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2005年 06月議会 石坂議員の一般質問(7/4)

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。

  1. 国民保護法に基づく県計画の策定について
  2. 乳幼児の医療費窓口無料化について
  3. 女性の管理職の登用率向上について
  4. 治水対策について
  5. 高校改革プランについて


1、 国民保護法に基づく県計画の策定について

 まず最初に、有事関連法のひとつ、国民保護法に基づいて、各都道府県が今年度中に策定するものとされている「国民保護計画」についてお伺いします。
 現実の場面では、たとえば、避難住民と「侵害排除」に向かう自衛隊が道路上で交錯した場合、どちらを優先するのでしょう。また、そこでは誰の指示で事態が動くのでしょう。等々、不安が募ります。それだけに、計画の策定にあたっては、住民保護最優先の立場を何よりも貫くべき思いますが、危機管理室長の見解をお伺いします。
 また、県の計画を踏まえて、来年度中に策定する市町村計画では、市町村の自主性を損なわない体制作りをどう確立していくのかをあわせてお伺いします。
 さらにあらかじめ知事が指定するとされている民間の指定公共機関には、安全性確保など課題も多く、すでに私鉄県連からも情報公開や説明責任を求めての申し入れがされています。指定にあたっての合意作りはどう進めていくのかもお伺いします。


      【答弁 鎌田危機管理室長
        ただいまのご質問、国民保護法関連で3点あったと思いますので、順次お答えをいたします。
       1点目の県計画の策定に当たってということでございます。県の国民保護計画は国民保護法34条に基づきまして武力攻撃事態等に備えて、住民の非難・救援・被害の最小化などについて、その実施体制や関係機関との連携などを内容として今年度中に策定をすることといたしております。この計画はあくまでも、住民の生命身体財産を武力攻撃等から保護するため策定するものでありまして、住民をいかに守るか言うことを目的に計画の策定をすすめてまいります。
       それから、市町村までの体制作りでございますけれども、すでに県におきましては職員2名が当直を行なって、24時間体制で自然災害にとどまらず、様々な危機管理事象の発生に備えて情報収集・対応にあたっております。市町村につきましては、実際に住民の避難誘導等にあたりますことから24時間即応可能な体制を整備していけるように消防本部との連携、それから当直の配備等について十分協議をしてまいりたいと思っております。
       それから指定公共機関の指定についてでございますけれども、指定地方公共機関になっていただきたい事業者につきましては、6月中旬からそれぞれの事業者に出向きまして国民保護法による指定の趣旨についてご説明をいたしております。指定によりましては、あらかじめ当該法人の意見を聞くこととされております。現在事業者から意見を伺っているところでございます。現在必要とする事業者へは繰り返しご説明にお伺いしまして、ご理解を得たいと考えております。以上です。




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2. 乳幼児の医療費窓口無料化について

 次に、知事は提案説明の中で、「乳幼児医療費の窓口無料化の実現に向けたビジョン」を示すと述べていますが、ご承知のように、乳幼児医療費の現行の自動給付方式は、平成15年7月から県と市町村が協調して実施しているもので、当時の「福祉医療制度のあり方検討委員会」の委員会報告書では、「概ね3年ごとに見直し作業を行なうことが妥当」とされており、今年はその見直しの年にあたります。乳幼児医療費の無料化制度は子育て支援の重要な施策のひとつとして、対象年齢を小学校入学前まで、あるいは小学校卒業まで、中学校卒業までと拡大する市町村が多くなっていますが、使いやすい制度としての窓口無料制度でせっかく実施していた小海町などが、今年度から県の自動給付方式にあわせざるを得なくなったと言う事態も生まれています。
 見直しの結果が少しでも前進方向につながるように、また、県の制度に上乗せしての取り組みでがんばっている市町村への激励になるように、と心から願うものですが、見直しのポイントなどについて社会部長にお伺いします。

      【答弁 田中社会部長】
       石坂議員のご質問にお答えいたします。
       県の方向性に関しましては、先の2月議会および、今議会の議案説明で知事が触れておりますとおり、私どももそのような認識で今ビジョンづくりと言うものを行なっている状況でございます。議員のご指摘のありました「自動給付方式」というものが参考までですけども、医療費が1万円かかりました。自己負担額が2割として2千円かかりました。といった場合に今の長野県というのは、まずその2千円を病院の窓口で払って2ヵ月後にレセプトという1レセプトあたり事務費という形、あるいは受益者負担という形で300円を差し引いた形で1700円各県民の口座に振り込まれるというものでございます。それに対してまして、いわゆる窓口無料化方式というものは、いくつか県の取り組みによって、都道府県によって違いますが、原則窓口の段階で仮に各都道府県の受益者負担を300円という形で仮おきしたときには300円だけ払ってあとはそれでおしまいというものが全国に25あります。一方、受益者負担を取らないといっていて、全く病院の窓口でもお金を払わないというところが7都道府県あると言う形でございますので、このへんの状況も含めまして育児支援の重要性ということは私どもも重々認識しておりますので、その点に踏まえて今ビジョンの策定をしております。詳細につきましてまだ詳しいことにつきまして策定中ということですのでお示しできないということを了承していただきながら、方向性につきましては知事が明確に示しているとおりです。


 次に、知事は提案説明の中で、「乳幼児医療費の窓口無料化の実現に向けたビジョン」を示すと述べていますが、ご承知のように、乳幼児医療費の現行の自動給付方式は、平成15年7月から県と市町村が協調して実施しているもので、当時の「福祉医療制度のあり方検討委員会」の委員会報告書では、「概ね3年ごとに見直し作業を行なうことが妥当」とされており、今年はその見直しの年にあたります。乳幼児医療費の無料化制度は子育て支援の重要な施策のひとつとして、対象年齢を小学校入学前まで、あるいは小学校卒業まで、中学校卒業までと拡大する市町村が多くなっていますが、使いやすい制度としての窓口無料制度でせっかく実施していた小海町などが、今年度から県の自動給付方式にあわせざるを得なくなったと言う事態も生まれています。
 見直しの結果が少しでも前進方向につながるように、また、県の制度に上乗せしての取り組みでがんばっている市町村への激励になるように、と心から願うものですが、見直しのポイントなどについて社会部長にお伺いします。

      【答弁 田中社会部長】
       お答えすることはできないですけれども、検討をきっちりやっていくということですすめていきたいと思っておりますので、ご了解お願いしたいと思います。以上でございます。


