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2005年 09月議会 毛利議員の一般質問(9/27)

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。

  1. 憲法9条堅持について
  2. 「霧が峰」の自然保護と観光について
  3. 諏訪射撃場の鉛害について
  4. 宅老所について(社会部長)
  5. 高校改革プランについて


1、 憲法9条堅持について

 まず最初に憲法改悪をめぐる動きについて知事にお伺いいたします。
 郵政民営化一本で大勝した自民党は、「基本政策が支持された」と選挙後急速に増税と改憲の動きを強め国民を欺こうとしています。民主党も新党首が「9条2項を変える」としています。
 知事は今年の2月我が藤沢議員の質問に答えて、憲法9条は守らなければならないといっており、何らかの具体的行動を起こしたいとも言っています。改めて憲法9条に対する知事の所見を伺います。


      【答弁 田中知事
       私はかねてより言っていますように憲法9条というものこそは日本が世界に輸出できうる日本最大のソフトパワーであると考えています。そしてまさに集団的自衛権などというものは、すでにある意味ではイラク特措法というようなものも集団的自衛権に踏み出したかの内容でございます。これは、私はむしろ厳密な意味での専守防衛ということを述べているところでございます。
       この点に関しましては、浅田彰氏との対談の新しい本の中でも浅田氏と述べているとこですが、切通理作という若き批評家がおります。この批評家はどういうことを言っているかというと、そもそも法律というのは、みんなのやりたいことを実現するためにあるのだろうかというとむしろ逆じゃないかということを言っているんです。どういうことかというと誰かの、あるいはある特定の権力者であったり、あるいは一部の勢力のエゴを通すために法律というものが作られていくと、それは他の多くの人々が一方的に犠牲になってしまうわけであって、そうした他の多くの人々が一方的に犠牲なるのを防ぐためのよい意味でのバランスというものが憲法であったり、法律ではないかということを述べているわけです。あるいはご支持なさる方もごく少数いらっしゃるかどうかわかりませんが、朝鮮民主主義人民共和国のチュチェ思想というようなもの、これ主体思想と書きますが、実はこの主体性という呪縛の先には結局滅私奉公させられる側にとって都合がいい、滅私奉公させる側にとって都合のいい滅私奉公させられる側にとっては不幸が都合のいいわなが待ち構えているのではないかということを私の友人でもあります切通理作は述べています。例えば儲けたいから兵器を売って戦争を起こし、それで多くの人々が犠牲になってもかまわないというような立場の人にだけ都合がよくならないようなこと、そのために有効なのが決まりじゃないかと、みんなにとって少しずつこれは都合の悪い、みんなが暴走しない社会にすることが決まりの本来の役割だということを彼は言っているのです。これは人間と言うものの人格や尊厳を否定したり制限するためということはなくてむしろ多くの者にとっての人格や尊厳というものを守るために一部の人たちにとって都合のよいような社会を実現する、思惑を実現するための規則などということをつくっちゃいけないといっているわけです。彼は人権という言葉も今では権利を一方的に主張する側の言葉というふうに捉えられがちだけれども、むしろこの人権と言う言葉は一人一人が他人を犠牲にし過ぎないためにある言葉なのだと述べております。私はこれは非常に慧眼であると思っておりますし、憲法の9条というものはまさに本来そうしたものであろうと思います。憲法9条がより実効性のあるということのためにお題目としての平和主義とか、お題目としてのユートピア思想ということではない形で我々は国民の生命と財産を守るために本県も様々な中山間地の集落への備蓄であったり、中越地震の経験を通じて様々な取り組みをさせていただいたり、24時間体制での危機管理室というようなものを設けてきています。こうしたことを行うということは逆に言えば憲法9条の精神をより実効性があるものにするために必要なことだと、このように私は考えております。その意味では、逆に9条の会の方々のみならず、あるいは皆様もそうした実効性のあること、私は本来、今回非常に私は注目しておりますのは読売新聞の渡辺恒夫氏は靖国参拝は私は金輪際しないと、A級戦犯が合祀されているようなところに訪れてはいけないということを述べて、自分が軍隊に行った時にまさに私的なリンチはいけないと言われたと、けれどもこれは公的なリンチだと言って毎日スリッパで叩かれたと、その公的という名の下にそのようなことを行なわれる社会を防がなくてはいけないということを渡辺恒夫氏がインタビューで言っているのを読んで私は非常に感銘を受けました。読売新聞がポツダム宣言に関しての歴史の検証をしていくという取り組みを敢えて今しているということは逆に大変に大事なことでありまして、まさに集団リンチや魔女狩りや多数決で勝った側が弱き側を決め付けるなどということを冷静に見直さねばならないというこれは私は渡辺恒夫氏の考えというものにある意味では一般教養というものを旧制高校で学んだ方の、ある意味では中曽根康弘氏にも通じる、政治家はあるいはリーダーは常に歴史の被告台の上に立つという覚悟というものを感じるところでありますし、ある意味で逆に朝日新聞に象徴される9条が大事だとおっしゃってた方々が、おっしゃるだけでなくではそれをいかに普遍的にのみならず実効性を持つべきかということを憲法を改正試案というものに目をつむるのではなくて、やはり憲法を活性化させるための具体的なマニュアルを越えた議論というものをきちんと委員を募って行なってくるということを本来怠っていたというところに私はむしろよい意味で護憲派と呼ばれた側の反省すべき点があろうかと考えております。いずれにしても私は渡辺氏が敢えていまの時代にそういう発言をするということにむしろこの9条というものを何かあまりに美化したり、あまりに嫌悪したりするのではなく、ありのままとして見つめて、そして切通氏が言うように一部の者の思惑のために法律や憲法があるわけではないということに思いを至らすべきだとこのように思っておりますし、このことを私は発言し、行動していくとこによって多くの方々に新党日本を通じて本県の改革をお伝えするのと同様にお伝えして皆様がまさに観客民主主義でなく行動民主主義に踏み出していただくことを強く願うところであります。




