2006年9月県議会

10月10日 高村京子議員

一般質問
  1. 高齢者対策について
  2. 地域医療への支援について
  3. 看護師確保対策について
  4. ウイルス肝炎医療費給付制度について
  5. 高校改革について

*質問の答弁は、後ほどアップいたします。

 共産党県議団の高村京子です。
私は、政府が押し進めてきた構造改革路線によって、国が責任を持って充実すべき医療・福祉・介護の諸制度の経費を年々国が削減することで、経済効率優先で進めてきた諸制度の改悪が高齢者、県民、地域に与えている深刻な実態を踏まえ、質問いたします。

1.高齢者対策について

 まず高齢者対策について伺います。
 介護保険制度が始まって7年目を迎えています。「家族介護から、介護を社会全体で担う」として、65歳以上の高齢者の保険料を年金から天引きするなどで財源を担保し運営されています。3年ごとに介護保険料が市町村によって決められていますが、まず、この7年間の保険料の推移について社会部長に伺います。

田中社会部長

 この7年間で、約3年ごとに月700円、800円と負担が増えておりまして、いま最高の自治体では4,800円、1ヶ月に介護保険料が上がっています。厚生労働省が6月末に公表しました平成17年国民生活基礎調査によりますと、生活が苦しいと答えた世帯は56.2%に達しています。調査以来最高になったと報じています。世帯全体の平均580万円より低い世帯の割合が6割を超えています。もっとも多いのは300、400万(円)世帯で、続いて100万、200万(円)世帯が次に多くなっています。高齢者世帯は非常に厳しい54.7%が、生活が苦しいと訴えております。毎年のように値上がる国民健康保険税、住民税の負担が容赦なく請求書が高齢者の方に襲いかかっております。高齢者のみなさんは、「もう暮らしていけない、年寄りは死ねといわれているようなものです。」と、おっしゃる方が多くなってまいりました。
 昨年の10月から施設での食費居住費の自己負担によって、県内で支払いができないためにやむなく施設を退所した高齢者は、どのくらいか把握されていますか。老齢年金4万円から5万円の高齢者にも、1ヶ月の施設入所費だけで約8万円以上の支払いが求められます。年間では100万円以上にもなります。全国保険医団体連合会は、今年4月におこなった全国調査から、「約3400人もの要介護者が、施設にいる事ができずに退所したのではないか」と予測しています。
 さらに、今後も施設費を払えない高齢者が増えてゆくことも危惧されます。
 県内ではこのことに拠る影響が何人出たのでしょうか、どのように把握されておられるでしょうか。また、この事態をどのように受けとめておられるか社会部長に伺います。

田中社会部長

 さらに、この4月の介護保険制度改正では、軽度の認定者は予防介護に移行となり、ホームヘルプやデイサービス、ベッド、車椅子などの貸与などが規制されました。まさに「保険料の負担増やして天引き、介護サービス減らして貸はがし」です。県内では、この制度改正で影響を受けた高齢者は、何人出たでしょうか。数ヶ月にわたる調査をされたと伺っています。調査方法及び結果について、この点でもできるだけ詳細に社会部長に伺いたいと思います。
 (田中社会部長答弁)
 ただいまご答弁いただきましたけど、多くの高齢者のみなさん、短期入所サービスが受けられないとか、あるいは回数を減らさなければならない、こういうような状況があるわけでありまして、また、その6割近くが、低所得者対策が受けられないという状況にもなっております。こういったなかで長野県も何らかの利用継続支援策を市町村と共に検討すべきではないでしょうか。ベッドや装具は高齢者の安全な生活や介護予防にこそ必要なものです、たとえば医師の意見書や、ケアーマネージャーの状況報告によって、市町村長の認定にもとづき「県独自の特別貸与制度」を提案いたしますがいかがでしょうか。是非ご検討戴きたいと思います。社会部長のご答弁をお願いします。