 見直しビジョンというのは実現するためのビジョンと捉えておきますので、よろしくお願いします。



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3. 女性の管理職の登用率向上について

 次に女性職員の管理職への登用率向上についてお伺いします。
 2月県議会の藤沢のり子議員の代表質問に対し、知事並びに総務部長は、制度の見直しも含めた検討を答弁し、総務委員会では、総務部長が「モデル的な実施も含めて、この3月の人事で前進させる。」と答弁されました。
 具体的な改善はどうはかられたのか。新年度の人事にあたって検討されたこと、実施されたことを具体的にお伺いします。

      【答弁 松林経営戦略局長】
       お答えをいたします。平成15年2月にご存知のとおり女性職員の登用促進、それから職域拡大等取り組み指針、これを策定いたしまして、平成14年4月1日に168人、構成比が5.9%でございました係長級以上への女性職員の登用率を平成17年4月1日には231人、構成比で8.0%と2.1ポイント増というかたちで特に係長級以上への女性職員の登用率を高めているそういうところでございます。加えまして、庶務や管理部門に偏りがちでございました女性職員の配置を見直し、地方事務所の生活環境課の環境保全ユニット・リーダーそれから商工雇用課の振興ユニット・リーダーに配置したほか、建設事務所の用地課などにも女性職員の職域の拡大を進めているところでございます。
       平成17年4月1日の人事異動に際しましては、特に将来の女性幹部職につながります係長級への登用を積極的に行ないまして、平成14年4月1日の係長級106人から50%アップの53人に増加をいたしまして159人となってございます。構成比は平成14年の4月1日の8.1%から11.2%へと増加をしているところでございます。以上でございます。


 ご努力ほどは今のご答弁でうかがえましたけれども、いわゆる管理職というのは課長級以上をさします。
 2月県議会では、藤沢議員が「主幹」制度についてふれましたが、私たちは、何も主幹制度そのものをただちに無くすべきだと主張しているわけではなく、同時期に採用された多くの男性職員が係長などの内示を受けるとき、多くの女性職員は主幹の内示を受け、その多くの女性たちが研修の機会にもめぐまれず、部下をもって仕事をする経験も持てず、主幹に据え置かれたまま退職する人も多く、そのため、「主幹」の内示を受けた女性職員の中には、これで自分の管理職への道は一生閉ざされてしまったと悲しい気持ちでいっぱいになる人がいると言う事実と、その改善を求めたものです。
 ポスト・チャレンジなどの一定の人事制度の改善で、意欲ある女性職員が管理職にも登用されましたが、それだけでは長年女性の登用を阻んできた弊害の解決にはならず、かつてこの県議会本会議場の答弁席にも一人二人おられた女性理事者も現在はゼロという寂しさです。
 男女半々などと機械的な目標でなくても、せめて女性職員の構成比に見合った登用率をめざすなどの抜本的な改善が必要ですが、当面、長年の人事制度の弊害の中で管理職への登用が遅れた50代の女性職員の救済策を検討するべきだと思いますが、いかがでしょうか。


      【答弁 松林経営戦略局長】

       50代の女性職員の救済策ということでございますけれども、これは先ほど申し上げました女性職員の登用促進・職域拡大等の取り組み指針の策定以降、一人一人の適正・能力を見極めたうえで女性職員の積極的登用を図るとともに平成15年度春の人事異動からは議員ご指摘の実力と意欲あふれる男女を問わずすべの職員を対象としたポスト・チャレンジ制度を実施しているところでございます。このポスト・チャレンジ制度に於ける女性職員の応募状況でございますが、平成15年度が5人、これは16年度の人事に反映する平成15年度が5人。17年度の人事に反映をいたします平成16年度は4人にとどまっておりまして、これは女性職員のより一層の能力開発を進めると共に現在のポストに女性職員も安住することなくよりチャレンジする職場環境、それから個人の意識改革を醸成してまいりたいと考えているところでございます。
       また去る6月15日に長野県の行政機構審議会から、知事に提出されました答申におきましても、育児・介護・地域活動など職員のライフステージで生じるさまざまなニーズに対応した働き方を選択できる制度、それから自らのキャリア計画に基づきましてジョブ・チャレンジ制度を提案していただきまして、多様な選択肢の中で女性職員の登用の視点を大切にしてまいりたいと考えているところでございます。


 ただいま、ポスト・チャレンジをしない女性職員に責任があるかのようにも聞こえましたが、もちろんそういう面もありますが、長年チャレンジできないような、研修もうけられなかった、そういう立場に置かれていた女性の救済をということでおたずねいたしましたので、そういう検討をぜひお願いしたいと思います。
 私たち日本共産党県議団は、女性職員の管理職登用が全国的にも進んでいる岐阜県のとりくみを調査してきました。岐阜県では、「地方分権の流れの中で、国に追随することなく、ナンバー1、オンリー1をめざす」という梶原前知事のポリシーのもとで、多様な人材の活用と言う視点から、平成20年に管理職職員904名中女性職員を100名にし、管理職の女性職員登用率全国1位になることをめざすと言う数値目標を持って取り組んでいます。平成16年度には管理職職員904名中、課長級以上の女性職員は75名で8.3%、知事部局で全国2位の登用率です。75名の課長級以上の女性職員の半分は本庁への配置ということでした。
 女性の管理職への登用が進んだ理由として、岐阜県当局のご説明では、知事の政策的なリーダー・シップ、数値目標の設定、人事ポストに女性管理職の登用、多様な人材活用の趣旨を浸透させるための職員の議論の場の保障、育児休業者の職務復帰支援研修や育休者に県庁情報が伝わるシステムなどの取り組みが紹介されました。
 ちなみに、私たちに説明をしてくださったのは、岐阜県の男女共同参画室室長兼次世代育成支援チームリーダーを兼務している人事課管理幹の肩書きを持つ女性幹部職員でした。彼女は日常的には男女共同参画室や次世代育成支援チームのリーダーとしての職務をこなし、人事作業にあたっては、他の人事課担当職員と同席し、意欲と能力のある女性職員に正当な評価と登用が保障されるように配慮する立場で参加しているということです。
 人事策定作業に携わる部署に女性の幹部職員を配置することは以前から提案しているところですが、具体的に配置を検討されるのか、松林経営戦略局長に再度お伺いします。

