2006年9月臨時県議会

9月13日 小林伸陽議員

副知事人事案質疑
 日本共産党を代表して質疑をさせてもらいます。
 これまでの議案提案時に、質疑がこれほどだされたこと記憶しておりません。それほど今回の議案が、不十分であるということを最初に指摘をしておきます。私たちは吉村知事、田中知事提出の人事案件にも基本的には知事の人事権として賛成をしてきたわけであります。こういう立場から人事案件について最初にお尋ねします。
議会はこの間、田中知事の後援会幹部(後援会事務局長)の働きかけに関する百条委員会を設置し、知事の後援会幹部が県庁に頻繁に出入りし、県政をゆがめたのではないかと8ヶ月の長期にわたり、審査をしてきた経過も有ります。今回提出された副知事人事では知事の後援会事務局長、選対本部長が提案されているが議会の同意は到底得られないとおもうわけであります。あまりにも論功行賞の人事であり、公職選挙法では連座制が問われる立場の人でもあります。このような人を副知事に選任するということは全国的にも例がないと思いますがどうでしょうかお尋ねします。
さらに、どんな言い訳をしようと県民からは選挙の論功行賞人事と批判されることは避けられません。知事は信濃毎日新聞の報道でも「公平公正なルールに基づく人事が職員の信頼関係を作る」また、「私はイエスマンを近くに置かない」と表明されているが、今回の人事のなかでの説明がつかないと思います。県民の疑問と知事自らの発言にも真摯な説明を求めます。
 次に高校改革プランについてお尋ねいたします。
議会は高校改革の暴走を食い止めるために、条例の改正を行いました。今回議案として提出され、議会で審議されることは画期的なことであり、県民の皆さんから大きな期待が寄せられております。理事者は私の質問に真摯に答えていただきたいと思います。
まず知事におかれては選挙中、また本日の議会の提案説明でも、「高等学校の再編問題については、地域住民の合意を尊重し、合意が形成された地域から着手し、合意がなされていないものは白紙に戻して再検討する必要がある」と述べましたが、知事はこの県教委の案に理解を示されているのか、また県教委に白紙とすべきと意見を述べたことがあるのかお尋ねを致します。
次に県教委に、私たち共産党県議団は8月17日、申し入れを行いました。その際、吉江次長は提案の際には、魅力ある高校とは、増築・移転、人件費の増減など財政措置、教員の配置を含めた高校改革の全体像を提案すると明言されました。
また村井知事は臨時教育委員会で決定後、各派代表者に説明すると約束されましたが、提案の際には全体像も示されず、約束はまったく反故にされております。本来ならば質疑も賛否も問えるような物ではありませんが、質疑ができるように、提案説明を、知事ならびに教育委員会次長にお願いします。
先ほど財政的には30億(円)といわれましたけど、どこの高校に、どの程度の予算が必要なのかも含めて詳細を説明願います。


村井知事
 小林議員の質問にお答えさせていただきます。私に対します質問は2つですが、まず、第一に副知事の選任についてでございますが、先ほど牛山議員にもお答えいたしましたので、重複をできるだけさけまして申し上げたいと存じますが、私の基本的考え方でございますけれども、民主主義社会におきましては、私は選挙で選ばれる公職というのは、大変重いものだと考えております。その意味では、国であれば国会議員、地方におきましては知事、県会議員、それから市町村長、あるいは市町村議員、これいずれも直接選挙で選ばれるそういう立場でございます。それに対しまして、私自身が経験したことでございますが、例えば大臣にせよ、政務次官にせよ、あるいは副知事にせよ、すべてこれ、任命者でございます。その地位は、私は選挙で直接選ばれた知事に比べまして、重いとは必ずしもいえない。それぞれに重い責任ある立場であります。私の考えと申しますのは、腰原さんは4期16年に渡りまして大町市長として大町の市民のみなさんがたの信任を得てこられたそういう立場でありまして、大変な地位にある方に副知事をお願いする、これは私は、あえてそれをお受けいただくということに、大変、私の立場から申しますと、失礼なことかなと思いながらお願いをしたわけでございますが、私といたしましては、いろいろ候補者を勘案いたしまして、先ほど申し上げました板倉氏と腰原氏と、お二人にお願いして、私の足らざるところを補い、支えていただくことは大変重要だろうとこのように考えたということでございまして、ご理解をいただきたいと存じます。
 それから2つ目、高校改革の問題につきましては、選挙中、私は確かに地域住民との合意を尊重し、合意が形成された地域から着手する、そして合意のできないものは白紙に戻して再検討する必要がある、こういうことは申してまいりました。このことにつきましては、改めてお伝えすることもないと考えましたが、9月2日に教育委員会と懇談の機会がございましたので、お話をさせていただきました。しかし、そこでご留意いただきたいのは、教育委員会というのは独立した行政委員会でございます。従いましてその独自性を、私の立場では当然尊重しなければなりません。そういう意味で高校再編という問題も、教育委員会に属する事項でございますので、私は教育委員会が9月6日に臨時会を開催し、実施計画の一部の見直しを決定し、そして、進学を控える生徒さんや、あるいは保護者のみなさんに不安感を与えないために、早急に議案を提出してほしいと、こういうお話がございましたから、そのようにさせていただいた次第でございます。なお、本来ご質問以外のことにお答えするべきでないことは、よくよく私も議会人として承知をしているところでございますけれども、教育委員会の行政との独自性、このことにつきましては、私は選挙中も常に注意深く発言をしていることを念のために申し上げます。