田中社会部長

 県内でも、松本市や塩尻市など、レンタルの支援制度について検討中と伺っていますし、小規模町村では、「県が支援をしてもらえれば検討したい」と言うところもあります。東京都では、ベットの購入に支援をするこういうことが始まっている。ただいま社会部長からご答弁をいただきましたけれども、真に介護や介護用品が必要な高齢者には、きちんと保障できる、そういうことを、ぜひ、ただいまの長い間の、ご苦労していただきました調査に基づいて、これをきちんと県民益のために実現をしていただきたいと思います。
 次に長野県は、市町村と共に宅幼老所の整備に力を入れてきました。地域の空き家や民家などを利用し、アットホームな雰囲気の中で数人の高齢者や幼児・障害者をケアーする施設です。昨年からは、宿泊にも市町村と共に補助支援しています。介護保険でのショート施設は、突然の依頼にはほとんど空きがなく預ける事が困難ですが、この支援は大変ありがたいものです。しかし、この4月からの制度改正に伴い、デイサービスの制限がされ、小規模施設は運営がますます困難になっています。また市町村が指定する、小規模多機能施設への移行もあります。
宅幼老所の整備状況と運営上の課題はどうでしょうか。今後とも小学校区単位に整備を進めていかれるのか、また、開設支援に重ねて運営費補助も市町村と協議の上で検討されるべきではないでかと思いますが、この点につきまして知事のご所見を伺います。


村井知事


 長野県では特別養護老人ホームの待機者が約3,800人いらっしゃると思うんですけれども、国がなかなか特別養護老人ホーム等の施設を増やさない、むしろ削減する、こういう方向ですので、知事がおっしゃっていただきました「住みなれた地域で、アットホームなあたたかいケアができる拠点をということで、ぜひ充実、あるいは、ひき続きの開設支援、運営支援等も視野に入れてお力をいれていただきたいと思います。

2.地域医療への支援について

 次に地域医療への支援について伺ってまいります。
 まず、長野赤十字上山田病院についてです。
 9年前、国立上山田病院が上田に統合され、地域の大きな不安に応えて、長野赤十字病院が後医療を引き受けました。当時の上山田町、戸倉町、坂城町、上田市を上げて財政支援約25億円を行い、リハビリや透析の設備をも充実され、昨年度には医師は定数の20人にあと1人の19人まで充実し、250のベットは96%の稼働率で年間延べ入院患者8万人、外来患者10万人が医療を受け、時間外や夜間救急もほとんど受け入れるなど、この地域になくてはならない病院となっています。
 しかし、今年になって急に医師不足が深刻となり、7月から、ベットを185床に縮小しました。
 自民・公明政権の強行により、今年4月からの診療報酬3%以上の削減やリハビリ医療の制限、療養病床の削減が示されるなどの影響をもろに受け、病院経営が深刻となり、来年度からの病院運営の展望がもてない状況に追い込まれています。
 この間、日赤労組が取り組んでいる「存続を求める署名」は、地域にどんどん広がり、地元の千曲市議会では、議会に特別対策委員会が設置され、存続を求める意見書採択がされ、県、日赤本社に要望書が、国には医師確保の要請が出されました。
 現在存続を求める会が結成され、署名は10月6日現在1万9千500筆が集まっています。旧上山田町、戸倉町、坂城町の人口は合わせて約3万6千人で、この地域には日赤上山田病院以外に病院はありません。長野日赤病院の分院であることから、長野日赤の宮崎院長は、最近の職員会議で「この住民運動に応え、閉鎖ではなく存続に向けて努力すること」を表明されました。今求められるのは、日赤本社、千曲市、坂城町が存続に向けて力を合わせることができるよう県として調整役を務める事ではないでしょうか。衛生部長にご決意を伺いたいと思います。
 つづきまして国立病院機構長野病院について伺います。上小地域の公的な基幹病院として、救急告知病院、および災害拠点病院の指定を受け、地域医療支援病院の役割をになっておりますけれども、今年度からは常勤の麻酔科医の不在によって時間外や休日夜間の時間帯には、救急患者の受け入れ制限が起きています。平野県議のご質問にもありましたが、二次医療圏の上小地域人口約20万人の救急救命の不安があります。長野病院がありながら、重篤な救急患者は佐久や長野地域への搬送を余儀なくされて、ここ数年で圏域外への搬送数は2倍にも増えています。母袋上田市長からも、県議会社会衛生委員会の現地視察の際に、上小圏域の地域医療及び救急体制の確保について陳情がなされました。
さきの平野県議のご質問でのご答弁では衛生部長としてのご決意がうかがえなかったように思いますので、改めて県の2次医療圏機能を守る責任ある対応についてお伺いをいたします。また合わせて、県内医師の充足状況については、先ほど知事からご答弁がございましたけれども、この点について衛生部長から追加する点がございましたら医師の確保対策を含めましてご答弁をお願いしたいと思います。