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2. 「霧が峰」の自然保護と観光について

 つぎに「霧ヶ峰」の自然保護と観光について生活環境部長に伺います。
 小説「霧の子孫たち」でおなじみの霧ヶ峰は火山からなる見渡す限りなだらかな起伏の続く草原で、富士山、南アルプス、中央アルプス、北アルプス、八ヶ岳連峰など360度の大パノラマが開け、夏のニッコウキスゲだけでなく四季折々に見事な自然の姿を提供してくれる素晴らしいスポットで、昭和39年に国定公園として指定され、多くの皆さんに親しまれてきたところです。
 貴重な価値の高い高層湿原、原生状態を保った樹叢、900種類にも及ぶ植物。
 この素晴らしい風景地を保護するとともに、適切に活用しながら、しっかりと後世に引き継いでいくことが求められています。
 霧ヶ峰はかつて、家畜の飼料供給地として利用されており、適切な管理がされておりました。時代とともにその役割も消え、草原は放置されたまま、この40年間に急速に森林化しています。このまま放置すればさらに森林化は進み、30年後には草原は半分になってしまうとの指摘もあります。外来種の増加、観光客による踏み荒らし、環境美化なども課題になっています。
 このような中で、霧ヶ峰をなんとか守ろうと今年諏訪市では住民の協力を得て、40年ぶりに火入れを行い、その効果を検証しているところです。さらに、観光客が遊歩道からはずれることによって、植生を荒らさないために、コモンズ支援金を受け、木道整備を行なうことになっています。
 そこで、生活環境部長におききします。
草原の森林化、裸地化、湿地の乾燥化をふせぎ、貴重な自然公園として後世に残すために県としてどのような対応策を考えておられるでしょうか。
 現地には霧ケ峰自然保護センターがあり、貴重な展示がおこなわれています。
 ここでは職員やボランテイアによる自然観察者へのガイドや自然保護にたいする普及・啓発、利用者のモラルの喚起、自然観察会、出前講座なども精力的に行われていて、センター利用者も平成15年度の11,000人余から20,000人を越えるまでになっています。このセンターの果たしている役割をしっかり認識し、いっそう機能を強化すべきだと思いますが、生活環境部長のご見解を伺います。
 また、霧ヶ峰は行政区もまたがっており、土地所有者も複雑な中、適切な維持管理や利用を行うにも、県だけでは限界がある中で平成16年3月に「ビーナスライン沿線の保護と利用のありかた研究会」から最終報告がだされ、その中で共通課題の解決に向けた官・学・民共同の維持管理体制の確立が提言されています。
 この取り組みの現状はどうなっているのかあわせてお聞きいたします。


