5. 浅川の治水対策について
最後に、浅川の治水対策について土木部長にお伺いします。
平成9年、河川法の改正がされました。そのポイント、そこに定められた河川整備計画に盛り込むべき考え方の基本が今回の浅川の河川整備計画県案にいかされていると思いますが、ポイント、基本についてご説明をお願いしたいと思います。
今ご説明いただいたとおりですが、今まで以上の環境への配慮、住民参加でその河川の特性に合わせた総合的な計画を立てないさいというのが河川法改正のポイントだと思います。それで、今後の総合的な河川整備にあたり、基本高水の設定などを含む長期的な方針を定めた河川整備基本方針と、「おおよそ20年から30年間程度」を計画対象期間とする具体的な河川整備に関する事項を定めた河川整備計画をそれぞれ策定し、策定にあたっては学識経験者、地域住民、地方公共団体の長の意見を聞かなければならない、とされています。まだまだ、この部分の不理解や混同が多くの人の間にあろうかと思われます。
現在、改修の進んだ浅川では、天井川部分の河床は10メートル以上も切り下げられて基本的に掘り込み河川となり、破堤の可能性はなくなりました。今後の浅川の洪水対策としては、内水対策、都市型水害対策がますます重要であり、これらの対策が、基本高水450トンにカウントできないからといって、浅川の洪水に有効でないということにはなりません。逆に、数字の辻褄あわせのために、地すべり地帯へのダム建設や河道内遊水地などで、仮に450トンが計算上はクリアされたとしても、浅川流域の住民にとっては安全が脅かされかねません。
私は、今回提案された浅川の河川整備計画「県案」に内水対策が正式に盛り込まれたこと。住民からの提案を受けての土砂対策などが具体化されたこと。などを歓迎し、今後、流域住民や関係自治体に対して河川法や国土交通省の方針の正しい理解を深めていく努力を県としても繰り返し行なうべきだと思っています。青山副本部長のご見解を伺います。
以前にも紹介させていただきましたが、これは広島県の、これは岩手県の、これは富山県のそれぞれの例えば北上川とか、太田川とかその水系の河川整備計画の新しく出来上がったものです。これを拝見しますといまお話のありました河川法の改正にそって環境問題、植生、そして文化、歴史、人と水との関わり、まさに総合的な観点から様々な点が計画に含まれております。基本高水の数量をどう配分するかという狭い配分だけが河川整備計画ではないと、ここの理解のところを是非県としてもご努力をして、住民の皆さん、それから首長の皆さんへのご説明の徹底に一層務めていただきたいことを改めてお願いをしておきたいと思います。
さて「県案」の提案時期は、最初は「夏頃まで」、そして「秋まで」、「遅い秋まで」とご説明をされていましたけれども、今回ついに冬になりまして、大幅に遅れてしまいました。その大幅に遅れた理由について、改めて土木部長にご説明をお願いします。
この案を固める前に住民の意見を聞きたいということで、非常に手間取ったという趣旨のご答弁だったかと思います。いずれにしましても5月頃に住民の皆さんには遊水地案などについてご意見を聞く説明会を開くという県のご説明だったと思います。その辺が何故手間取ったのかというところをもう少しわかりやすくご答弁いただきたいと思います。
役員が了解しない案でなければ、了解する案でなければ説明を受けられないと、それは100年確率、450トンの案を持って来いと、そうでなければ説明は聞かないということだったのではないですか。いかがですか。
そういう理由で説明を拒否していた組織に、「浅川総合治水対策連絡協議会」という組織がありますが、この会はどのような性格の組織と認識されているのか。お伺いをしたいと思います。
この会は、発足時に、「浅川ダムに反対しているから」という理由で、日本共産党の県会議員、市会議員を顧問からはずしました。今年度の役員名簿では、田中清一議員も顧問からはずされています。長野市内に数多くの期成同盟会や対策委員会がつくられていますが、考え方の違いを理由に選挙で選ばれた公職の議員を意図的に顧問からはずしているこのような組織は、あまり聞いたことがありません。浅川流域の区長や、治水関係組織の役員を自動的に組み込んでいるこの協議会ですが、名前は「浅川総合治水対策連絡協議会」ですが、「ダムに反対している」議員を顧問からはずす。実態はダム建設推進協議会と言わざるを得ません。長野市では、何も区長さんというのは、ダムに賛成か反対かを公約して選挙で選ばれるわけではなく、ほとんどが1年交替で、ダムに賛成の住民にとっても反対の住民にとっても、区民の調整役であるはずです。浅川総合治水対策連絡協議会が、決して浅川流域住民の治水対策に関する意見を代表するものではないということを指摘しておきます。
さて、基本高水450トンは昭和61年9月の洪水から算出したひとつの計算結果ですが、仮に、この計算結果が適切なものだったとしても、実はこの計算結果は440.06トンだったものを切り上げて450トンにしたものです。鷲沢長野市長は、口を開けば「治水安全度を守るために、1トンたりとも下げることは認めない。」と主張していますが、計算結果を約10トン上乗せしてある基本高水を根拠に、「1トンたりとも下げることは認めない。」と主張すること自体、大変こっけいとしか言いようがありません。
昨年10月の台風23号では、長野気象台が1889年(明治22年)に観測を開始して以来115年目に記録した最大値の、ほぼ100年確率に匹敵する雨が降りました。その結果、実際に測定された流量は、ダム計画地点が基本高水130トンに対し19.3トン、中流の富竹地点が計算値260トンに対し実際の流量は43.8トンだったというひとつの結果が出ています。
参考までにお伺いします。今回の「県案」では、ダム計画地点、富竹地点で、どの程度の流量に対応できるのでしょうか。
ただいまのお答えで分かりましたことは、少なくとも昨年の秋10月の100年確率にほぼ匹敵する雨が降ったあの台風災害では今度の県案は十分対応できるということが分かったと思います。
いずれにしても私たちは、基本高水450トンの数字の呪縛にとらわれた狭い感情的な議論やダムの賛否を乗り越えて、流域住民が納得できる河川整備計画作りのためにお互いが協力し合うことを、広く県民の皆さんに呼びかけていきたいと思います。
最後に知事にお伺いします。
浅川の水害と深いかかわりを持つ千曲川の河川整備基本方針や河川整備計画は、国において今なお策定されておらず、天竜川水系に比べても大きく遅れています。千曲川河川事務所の事業費も年々減少しています。
千曲川の抜本的改修の前進と予算確保のため、国への働きかけを今まで以上に強めていただきたいと思いますが、知事の具体的な決意をお伺いします。
12月10日、勤労者福祉センターの教室に会場あふれる140人が集まりまして、今回の県案と新河川法を学びました。青山出納長がその席で「皆さんふるさとの川じゃありませんか、角付き合わせることなく、力を合わせて安全な川にしてまいりましょう」と本当に私は感動いたしました。これからも力をあわせて安全な川づくりがんばっていきたいということを申し上げまして、以上で質問を終わります。
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