3.浅川の治水対策について
次に浅川の治水対策についてお伺いしたいと思います。
備前議員の代表質問でも確認させていただきましたが、知事は、今後の浅川の治水対策を考える上で、ダムをつくる場合とつくらない場合、これらを総合的に検討するため、今月中にも現地に足を運んでいただけると言うことで、大いに歓迎するものです。是非とも、全体像、ダムサイトの予定地、それからループ橋右岸の地すべりブロック、天井川が解消して全体の8割まで進捗した河川改修の現場、千曲川との合流点、その全体像を、できる限り見ていただきたいと思います。
今後予想される浅川の水害を最小限にとどめるために重要なのは何なのか、河川改修や日常のこまめな河川管理と合わせて、浅川の水をできるだけスムースに千曲川に流せるように、千曲川の抜本的な改修を強く国に働きかけていくことや、千曲川との合流点の排水機場の能力アップ、流域の都市型水害対策、内水被害の緩和に必要な遊水地の設置などなど検討していただきたいと思います。浅川の洪水被害を最小限にとどめるための具体的な対策をどうしていくのか、また、遊水地の設置は浅川の内水被害の緩和に有効な対策だと思いますがいかがでしょうか、新潟県の災害復旧の事例等にも学ぶべき点がおおいにあると思いますので土木部長にお伺いします。
原土木部長 |
浅川の治水対策についてお答えいたします。まず浅川の治水対策につきましては、すでに知事が御説明いたしましておりますとおり、基本方針としましては治水安全度100分の1、基本高水流量450トンを基本としているところでございます。当然これに対しまして全体像をまずつくりまして、これをまず明確にしていかなければならないと思っております。それに基づきましてダムという選択肢も含めまして技術的に確立された手法に基づき、環境への配慮、経済性、効率性、さらには市街地におきます土地利用にも配慮いたしまして、実現性のある治水対策案、これを提案したいと思っております。当面、洪水対策等も必要と思われますので、河川改修や河床整備、これら治水安全度を確実に向上させる対策でもございますので、今後も引き続き実施してまいりますとともに、水情報の提供や洪水ハザードマップの整備、これらの対策についてもすすめてまいります。
次に内水対策に関連してのお尋ねでございます。浅川の下流部における内水対策につきましては、既往最大被害となりました昭和58年0月洪水と同規模の出水に対し、床上浸水を防止することを目標に、排水機場の増強、遊水地、二線堤の設置を提案してまいりました。今後は浅川下流域にお住まいの皆様方に御理解をいただくなかで、外水対策と共に河川整備計画に位置づけてまいりたいと考えております。
新潟県の事例を参考にしてはとの御提案でございますが、本県におきましても総合治水の観点から治水対策につきましては様々な検討をおこなってまいりました。遊水地につきましては、まとまった多くの土地の提供をいただかねばならないということ、また本県の地形的条件のもとでは技術的な整理も必要でございます。いずれにいたしましてもこのような総合的な治水の観点に立ちまして、治水におきましては戦略的内水被害対策を国でもすすめておりますので、これを踏まえましてこれまで一般的に行われてきました排水ポンプの増強だけではなく、遊水地や二線堤を導入し、効率的、効果的な内水対策をめざしてまいりたいと考えております。
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先日、日本共産党県議団は、新潟県土木部のご案内で、一昨年予想を越える豪雨災害で大きな痛手を受けた新潟県刈谷田川、五十嵐川の災害復旧工事の現場について調査をしてきました。ここで設置される予定の遊水地は5箇所(で)90ヘクタール、800トンから2700トンの水を超過洪水の際に溜めるという計画ですが、これらの遊水地に使う農地は、売買価格の2割から3割の費用で永久使役権を設定し、土砂流入の場合は県が土砂の搬出に責任を負い、日常的には農地として活用すると言うものでした。米どころ新潟の優良農地、現に耕作されている田んぼです。すでに、全国で90箇所ほどで、このような遊水地の設置が行なわれているということであり、あれだけの被害を受けた新潟県のこれらの事例は、事情は違いますが大いに長野県にも生かしていくべきだと思います。千曲川に流れ込む多くの中小河川が、千曲市でも、長野市松代地区でも、千曲川の増水時には逆流を防ぐ水門を閉め、それぞれの河川の上流からの水は、排水機場でポンプアップしなければならないと言う現状です。浅川下流でも、千曲川の抜本的改修が行なわれない限り、今後も宿命的に繰り返される内水被害、これは仮にダムを造っても、河道内遊水地を造っても絶対に無くならない被害ですから、これを最小限にとどめるためには、遊水地の設置は検討に値する課題だと思います。
過日、長野市豊野地区などから、農業による生活基盤が失われるとして、県に遊水地の計画に反対をする請願書が出されたということですが、新潟県の事例なども紹介していただいて、感情的対立に終止符をうち、是非ともこのような誤解もといていただいて、地域の皆さんの安全確保のためのご協力がいただけるように、長野市はじめ、関係住民のみなさんにご理解をお願いしていくことが必要になっていると思います。
具体的には土木部長にも大変ご苦労頂くわけですので、その辺の決意も伺いたいと思います。併せて、以上の点をふまえて、今後の浅川の治水について、具体的にどう取り組んでいくのか、知事のご決意もお伺いしておきたいと思います。
原土木部長 |
お答えいたします。先ほどの刈谷田川の遊水地は、外水を制御するための遊水地でありまして、県でも浅川につきましては、外水と内水のそれぞれの遊水地という考え方を今までもっております。しかしながら、それぞれ河川は地域の中での特徴がございます。流域の生活圏のなかでどのような安全性を保っていくのか、こういうような面でそれぞれ河川というものは、それぞれのなかで考えていかなければならないと思っております。そういう面で今回、浅川につきましては、技術的に安定性をもった技術、それを基にしまして、責任をもって私共、地域のみなさんに提案してまいりたいと思っております。 |
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村井知事 |
浅川の治水対策につきまして、申し上げたいと存じます。本議会に入りましてから、申し上げておりますように、治水の基本方針としましては、治水安全度100分の1、それから基本高水流量450トンとすることを目標にすすめてまいります。決意を表明せよということでございますが、浅川の治水対策につきましては、県としては早急に方針を出さなければならない課題だという認識を深めている次第でございまして、今後は外水対策に関しましては、ダムという選択肢も含めて幅広く検討を行いまして、専門家の意見によく耳を傾け、現代に於ける最高の科学的・技術的判断に基づいて最終的な治水対策にしてまいります。具体的な施設を決定するにあたっては、まずは今月中を目途に現地を視察させていただきたいと考えておる次第であります。また、これとは別に地域の皆様からの意見をお聞きする機会につきましても、できるだけ早い時期に設けたいとこのように考えているところでございます。一方、いま御指摘ございました浅川下流部固有の課題である内水問題につきまして、これは外水対策とは別に、浸水被害を軽減するための対応が必要であるという認識をいたしておりまして、これまでお示しをしてまいりました内水対策案を、国、市及び地域住民の皆様に具体的に御説明申し上げ御理解を得てまいりたいと、こういう考えでございます。 |
知事に御決意をお伺いいたしましたのは、今なお単純ではない問題が抱えている、そういう浅川ですので、よろしくお願いをしたいと思います。
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