      【答弁 太田生活環境部長】
       お答えいたします。ただいまご質問のございました霧ケ峰の保護と利用、これにつきましては同じく質問にございました「ビーナスライン沿線の保護と利用のあり方研究会」この提言を受けて平成16年度から具体的に取り組みを進めているところでございます。霧ケ峰の魅力というのは1つには守るべき自然として湿原、それから樹叢、それからもう一つ草原の景観というものがございます。こういった中で草原の森林化、あるいは踏み込みによる裸地化、それから湿地の乾燥化というのが大きな問題ということでございます。これらの問題というのは生態系にどういうふうに影響を与えるか、またこれを解決するためにどうするかということで、まず現状の調査をいうことを第一に考えておりまして、昨年度から県の環境保全研究所によります調査を八島ヶ原踊り場等の湿原、あるいは霧ケ峰の草原除草といったものを対象にいたしまして、植物・鳥類・哺乳類・昆虫・地形地質・あるいは水脈といったものについて総合的に行なっているところでございます。この調査は今年度継続しておりまして今年度中にその取りまとめをする予定でございますが、その結果を受けて科学的な裏づけを持った保全策につなげてまいりたいと思います。また一方で、いまご質問にもございました諏訪市が森林化の抑制ということでおこないました霧ケ峰高原における火入れ、これの効果等につきましても環境保全研究所が市と一緒に植生調査等の観点からその結果の取りまとめを行なっているところでございます。また、こういった霧ケ峰含めました国定公園の施設整備ということで市町村が行ないます国定公園等の整備に対して国の補助も受けまして支援いたします自然環境整備支援事業というのを本年の6月補正予算で創設いたしたところでございます。本年度下諏訪町が行ないます看板等の整備こういったものに対して支援を行なっていくということでございます。
       また、これもご質問にございましたが、諏訪市が八島ヶ原の湿原で行なう木道整備、これもコモンズ支援金として助成するということでございます八島ヶ原につきましては、下諏訪の地域と諏訪市の地域が隣接しておりまして、いままで歩道というものも木道というものも下諏訪地域が先行して踏み荒らし、踏み越しができない形のものがありましたが、今回これによりまして諏訪市側の整備が進むものと思っております。
       これらいずれも行政ばかりではできないことでありまして、ご指摘のありました、私どもの霧ケ峰自然保護センターここには嘱託の職員がおりまして非常に熱意があり専門的な知識もある方でございますが、この方が中心となりましてパークボランティアという形で霧ケ峰一体について例えば自然観察会でございますとか、パトロールでございますとか、ごみ拾いまで含めました多くの取り組みをしていただいています。ボランティアの組織化というのが始まっております。霧ケ峰自然保護センターそのものは昭和48年に八ヶ岳の中信高原国定公園の自然保護活動の地域拠点という形で設置したものでございまして、霧ケ峰全体の自然環境に関する情報発信あるいは環境教育の拠点という役割を担ってきたところでございます。これもご指摘にございましたが、入館者数が今年で取り上げましても平成17年の8月末現在で昨年までの  をさらに上回りまして前年度同月比で45%の増加ということとなっております。このような中センター職員がホスト役となりまして霧ケ峰の動植物や歴史、文化について解説いたしますガイドウォークというものも実施しておりまして多くの方の参加を得ているところでございます。霧ケ峰というこういう財産の未来の残し方というものにつきましてはその拠り所のセンターが果たす役割というのは非常に重要であるという認識はおっしゃるとおりでございまして、このセンターのあり方につきましては自然再生等に関する研究、それから実証こういった新しい視点でその機能を検討していく必要があると考えておりまして、平成16年度から先ほど申し上げました環境保全研究所が一層の支援をし、こういったものにも強化を図っているとこでございます。また、センターのあり方につきましては県ばかりではございませんで、国ですとか市町村あるいは地域、ボランティア、NPOこういった様々な皆様の自然保護活動を行なうための拠点という位置づけでの機能を考えてまいりたいと思っております。特に最後にご指摘ございました官・学・民共同の維持管理体制ということで「ビーナスライン沿線の保護と利用のあり方研究会」のご指摘がございました。この研究会はビーナスラインの無料化というものを契機にいたしまして地域住民、あるいは自然保護団体等の幅広い関係者によりまして平成14年に設置されまして計12回にわたりまして多角的な討議研究を重ねて平成16年3月に提言を取りまとめました。私も当時、環境自然保護課長でこの委員としてこの討議に参加しております。この提言では、先ほど申し上げましたが保全すべき自然として湿原、樹叢、草原というものを掲げましてその利用につきましてはその魅力を最大限に引き出す形態として歩くということを位置づけているところでございます。そこで先ほどご指摘ありました今後の具体的な施策として地域住民、土地所有者、NPO、自然保護団体、研究者、関係行政機関が連携して取り組むとともにその体制を確立するという提言をいただいたところでございます。この体制の確立に向けての取組みでございます。議員もご存知のとおり、この地域非常に土地の所有関係が複雑でございます。また市町村行政、あるいは地域住民、ボランティア団体の皆さんも多様な方々がそれぞれの活動をされております。こういった霧ケ峰の特徴を念頭におきましてひとつひとつの取り組みを積み重ねながら、着実に進めて相互間の信頼関係と協力を築いていくということが第一だと考えています。このため現在取り組んでおります霧ケ峰自然保護センターあるいは環境保全研究所等の活動通じまして関係者の連携をより一層深めまして、こういったシステムを築き上げていくということで今その構築中というところでございます。


 今ご答弁をいただきましたが、本当に長い年月をかけて形成されてこられましたこの自然ですけれども、壊すのはいつでも簡単、しかし守り続けることは非常に大変なことであります。いま部長のほうから様々な地権者やそれからボランティア、多様な人たちが関わっている、行政区もまたがっている霧ケ峰にかかわってはいろいろな問題を考慮しながら近いうちに立ち上げていくと言うようなお話がございましたけれども非常に相手にすべき自然の面積が大き過ぎるがゆえに自然保護センターがどんなにがんばってみてもなかなかその効果は十分浸透していかないという問題が現実にあります。今お話いただいた問題を早期に立ち上げていただくことを強く求めるものであります。
 次に信州ブランド観光戦略局長に伺います。
 県内を訪れる1億人の観光客のうちで自然公園利用者はその半数を占めています。長野県の売りは豊かな自然ですから、ここに着目し、活用される自然公園にするために、霧ヶ峰をエコツーリズムの拠点に位置付け、健康志向とマッチングできる「歩く霧ヶ峰」としての観光戦略を考えてほしいと思いますがいかがでしょうか。諏訪地方の活性化にもつながる問題ですのでご見解を伺います。

      【答弁 武田信州ブランド観光戦略局長】
       お答えいたします。霧ケ峰高原、これは雄大で豊な自然を有する信州を代表する観光資源であり、観光客は324万2千人と諏訪地域では上諏訪温泉、諏訪湖についで多く信州長野県における主要な観光地として認識しております。また、議員ご指摘のエコツーリズムにつきましても県内では星野リゾートピッキオや飯田市が推進いたします自然体験型観光への参加者が増加しているといったことで、自然志向、健康志向への関心が高まっているのが現状でございます。
       一方、霧ケ峰では地元の諏訪市観光協会が霧ケ峰花めぐりというウォーキングマップを出しまして、霧ケ峰高原と上諏訪温泉を連携させた誘客を展開しております。県といたしましては、このような地域の取り組みにつきまして、信州長野県を他県や海外からお客さんを呼び込むプロモーション戦略を推進していくと、また市町村や地域の観光地の誘客活動につきましては具体的な商品造成という形で県観光協会が見合うことということで連携して観光関係の戦略を展開してございます。本年度作成いたしました信州わくわくゆったり観光アクションプランにつきましても信州の強みであります自然を生かした観光振興の重要性に鑑みましてエコツアーなどを組みます自然体験型観光の推進などを展開方策の大きな柱としているところでございます。
       夏のニッコウキスゲから秋の松虫草、そしてススキへと移り変わっていくこの霧ケ峰のこの景色、これはまさしく長野県の自然を代表するもので、この豊な自然風景とそれと環境を保護していくという取り組みをしております霧ケ峰自然保護センターというものこの存在が観光と自然保護と両立させていくという面におきましてはまさしくエコツーリズムの拠点となるべき位置かなとかように考えてございます。私どもとしましては先ほど議員お話にありました地元の方々の観光面の取り組みにつきまして本年度設置いたしました信州長野県観光戦略会議などを通じまして積極的な支援をしてまいりたいと考えております。




