4.治水対策について
次に、浅川・千曲川の治水対策についてお伺いします。
国土交通省近畿地方整備局は、7月1日、工事中の淀川水系の5つのダムのうち、大津市の大戸川ダムと大阪府箕面市の余野川ダムについて事業の中止を決めました。国直轄の工事中ダムの事業中止は全国初めてのことです。
「脱ダム宣言」以後、ダム本体の契約を解除し、様々な産みの苦しみを体験しながら、紆余曲折をたどっている浅川ですが、新しい挑戦に知恵と力をあわせ、一日も早く流域住民が安心できる治水対策を確立していくことが求められていると思います。
全国的には、ダムが中止された河川で、その後の河川整備状況は当初計画との比較でどうなっているのでしょうか。土木部長にお伺いします。
ここに、国土交通省河川局治水課からいただいた資料がありますが、これによりますと、公共事業評価監視委員会が事業中止を答申した全国の82のダム計画のあった河川のうち、約3分の2にあたる58河川には平成17年度事業費がついていません。そのなかで、検討委員会は基本高水の引き下げを答申したが、知事がそれに反し、当面50年確率の河川整備で対応することにした宮城県の新月ダム予定地だった大川は8,300万円の事業費、浅川ダムと同様に付け替え道路まで造って中止した山梨県の笹子ダムは事業費ゼロとなっています。
これからの社会資本整備は都市に集中するべきだとの小泉内閣の「骨太の方針」のもとで、全国の中小河川への予算措置が厳しくなっていることをうかがわせるものでもあり、この分野でも、地方の切り捨てを許さない国へのいっそうの働きかけが必要になっていると思います。浅川に限らずのことではありますが、河川整備予算のいっそうの増額確保への知事の決意の程をお伺いします。
ちょっと正確にお伝えできなかったかと思いますが、宮城県の新月ダムは基本高水の引き下げを委員会は答申したが、知事はそれをそのまま受けず、当面の整備目標を50年確立にしてとさっき土木部長からお話ありました、砥川のような事例ですのでよろしくお願いいたします。
さて、ダム中止後の浅川の具体的な河川整備計画の策定にあたってですが、本来新河川法では、それぞれの河川の特性に合わせた「河川整備基本方針」を策定し、それに基づいて「河川整備計画」を策定するものとしています。ところが、浅川の場合、ややもすると、「ダム代替案」という言い方で、ダム計画で設定した450トンの基本高水を違う方法でどう振り分けるかと言う、「基本高水分配論」とでも表現される発想に終始しているきらいがあり、そのために、危険な地滑り地帯である上流域の住民には到底受け入れることのできない、形を変えたダムである河道内遊水地や、効果と実現性に疑問のある中流域への巨大な遊水地が提案されることになってしまいました。
昨年10月の台風災害で、改めて明らかになった浅川流域の、今後起こりうる水害の最大の原因は、浅川そのものの流下能力が不足してあふれると言ういわゆる外水によるものよりも、ダム計画地より下の人口密集地から浅川に一挙に流れ込む都市型水害や最下流の長沼幹線排水路の構造的、宿命的ともいえる問題、合流点で千曲川へ自然流下できず、排水機上でポンプアップを余儀なくされ、千曲川の増水が続けばお手上げになる内水災害の問題です。現状では、千曲川の根本的な改修や立ヶ花の狭窄部の問題などの解決がなければ、ダムをつくっても造らなくても、最下流の千曲川の合流点付近では、遊水地や災害時の一定の補償契約の検討をする、しないにかかわらず、洪水時には自然の遊水地に事実上なってしまっています。
これらの浅川流域の現状分析や特徴を踏まえ、流域の住民がおたがいに納得のできる「河川整備基本方針」で一致することこそが何よりも大切ではないでしょうか。その基本方針を住民にわかりやすく明確に示すことがまだまだ県として不十分と思いますが、いかがでしょうか。出納長にお願いします。
6月13日、長野市豊野で行なわれた浅川治水推進大会で、青山出納長が代読された知事のあいさつでは、「本来行なうべき内水対策を河川整備計画に盛り込んで実施する。」とされていますが、今まで、県は、浅川の内水対策は重要だが、それはあくまで、河川整備計画に盛り込む治水対策のメニューとは別、ともいえる位置づけをされてきたのではないでしょうか。「内水対策を河川整備計画に盛り込んで実施する。」ということは、内水対策を盛り込んだ河川整備計画が国の認可を受けられる見通しとなったと受け止めてよいのでしょうか。国土交通省との協議の状況はどうなっているのかをお伺いします。
そうしますと、河川整備計画に内水対策を盛り込んだその中身として国庫補助の対象になる、認可が取れるという方向で進んでと確認させていただいていいでしょうか。
残念ながら今日までの過程の中で、たとえば河道内遊水地など、コンサルタントの試算がその後の県としての検討も不充分なまま流域協議会に説明されたり、たたき台ではあっても責任ある全体像が基本方針とともに示されないための混乱や不安を住民にもたらしたことも事実だと思います。今後、懸案事項となっている新幹線の車両基地建設時の確認書問題などの解決も含めて、浅川流域住民や関係市町に対する全体像を示した責任ある説明や協議が今まで以上に大切になっていると思いますがいかがでしょうか。出納長。
それではその全体像をつめていただきまして、新しい河川整備計画の認可の見通し、来年度予算確保の見通しのタイムスケジュールを示していただきたいと思います。
ぜひ来年度認可、来年度予算確保の方向でよろしくお願いしたいと思います。
この問題の最後に、千曲川の問題です。
昨年の12月県議会の一般質問でも触れさせていただきましたが、昨年9月、日本共産党県議団とあおぞら、トライアルしなのの3会派と住民団体が共同で行なった犀川と千曲川の合流点から立ヶ花までの千曲川現地調査の際にも、千曲川河川事務所の関係者からは、千曲川の浚渫予算が3年連続ゼロであり、日常の河川管理費もなかなか厳しいと言うお話を聞き、何とかしなければ、と痛感しました。千曲川の抜本的な改修無しに浅川の水害も解決できませんが、千曲川の整備の現状をどう認識されているでしょうか。また、県として国への働きかけの現状はどうなっているのか、土木部長にお伺いします。
私たちも6月のはじめに北陸地方整備局へお願いに行って来ました。そのときいただきました資料で、これが千曲川河川事務所の事業費の推移です。全体事業費もそれから改修予算も平成8年の約半分という状況で大変おさびしい限りです。ぜひ抜本的な千曲川の改修・整理に向けて一層の働きかけを強めていただくことを知事にも強くお願いをしておきたいと思います。 |