものをしなければ生き延びていけないのだということが非常に鮮明に出ていたビデオはなかったんじゃないかという気がしました。この上海の前のダブリンもある意味ではケネディ家の出身地であるということがありましたが、アイルランド政府あるいはアイルランド銀行といった官民が一体となって国家的プロジェクトでございました。そしてこんどまた、サラエボのボスニアヘルツェゴビナで開かれるというのもこれはある意味では非常に良い意味での政治的な一蹴として位置づけられていると思うんです。その非常に分断されていった国家のもとで、そしてかつてオリンピックが開かれた場所で再びそうした祭典が開かれると、そのはざ間にあって今回のスペシャルオリンピックス冬季世界大会ながのというものはその最初の地点が細川佳代子さんの崇高な思いというところから始まり、それに対して我々も、あるいは国家も、あるいは他の民間も後からそれに対してついて行くというか、対応していくと、私はこうした中で小林陽太郎さんや盛田英夫さんは大変なご努力をいただいたということは数々の問題を指摘される方いらっしゃいますが、私はやはりユニス・シュライバーとそしてティモシー・シュライバーが閉会式が終わったあと、真っ先に小林陽太郎氏と盛田英夫氏の所に行って肩を取り合っていたということはこの今回のスペシャルオリンピックスがさらに検証すべき記録されるべき一つの側面を私は物語っていると思いますし、そうした点をやはり本県は世界に開かれたソフト  を日本から発信しようというふうに森喜朗さんもおっしゃってですね、大きなうねりとなった中において本県はやはりその点を冷静に今一度振り返る必要は私はあるということを強く感じているわけでございます。その意味ではある意味ではそうした2つのダブリン・上海あるいはボスニアヘルツェゴビナのサラエボといった国家的なプロジェクトとしての官民一体という中のはざ間で、一番スペシャルオリンピックスが転換していく時期にこの長野の大会があったというふうに私は位置づけています。私は願わくはロサンゼルスオリンピックのような商業主義への大きな転換というものではないものとして、まさに日々のディスプリンやエクササイズというもの一つの発表する場所であると、それはやはり才能教育という場に訪れたいとユニス・シュライバーとリンダ・シュライバーがゆって豊田耕児さんのもとに訪れて小さな子どもたちがバイオリンの演奏をするのを拝見させていただきましたけれども、あれも本県から出て行った世界へのソフトパワーの鈴木メソードでありますし、そうした日々の訓練や練習というものの一つの発表の場がスペシャルオリンピックスだというかたちが本県から発信できたならば、それは後世に残りうるものであろうと思っております。
       ご指摘の点でございます。本県は長野県障害者スポーツ協会の運営費補助あるいはスポーツ協会の事務局の職員派遣といったものに関しておこなっております。ただこれが事務局員の職員の派遣3名というようなかたちで予算に計上されるというようなかたちになっているわけでございまして、この点に関しましては、もう少しどのようなかたちにしていくか考えねばならないと思っております。ただ基本は私はスペシャルオリンピックスの真の意味というものが、その競技大会でなく日々のまさに体を動かしあるいは脳を使うことによって人間が成長していくのだとユニス・シュライバーはずっと述べているわけでありまして、そのことを日常的に行なうことをより広められるための活動こそ私どもが編み出していかねばならない、その意味で言うとそれは年に1回2回の大会の前の段階として何を行なうか、それはもしかすると現在教育委員会で様々、養護学校というだけでなく地域の学校の中においてもそうした子どもたちが学ぶと言うことのために様々な施策を行なわせていただいております。私はむしろそうしたことをより多くの方々の教えを乞うて、そこをより充実させていくということこそが、日々の中にスペシャルオリンピックスが生きる、スペシャルオリンピックスを記念して年に1度大会をやるというようなことではなく、これはすでに障害者の様々な大会等あるわけでございますから、私どもの行なっている人件費補助やそうした金額を持って何かスペシャルオリンピックスの精神が伝わっていくものではない、むしろ繰り返しになりますが、ユニス・シュライバーがはじめた最初の原点に戻ると、その意味でも遠藤雅子氏の著書はお渡し申し上げますので、お読みいただいて、そうした中からさらにご意見をいただければというふうに私は思っております。いずれにいたしましても多くの皆様にご協力をいただいたということは大変にありがたいことでありまして、このことが私はオリンピック・パラリンピックの開かれた場所でスペシャルオリンピックスもと開かれたというようなジャックの使い方を超えたものが一人一人の中に根付くことを強く願っているところであります。

 知事も、県民の皆さんもいろんなかたちでスペシャルオリンピックスにかかわられた皆さんもたぶん言葉で言い尽くせない何か大切な宝物をたくさんいただいた。私もそんなふうに思っています。
 閉会式で細川理事長は、戦火の中から参加した「イラクの子どもたちに思いを寄せ、知的障害者は争いを望まない、笑顔と交流を望んでいます。彼らこそ平和と友好のパイオニアです」といわれました。日々障害者の皆さんとともに活動する社会こそ平和で笑顔が広がる優しい社会が進むことを確信します。長野県の社会情勢として、住み慣れた地域で、子どもがのびのびと育ち、高齢者も障害者も生き生きと暮らし続けることができる、心優しい信州を目指す、この県政のさらなる前進を目指して、それぞれの理事者の皆さん、県職員の皆さんのご努力を心からお願いいたします。
 最後にちょっと戻りますけれども、三田村教育次長さんからご答弁をいただきました3歳児の保育環境の問題ですけれども、参考までに申し上げますが、世界の主な国の3歳児の保育士配置はスウェーデンでは3人の子どもに1人、アメリカ・イギリス・ドイツ・フランスでは8人の子どもに1人の保育士配置です。いま子ども達の本当に心、子ども達の育ちが私たち県民や国民の大きな心配でもございます。長い人生の一番の「三つ子の魂百までも」と言われるこの大切な3歳の保育を、本当に豊かな環境の中でのびのびと育てていただける。このことを真剣に今考えていただきたい、そのことを教育行政に強く求めまして私のすべての質問を終わらせていただきます。


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