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3. 諏訪射撃場の鉛害について

 次に諏訪射撃場の鉛害について林務部長にお伺いいたします。
 岡谷市川岸三沢地籍にある諏訪射撃場は諏訪猟友会によって半世紀以上にわたり利用されてきた諏訪地方唯一の射撃場です。
 平成15年辰野にある県営射撃場の土壌が鉛に汚染されているというニュースをうけ、地権者の三沢区は県に調査を依頼。結果は着弾地上方の林地で溶出量が環境基準の89倍、独自に民間研究所に依頼した着弾地内の土壌含有量調査では573倍ということで、大騒ぎになりました。射撃場から半径500メートル以内の井戸と農業用溜池の水質については基準値以内というものの、住民の間に不安は広がっています。
 この事態の中で射撃場は使用中止となり、閉鎖の意向です。
 三沢区では岡谷市の地域活性化補助事業の指定を受け、周辺一帯を憩いの場にするために、4年前から遊歩道、マレットゴルフ場、バーべキュー場、小宮御柱の木落とし坂、曳航路として整備してきており、射撃場の裏手は公園にする計画のある場所ですから衝撃の強さは当然です。
 現状把握や、浄化対策を行うにも小さな自治区や猟友会だけで対応することはとても困難なため、岡谷市や、諏訪広域連合、県知事宛に協力要請がだされていますし、全国で20箇所選定して調査するといっている国にたいしても是非採択してほしいという要望もだし、この夏には環境省の担当課長が現地を訪れています。
 投下された鉛は推定50〜60トン。精密な調査の必要やどのような規模でどんな処理を行うか、そのための費用はいったいいくらかかるのかなど現地では頭を痛め、援助をもとめています。
 そこで部長に伺います。三沢区からの要請を受けて県としてはどのような対応をされていますか。状況をお聞かせください。

      【答弁 高野林務部長】
       お答申し上げます。地元からの要請に対する県の対応についておたずねでございますが、ご指摘のとおり射撃場は近年県下各地の農山村で非常に軋轢を生じています。有害鳥獣駆除に欠くことのできない射撃の訓練の場として大変広域を有する施設でございます。そういった中で諏訪射撃場の下流の河川、あるいはため池に降雨等により鉛汚染がされ土壌が流出するというような恐れがあることからご指摘のとおり平成15年6月以降、2月・8月年2回住民の安心安全を守る立場から地方事務所通じて保健所が連携いたしまして定期的に水質検査を実施し管理しておるところでございます。そのような中にありまして射撃場の管理者であります諏訪猟友会が平成16年5月8日以降自主的に射撃場を休場しているというとこでございます。しかし、現在のところおかげさまで射撃場周辺の水質あるいは表流水そういったものにつきましては環境基準をこえる鉛は検出されていないというところでございます。県といたしましては今後ともこういった定期的な検査を行なうと共に関係市町村と連携して専門家の派遣、技術的なアドバイスを行なってまいりたいと思っております。
       また、国の今年度から検討しています射撃場の鉛対策の指針作りに向けまして県も積極的な協力をし、その成果を生かしてまいりたいと考えておるところでございます。

 いま部長の答弁の中で、定期的に年2回の検査をする、それからまた国の指針作りに協力をするというお話がございましたけれども、投下されている鉛の量が余りに膨大なために住民の皆さんはそれをどう片付けるかも含めて非常に頭を痛めているわけであります。
 そこで知事にうかがいます。
 この射撃場は先ほどもお話がありましたように、有害鳥獣駆除をするハンターの練習場にもなってきた経過からして県としても諏訪広域連合、岡谷市、三沢区と連携した取り組みが求められていると思います。国への要望や財政支援も含め今後どう対応していくのかについてご所見を伺います。
 

      【答弁 田中知事】
       ご指摘ありましたように有害鳥獣の駆除のための訓練の場という側面もございます。ただ同時にこの射撃場は私どもはすでに県営の射撃場を辰野に設けております。そのほかの多くの場はスポーツ射撃の場としてご活用になっているという形もございます。県下に14施設、このそれぞれの鉛汚染対策というものはこれは原則としてこれは設置者が行なっていくというものであろうと私どもは考えております。ただ私たちは平成15年度から本県の射撃場周辺の河川や地下水等を採集して鉛の水質検査を実施をいたしております。諏訪射撃場に関しましても諏訪地方事務所が年2〜3回採水をいたしましていずれもこれは基準値以下という形でございます。環境省が平成17年度からの2カ年計画で射撃場の鉛汚染対策のガイドラインを策定をすると、またその中で一部の射撃場においては必要な調査を実施していくということであります。これは7月22日に諏訪市に私も出向きまして諏訪地区の市町村長との意見交換会がございましたが、そのとき岡谷市長の林新一郎さんからも要望があり、私どもの生活環境部長の太田寛がお答をしております。こうしたモデルケースの中の一つとしてこの環境省の調査に採択していただけるようにということはすでにこの意見交換会の11日前の7月11日に当該の射撃場に環境省の担当課長にお越しいただいておりますが、この際にも要望を申し上げているところでございます。