      【答弁 松林経営戦略局長】
       本県に於いては、男女を問わず、本人の能力、資質それから実績に応じた適材適所の幹部職員の配置を行なっているところでございまして、特定の部署に特定のジェンダーを配置するというような考え方は持っていないところでございます。


 ただいまの局長のセリフはもう10年以上県当局から聞き続けて来ました。その結果がいまの事態です。この問題の解決のためには先ほどお話した岐阜県の例をあげるまでも無く知事の強いイニシアチブ、リーダー・シップがあることをお聞きし、是非とも知事の決意をお伺いいたします。


      【答弁 田中知事】

      本日サンデー毎日に岩見隆夫さんという毎日新聞の論説員であった方が連載をしていまして、これ非常に良い文章でございまして、まつだみちおさんという皆さんもご存知と思いますが育児の百科という本を出した方がいらっしゃいます。もうお亡くなりになられましたが、この方が81歳のときに「私は女性にしか期待しない」という本を書かれているということを岩見さんが大変共感してお書きで「社会が急速に変わっていき、女性は適応して変わったのに、男は一向に変わろうとしません。企業社会の中の企業のしきたりに男たちがはめ込まれているからです。憲法のいう男女平等を実現するのは女性です。草の根のところでデモクラシーを実現できるのは女性しかいない。というところに行き着いてしまいしました。」と言っています。岩見さんは以外だったのですが、中山千夏さんが毎日新聞に寄稿した文章を引用されて「対処療法の特別扱いは必ず差別を定着させ、助成することにつながる」と「女性専用車両はその典型で反対だ。そもそも加害側と被害側をやむなく分離する場合、加害側を隔離拘束するのは常識である。女性専用は直ちに廃止して、男性専用車両をつくれ、男性が冤罪をおそれるならそれに乗る。被害側には社会は自由で正常な生活を保障しなければいけない。女こそが一般車両を使うべきである。」と主張するのは最もだと岩見さんはおっしゃっています。岩見さんがこういうふうにおっしゃるというのは一見以外でもあったが、これは男女の問題というのは、実は先ほど松林が申し上げましたことは決して遅れていることではなくて、逆に言えば議員もなぜ人事を担当する部署を例としてあげられたのかと、無論人事を担当するのは全般にわたるからかもしれませんが、私どもにおいてはかつては人事や財政や秘書という課がある意味主流派、守旧派といわれていたわけですから、逆に言えばやはり一人一人のもちようで、先ほど申し上げたように私どもがポスト・チャレンジ制度を設けてもなかなかご応募いただけないというのも現実です。ご応募いただけるような意欲を持っていただくような気持ちをお願いすると同時に、今までそうした意欲を阻害してきたのじゃないかということが反省かもしれません。けれども、私どもの県は自律して行こうと言っているわけで、実際に車座集会はじめ県民のおじいちゃん、おばあちゃんもみんな発言を直接するようになって行動するようになっているんです。ましてや公僕として、県民からの税金で生活をしている者は男女を分け隔てず、やはり自ら行動していく意欲は私は持っていただきたい。そうでありませんといかに様々な水のみ場といっては語弊があるかもしれませんが、それを用意してもなおここに応募しない、応募できないような何か空気や圧力があるならば、こうした意識は男女を問わず、それを白い目で見たり、あるいは足を引っ張るような男女がいればこれは厳しく私どもは意識改革をしていかないとなりません。けれども、まず隗より
      始めよという意識は是非ともお持ちいただきたいと思いますし、もう1点は岐阜県は強いリーダーシップとおっしゃいますが、あれだけ分権を掲げられながら朝日新聞が書いたように20名近い中央官庁から最も職員を受け入れていたというのが梶原さんの意外な一面でございます。その意味で言いますと女性の登用ということもおそらく石坂議員はコンドリーザ・ライスさんのような方が県の中で力を持って判断していくというような行政での施策の展開は望まれていないと思いますから、それはやはり女性か男性かというだけではなくて、石坂さんと同じような男女のジェンダー性差を越えて、きちっと弱きもののため、努力をするもののために尽していける意識を持つということが男女の分け隔てなく職員に求められていることです。私は女性をいたずらに増やすことが結果としてコンドリーザ・ライスさんのような方が県庁内で闊歩するようなことは望んではおりません。いずれにしてもこれは一人一人の持ちようではなかろうかと思います。ただそのための持ちようをもつ方が行動できるような土壌というものに関しては従前以上にこれからも心を配るということです。

 女性の意欲を削いでいるものが何であるのか県としても真剣なご検討をいただき、抜本的な改善を改めて求めておきたいと思います。



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4.治水対策について

  次に、浅川・千曲川の治水対策についてお伺いします。
 国土交通省近畿地方整備局は、7月1日、工事中の淀川水系の5つのダムのうち、大津市の大戸川ダムと大阪府箕面市の余野川ダムについて事業の中止を決めました。国直轄の工事中ダムの事業中止は全国初めてのことです。
 「脱ダム宣言」以後、ダム本体の契約を解除し、様々な産みの苦しみを体験しながら、紆余曲折をたどっている浅川ですが、新しい挑戦に知恵と力をあわせ、一日も早く流域住民が安心できる治水対策を確立していくことが求められていると思います。
 全国的には、ダムが中止された河川で、その後の河川整備状況は当初計画との比較でどうなっているのでしょうか。土木部長にお伺いします。

      【答弁 原土木部長】
       お答えをいたします。都道府県が事業主体となっております補助ダムでございますが、これは平成16年度末現在で全体の約3割、75箇所のダムが正式に中止となっていると聞いております。河川整備計画等の状況でございますが、平成16年度末のものが調査中でございまして、平成15年度末に電話にて全国の都道府県に聞き取り調査を行った結果についてご説明をいたします。平成15年度末の時点では、補助ダム計画を正式に中止したものが全国で57箇所でございました。このうち河川整備計画を策定済と回答がありましたのは3箇所、他の54箇所につきましては計画策定作業を実施中、もしくは策定時期が未定という回答でございます。
       河川整備計画策定済との回答がありました3箇所の治水対策でございますが、一つとしまして、ダム計画時の治水安全度は将来目標とし、河川整備計画期間内の目標を別途設定して河川改修等に対応するというものが2箇所でございます。二つとしまして、ダム計画時の治水安全度を河川整備計画期間内の目標として、河川改修により対応するというものが1箇所の内容でございました。
       本県におきましては、砥川・上川を含む諏訪圏域河川整備計画が本年3月に認可となっておりますが、両河川ともダム計画時の治水安全度100分の1は将来目標とし、河川整備計画の対象期間であります20年間での整備目標を50分の1と定め河川改修により対応することとしております。以上でございます。