高山衛生部長


 ただいま衛生部長からご答弁いただきましたけど、基本的には医師が確保できないことが、病院経営が深刻な状況なんだというふうに、どこの院長、事務長さんもおっしゃっておられます。例えば上山田病院につきましても、今年の3月までは努力をして、20名定数に1名まで、19名まで充足した。ところが4月からどんどん医師がなくなっていき、7月からベット閉鎖をして、ドクターが落ち着いて仕事ができる環境をつくったなかでも、また、さらに10月になりまして、ご答弁いただきましたけど、医師が14名、6名不足しているってことですね。国立病院でみましても、阿南病院は本当にご苦労だと思います先生方、看護師さん。14名の定数で7名とお聞きしております。県立病院全体で14名の医師が不足しておりますので、私は衛生部長さんからいただきました数字では、1年前からでなく、半年前から起きている長野県の地域病院の大変な危機的状況が反映されていない、このように思います。ひき続き看護師のことと併せて知事に伺ってまいりますが、看護師確保対策について伺います。

3.看護師確保対策について

 病院看護師の置かれている実態が年々深刻になっています。
長野県医療労働組合連合会は、県内看護労働者648人のアンケート調査から、看護師のおかれている深刻な実態を浮き彫りにいたしました。この9月にまとめを出しました。
 看護師は、長時間・超過密の仕事に追われて超過緊張状態と本来の充分な看護ができないジレンマで燃え尽きていっています。仕事を辞めたいと思う71.4%退職者が続出し、看護師不足が深刻化しています。自らの健康不安は58,4、%が常に感じており、3年間でのミスやニアミスの経験が85、8%があるとし、「看護師の過酷な労働環境は、患者さんの命と安全も脅かされている」とする驚くべき実態を公表し、喫緊の課題として看護師の増員を求めています。
 また、今年の4月からの診療報酬で「患者7人に看護師1人の配置」や「療養病床での4対1」が新設され、手厚い看護配置が実現しました。ところが病棟ごとではなく,病院全体での看護配置評価のため、200床規模病院では40人規模での新人看護師の確保が必要となります。全国で看護師の確保争奪戦が今起こっています。地域の病院では、ますます看護師不足が深刻になる現象が生まれています。
 医師不足と合わせて、病床を削減することで看護師配置の条件を満たす病院も出てきました。昨年12月にまとめた今後5年間の「県看護師需給見通し」では、今年度は2万3378人の需給見通しに対して525人の不足としていますが、この数字を現実と直視してどう評価しておられるでしょうか。
県として県内の看護現場の実際の状況を把握され、超多忙の中ミスを起こさないように張り詰めながら、患者さんに優しく対応して頑張る看護師の労働環境を直視し、県衛生部としても対策を強化することが求められています。また国に対しても昨年全国で実施した「看護需給計画策定」でのアンケート内容にはこのような国の方針は示されなかったことを含め、国として実態に合った看護需給計画と実効性ある確保対策を求めるべきと思います、ひき続き衛生部長にご答弁をお願いいたします。


高山衛生部長


 実際の看護現場は大変でございます。せっかく確保した看護師さんが1年で、10人に1人長野県内で辞めています。慢性疲労72.3%、仕事を辞めたいと思う71.4%、辞めた理由は忙しさと看護としての達成感のなさです。長野県は昨年、(看護師の)確保対策、養成対策、就労促進等の事業につきまして、約5,300万円以上の予算を削減しております。もちろんお金は潤沢にあるわけではありませんけれども、しかし、私は県民のみなさんの命と健康を守る看護師さんと医師が、大変厳しい環境で働いている。昼間働き、毎日1時間、2時間の時間外、夜も働く、そして次の日も元気で働く、こういった日々の営みのなかで、静かにバーンアウト、辞めていく、静かにいま病院経営が危機的状況でございます。社会整備資本として道があっても、いった先の病院にベットがない、お医者さんがない、看護師がいない、これでいいでしょうか。私は最後に、知事さんにご認識を、ぜひ受け止めていただいて、お願いしたいと思うわけですけれども、このような県内病院の医師・看護師不足の実態とそれによる現場の医師看護師の過酷な労働環境の改善を、県として深刻に受け止めていただきたいと思います。知事は初心表明で、「地域ごとの医療格差を是正し、すべての地域で質の高い医療体制をめざす」と表明されました。県内の医療機関大変経営危機なんですけれども、例えば鹿教湯病院でもリハビリの規制、それから療養病床の閉鎖方針、こういったことがございまして危機が大変です。事務長さんは年間3億円の赤字がでる。来年からの経営の見通しがたたない、こういうようなことをおっしゃっておられますけど、これは鹿教湯病院だけの問題ではなく、いま全県の病院で起きている状況だと思います。長尾県におきましては、医療費は最低ながら、在院日数も最低でがんばっています。療養病床も少ないわけですから、これ以上、長野県内の病院を削減することのないように、また、経費が厳しいなかで看護師や医師が、さらに環境が悪化されて、静かに辞めていくことのないように知事としてご答弁を伺いたいと思います。