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4.宅老所について

 次に宅幼老所について社会部長に伺います。
 6月の通常国会で「介護保険法改悪案」が成立し、一部はこの10月から実施となります。「このまま制度を続ければ介護サービスの費用がふえて財政が破綻する」というのが理由で、特養など施設整備を抑制しながら利用者の負担を増やし、施設から締め出すことが狙いです。
 食費の実費徴収とホテルコストの徴収で施設入所では年間40万円もの負担増になる利用者もあり、年金だけでは到底まかなうことが出来ず、大問題になっています。
 さて、長野県では平成14年より、「離れた大きな特養よりも地域の中に分散する家庭的な宅幼老所を」ということで全国に先駆けて在宅支援の整備をすすめ、県内400ヶ所を目指して取り組みを強めており、宿泊についても独自の支援策が講じられているところです。
 施設を設置する場合、新設で1000万円、改修で500万円の補助金も出ており、大変喜ばれているところですが、私どもに寄せられた情報によりますと、最近開設したいと申し込んでもなかなか認めてもらえない、事業内容が長野県のめざす「宅幼老所コモンズハウス」の理念を実現するものでなければOKがでない、合併した自治体から申請があがった場合には認めてもらえないなどの事態があるということです。
 長野県が在宅支援のカナメとして推進してきたこの事業がこのような事態になっているとしたら本当に看過できないことです。申請が上がっていても差し戻し、もしくは留保している件数はいったいどのくらいあるのか。それはいかなる理由によるものか。
 実態を明らかにし、きちんと説明責任を果たしてほしいと思いますがいかがですか。
 今年度整備予定は49ヶ所です。しかし、9月末現在で採択されたのはわずか10ヶ所で、すでに平成17年度が始まって、2分の1がすぎているのに整備状況はかなり遅れているのではないでしょうか。国から施設整備の予算がつかないもとで特養の待機者は増え続け、さらにホテルコストがはらえず追い出される人も出てくることが懸念されるなか、介護で泣かない社会をつくるために、より一層の宅幼老所の整備こそ求められていると思いますが、決意の程を社会部長に伺います。


      【答弁 田中社会部長】
       ただいまのご質問にご回答いたします。コモンズハウスの理念等をきちんと議員の方からおっしゃっていただきありがたく思っています。また決意表明ということですけれども、小学校区に1つを目指して最低でも400を、質のよいものを量的確保と合わせてすすめていきたいということをまず意思表明をさせていただきたいと思っています。最近ですが宅幼老所に関しては現場の声を聞いておりますと良質なスタッフが非常に厳しいと、あるいは立ち上げた後もなかなか利用者が集まりづらい状況があるといったような声が多く聞こえてきております。私たちも実際に宅老所をやっていただく方々には本当にきちんと安定した経営をしていってもらいたいということでかなりヒアリングのときに地域のニーズはどのような状況になっておりますかということ、あるいは開所後の収支の見通しは同様な状況になっておりますか、あるいはスタッフの介護の経験というのがきちんとありますか、あるいは運転資金がありますか、そういう基本的なことを私たちも親身になって事業として成功していただきたいという思いでヒアリング重ねてきておるところでございます。そして、今年度これまで20件の申請がありましたけれども、現場の責任者をこれから探していきたいといったことですとか、運転資金については全く考えていないんだけれどもというような計画に若干と言いますか具体性の乏しいと思われる事業6件につきましては今の状況におきましては事業の採択を保留という状況にしておりました。そのうち保留6件のうち事業者の方で再度宅幼老所の経営ということを考えてみたい等の理由から3件というものは取り下げということになっております。そして残りの3件につきましては、さらに事業計画の熟度を上げていただいて最後に私たちも是非がんばって下さいということで補助を出せるように継続的にアドバイスを行なっている状況です。
       また今年度、新築という形での事業申請が4件あったんですけれども、地域の資源であるしもた屋を活用して地域の活性化を図るという宅幼老所の当初の理念、思いだったんですけれども、そこに原点回帰をするということから新築に関しては今年度から補助をしないという形にしております。なお県が宅幼老所に求めるあり方、あるいは理念ということなんですけれども私たちはコモンズハウスというのはただ単に介護保険が適応される小さなデイサービスをやっていただきたいということではなくて、高齢者のみならず障害者ですとかあるいは子育て家庭への育児支援など地域ニーズに応じて必要なサービスをどんどん提供していただいて地域の福祉の拠点になっていただきたいということの熱い思いを持ってこのコモンズハウスを捉えておりますので、是非、志のある方と共にこれからも前向きに進めていきたいと考えております。
       そして今後の量的な確保ということですが、当然質の高い宅幼老所のコモンズハウスを必要な数だけ確保するためにはあらかじめ県の目指しているコモンズハウスの理念、あるいは方向性というものを十分に理解していただきたいということと共に利用者の掘り起しが大変重要になっております。それで今年度から開設予定者を対象に県下4箇所でコモンズ立ち上げの希望者個別相談会というものを開催して、すでに30組の事業者からぜひやってみたいというような掘り起こしもやっていますので量的な整備、質の確保あわせてやってまいりたいと思っております。ただ今年度におきましては介護保険の制度改正があるため来年度のデイサービス等の介護報酬がどのくらいになるのかということが非常に不透明だということから事業者の中にはそれを見極めてから宅幼老所の計画を再度作り上げて申請していきたいと言う声も多く聞こえておりますけれども、今回議員からご指摘いただいたとおり、宅幼老所というのは長野県が全国に先駆けて発信してきております本当にこれからの福祉と認識しておりますので、それにつきましては質の確保・量の確保を一生懸命やっていきたいと思っておりますのでよろしくお願いしたいと思います。