 ここに、国土交通省河川局治水課からいただいた資料がありますが、これによりますと、公共事業評価監視委員会が事業中止を答申した全国の82のダム計画のあった河川のうち、約3分の2にあたる58河川には平成17年度事業費がついていません。そのなかで、検討委員会は基本高水の引き下げを答申したが、知事がそれに反し、当面50年確率の河川整備で対応することにした宮城県の新月ダム予定地だった大川は8,300万円の事業費、浅川ダムと同様に付け替え道路まで造って中止した山梨県の笹子ダムは事業費ゼロとなっています。
 これからの社会資本整備は都市に集中するべきだとの小泉内閣の「骨太の方針」のもとで、全国の中小河川への予算措置が厳しくなっていることをうかがわせるものでもあり、この分野でも、地方の切り捨てを許さない国へのいっそうの働きかけが必要になっていると思います。浅川に限らずのことではありますが、河川整備予算のいっそうの増額確保への知事の決意の程をお伺いします。

      【答弁 田中知事】
       今のご質問の中で、基本高水を逆に宮城県は変えて、増やしたんではなくて下げて、その逆に国が一緒に協力しているというようなお話でございました。その意味では議員設置の委員会での答申という内容を私の逡巡で当時それに全面的にお答えすることが出来なかったということへのご叱責かというふうにも受け取りました。
       この点に関しましては、浅川にとどまらず川はいっこの川単独で成り立っているわけではございませんので、この点は先日鷲沢正一市長のご発言を引用して私どもは異なる見解に立つということは申し上げたところでございます。
       河川整備計画というものは、ご存知のように新潟県の信濃川下流域の一級河川の部分においても内水氾濫と、内水対策というものを河川整備計画に位置づけて認可を得ているという事例もございます。ですので、こうした点に関しても国土交通省の関東地方整備局と北陸地方整備局のほうにもすでに土木部長からも6月9日の日に改めてお伝えをしているところですし、こうした先駆的な事例も見据えながら私ども「脱ダム宣言」を出し、先に新しい河川法に則った具体的方針というものを出してきている県ですから、そのことにより応えられるように今後一層努力いたしたいと思っております。



 ちょっと正確にお伝えできなかったかと思いますが、宮城県の新月ダムは基本高水の引き下げを委員会は答申したが、知事はそれをそのまま受けず、当面の整備目標を50年確立にしてとさっき土木部長からお話ありました、砥川のような事例ですのでよろしくお願いいたします。
 さて、ダム中止後の浅川の具体的な河川整備計画の策定にあたってですが、本来新河川法では、それぞれの河川の特性に合わせた「河川整備基本方針」を策定し、それに基づいて「河川整備計画」を策定するものとしています。ところが、浅川の場合、ややもすると、「ダム代替案」という言い方で、ダム計画で設定した450トンの基本高水を違う方法でどう振り分けるかと言う、「基本高水分配論」とでも表現される発想に終始しているきらいがあり、そのために、危険な地滑り地帯である上流域の住民には到底受け入れることのできない、形を変えたダムである河道内遊水地や、効果と実現性に疑問のある中流域への巨大な遊水地が提案されることになってしまいました。
 昨年10月の台風災害で、改めて明らかになった浅川流域の、今後起こりうる水害の最大の原因は、浅川そのものの流下能力が不足してあふれると言ういわゆる外水によるものよりも、ダム計画地より下の人口密集地から浅川に一挙に流れ込む都市型水害や最下流の長沼幹線排水路の構造的、宿命的ともいえる問題、合流点で千曲川へ自然流下できず、排水機上でポンプアップを余儀なくされ、千曲川の増水が続けばお手上げになる内水災害の問題です。現状では、千曲川の根本的な改修や立ヶ花の狭窄部の問題などの解決がなければ、ダムをつくっても造らなくても、最下流の千曲川の合流点付近では、遊水地や災害時の一定の補償契約の検討をする、しないにかかわらず、洪水時には自然の遊水地に事実上なってしまっています。
 これらの浅川流域の現状分析や特徴を踏まえ、流域の住民がおたがいに納得のできる「河川整備基本方針」で一致することこそが何よりも大切ではないでしょうか。その基本方針を住民にわかりやすく明確に示すことがまだまだ県として不十分と思いますが、いかがでしょうか。出納長にお願いします。

      【答弁 青山出納長】
       浅川の河川整備基本方針を明確にしなさいというご質問だと思います。先般の答弁で浅川に対する整備の考え方、基本的な考え方につきましては、私も実施可能な治水対策を基本にして今後は考えていくということを答弁させていただきました。
       それで、その考え方から今ご質問ありました基本方針は当然県として基本方針をちゃんと定めて、それを基にして住民のほうへ説明していきたいということは考えております。しからば基本方針はいつかということですが、これは先般ご説明申し上げた中にもありましたが、檀田なり田子の遊水地の地元の皆さんの説明がまだ終わっていませんから、その説明が終了しだい県として基本方針というものを定めまして、その方針に基づく整備計画の原案というものを作りましてそれを住民の皆さん等に説明申し上げまして、理解を得た上で、整備計画の認可への正式な案というものをまとめていきたいとこのように考えております。

  6月13日、長野市豊野で行なわれた浅川治水推進大会で、青山出納長が代読された知事のあいさつでは、「本来行なうべき内水対策を河川整備計画に盛り込んで実施する。」とされていますが、今まで、県は、浅川の内水対策は重要だが、それはあくまで、河川整備計画に盛り込む治水対策のメニューとは別、ともいえる位置づけをされてきたのではないでしょうか。「内水対策を河川整備計画に盛り込んで実施する。」ということは、内水対策を盛り込んだ河川整備計画が国の認可を受けられる見通しとなったと受け止めてよいのでしょうか。国土交通省との協議の状況はどうなっているのかをお伺いします。