村井知事


 医療の現実を直視して、こころを寄せていただくご答弁をいただきましたけども、私はやはり、この4月に診療報酬の大幅な改定が行われまして、リハビリの制限や療養病床削減の方向が強く打ちだされて、これに各病院が苦しめられ、経営がなりたたない、そして、医師も不足してるっていう状況でございますので、ぜひ国に対しまして長野県の医療状況、看護の実態状況に鑑みまして、国に対して、村井知事としてしっかりご提言、ご意見を国にあげていただきたいと望みます。

4.ウイルス肝炎医療費給付制度について

 つぎに、ウイルス肝炎医療費給付制度について備前県議の代表質問に続いて確認をさせて戴きたく衛生部長に伺います。県衛生部は今年5月に「今年10月からウイルス肝炎治療者の外来医療費補助を止める」と対象者に通達しました。長野県が1981年から続けてきた全国に誇れる県独自の支援策で、約5000人のウイルス肝炎の皆さんは、病状の悪化に不安ななか、県の医療費制度に感謝しつつ闘病生活を送ってくることができたと思います。しっかり治療を受ければ直る希望も出てきたところです。この県の通達は、病気や怪我の治療の上での輸血、フィブリノゲン製剤によるものなど本人には何ら罪もないことで2重に苦しめられてきた人々を、再び谷底に突き落とすような冷たい切り捨てではないでしょうか。
 今年2月には、患者会の皆さんが県議会においでになりまして、要望や口頭陳述をなさいました。「ウイルス肝炎医療費給付制度の見直しに反対の決議」を県議会として採択しましたが、県衛生部は5月に患者さんに先の通達を出し、患者さんや家族に大きな不安と悲しみ、医師や医療者に混乱を巻き起こしています。
 特に問題なのは、フィブリノゲン製剤、非加熱製剤が原因と医師が証明した場合には、今までどおり医療給付を続ける事を文章で通達していますが、医師の証明書が発行されたにもかかわらず、10月になった今も1人も認定されておらず見通しが立っていません。ご本人や医師、市町村口の窓口では、不安と困惑がおきています。すでに10月でありますので県が県民をだました事にはなりませんか。衛生部長にこの経過と対応についてご説明を求めます。


衛生部長


5.高校改革について

 続きまして高校改革について伺います。9月臨時議会では、高校再編計画に対する県教育委員会の統合再編案は、厳しい県民の反対の世論を受けた県議会の真剣な討論の上に6件12校の統合が不同意となりました。県教育委員会は、教育の原点と子どもたち置かれている状況をしっかり踏まえていただきたく、これも地元関係者から反対の声が強く出されています、野沢南と屋代南の多部制単位制への転換についても凍結を決めました。引続きまして長野県高校教育のあり方を再構築されるよう県民は願っています。
 上田千曲高校の夜間定時制の廃止につきましても、多部制・単位制にする屋代南に統合するとした経過から、いったん白紙に戻し、その上であらためて千曲高校機械科の果たしている今日的役割について、再評価すべきと思います。
 さらに現在の定時制高校の果たしている役割は、特に機械科につきましては、どのような教育的評価をされておられるのか伺います。
 また、県下の定時制高校の廃止を、この間すすめてきましたが、そのことはどのように総括されたでしょうか。
 当初は、上田と千曲高校の両定時制を、坂城高校と単位制多部制に移行するとのたたき台が示され、推進委員会の討論のかなで、上田高校定時制は存続が決められましたが、(議長より時間切れ宣言)定時制のもっている役割は検討されておられません。小規模夜間の「蛍の光の高校」なら勉学に励む事ができるなど社会人としてあるいは自立に向けて頑張る生徒を、現場の教職員と共に支援する事が県教育委員会の役割ではないでしょうか。教育長ご答弁をお願いいたします。


山口教育長