 今ご答弁をうかがっておりまして、長野県が売りとして気軽に民家を改修しながらそこに在宅でいるお年寄りの皆さんがひとりぼっちで寂しい思いをしたり、あるいは機能低下することがないようにということで始まったにもかかわらず、大変難しい条件をつけて、しかも、もともと運営自体がNPO法人でありますとか、小規模な運営になっておりまして、そこに加わっているスタッフの皆さんもほとんどボランティア並みにがんばっている方が大変多くいらっしゃいます。それなのに運転資金も求めたりということで新しい条件をどんどんつけてきた、しかも小さなデイサービスではなくてもっと多くの要望に応えられえるような宅幼老所であってほしいというようなことも要求しているということで、私はこの流れが本当に今求められている長野県の実態から言っても、またやってきた取り組みからいっても逆行しているのではないかと大変心配するところであります。
 それからもう1点、新築に関しては補助をしないというふうにサラリとおっしゃいましたが、新年度の事業概要の中では、新設の場合についても補助を1,000万円出すということで公表されているわけですが、どうしてそのようなことになってしまったのかと言う点で私もご指摘申し上げた点も含めてもう一度ご答弁をお願いします。


      【答弁 田中社会部長】
       ただいまの議員の質問の中で、私たちも宅幼老所コモンズハウスで非常に高度な重装備なものを求めているということはまったくございません。ただ、事業の安定というか、あるいはただ単純に小さな家を改修してただ少数の高齢者の方を集めて居場所を作るということだけではなくて、それ以上のものをこのコモンズハウスというものは担っていかなければいけないというのが私たち宅幼老所に期待するところということです。ただそれを事業者の方に期待をしているとことではなくて、私たちも一緒になっていろんな支援策、研修を今年度予算で認めていただいていますけれども、一緒になってコモンズハウスというもの宅幼老所というものを広げていきたいとそういう思いでやっておりますのでそこにつきましては是非ご理解いただきたいと思っております。
       また、新設につきましては当初から極めて趣旨としましては新築と言うのは例外中の例外という形で当初から考えていたものは民家を改修して地域にある資源を活性化していきたいという思いでこの制度を作っております。ですから、今年度に関しましては新築と言うものに関しては従来の原点に回帰しまして新築からの建築については補助の対象から外したということで進めさせていただいております。




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5.高校改革プランについて

 次に高校改革プランについて教育長職務代理者にうかがいます。
 岡谷工業高校と須坂高校の平成16年度から定時制募集停止がうちだされたとき、関係者から大きな反対の声が沸きあがり、何とか存続をと願ったにも関わらず、少人数では教育効果があがらない、近隣の学校に十分通えるなどの理由で廃止が強行されました。
 いま、現状はどうでしょうか。
 働きながら岡谷から箕輪工業高校の定時制に通っている保護者からお話しを伺いました。飯田線の列車が1時間に1本しかなく、登校するのも不便、下校するにも9時10分の電車に乗り遅れれば、あとは10時12分まで真っ暗な無人駅で待たなければならない。やっとのことで家に戻れば11時近くになってしまう。結局、心配で親が車で送り迎えをしているということです。
 この送り迎えについても片道30分かかり往復で1時間。それを1日に二回繰り返すわけですから送る側にとっても大変なことです。送っていって帰ってくるのも容易ならないということで、子供さんの授業が終わるまで車のなかで4時間も待っているそうです。
 こんなことが長続きするでしょうか。
 こんな状態なのに「高校改革プラン」では定時制を統廃合し、単位制・多部制を含め現在の23ヶ所から13ヶ所に集約してしまうという乱暴な提案をしています。長野県のように公共交通機関も発達せず、山あいの集落が多い地域で、半減してしまえば生徒たちにどのような影響が出るのか、通学時間や経済的負担などについて県教委はどのような検討をして統廃合案を提案したのか、是非明らかにしてほしい。教育長職務代理者に伺います。

      【答弁 松沢教育長職務代理者】
       お答申し上げます。定時制の再編整備にあたって生徒たちへの意見についてのご質問でございます。
       現在の定時制で学ぶ生徒たちは就労のため夜間に学びの場を求める生徒は減少しておりまして、かわって不登校傾向のある生徒や他の高校を中途退学した生徒など多様な学習歴、生活歴を持つ生徒が多く入学してきております。このような状況から今回の改革プランでは検討委員会の最終報告書に基づきまして学びの場と居場所に配慮した多部制単位制高校の独立校を各通学区に1校ずつ配置することを候補案でお示ししたところでございます。多部制単位制高校は、学ぶ時間帯も、学ぶ科目も、学ぶ年数も自分のペースに合わせて選択することが可能となっておりまして、多様なニーズに対応することができる柔軟なシステムでございまして従来の定時制課程では卒業までに4年かかりますが、多部制単位制高校では3年で卒業に必要な単位数を取得することが可能になっております。多部制単位制高校の配置を含めた定時制課程の再編整備によりまして生徒たちによりよい教育環境を作ることができるものと考えておるところでございます。以上でございます。