      【答弁 青山出納長】
       内水対策のお話ですが、今ご指摘にありました整備計画とまた別のというような形でもし説明があったとすれば、私どもの説明の仕方が悪かったということで反省したいと思います。本来河川管理者として、内水対策を実施する場合は当然、整備計画の中に盛り込んで、その整備計画に盛り込んだ事業案で内水対策をやっていくということが基本でございます。なぜかと申しますと、河川法も平成9年に改正されまして、河川整備計画というのは整備期間中の整備水準、そしてそれに基づく河川工事と河川いきというものが基本の3つの大きな柱として整備計画を作らなくてはなりませんので、そういう点からしましと当然整備計画の中に盛り込んで対応していきたいと、それにつきましては、先般国土交通省との連絡会議がございまして、6月でございますけれども、その際具体的には、関東地方整備局それから北陸地方整備局それぞれに土木部長から浅川の整備計画の中には内水対策を盛り込んでいくという説明を国の方へもしております。
       そして先ほど知事の方から特にございましたが、新潟県の信濃川の下流、平野部ですが、その整備計画の中には内水対策として事業が整備計画が盛り込んで、国庫補助事業を受けて今内水対策事業をしているという例もございますので、うちの方としても整備計画に正式に位置づけまして、それにつきましては鋭意対応について努力をしていきたいとこのように思っております。


 そうしますと、河川整備計画に内水対策を盛り込んだその中身として国庫補助の対象になる、認可が取れるという方向で進んでと確認させていただいていいでしょうか。


      【答弁 青山出納長】
       国土交通省の方は県として整備計画案なりが正式に案としてまとまった段階になったときに、意見なり、国として国土交通省としての意見なりを申し上げたいということになっておりますが、私どもとすれば、今申し上げましたように、河川管理者として内水対策をやる限りは、それが県単事業であろうが、国庫補助事業であろうが、とにかく位置づけはちゃんとしなくてはいけませんよというのは整備計画の性格上からこれは明確ですので、それは多分河川法の趣旨からいって内水対策の位置づけというのはこれはほぼ間違いないと思いますが、補助事業になるかどうかにつきましては先ほど新潟県の例もございますので、県としましては位置づけられたあかつきには補助事業ということで強く国の方へは要望して事業化を図っていきたいと思っています。


 残念ながら今日までの過程の中で、たとえば河道内遊水地など、コンサルタントの試算がその後の県としての検討も不充分なまま流域協議会に説明されたり、たたき台ではあっても責任ある全体像が基本方針とともに示されないための混乱や不安を住民にもたらしたことも事実だと思います。今後、懸案事項となっている新幹線の車両基地建設時の確認書問題などの解決も含めて、浅川流域住民や関係市町に対する全体像を示した責任ある説明や協議が今まで以上に大切になっていると思いますがいかがでしょうか。出納長。



      【答弁 青山出納長】
       今のご指摘はそのとおりでございます。流域協議会をつくったという趣旨も、今議員さんがご指摘あった点を踏まえての流域協議会ということでご理解を頂きたいと思います。先ほども申し上げました河川法が平成9年に改正されまして、実は河川整備計画の、河川整備計画というのは今議員さんがおっしゃったとおり全体像ですから、整備計画になりますともちろん部分的な話ではないです。全体像としてどういうような浅川に対しての治水の整備をしていくんだということが明確になりますから、イコール全体像ということでご理解ください。
       河川法が改正された結果、原案の段階で地元の意見を聞きなさいと、原案の段階で聞いて成案にしなさいというこういう形で明確に河川法で位置づけられたわけです。そういう趣旨からしますと、当然いまご指摘あったように地元の皆さんにも十分全体像を作り上げて、今問題点となっております北陸新幹線との確認書の関係が同じでございますので、部分的な話ではなくて、全体的な像を示して理解をいただきたいということで私ども鋭意努力をしていきたいとこのように思っております。


 それではその全体像をつめていただきまして、新しい河川整備計画の認可の見通し、来年度予算確保の見通しのタイムスケジュールを示していただきたいと思います。


      【答弁 青山出納長】
       整備計画の認可に向かってのタイムスケジュールというお話でございます。当然明確に示していかなくてはいけないと思っていますし、ただ私どもとすればその時期ということですが、今、檀田なり、田子の遊水地につきまして区長さんのほうへ説明会ということで開催についてお願いしているわけです。その決定がまだされていないという状況でございまして、それで私どもとすれば、その説明会というものを早くても8月ぐらいまでに終了したいと思っています。従いまして、その説明会が延びるとスケジュールもずっと延びてしまうので、時期を見まして説明会を終わった段階で認可への正式なタイムスケジュールというのは明確にしていきたいと思っています。ただし、非常に抽象的な話で申し訳ございませんけれども新幹線の問題もございますので時間が差し迫っておりますので、その点を十分考慮いたしましてタイムスケジュールというものをつくって説明をしていきたいと思っておりますのでよろしくお願いしたいと思います。


 ぜひ来年度認可、来年度予算確保の方向でよろしくお願いしたいと思います。
 この問題の最後に、千曲川の問題です。
 昨年の12月県議会の一般質問でも触れさせていただきましたが、昨年9月、日本共産党県議団とあおぞら、トライアルしなのの3会派と住民団体が共同で行なった犀川と千曲川の合流点から立ヶ花までの千曲川現地調査の際にも、千曲川河川事務所の関係者からは、千曲川の浚渫予算が3年連続ゼロであり、日常の河川管理費もなかなか厳しいと言うお話を聞き、何とかしなければ、と痛感しました。千曲川の抜本的な改修無しに浅川の水害も解決できませんが、千曲川の整備の現状をどう認識されているでしょうか。また、県として国への働きかけの現状はどうなっているのか、土木部長にお伺いします。


      【答弁 原土木部長】
       千曲川の延長でございますが、約213.5キロでございまして、このうち上田市の大屋から飯山市市山の間、約87.5キロメートルを国土交通省が、残り約126キロメートルを長野県が管理をしております。直轄管理区間では近年特に大きな被害が発生した昭和58年9月水害、平成11年8月水害に対応するための改修が優先されております。具体的には中野市柳沢地区、中野市替差地区、長野市篠ノ井地区で北陸地方整備局千曲川河川事務所によって現在整備が進められているところであります。
       河川整備は上下流のバランスを考慮して進めるのが基本でありまして、立ヶ花狭窄部の対策は飯山市から栄村にかけての整備状況を考慮して実施されるべきものでありまして、千曲川本川の改修には相当の費用と年月が必要と考えております。
       千曲川本川の改修促進につきましてはかねがね国に要請をしてきたところでありますが、本年6月9日の長野事業連絡会の場で国土交通省の北陸地方整備局河川部長に対しましても知事から強く要請をさせていただいたところでございます。改修とともに千曲川本線の河床整理等のきめ細かい維持管理を実施していただき、流下能力の向上維持にも努めていただくことが重要と考えております。平成16年度には浅川合流部でも河床整理をしていただいたところでありまして、今後も国と連携を密にして要請をしてまいりたいと思っております。以上でございます。


