4.看護師需給計画について
次に看護師の医療現場における実態と看護需給計画について伺います。
厚生労働省は、2006年から次の5年間の看護師需給計画を本年12月までに策定するため、各都道府県に看護職員実態調査を行ったうえで、9月末までに次の5年間の需給計画を提出する事を求めています。
そこで、衛生部長に伺います。
まず、今までの5年間の需給見通しの結果は、2005年の今年度は2万3338人の需給計画に対して、2万3519人の就業者実績となり、数字の上からは需給計画は順調に達成しているとの評価になります。
しかし、実際の看護現場では常に慢性的な看護婦不足に追われ、看護レベルと患者さんの安全をまもるため、常に看護婦確保対策に追われている看護管理者の苦労されている姿とはかけ離れた感があります。
私も、小さな診療所の看護師長としての経験がありますが、それは実感です。
日本医療労働組合連合会の実態調査によりますと、看護師の6割が「とても疲れる」、と答え、仕事に追いまくられ満足な医療・看護ができない中で、バーンアウトが後をたたない状況が出ています。慢性疲労が8割、健康不安が7割を占め、看護職全体の3分の2が仕事を辞めたいと思っているという危機的状況があります。
全国病院団体の調査でも、7割の病院が看護職員の確保が困難と回答しています。
そこで、今回7月に行われた看護現場の調査に基づき算定された、次の需給計画には、その点の深刻な実態を踏まえて、解消が図られる方向となっているでしょうか。医療現場の最前線でのご経験のある澤田衛生部長に伺います。現在の看護現場の状況をどのようにお受けとめになっておられるのか、長野県として次の5ヵ年の看護師需給計画に盛り込むべき課題をどう捕らえておられるのか、7月に行われました、県下の看護職員需給計画での調査項目に、反映されたのか衛生部長に伺います。
ただいまの澤田衛生部長のご答弁いただきましたが、私はちょっと辛い思いでございます。諸外国に比べた場合、100床あたりの看護師数は日本42.8人でドイツ102人の半分以下、イギリス129.2人の3分の1、アメリカ230人の5分の1という大変劣悪な人員配置の状況となっています。また看護業務を整理する必要があるとお話いただきました。しかし、私はその方の生き方に沿いながら、その方の療養生活をご援助する、そのすべてが看護でございます。やはり私は必要な人員が、人が大切だと思うわけでございます。
次の5年間の実態調査からの需給見通しでは、新卒者の確保定着と再就職希望者の雇用支援が大切と思われますが、看護師養成計画と県内への就職状況、はどうでしょうか。
看護師養成では、駒ヶ根看護専門学校が閉鎖され、駒ヶ根看護大学にレギュラー3年過程の看護学科の併設を強く望む、こういった声に応えて検討していただけないでしょうか。松本大学に看護学科ができるとも聞いていますが、看護師養成見通しはどうなっておりますでしょうか。また準看護師の国家資格を取るための支援策はどうでしょうか。よろしくお願いいたします。
【答弁 澤田衛生部長】
過去5年間に県内の看護師等の養成学校を卒業し、県内に就職された看護師の就業割合は概ね60%程度で推移しております。また、議員のおたずねの準看護師の支援制度でございますが、実は厚生労働省は今世紀つまり21世紀の早い時期に準看護師制度というものは廃止するという方針を打ち出しています。先月私どもは、県内にあります準看護師学校に対しましてその閉鎖の予定の有無を尋ねましたが、県内の準看護師学校ではどこも閉鎖の予定は全く立てていないということでございます。どこにどういう落とし穴があるのかわかりませんが、私どもは県立の準看護師さんから今度は正規の正看護師さんに上がっていく進学校は廃止いたすことにしておりますがいずれ医療看護の高度先進化に伴って準看護師の養成所というものは無くなっていく運命にあるかと思います。また現在、準看護師を持っていて、あるいは学校に学んでいてその方々が将来正看護師となっていくような望みがあるということでそれを進学コースというふうに申しますが、それを2年制の養成課程3校がございます。佐久と上田と長野にございますが、そこに対しまして県は平成16年時点で4,209万円の補助金を出してその方々の養成に努めております。また駒ヶ根の看護大学に3年課程の看護師養成学校をということでございますが、今須坂と木曽にある3年制の養成学校で今のところ新しい看護師さんの養成数というか需給はいまのところ望めない需要はないということで県としては目下のところそこに3年課程を併設する予定は持っておりません。以上です。
看護師の離職理由や産休・育児休暇などの取得状況の実態調査などはされているのでしょうか。
医労連の調査では20代の看護師は過度のストレスと慢性の疲労のため不眠と答えている人が約半分おります。新卒の離職者は約1割にもなっております。また妊婦の看護師では切迫早産の比率が女性の他の就労者よりもダントツに高くなっております。
いったん看護現場を離れた看護師の再雇用の支援をする、ナースバンク・ナースセンター事業は、現在県看護協会が担っていますが、実効性あるものにするための協会の努力にもかかわらず、県のナースセンター委託料は年毎に削減されています。県としてこの事業の必要性や実状をどのように把握され認識されているでしょうか。さらに実効あるものにするための県としてともに取り組む姿勢が求められていると思いますが、その点を衛生部長に伺います。
ただいまのご答弁は大変ありがたく思います。ナースバンク・ナースセンター事業等は看護協会が委託を受けておりますが、今衛生部長がおっしゃっていただいたような長野県としての状況はどうか、こうようなところは是非一緒になってとりくんでいただくと、県が直接調査をするよりも、看護協会の中での調査の方が生の現場の声が出るのではないかと私は思います。
政府はここ数年医療福祉の国民負担・個人負担をどんどん増やしています。医療費の値上げ、介護保険料の値上げ、そしてこの10月からの食費・居住費の自己負担の押し付け、さらに高齢者控除の廃止による負担などなどなど、医療・福祉の現場では医師・看護師の不足で患者様や利用者さんの安全安心の環境が脅かされています。この現実を直視し、国政においては、憲法25条の精神に立ち返り、医療現場での看護師配置基準の大幅な改善と診療報酬での保障、看護師が結婚し、安心して子どもを生み働き続けられる職場環境作りに力を入れていただくよう、長野県として国に求めて戴きたく思います。知事のご所見を伺います。
国連ではILOの看護職員条約を1966年ですけれども作成をして各国に批准を呼びかけております。看護の仕事というのは国民の命を守る仕事であり、また24時間病棟においてはずっと継続する仕事であります。看護のあり方、看護師の労働、生活条件をどうするか、これはまさに看護師の問題だけではなくて、国民の健康をどう守っていくか、ここに直結する課題だということを申し上げまして私の質問を終わります。
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