5.高校改革プランについて
次に高校改革プランについて教育長職務代理者にうかがいます。
岡谷工業高校と須坂高校の平成16年度から定時制募集停止がうちだされたとき、関係者から大きな反対の声が沸きあがり、何とか存続をと願ったにも関わらず、少人数では教育効果があがらない、近隣の学校に十分通えるなどの理由で廃止が強行されました。
いま、現状はどうでしょうか。
働きながら岡谷から箕輪工業高校の定時制に通っている保護者からお話しを伺いました。飯田線の列車が1時間に1本しかなく、登校するのも不便、下校するにも9時10分の電車に乗り遅れれば、あとは10時12分まで真っ暗な無人駅で待たなければならない。やっとのことで家に戻れば11時近くになってしまう。結局、心配で親が車で送り迎えをしているということです。
この送り迎えについても片道30分かかり往復で1時間。それを1日に二回繰り返すわけですから送る側にとっても大変なことです。送っていって帰ってくるのも容易ならないということで、子供さんの授業が終わるまで車のなかで4時間も待っているそうです。
こんなことが長続きするでしょうか。
こんな状態なのに「高校改革プラン」では定時制を統廃合し、単位制・多部制を含め現在の23ヶ所から13ヶ所に集約してしまうという乱暴な提案をしています。長野県のように公共交通機関も発達せず、山あいの集落が多い地域で、半減してしまえば生徒たちにどのような影響が出るのか、通学時間や経済的負担などについて県教委はどのような検討をして統廃合案を提案したのか、是非明らかにしてほしい。教育長職務代理者に伺います。
いまよりよい環境を作るというふうにおっしゃいましたけれども、先ほど私が例を挙げたのはごく一部で例えば富士見から多部制単位制ということで箕輪工業高校に通うことを考えて見ましょう。先ほど岡谷に帰ってくる時間は11時過ぎるとお話させていただきました、しかし、同じ列車で帰ってきたときに上諏訪の10時55分で列車が止まってしまえばそれ以降列車がなくて富士見に帰り着くことができないんです。これは時刻を調べれば次の日の朝6時何分でしか帰れないというのしか出てこないんです、そういう状態の下で身近に居場所を作るといっても通うことが出来ないわけですから、私はこの県教委の考えや案が本当に実態を無視していると思うわけです。
次に上田高校定時制生徒のお話もお聞きしました。4年生は19人いるそうですがそのうち14人はアルバイトなど仕事をもっている生徒さんだそうです。今提案されているように坂城高校に通うとなれば仕事も今より早くきりあげなければなりません。通学定期代や時間も余計にかかるわけです。いまも給食費が払えず修学旅行にもいけないといっている生徒もいるのに、更なる負担を負わせることは通学を断念させることにもつながり、未来を閉ざすことだとおっしゃっておられました。
国連子供の権利委員会は定時制高校をきちんと評価し、弱者を切り捨てる日本の「教育改革」を問題視して、日本に対する最終所見で「定時制高校が特に学校から脱落した子供に対して柔軟な教育機会を提供しているにもかかわらず東京都においてそれが閉校されようとしていること」を懸念し、「定時制高校の閉校を再考し、従来の競争主義的なそれとは異なる形態の教育を拡大する」よう勧告しています。これは東京ばかりでなく長野県にも当てはまることです。
イジメや不登校、ひきこもりで学校に行けず、苦しんだ子供たちが少人数でアットホームな定時制に最後の居場所を見つけ、自分に自信を持って元気に通い、仲間の中で自らを成長させ自分を変えようと頑張っている姿があり、経済的に恵まれないために働きながら自分の足で立とうとがんばっている生徒がいるのに、「国連子供の権利委員会」の勧告もあるなか、定時制を統廃合して削減してしまうことは学ぶ権利を奪うことにつながり到底容認できません。教育長職務代理者の見解をうかがいます。
あまりに現実とかけ離れている認識ではないでしょうか。
定時制関係者が県内の生徒にとったアンケートもみさせていただきましたが、少人数で通学可能な範囲だから選んだという生徒が6割もいるのです。このアンケートも、校長会からクレームがつき、23校中、11校からは協力が得られなかったと伺っています。それでも現に在学している431人の子供たちの切実な生の声が反映されており、大変貴重で参考になるものです。
本来なら県教委がとってもよいアンケートです。
推進委員会での検討を進める際に、県教委としてきちんと資料提供や説明責任を果たしているでしょうか。
次に、推進委員会のあり方について伺います。県教委は、12月いっぱいで方向性を出してほしいと期限を示し、月に二回のペースで十分調査研究する余裕もなく委員会を開かせ、せかせることによって、自由闊達な論議を保障しないまま、「削減先にありき」で結論付けようとしています。
各推進委員会で「30人学級」や「財政試算」を議論させないように、委員長権限でおさえこんでいる傾向や、教委事務局が必要な質問に答えないなど、非民主的な運営や期限にこだわり、本質的な議論ができないことは、改めるべきではありませんか。教育長職務代理者の見解を求めます。
いま県教委としては様々な資料を提供して議論をしてもらっているというお話がありました。しかし、私は伺っておりましてそこには本当に子どもがいないと、子どもが存在していないその中で単なる地図上で見て何分でいける、こっちへ行け、こっちは公共交通機関に近いということで合わせたりしているだけだという印象を持ちました。本当にこのままの形で長野県の子どもたちが教育権を奪われていくような形の統廃合にさらされていくのではたまらないという思いで一杯であります。
つぎに、いま盛んに知事は対案を出せといっています。しかし、対案を出すためには財政試算が不可欠です。
推進委員会や文教委員会で削減による財政的な影響はいくらになるかと求めても県教委は一切明らかにしていません。財政試算を是非示していただきたいと思いますがどうですか。教育長職務代理者にお願いします。
長野県の教育改革は遅れていると常々言われています。今全国で行われている改革は一部の生徒だけを伸ばし、大多数の子供たちを排除しながら、財政難を理由に非効率なものを切っていく改革でおよそ教育とはかけ離れたものです。
教育委員長は先番議員への答弁で、「少子化が進行し、規模が縮小している。魅力づくりのためには一定規模以上の学校が必要」といっています。教育委員長に伺います。子供たちを多人数の中で競わせることが、教育効果があがるという考え方は、国連子供の権利委員会でも「教育制度の過度な競争的な性格が、こどもの肉体的及び精神的な健康に否定的な影響を及ぼし、かつ子供が最大限可能なまでに発達することを妨げている」と指摘され、是正を勧告されています。
教育委員長はこのような勧告をご承知でしょうか。また改革プランにはどのように生かされているでしょうか。
いま教育委員長さんからお答をいただきましたけれども、私がご質問した内容には答えていただけていないのが残念でありますが、なおかつそれに加えて非常にとんちんかんなご答弁をされたことは残念であります。当然のことながらいま話題にしているのは高校改革プランということで高校教育をどうするかということでありますが、一番多感な子どもたちに今の時期にどのように一人一人に即して子どもたちの個性を伸ばす手厚い教育ができるかと、子どもたちの実態に即した手熱い教育ができるかということで手立てがされなければならないというふうに考えております。それなのに、いまのお話のように自分たちの都合だけで高校統廃合してしまうことには強く抗議をするものであります。
改革というなら定時制の問題でいうなら、もっと体育でも芸術でも選択できる科目を増やしてほしいと、学校の条件を良くして欲しいといっているので、そのことのほうが先決だと申し上げて私の一般質問を終わります。
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