 私たちも6月のはじめに北陸地方整備局へお願いに行って来ました。そのときいただきました資料で、これが千曲川河川事務所の事業費の推移です。全体事業費もそれから改修予算も平成8年の約半分という状況で大変おさびしい限りです。ぜひ抜本的な千曲川の改修・整理に向けて一層の働きかけを強めていただくことを知事にも強くお願いをしておきたいと思います。



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5.高校改革プランについて

それでは最後に、高校改革プランについて教育委員長にお伺いします。
 4月25日付の県民新聞の教育委員長就任の記事中、宮沢教育委員長は、「公教育の原資は税金である、という視点。それと子どもの目線で判断すると言う姿勢が必要。」「ノスタルジーは必要ない。」と述べたとされています。このご発言の真意をお伺いしたいと思います。高校にお金がかかりすぎるから減らさなければならないと言う県民の声が、具体的にどこからどれくらいあったのでしょうか。お答えいただきたいと思います。


      【答弁 宮澤教育委員会委員長】
       高校改革プランの推進にかかわっての県財政に係る私の発言へのご質問だと思います。
       県民新聞にのっております私の発言は、公教育の原資は税金でということでのせました。公の教育の原資は税金だという意味でございます。また、高校教育にお金がかかりすぎているというのはどこから議員さんがお聞きになったのか、お伺いしないと私にはわからないのでございます。
       現在、長野県教育委員会が取り組んでおります「高校改革」の大きな課題の一つは少子化が進行しており、今後も子どもの数の減少が見込まれていることから高等学校の小規模化による活力の低下、教育力の低下が懸念されている点でございます。高校改革につきましては、各高校の魅力作りを支援するとともに、高校の再編整備を行い一定規模の生徒数を確保することにより、学校の活力を維持することが必要であると考えておるところでございます。
       また、高校教育といえどもその運営費、人件費は税金が注がれている以上、生徒数がピーク時の半数程度になることを考慮すると財政的な面からしても、学校数の削減は県民の皆様にもご理解いただけるものと考えるところでございます。
       なお、高校改革に取り組むにあたっては、大人の目線でなく、主人公である未来の高校生の目線に立って判断する姿勢が必要であるというところでございます。以上です。



 子どもの目線というのは私も大賛成、是非そうあってほしと思います。そうしますと、少子化が子ども達の責任でしょうか。財政難は子ども達の責任でしょうか。違うと思います。教育の世界に効率を持ち込むことは一番あってはならないことと私は考えますが、教育委員長いかがでしょうか。私がこの発言を問題と思いましたのは、公教育の原資は税金であるというこの教育委員長のご発言が、高校を減らさなければならないという課題のご質問に答えてのご発言ですので、あえて問題にさせていただきました。つまり高校教育にかけるお金を減らさなければならないと意味でのご発言と受け取ります。そういう中で確かに子どもの数が減っていくとき、ただの1校も減らしてはならないとそんな機械的なことを私も申し上げるつもりはありません。しかし、子どもの数が減るからだから高校を減らすという短絡的なことで果たして改革になるのだろうか、それが子どもの目線の改革だろうか、ということを申し上げたいと思います。効率優先の社会の本当に無残な姿、残酷な姿というのはあの5月の連休前に起こりましたJR福知山線の例を見ても明らかではありませんか。効率優先の考え方は教育の世界とはなじまない。効率は大事だけれども、それは優先課題ではない。私はそう申し上げたいのですが、改めて教育委員長のご見解をお伺いしたいと思います。


      【答弁 宮澤教育委員長】
       教育改革というのは、全国的に教育改革が進んでおるんでございます。従いまして、県の財政もさることながら、先日も丸山議員さんからのご指摘がございましたとおり1兆円から県の当初予算があった時代から、現在の8500億円まで減っておる中でも、それでも教育予算に対しての占める割合は十数パーセントから現在23%ぐらいまであげていただいた中でやっているというのは現実でございます。そのほとんどが人件費であるということも重々承知しておるわけでございます。かかる中で教育改革を実施してるという実態でございます。なるがゆえに私ども専門家である検討委員会というのを発足していただきまして、専門の先生方の御意見をお聞きして、その中から出てきたのが6学級という数字が出てきたようなわけでございます。
       先ほど尼崎の例が出ましたが、そういうものを優先した中での検討ではないということをご認識いただきたいと思います。私は統合という考え方であくまでいます。AとB校があると、2校が統合して1校になってある程度の規模の活力のある高校をという考え方でおります。従いまして先日もお話しましたように、学校史とかそういうものが何年か後に発行されましたときもどことどこが統合されというふうに表現されるだろうと思いますし、その段階で教育の主体がこちらの高校でなされるか、こちらの高校でなされるかそれは施設整備の関係とか、推進委員会の方々の御意見も十分拝聴する中で決まっていくのではないかと思います。
       県立高校再編整備候補案をもとに推進委員会におきましては、自由な議論を展開していただきさまざまなアイディアを出していただき、単なる学校数の削減ということではなく生徒たちのために魅力ある高校づくりと高校再編整備をあわせて検討していただけるものと期待しているところでございます。以上でございます。


 教育委員長は統合だとおっしゃいますが、2つの学校を1つにすれば残った一つは廃止になります。ですから統廃合です。現実はそういうことだと思います。もともとただいまお話ありました5.5学級、5―6学級。検討委員会が最終報告で示した1学年5.5学級が充実した教育を保障していくための適切な規模とされていますけども、その結論自体、その数に充分な説得力はありません。これを根拠にした高校削減数や、具体的な高校名をたたき台として早くも示したことで、現実の議論は何をどう改革するのかと言う「改革」のための議論ではなくて、最初からどの学校を、いくつどう減らすのかという「削減ありき」の狭い議論になってしまう結果とすでになっているのではないでしょうか。
 自由な議論をしてほしいとただいまも教育委員長はおっしゃいました。そういいながら、改革の議論を「どの学校を減らすのか」の議論にすりかえてしまった教育委員会の責任は私は極めて重大だと思いますが、教育委員長の見解を改めてお伺いします。


