2006年9月県議会 |
10月12日 もうり栄子議員
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議第8号 全国学力・学習状況調査の実施に反対する意見書提案説明 |
議第8号全国学力・学習状況調査いわゆる全国一斉学力テストの実施に反対する意見書につきまして提案理由の説明をさせていただきます。 文部科学省は2007年度から公立学校の小学校6年生と中学3年生全員を対象にした「全国一斉学力テスト」を実施するとしています。 今回実施しようとしている全国一斉学力テストは、今、長野県がやっているような基礎学力がどの程度定着したのかについて抽出で調査し、その結果を今後の教育実践に生かしていくという性質のものではなく、政府関係者がたびたび述べているように、「学力向上のためには競い合う教育をしなければいけない」として子供達をいっそう競争に追い立て、序列をつけてふるい分けるものであり、教育困難をさらに増幅させるものです。 今、子供達は新しい学習指導要領と学校週5日制のもとで「眠たい」「横になって休みたい」と悲鳴をあげ「イライラする」「大声を出して暴れたい」とストレスを募らせています。国連子供の権利委員会は日本の子供達が過度に競争的な教育制度のために発達にゆがみをきたしていることや学校嫌いの数が看過できないものになっていると懸念し、2度にわたって勧告をだしています。 文部科学省は学力テストの結果を都道府県ごとに発表するとしています。平均点が下位になった県は当然のように汚名を挽回するために、学校現場や子供達への締め付けと競争心をあおり、次に良い成績を取れるようにいっそう管理を強めることでしょう。 自治体ごと学校ごとに成績を公表するとしているところもあります。 テストで何点とるかだけの成績主義で、序列化競争がおしつけられれば、子供の成長にとってとりかえしのつかない大きな弊害を生み、いじめ、暴力、荒れ不登校がさらに増えて教育困難をきたすことが懸念されます。愛知県犬山市のように学力テストに不参加の意思を表明しているところもあります。 日本の教育はかつて「全国一斉学力テスト」の実施が大きな弊害をもたらした苦い経験をもっています。平均点を挙げるために、成績不振の子供をテスト当日欠席させる学校が各地でおきたり、テストに備えるために通常の授業を行わず、テストにでそうな問題だけを繰り返しやらせるなどの事態も生まれ、1966年度には廃止となりました。 近年、東京都などで先行実施されている例を見ると区市町村の順位を1位から49位まで一覧で発表し、品川区では独自の中学校学力テスト結果を1位から最下位までホームページで公表し、なおかつ出身小学校別成績も公表するという異例な対応をしています。 下位に順位付けされた学校の子供達の気持ちを考えるといたたまれない思いにかられます。 小中学校の学校選択制とセットで行われていることもあり、新入生が成績上位校に集中し、荒川・文京・墨田の3つの区では新入生がゼロになった学校もあるとお聞きしています。 教育は、村井知事も言っておられるように「知育・徳育・体育」のバランスのとれた人格の完成をめざし、人間としての健やかな成長を保障するものでなくてはなりません。競争の強化ではなく、「みんな違って、みんないい」一人一人の個性を大切にし、学校の自主性や創造性を充分生かしたものでなくてはならないとおもいます。 したがって、国においては大きな弊害が懸念される全国一斉学力テストを実施しないよう強く求めるものです。 すべての議員の皆さんのご賛同をお願いし提案説明とさせていただきます。 |