2006年6月県議会 |
7月10日 びぜん光正議員
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「高等学校設置条例の一部を改正する条例案」の修正案賛成討論 |
議第10号「高等学校設置条例の一部を改正する条例案」の修正案につきまして賛成討論をおこないます。 本議案は、この間、県民や高校生達から寄せられた、高校再編問題について、「拙速である」、「住民合意ができていない」とどんなに言っても、県教育委員会は聞きいれず、本来議会にかけるべき廃止議案をかけないまま、来年4月からの募集停止を一斉実施させようとしていることから、高等学校の設置条例を一部改正することで、議会の同意を事前に得ることを盛り込むものです。 県教委はこの間、議会の議決が必要な条例提案は避け続け、関連の予算措置についてもなんら明らかにせず、対象校の統廃合につきすすんでいます。県教委のおこなってきていることは職権乱用と言えます。高校改革プランの策定や、実施計画の決定などは高校生も含めた県民、議会がしっかり論議して決めるべきものですが、県教委が先走ることによるボタンの掛け違いがここまで問題を深刻化させているといえます。 この間、条例改正の素案が示された段階からも、県民からの本条例案を支持する声が実にたくさん寄せられており、今この県教委の暴挙にブレーキをかけて欲しいという切実な願いが込められています。また7月3日の賛同議員による共同記者会見以降も65通ものパブリックコメント(県民意見)が寄せられていることにも、県民の関心が高いことが伺われます。今、高校のあり方を県民的にじっくりと論議することが一層求められているのではないでしょうか。 こうした中、条例の改正案は、募集停止に議会が踏み込むことが教育委員会の職務権限を侵すのではないかということ、また、募集停止の時期をいつの時点にするかどのようにもとれるという点にあったかと思います。この点は文教委員会で議論されるなかで、「統合または廃止に係る当該高等学校の生徒募集定員を決定する前に」ついて議会に諮るという内容になり、委員の英知が結実した内容になりました。問題の本質は高等学校の廃止という、議会の同意を得るべきことが、その準備段階である、募集停止が、議会に諮られないままに、一方的に先行されていることこそ異常な事態であるということです。これこそが職権乱用といわれるのであります。 県教委は文教委員会の審議の中で、「実施計画はスケジュールどおり進行している」と強弁をしていますが、議会に寄せられたパブリックコメントで、ある高校では「全くスケジュールどおりではない」「決定済みのはずの教育課程や学校目標も決定していない。次年度使用の教科書も決める職員もいないし、教育課程が未決定で1年生が何を履修するかもわからない」など、現場での混乱をひきおこしています。7月中に行うと言われた、議会への実施計画の提案や説明は、本日、議会最終日を迎えますがついぞおこなわれませんでした。教育目標や課程の論議が不十分で、学校名、制服なども決められず、期日までの「間に合わせ」の準備では、子ども達の教育を受ける権利をおろそかにすることになり、この県教委の常軌を逸した行為が、子ども達、特に受験を控えた中3生へ「歪み」を強制することになりなります。 県教委は19年実施を中止すれば中学生の不安が増大すると言います。しかし、そもそもこの混乱を引き起こしているのが県教委の強引な手法です。本年3月末に実施計画を発表してわずか3ヶ月で新高校の理念となる、学校目標や、教育過程をつくるというスケジュールに無理があるといわざるを得ません。 私は、昨年の文化祭で知事から「高校生でも行動をおこすべきだ」と示唆され、2度の全県高校生集会を開催し、そして県教委、私たち議員とも懇談を行うなど、立派な民主的な心を芽吹かせている高校生達の純真なまなざしを忘れることができませんでした。また「県議のみなさんはこの問題で私たちに何をしてくれるのか」という問いかけはいつも脳裏について離れませんでした。今こそ議員の良識ある判断をくだすべき時であると申し上げたいと思います。 終わりに、本条例案を可決した折には地方自治法16条に基づき、知事および県教委は良識ある判断をして、すみやかに施行していただきたいと思います。現場の先生方も今ならまだ間に合うと言っています。一歩退く勇気をもつことがどんなにか県民、特に中3生も含めたあの生徒たちを励ますかを申し添え賛成討論といたします。 |