      【答弁 宮澤教育委員長】
       私ども考えた方向とやや違う方向へ行ってしまっているということは事実でございます。私ども推進委員会では魅力ある高校づくりというところをご検討いただきたかったので、高校名についてはたたき台として、検討する材料として提供したまでで、それに意外とこだわられている点は心外に思うところでございます。本格的な議論が始まる矢先に、高校削減数や具体的な高校名をたたき台として提案したことで改革のための議論が、削減ありきの議論になってしまったということについては、いささか心外に思っているしだいでございます。先ほども申しましたように、少子化社会の中で今後ますます生徒数が減少する見込みでございますので、合計特殊出生率の推移から見ましても今後さらに減少が深刻化していくことは予想されますから現在の県立高等学校の高校数の縮小は避けて通れないものと考えておるところでございます。以上です。



 先日のご答弁で教育委員長はあくまでたたき台であるのでその案はすっかり変わってもいいのだとそういうお答えもあったかに思います。また、ただいま本来の方向とは違う方向に議論が行って非常に残念であると、もっと多様な形の改革そのものを議論して欲しいとそうおっしゃいました。それが教育委員長の本当のお気持ちであれば私は本当に歓迎したいと思います。
 先日、備前議員が質問の中で、私たちが調査した富山県の取り組みをご紹介し、長野県以上の少子化が進み、逆に長野県よりははるかに交通の利便性の良い富山県で、「高等学校は40人学級が基本」という同じ国の方針の下でも、地域の実情にあわせて、学校の数を減らすのではなく、農業科を30人学級にしたり、郡部の高校は1クラス17名、1学年を2クラスにしたり、25人学級の教育課程も作ったりと言う実に柔軟な対応で、1クラスあたりの人数を減らして学校を存続させているとりくみに学ぶべきではないかと質問したところ、教育委員長からは、すかさず「議員さんのご指摘は正論です。」という答弁が返ってきました。大変、心強く、うれしくお聞きしました。
 地域が育て上げてきた学校は、単なるノスタルジー、つまり、私が卒業した学校は残しておいてほしいと言う感傷めいた思いの対象ではなく、地域に希望ある未来をもたらす上でも、小さくても輝く自治体の存続の為にも、そこに学校があることが欠かせない存在です。
 備前議員がご紹介した富山県南砺地域の県立高校4校で作られた南砺総合高校は、総合高校になっても今までどおり4校にひとりずつの校長先生がいて、独立した学校と同じ形態になって連携しあうと言う形で、長野県の検討委員会が示したジョイント高校的なとりくみです。ですから削減数、削減校だけをたたき台とした議論ではなく、教育委員長は、命がけで高校改革に取り組むとおっしゃいました。命がけで高校を減らすのではなく、結果としていくつかの高校を減らすこともあるかもしれないが、減らすことだけではない子ども達のための本物の改革に命がけで取り組んでいただきたい、私は心からお願いしたいと思います。
 備前議員の指摘を「正論だ」といってくださるのなら、その正論を後回しにせずに最初から、高校での少人数学級本格的なたたき台にするとか、ジョイント高校の考え方など、様々な選択肢のたたき台を、削減のたたき台だけでなく示すべきではないでしょうか。お答えください。


      【答弁 宮澤教育委員長】
       少人数学級の本格的な検討のたたき台を示すべきものではないかというご質問でございます。過日の備前議員さんのおっしゃられたことは、私は正論だというふうにお答えしました。確か私の記憶では、お金をかけていい先生を呼んで、少人数で教育するということを備前議員さんはおっしゃったと記憶しています。私は教育からすれば、まさに正論ではないかと思います。ただ正論というのは、大方の人が支持される論議を正論というのでございまして、それが具体化できるかどうかということはなかなか難しい問題が孕んでおります。
       備前議員おご質問にお答えしましたとおり県立高等学校おける少人数学級の実現の今後の課題と考えておりますが、当面は1学級40人募集を基本として考えているところでございます。30人学級というのは、もっか小学校で推進しているのが、事実は35人ですけど、30人学級と称して推進しているような次第でございます。
       高校生につきましては、40人規模を基本としているという考えでございます。なお、学習面では現在でも選択講座とか、あるいは習熟度別授業などで学習集団を少人数にする工夫はすでにほとんどの学校で取り入れられております。きめ細かな学習指導ができるように努力しているところでございます。
       なお魅力ある高校づくりにつきましては、再度推進委員の皆さん方にご期待申し上げたいと思っております。以上です。


  正論というのは、大方の人が支持する考えと、大方の人が支持する考えをどうして長野県では実現できないんですか。同じ高等学校教員配置の文部科学省の法律の下で、富山県ではできて、どうして長野県ではできないのでしょうか。そしてまず学校を減らすことが改革の正論であって、少人数学級やその他の検討は後回しにしなければならない根拠がどこにあるのでしょうか。私はただいまの教育委員長のご答弁を聞いてましても、ますます納得のいかない、矛盾が深まるばかりです。たたき台としてなぜ削減する数と削減する高校名だけが提案されるのか、なぜ少人数学級や様々な魅力ある高校づくりの具体的なたたき台は出されないのか、これでは結局お言葉とは裏腹に「削減先にありき」ではないでしょうか。これでは改革とは言わないと思います。高校リストラとおっしゃった議員さんもおりましたけれども、高校リストラそのものです。改革とはこんな情けないことではないはずです。少人数学級や様々な魅力ある高等学校づくり、そして富山県できていることを長野県的にどうやったら子ども達の幸せのために、子どもの目線と最初に言っていただきましたよね、そういう検討を広くする議論の場があってこそ自由な議論の場に始めてなると私はそう思います。ただいまの教育委員長のご答弁大変大きな矛盾に満ちているように思えてなりません。教育委員長いかがでしょう。改めてご見解をお伺いしたいと思います。


      【答弁 宮澤教育委員長】
       ただいま富山県ということがございましたが、私勉強不足で富山県の実態いうものについて細かに知りませんので、勉強しなおしたいと思います。
       なお今後の問題につきましては事務局に予算の獲得とか、そういうことを十分にとっていただいて、これの実現に努めていきたいと思います。
       魅力づくりにつきましては、私自身も魅力というのはなんだろうかということでかなり勉強したつもりです。最終的に一つのキーワードとして出てきたのは、やはり資格だと思います。魅力というのは資格を取れるということが一つの魅力ではないかと思います。それは普通高校、専門高校問わずそういうものがあってもいいのではないかと思います。
       少人数学級の実現の課題というのは、16年度の全日制の平均値からしますと、37.9人で40人をやや切っている点でございます。40人学級が適当か、あるいは30人学級が適当かというところは議論の余地が大いにあるところではないかと思います。従いまして、学習面で選択講座、あるいは習熟度別講座などを考えまして少人数でできるだけ理解しやすい授業をやるということを考えるべきではないかと思います。以上です。


