6.教育について
次に教育についてお伺いしてまいります。
まず、長野県は30人規模学級が長野市を含め市町村の協力の下、6年生まで充実することができるようになりました。自立支援教育や病児教育などを充実し、すべての子どもたちに教育の保障をめざす事業などの細やかな教育予算が県予算の24%を超えるまでに前進し、予算の姿からは教育県長野と誇れるものです。
しかし、今高校改革の進める方向をめぐっては、教育委員会の一方的とも思える進め方、各推進委員会の強引な「報告書」のまとめ方など、およそ教育的配慮また民主的なすすめ方とは、かけ離れたものになっており、関係者から異議抗議が続出しています。
そこで教育委員長に、改めて長野県教育がめざすべき教育の基本的視点をどこにおくのかお伺いを致します。
また、教育基本法ついて、日本共産党はその理念をいまこそ教育改革の視点に据えることこそが求められているのであり、教育基本法の見直しはしてはならないと考えますが、教育委員長の教育基本法に対するお考えを伺います。
教育委員長は2日ほど前に、子どもたちに学ぶということをおっしゃられたように思います。私は、子どもたちに学ぶと、一人一人の自らの思いを表現することが出来る。こういうことが、そこを応援していく長野県教育委員会であっていただきたいと思います。
長野県の高校改革の進め方について教育委員長にお伺いします。
各推進委員会の報告書が提出されましたが、地域の声が反映された結論にはならず、むしろあくまで県教育委員会の土俵の上で強引にまとめられたように見受けられる結論も多く、納得できるものではありません。多くの市町村議会から意見書が挙げられ、県議会が求めた「当事者である高校生をはじめとする県民の意見を充分反映し、県民的合意が得られるよう慎重な検討を求める」決議も2回上げてきましたが、考慮されてはいません。
各推進委員会の論議と平行して県民的な論議や署名活動などかつてない運動が湧き上がっています。この多くの県民が高校改革に寄せる真剣な願いをこそ教育委員会が正面から受け取ることが何よりも大切ではありませんか。
高校統廃合は、地域の皆様の合意が得られたところからは進めながら、合意が得られていない統廃合再編は強引に進めるべきではありません。
実施計画の策定は実態にあったより柔軟なものにし、来年度からの実施のみを急ぐことなく、段階的な実施となるよう求めますが、教育委員長にご答弁をお願いします。
次に定時制高校が今日果たしている役割について教育長に伺います。
現在、県内の定時制に通う生徒は1600人を上回り、最近は希望者が定員を上回る状況も出ています。定時制に学ぶ生徒の比率も増えています。定時制に学ぶ生徒の多くは小学校、中学校の義務教育で何らかの理由で登校できなかったリスクを背負った生徒が入学希望をしています。教育基本法の恩恵にも預かれない、こういう生徒さんがいるのではなでしょうか。 また最近は家庭の経済状況の悪化で働きながら定時制を希望する生徒も増えています。長野県はこのような生徒に寄り添った定時制高校を存続し、学習環境を整える事ことこそ大切ではないでしょうか。
昨年、上田高校の卒業式に定時制卒業生が答辞を読みました。大変感動的です。一部をご紹介させて戴きます。
「4年前の4月5日それぞれが傷をかかえ不安を抱え、ほかに行き場がなかった私達。そんな私達を定時制はあたたかくうけいれてくれて、今日まで見守り続けてくれました。この場所があったから私たちは4年間笑って過ごす事ができました。仲間たちは人の心が解かる心の優しいやつばっかりだったし、先生方は困らせてばかりの私達を誰一人見放さずに大きく深い心で受け止めてくれました。不登校だった人、他の学校を中退してきた人、身体の弱い人、仕事で疲れている人、年齢も性格もばらばらな生徒たちが同じ一つの教室に集まって受ける授業では、そんな私たちを一人一人のことを思って下さり、皆がわかるようにペースを合わせてくださる先生方。まわりの高校生には到底かなわない私達だけど、ここで受けた授業からは、教科書には載っていない大切なものをなにより心で学びました。−中略―
4年前うつむきながらくぐった正門を、今日は顔を上げ自信をもってこの4年間がぎっしり詰まった卒業証書をしっかりと手にして、胸を張って出てゆく事ができます。そしてこれからの人生もここで学んだことを忘れずに、自分らしく胸を張って生きてゆきます。この仲間と出会い今日ここに共に立っている事を私は心から誇りに思います。最後に今までお世話になった方々に感謝の気持ちを込めてこの言葉を送りたい本当にありがとうございました」こういう卒業された生徒さんの言葉から、定時制高校の果たしている今の教育の姿がつづられています。