  いまよりよい環境を作るというふうにおっしゃいましたけれども、先ほど私が例を挙げたのはごく一部で例えば富士見から多部制単位制ということで箕輪工業高校に通うことを考えて見ましょう。先ほど岡谷に帰ってくる時間は11時過ぎるとお話させていただきました、しかし、同じ列車で帰ってきたときに上諏訪の10時55分で列車が止まってしまえばそれ以降列車がなくて富士見に帰り着くことができないんです。これは時刻を調べれば次の日の朝6時何分でしか帰れないというのしか出てこないんです、そういう状態の下で身近に居場所を作るといっても通うことが出来ないわけですから、私はこの県教委の考えや案が本当に実態を無視していると思うわけです。
 次に上田高校定時制生徒のお話もお聞きしました。4年生は19人いるそうですがそのうち14人はアルバイトなど仕事をもっている生徒さんだそうです。今提案されているように坂城高校に通うとなれば仕事も今より早くきりあげなければなりません。通学定期代や時間も余計にかかるわけです。いまも給食費が払えず修学旅行にもいけないといっている生徒もいるのに、更なる負担を負わせることは通学を断念させることにもつながり、未来を閉ざすことだとおっしゃっておられました。
 国連子供の権利委員会は定時制高校をきちんと評価し、弱者を切り捨てる日本の「教育改革」を問題視して、日本に対する最終所見で「定時制高校が特に学校から脱落した子供に対して柔軟な教育機会を提供しているにもかかわらず東京都においてそれが閉校されようとしていること」を懸念し、「定時制高校の閉校を再考し、従来の競争主義的なそれとは異なる形態の教育を拡大する」よう勧告しています。これは東京ばかりでなく長野県にも当てはまることです。
 イジメや不登校、ひきこもりで学校に行けず、苦しんだ子供たちが少人数でアットホームな定時制に最後の居場所を見つけ、自分に自信を持って元気に通い、仲間の中で自らを成長させ自分を変えようと頑張っている姿があり、経済的に恵まれないために働きながら自分の足で立とうとがんばっている生徒がいるのに、「国連子供の権利委員会」の勧告もあるなか、定時制を統廃合して削減してしまうことは学ぶ権利を奪うことにつながり到底容認できません。教育長職務代理者の見解をうかがいます。


      【答弁 松沢教育長職務代理者】
       定時制の再編整備が学ぶ権利を奪うことになるのではないかと、いったような趣旨のご質問でございます。このたびの候補案でお示しいたしましたように、すべての定時制を多部制単位制に統合するというものではございません。各通学区に設置をいたします多部制単位制高校との関係で統合した方がよい定時制もあれば通学の利便性等からこれまでどおり存続していかなければならない定時制があろうかと考えてございます。再編整備を行なうことにより、生徒の学びの場を奪ってしまうということのないようにしていかなければならないと考えておるところでございます。定時制高校の再編整備にあたっての基本的考え方を推進委員会にお示しをいたしましたが、その中で募集停止した学校の空き教室を活用して生徒や保護者、地域の要望に応じて相談室を開設することも提案させていただいているところでございます。以上でございます。

 あまりに現実とかけ離れている認識ではないでしょうか。
 定時制関係者が県内の生徒にとったアンケートもみさせていただきましたが、少人数で通学可能な範囲だから選んだという生徒が6割もいるのです。このアンケートも、校長会からクレームがつき、23校中、11校からは協力が得られなかったと伺っています。それでも現に在学している431人の子供たちの切実な生の声が反映されており、大変貴重で参考になるものです。
 本来なら県教委がとってもよいアンケートです。
 推進委員会での検討を進める際に、県教委としてきちんと資料提供や説明責任を果たしているでしょうか。
 次に、推進委員会のあり方について伺います。県教委は、12月いっぱいで方向性を出してほしいと期限を示し、月に二回のペースで十分調査研究する余裕もなく委員会を開かせ、せかせることによって、自由闊達な論議を保障しないまま、「削減先にありき」で結論付けようとしています。
 各推進委員会で「30人学級」や「財政試算」を議論させないように、委員長権限でおさえこんでいる傾向や、教委事務局が必要な質問に答えないなど、非民主的な運営や期限にこだわり、本質的な議論ができないことは、改めるべきではありませんか。教育長職務代理者の見解を求めます。


      【答弁 松沢教育長職務代理者】
       多部制単位制や定時制の検討を進める際に、資料提供や説明責任を果たしたかとこのような趣旨のご質問でございますが、多部制単位制に関しましては他県に設置されているいくつかの多部制単位制高校の事例についての資料や今後長野県に設置していくことが想定される多部制単位制高校のイメージについての資料などをお示ししてきたとおりでございます。
       定時制に関しましては、再編整備にあたっての基本的な考え方や再編整備にかかる定時制の充実に向けた取組みについての資料を提示するとともに定時制課程の募集定員、入学者数、在籍者数の推移、定時制や通信制高校への中学生の進学状況に関する資料などをお示ししてきたところでございます。また、推進委員の皆様から資料要求がありましたものにつきましても、その都度提示して説明をさせていただいているところでございますので、必要な資料提供はしてきており、これらの資料を参考に各推進委員会では具体的な議論が展開されているところでございます。
       つぎに推進委員会の運営についてのご質問でございます。推進委員の皆様のご理解・ご協力いただきまして6月以降、月に2回開催することができましてこれまでに各通学区とも8回の推進委員会を開催してきたところでございます。候補案を検討材料にして、地域の実情に見合った具体的な審議を精力的に進めていただいているところでございます。また今後につきましても、月2回の割合で開催しますと12月までには都合14回を開催することが可能でありまして、十分な審議が期待できるものと考えておるところでございます。以上でございます。