 お聞きすればするほど、改革ではなく削減ありきと思えてなりません。数を減らすことだけ検討してください。こんな委員会で14校も高校が減らされて、子ども達の未来がそれで拘束されていくんです。本当に命がけで真剣に考えていただきたいと心からお願いをしたいと思います。
 最後に知事にお伺いします。
 知事は、答弁の中で、議員の側から組合立や市町村立の高校などの提案はないかと言われました。現在、小中学校の義務教育は、国庫負担の議論がされていますが中学校の教員の人件費は国の交付金、小学校の教員の人件費は国庫補助金がそれぞれ半額国からきます。しかし、高等学校は交付税で措置されており、都道府県の裁量で責任を負うべきものです。この制度の趣旨から言っても、県の側から安易に組合立や市町村立の高校の設置を持ち出すなど、責任転嫁と言わざるを得ません。
 この間、長野県では、「三位一体」に名を借りた地方への負担押し付けによる厳しい財政運営のもと、過去の莫大な借金を公共事業の見直しなどで解決をはかりながらも、30人学級の段階的な実現や、障害児教育や児童相談所の充実など、子供たちのための教育・福祉への重点的な投資を行なってきており、県民から歓迎されています。私も心から嬉しく思っています。
 つい最近も、今まで20歳未満とされていた重度障害児の高等部訪問教育の年齢制限が撤廃されたことにより、高等部教育から排除されていた41歳の重度障害者が、教育をやっと受けることができるようになった。高等部教育が受けられると、その教育を受ける日々を心弾ませて待ちわびていると言うお話をお聞きして、本当に胸が熱くなりました。
 このように、一歩一歩前進させてきた子ども達にゆきとどいた教育の環境を、という長野県のとりくみが、最近の15歳の犯罪の多発に見られる思春期、青年期の最も大切な時期を迎える高等学校の時期に、なぜ、突然、統廃合となってしまうのでしょう。多部制・単位制の高校も私は評価をするものです。しかし、通学区に1校ずつの学校ではバイクの免許も16歳にならなければ取れない子どもたちが公共交通でその高校に通うことができるのでしょうか。定時制高校との廃止の抱き合わせは納得できないことです。
 義務教育では国の基準に上乗せして30人学級を実施してきた長野県で、なぜ、高校だけはかたくなに国の教員配置基準をたてにとっての統廃合なのでしょう。
 「高校でも30人学級を」の声や願いは、県民の中で叫ばれ続けています。この声に応え、地域の実情や子ども達のニーズに合わせ、クラスの人数を柔軟に減らすことで、安易に高校を減らさない、「富山方式長野県版」とでも言うべき高校改革を私は提案したいと思います。もちろん、知事のトップダウンで実施すると言うことではありませんが、県民的合意が得られれば、検討に値するとお考えいただけるでしょうか、つまり、必要な財政措置をするお考えがあるでしょうか、知事にお伺いします。


      【答弁 田中知事】
       「改革」といわれても、道路公団も郵政民営化も「改革」といわれてますけど、郵政民営化に至っては持ち株会社が株を放出しないというので、一体どこまで改革なのか。でもこれは停滞の4年間とは誰も呼んではいないわけですから日本においては。ですから「改革」言う言葉自体が不思議なものですし、独立行政法人に人を移しただけで「改革」と言われています。その意味においては、教育委員会の問題、これは教育の世界ですが、ご質問いただきましたからですが、教育委員会は「たたき台」とおっしゃっているわけで、これが確定とか最後通牒とかいうことではないということであるならば、その他の可能性というものも今後教育委員会がお示しなるのかもしれませんし、そこまで私は把握しているわけではございません。
       今の富山県の問題に関しましても、私が直接現地を拝見したわけではもちろんありませんが、富山県は中高一貫私立学校というようなものができたりする中で、私立学校と調整すると、あちらも教育県と言われた県でございます。ですから本県と同じように直面している問題も多いと思います。募集定員を厳格に管理する必要ということの観点から少人数学級も導入されたそうですが、その富山県においても高校再編整備と言うものが必要だという認識の下で再編整備を行なって少人数学級の解消を図っていくのだというふうに私は報告は受けております。
       富山県の場合も逆に本県よりもそうした私立学校があるというのに厳格に調整するなかでこれが出てきたことなのかもしれません。
       いずれにしても、先日、菅原文太さんとあらためてお目にかかったときに、岐阜の高山のそばの合併してしまった小さな村にお住まいですので、来たときに非常に岐阜と比較するわけではないけれども、どこもそうかもしれないけれど、大糸線の電車の子どもたちが夫婦で見たときに、本当に緊張感がとけているような、果たして大丈夫かなという子どもが多かったというお叱りを逆に受けました。ですから教育県と言われている本県が制度が今の状況であってもなお教育県という言葉のもとで隠蔽されてきた建前のもとで隠されていたところが非常に直面していて、それを教育委員会は義務教育課、高校教育課のみならず非常に教員の問題、親御さんの問題、子どもの問題等解決をしているところです。そうした中においてはこの富山方式が良い悪いということではなくて、教育委員会がこれが最後通牒ではないとおっしゃっているわけですから、その中において委員長は主体的にきちんと行なっていくという覚悟も述べられているわけですから、そしてまた一方で教育というのは百年の計ということであるならば、目先の調整ではないものをおそらく教育委員会は示される覚悟のもとで今回のたたき台も私はある意味でお出しになっているということだと思います。ですから皆様も今の目先の問題としての情念でとらえるのではなく、百年の計を、それも効率主義というようなものを乗り越えた上で、情念主義とも効率主義とも両方の相克を乗り越えたところでのご議論をいただくということをそれぞれに期待をするということです。


 どうか子どもの目線で、言葉どおり子ども達の未来に悔い無き本物の高校改革に命がけで取り組んでいただきますようあらためて教育委員長にお願いをいたしまして私の質問を終わらせていただきます。


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