高校改革プランや推進委員会の報告では、多部制単位制高校へのシフトが盛り込まれていますが、全国一番の不登校生徒を抱える長野県は定時制高校こそは、今の長野県にとって、また子どもたちの豊かな教育の場を保障するとして必要な存在となっているのではないでしょうか。多部制単位制高校を否定するものではありませんが、自分のリズム・自分のペース・自分で学習計画を進めること等が特徴です。ホームルームさえ持つ時間は保障されないのではないでしょうか。より自立をめざす高校であり、定時制を希望する今の生徒の多くがまた行き場を失うのではないでしょうか。勤労学生への仕事と勉学の両立への配慮、仕事を終えての夕方そして下校も交通機関があることが大切です。上田に出るだけでも大変なのにさらに坂城・屋代へなどと第一通学区に第二通学区の子どもたちを通わせようというのでしょうか。さまざまなリスクを背負い、家庭的・経済的・時間的制約を受ける子どもたちこそ、まさに教育的配慮をするのが長野県教育の心ではありませんか。
現在の定時制高校の果たしている役割は、単位制・多部制に統廃合するだけでは今の役割を置き換えることにはならないと思いますが教育長のご見解を伺います。
教育委員長さんは、学びの主体者として子どもたちを尊重する、それが全人教育がまずは一番の視点だとお話いただきました。この改革について、私はどうしてもその思いを汲み取っていただいていない、当事者である高校生も声を上げています。それぞれの関係者、当事者がこれだけ長野県教育を真剣に考えた提言をされています。そのことをしっかり汲み取っていただきたいと思います。改めて申し上げますが、多部制・単位制を否定するものではありません。定時制の果たしている大きな社会的役割を教育的役割をきちんと見据える、このことをお願いしたわけでございます。
次に子どもの人権を守る県政について伺います。
不登校児童が増えています。県の資料によりますと、平成16年度は小学校で126人、中学で1,673人、特に中学では学年をおう毎にまた年をおう毎に増えています。不登校の理由のトップは「その他本人に関わる問題」となっています。小学校、中学校ではダントツの50%前後を占めています。このような子どもたちの悩みに寄り添うことが求められています。
県教育委員会では、子どもの側に立った問題解決への支援を通じて、子どもの権利が守られる環境作りをめざすとして、昨年の5月に「子どもの権利支援センター」が開設されました。
この取組みに関して教育長にお伺いします。
日本共産党県議団では1月18日に子どもの人権オンブズパーソン制度を実施している兵庫県川西市役所を訪ねました。専門的知識を持った第3者のオンブズパーソン3名と相談員3名を任命し、電話や面談に拠る丁寧な相談に取り組んでいます。市の子どもの権利条例を子どもに解かりやすく説明し、「一人で悩まないで!何でも相談して!秘密は守るよ!」とカラーのパンフを作成し学校など配布しています。この制度は子どもに寄り添い、子どもの代弁者として、教育委員会からは独立した機関として専門性・独自性を持ち、調査勧告・公表が行える機能があります。
長野県でも、子どもが自ら命を絶つ切ない事件も起きています。県教育委員会も大変なご努力をなされたと思いますが、このような川西市の実践と、現在の「子どもの権利支援センター」の取り組みからさらに充実を図り、県内のどこでも子どもの悩みに寄り添い共に考え支援するセンターの充実が必要だと思います。
相談専門員の育成も大切です。県内10圏域でのセンター機能の充実、市町村が子どもの虐待やいじめへの対応に取り組めるよう「子どもの権利支援センター」を充実・強化すべきではないでしょうか。
また、兵庫県川西市では、「子どもの権利条約」についての実感調査を、児童・生徒に行い、それぞれの子どもがどんな思いでいるのかのアンケートもとっています。このようなアンケートを取り組むことをご検討いただけないでしょうか。教育長に伺います。
子ども達は自分の思いをどう表現していいか、そういう能力が備わっていないと思います。長野県がその子どもたちにこちらから「安心して話していいんだよ」、そういう中で話し合いを積み重ねる中で自分の思いを表現したり、また他者のみなさんへの思いを共感する思いが子どもたちの中に出てくる。こういうことでございます。まさに子どもたちが自立する初期段階を応援していく大切な機能が担えると私は期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
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