 いま県教委としては様々な資料を提供して議論をしてもらっているというお話がありました。しかし、私は伺っておりましてそこには本当に子どもがいないと、子どもが存在していないその中で単なる地図上で見て何分でいける、こっちへ行け、こっちは公共交通機関に近いということで合わせたりしているだけだという印象を持ちました。本当にこのままの形で長野県の子どもたちが教育権を奪われていくような形の統廃合にさらされていくのではたまらないという思いで一杯であります。
 つぎに、いま盛んに知事は対案を出せといっています。しかし、対案を出すためには財政試算が不可欠です。
 推進委員会や文教委員会で削減による財政的な影響はいくらになるかと求めても県教委は一切明らかにしていません。財政試算を是非示していただきたいと思いますがどうですか。教育長職務代理者にお願いします。


      【答弁 松沢教育長職務代理者】
       高校再編整備に関わる財政試算についてのおたずねでございます。平成17年5月29日に第1回目の推進委員会の開催以来、推進委員会には再編整備に関わる様々な魅力づくりのご検討を精力的にしていただいているところでございますので、財政的な効果についてお示しいたしますと教育的な観点より財政的な観点が強くなってしまいますことを危惧しておりました。また、再編整備候補案はあくまでも各推進委員会に検討材料としてお示ししたものでございまして、これを基にした財政シュミュレーションを公開することで候補案があたかも決定事項のように受けとめられてしまうことも懸念したところでございます。しかしながら、再編整備が及ぼす財政への影響について示すようにという要望がそれぞれの推進委員会などにおきましても多いところから、仮に現在推進委員会にお示ししている県立高校再編整備候補案のとおりに平成19年度より計画を実施するならば完成年度においてどのようになるかを推計いたしました。その結果といたしまして、現状のままでも生徒数の減少に伴ってある程度以上の教職員数の人数が減少いたしますので、その分を差し引いた実質的な再編整備の効果といたしまして、教職員数が約230名減少となり、学校運営費を含めまして毎年約23億円の経費の節減となることが想定されているとこでございます。ここには、総合学科高校や多部制単位制高校などの新たな高校の設置に関わって必要となる経費の増加分などは含んでおりませんので、高校再編整備にあたって必要となる予算の確保をできるように財政当局にはお願いし、よりよい高校づくりに務めてまいりたいと考えている次第でございます。


 長野県の教育改革は遅れていると常々言われています。今全国で行われている改革は一部の生徒だけを伸ばし、大多数の子供たちを排除しながら、財政難を理由に非効率なものを切っていく改革でおよそ教育とはかけ離れたものです。
 教育委員長は先番議員への答弁で、「少子化が進行し、規模が縮小している。魅力づくりのためには一定規模以上の学校が必要」といっています。教育委員長に伺います。子供たちを多人数の中で競わせることが、教育効果があがるという考え方は、国連子供の権利委員会でも「教育制度の過度な競争的な性格が、こどもの肉体的及び精神的な健康に否定的な影響を及ぼし、かつ子供が最大限可能なまでに発達することを妨げている」と指摘され、是正を勧告されています。
 教育委員長はこのような勧告をご承知でしょうか。また改革プランにはどのように生かされているでしょうか。


      【答弁 宮澤教育委員長】
       現行の小規模高校の沢山ある中である程度統合して高校を大きくしていくということが教員の配置の面からしましても、また、生徒そのもののコミュニケーション、社交力の面からしましても必要ではないかと思います。私もいまずっとお聞きしていましてつくづく思いますことは、現在、高校改革でやっております。これは公教育という立場でございますし、しかも高校生という15歳から17歳の子どもたちの話でございます。従って子どもというと何か小学校からの子どもというようにも聞こえるんですけど、自主性あるいは自立に根ざす年齢の子どもたちでございますので、どうかその辺もお考え合わせていただきたい、私の認識不足かもしれませんがどうかお願いします。


 いま教育委員長さんからお答をいただきましたけれども、私がご質問した内容には答えていただけていないのが残念でありますが、なおかつそれに加えて非常にとんちんかんなご答弁をされたことは残念であります。当然のことながらいま話題にしているのは高校改革プランということで高校教育をどうするかということでありますが、一番多感な子どもたちに今の時期にどのように一人一人に即して子どもたちの個性を伸ばす手厚い教育ができるかと、子どもたちの実態に即した手熱い教育ができるかということで手立てがされなければならないというふうに考えております。それなのに、いまのお話のように自分たちの都合だけで高校統廃合してしまうことには強く抗議をするものであります。
 改革というなら定時制の問題でいうなら、もっと体育でも芸術でも選択できる科目を増やしてほしいと、学校の条件を良くして欲しいといっているので、そのことのほうが先決だと申し上げて私の一般質問を終わります。



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