3.産婦人医療について
次に産婦人医療の現状について伺います。
私は昨年の12月、「娘さんとお嫁さんの二人がお産を受けてくれる医療機関がなくて困っている」との相談を受けました。毎年出産件数が少なくなっている中で、お産予約を受けてくれないなんてあるのかしらと思いながら、上田小県地域を調べてみると産院の閉鎖があり、2年前に産科を止めたところもあり小県ではお産をするところがなくなっていました。日本産婦人科学会では昨年、産婦人科医師不足の実体について全国の大学病院からアンケートをとり調査結果をまとめました。その結果は2月17日、新聞のトップ記事となるほど深刻な実態が生じていました。大学病院から医師の派遣を受けている全国の約1,100病院のうち、2003年以降に産婦人科医師が不在になっていたり今後ゼロになるのが確実だったりする病院は、少なくとも117あり、ほとんどが業務休止を余儀なくされている実態が明らかになりました。ほかに医師は居ても分娩の取り扱いを休止した病院は43、分娩数の制限や手術中止などの業務縮小も25、さらに調査後に医師の引き上げも行われており、閉鎖危機にある病院はさらに増えてゆく可能性があるとしています。
そこで衛生部長に伺いますが、県内の産院や産婦人科病院の状況はどのようになっているでしょうか、産院の閉鎖や病院・産婦人科の廃止の原因をどのようにとらえておられるでしょうか。お願いいたします。
【答弁 鈴木衛生部長】
産婦人科医療の関係でございます。まず、県内の産婦人科あるいは産科の医療機関の状況でございますけれども、現在、県内には産婦人科もしくは産科を標榜しております病院は42施設、それから診療所は71施設ありまして合計113施設となっております。5年前の平成11年度と比較いたしますと、病院については、1施設の減少、それから診療所は20施設の減少ということで合計21の施設が減少しておるというのが現状でございます。この減っている原因でございますけれども、いろいろ考えられるわけでございます。1つとして、先ほど議員おっしゃったように分娩件数が減少しているということで、例えば昭和60年には出生数が24,176人であったものが平成15年では19,735人でこの20年間で約4,500人減っておるわけでございます。
それから、2番目といたしましては、高齢な産科あるいは産婦人科の医師が高齢を理由として、例えば婦人科はやっておるけれども、産科の部分については休止をしておるというような状況もうかがわれるわけでございます。
それから3つ目といたしましては、若手の医師が産婦人科を敬遠しがちであるということ、この理由といたしましては、夜間の分娩が多いこともよくあるわけでございまして、月のうちの半分が当直でありますとか、呼び出しオンコールで拘束されていると大変過酷な勤務実態があること、それから産科といいますとご指摘のように、妊娠判明時から生まれるまで非常に長期の医療契約ということで大変特殊な契約でございますけれども、まあ普通に言って当たり前ということで、常に医療過誤訴訟などの危険性もともっているということなどなどから敬遠されているというふうに考えられます。
それから第4つ目といたしましては、特に若い女性医師でございますけれども、産科あるいは産婦人科につきましては女性医師の占める割合が多い、トータルでは女性医師は産科・産婦人科につきまして約2割でございますけれど、研修終了後の5年くらいの方につきましては約5割が女性であるということでございますけれど、子育て、妊娠、出産などで退職する方が多いなどがあげられると思います。
原因としてはいろいろございますけれども、今申し上げたようなことが原因で産科の診療所等の閉鎖等もあるのではないかと考えております。
この間私は、信州大学をたずね産婦人科の小西教授と医師、地元の産院の医師をたずねお話を伺いました。この中で言われたことは、「分娩はお母さんと新生児の二つの命を守らなければなりません。私たちは、常に二つのいのちの救急医療に直面しているのです」と述べられました。産婦人科医は、激務や医療訴訟の増加で若手のなり手が減っていることに加え、新人医師は2年間の研修期間指定病院での臨床研修が義務付けられています。大学からの派遣ができなくなってきています。
その他、病院と産院との連携支援、一人医師や高齢化の問題、女性医師への支援体制の問題などの課題については、どのように受けとめておられるでしょうか。
また、12月議会で備前県議が提案した長野県全体の医師不足に対する医師確保対策に向けて、具体化が図られているでしょうか。衛生部長に伺います。
産婦人科医を含めまして医師確保に向けての実行ある対策をぜひ希望しておきます。
つづきまして、知事に伺いたいわけですが、医師は述べております。「産婦人科医のやりがいを語り後継者を養成するのは私たちの仕事です。しかしいつ始まるかわからない分娩に少ない体制で24時間対応し、常に二つの命の救命を担っていることに対する社会的な理解と、正当な評価を戴きたい。医師の確保が困難な現状では分娩手当てなどでの評価がほしい」と言われました。
少子化問題から考えても産婦人科医の減少は大問題です。「赤ちゃんの誕生を守ってくれてありがとう」と社会全体で評価し、県としても安心して出産できる環境を整えるために何らかの応援をすることが求められているのではないでしょうか。知事ご見解を伺います。
県としてこの問題を重く受け止めていただけるということで、この点についても大変期待をしております。 |