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2006年 2月議会
100条委員会関係
石坂議員(3/23)

* 記事はすべて、共産党県議団事務局のテープおこしによるものです。

議第22号「記録の提出拒否に対する告発について」に反対の討論

 この告発のご提案によりますと、「正当な理由なく事実上記録を提出しなかった」とされています。しかし、何をもって正当な理由があるかないかを判断する場合。その基準、すなわち、民事訴訟法第220条によれば、「もっぱら文書の所持者の利用に供する文書」、つまり、個人のメモや私有物については、たとえ裁判所であっても文書提出命令を強制的に出すことはできないとされています。わかりやすく言いますと、私有物を所持しているご本人が出したくないという意志があれば例え裁判所であっても、法の規定をもっても、ただいま民事訴訟法220条をご紹介いたしましたが、強制的に提出させることはできないということです。これが法治国家日本の法律になっております。この民事訴訟法をもってしても強制的に提出をさせることが出来ない個人の所有物をご本人の同意なしに、例え調査権のある100条委員会であっても、議会は強制できないことはおわかりいただけると思います。
 100条委員会の記録提出の請求に対し、請求を受けた当事者が誠意を持って協力しなければならないのは当然のことではありますが、個人使用の手帳というのは、個人のプライバシーにも深くかかわるものであり、個人情報、プライバシー保護の立場から、当事者が提出を拒んだとしても、委員会として当事者の権利を全面的に否定してまで強制することはできず、それだけで告発できるかどうかは民事訴訟法上、極めて難しい問題であるといえるのではないでしょうか。
 しかも、この個人手帳の提出により100条委員会が入手できる情報として考えられるのは、当時の知事周辺の公的な日程の確認等が主要な目的と思われますが、この手帳が提出されなかったことによって、100条委員会の調査が、著しく暗礁に乗り上げたとか、調査の大きな障害になったというものではありません。
 告発が法的な処罰を前提にしている以上、今回の個人手帳の提出の事実上の拒否が、法治国家日本の関係法令上の充分な検証の上になされなければならないことは当然のことであり、この告発がそのような検証の上にされているのかは、以上、申し上げました理由からも、大いに疑問のあるところです。   
 今回の個人手帳の事実上の提出拒否だけを以って、告発に値するものではないことを述べて、反対の討論といたします。



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議第23号「虚偽の陳述に対する告発について」の反対討論

 この告発につきましては、ただいまもご説明がりましたとおり、100条委員会での田中知事の「下水道事業の改革は土木部も含めた全庁的な共通認識であった。」とする証言と、当時の下水道課や下水道公社等の関係職員が平成14年12月25日付の「下水道公社改革の方向」という文書が出されてから、初めて具体的な改革がスタートしたと証言していることが時期的に矛盾しており、知事の証言は偽証である、というものです。
 ただいま提案のご説明をお聞きしておりまして、問題にされております知事の証言、「下水道事業の改革は土木部も含めた全庁的な共通認識であった」このセンテンスの解釈が実に様々なものだなということを私は改めて認識をいたしました。提案者はこの知事の証言がすでに改革が全庁的に始まっていたと断定している証言と捉えて提案をされておられますが、この証言の解釈をめぐっては例えば下水道事業を改革しなければならないという課題であるということが全庁的な共通認識であったと解釈することもでき、その意味でこの解釈をめぐって様々な議論があるものを偽証の対象にすることも、非常に無理があると痛感を改めてするものです。議場の皆様もよくご承知のように、県の下水道事業に、できる限り地元の業者が参入できるようにという要望を受けての改革の方向は、田中知事就任以前からの県内関係業者の願いであり、県議会での質問や意見書の採択もありました。従って、田中知事が就任後、具体的な改革を指示する文書が出された時期との食い違いだけにこだわっても、「全庁的な認識であった」か「なかった」かの証明にはなりえません。また、知事が「全庁的な認識であった」と考えていても、担当の職員の認識は全然そうなっていなかった、という事態はありうることですが、それは、見解の違い、認識の違いの世界としか言いようがありません。
 地方自治法第100条第7項によって処罰の対象となる「虚偽の陳述」の告発は、刑法172条の「3ヶ月以上10年以下の懲役」の対象になるものですが、その意味で、有罪判決に足りうる明白な事実でなければ告発の対象とはなりえないものであり、見解の違い、認識の違いがその対象になりえないことは明白です。見解の違いや、認識の違いが犯罪であり、処罰の対象になるならば、この社会には、犯罪者があふれることになってしまうのではないでしょうか。
 100条委員会や、県議会が多数の賛成で認定したというだけでは、犯罪となるものではありません。告発の自由、権利は、当然個々の議員に認められてはいるものの、司法の場への告発にあたっては、県民に確信を持って説明でき、かつ歴史と法の検証に耐えうる良識ある判断が求められていることを申し上げまして、反対の討論といたします。



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議第24号「虚偽の陳述に対する告発について」に反対の討論

 この告発は、田中知事が、100条委員会での証言で、元知事後援会幹部の働きかけに関する文書の公開請求に対し、当時の経営戦略局参事がこの文書を「私的メモ」として非公開にし、下水道課長らに文書破棄を命じたことに対し、「私から直接の指示はありません。」と証言したことが虚偽の陳述にあたるというものです。
 100条委員会の調査結果を認定する、その反対討論でも申し上げましたし、ただいま提案者のご説明にもございましたが、この件については委員会の調査報告書でも、「知事の直接の指示については確認できなかった。」とされています。
 告発人は、一連の経過について、知事が「電子メール等により逐一報告を受けていたにもかかわらず、公文書の公開又は破棄を禁ずる等の適切な指示を何等行なっておらず、結果として公文書を破棄するという行動を容認していたものである。」「このため、知事は、言外において、当該公文書を破棄するよう指示を出したものと判断できる。」としています。しかし、「言外において指示を出したものと判断できる」ということと、直接指示したこととは明らかに事実は違っており、事態を容認し、止めなかったことをもって、「直接の指示はありません。」という証言を虚偽の証言と断定するのは、論理の飛躍とかなりの無理があると言わざるを得ません。「言外に指示したもの」と「直接の指示」は全く違う、というあたりまえの事実を指摘させていただきます。申し上げておきますが、虚偽の陳述とは、事実でないことを述べることです。
 知事が関係文書の非公開や破棄を止めなかったことは、すなわち事実上それらを指示したこと、というひとつの推測はなりたちますが、推測だけでは、到底、告発の根拠とはなり得ません。
 告発議案全体の反対討論を終わるにあたりまして、関係法令による充分な慎重な検証もなく、見解や認識の違い、推測や感情だけでは司法への告発は不可能であること、結果として告発に値せず、名誉毀損や人権侵害にあたる場合も覚悟しての慎重で充分な法的検証が告発にあたって不可欠であることを申し添えまして、議員の皆様の良識ある判断に期待して反対の討論を終わります。



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