吉江教育長職務代理者
 お答えいたします。増改築の予算の関係と、それから人件費の削減の関係のお話かと存じます。先ほども申し上げましたように今回の再編整備に伴いまして、校舎の増築等に要する経費は、通常の大規模改修工事や耐震補強工事と関連付け、効率的な整備を行っていく予定をしております。そのため純粋に再編整備による増改築費用のみを算出することはなかなか困難ではありますが、現時点の試算では概ね28億円程度が見込まれておりますので、本臨時議会の審議の結果を踏まえまして財政当局とも相談のうえ県議会にお願いしてまいりたいと考えております。
 人件費の削減につきましては、実施計画完成時の平成23年度で試算いたしますと、再編整備による影響額は、教職員数で概ね170名の減少となり、人件費を含めた学校運営費はおよそ19億円の削減となると見込んでおります。また、その後の自然減の状況等を併せますと、概ね教職員で300人程度の減、おおよそ30億円程度の減が見込まれているというようなことでございます。


 さきほども言いましたけども、全体像を示すと約束したんですよ。ちゃんと答えて下さい。


吉江教育長職務代理者
  お答えいたします。学校の関係、実はいま現在ですね、各学校がどんな進捗状況にあるかとか、それに基づいてどんな状況になっているというようなこと、さらには先ほどもうしあげましたような総額につきましての各学校のイメージにつきましては、改めて明日の文教委員会におきまして資料を提出させていただいてご説明を申し上げたいと考えている次第であります。

萩原議長
 ただいま小林伸陽議員から議事進行の発言がございましたのでご発言願います。


 先ほど私は丁寧に質問させていただきました。魅力ある高校とは、また、増築、改築、人件費の増減、財政措置、教員の配置を含め高校改革全体像を提案すると我々に言明をしたと、その提案がされた訳ですから、そのことについてちゃんと質問に答えるように、このことを再度お願いいたします。


萩原議長
 ただいま小林議員から指摘された部分について答弁を願います。なお、質問ではなく議案の質疑でありますので、質疑の部分についてお答え願います。
 

吉江教育長職務代理者
 お答えいたします。かねてより陳情の折というお話はございましたが、私のほうから申し上げた内容、共産党の方々のほうでおとりいただいた内容が、必ずしも一致しているのかはさておきまして、明日、私のほうでご説明させていただくような形での各学校の状況につきまして、これは各学校のですね、文教委員会でご説明させていただくように考えておりましたので、それについてお話させていただきたいと考えております。
 中野高等学校におきましては概ね4億8千万ほど、丸子実業高校につきまして3億1千万ほど、屋代南高校につきましては概ね3億ほど、箕輪工業につきましては概ね1億7千万ほど、松本筑摩において1千万ほど、長野南、蓼科高校はそれぞれ1千4から5百万ほど、飯田工業におきましては概ね9億程度、木曽高校におきまして5億程度、それと大町高校におきまして1億5千万程度というような内容でございます。また、今回送りました長野南高校と松代高校、岡谷東高校と南高校につきましては、現在そのような状況になっておりまして、現時点におきましての校舎、校地の積算上、使用を考えた場合には、あまり経費はかからない前提ではありますが、ただ今後の状況がございますので、それについてはさらに精査をするということであります。
 教員の配置につきましては、これにつきましては個々の学校がトータルとして、先ほど申し上げましたような状況になるということは今現在把握しておりますが、それぞれの経過の中で最終場面における生徒数の状況が確定ということにはなかなかならない状況で、詳細にのべるという状況にはないということであります。
 



 それでは最後でありますので、知事にお尋ねをいたしますが、あってはならないことでありますが、仮に連座制を問われると知事も副知事も同時に職を失うというような事態も予想されるわけであります。そういう人事が、仮にそうではあってはならないというなかで、私は一考し直さなければならないのではないかと思います。
そういうなかで県の職員の中に副知事(として)に、言ってみれば市町村、自治体に明るい職員がおらないという風に判断されているのかお尋ねを致します。
 次に教育次長にお尋ねしたいと思います。先ほどの説明では、私まったく納得ができません。教師の配置がどうなるのかというのは、現場の職員にしてみれば、大変、次の新しい高校づくりにとって大きな課題であります。それもいまでは申し上げ、できないというのでは、何を根拠に魅力ある高校づくりをしようとしているのか、まったく理解ができないと、魅力ある高校づくりというのは、一体どういうことを考えているのか、先ほども質問しましたけれども、魅力はまったく語られません。説明がありません。そういう魅力ある高校づくりという点で、どのように対処されているか最後にお尋ねをし、私の質問を終わらせていただきます。


村井知事
 選挙開票以来一月の余を経っておりまして、私どう考えましても、連座の可能性などないと信じておりまして、長野県警本部におきましては、おそらく知事選の取り締まり本部は解散をしておられるのではないか、と思っておりますけれども、いずれにいたしましても、私はもっとも適任者をご推薦申し上げ、県会のご賛同、ご同意を得たいと考えている次第であります。職員に適任者がいるかいないか等々を含めまして、私としては充分に熟慮した結果であるとご理解いただきたいと存じます。

吉江教育長職務代理者
 魅力ある高校づくりについてのお尋ねであります。魅力ある高校づくりという観点に立ちまして、このたび総合学科とか単位制多部制を含めて、県教育委員会としては検討しているところでございます。先ほど申し上げましたように、教員配置につきましては当然ながら例えば総合学科高校の場合には、文部科学省の加配等のひとつの判断がございますので、それに基づいて、当然、募集定員に基づいて、さらには加配に基づいての配置をしてまいりますとともに、例えば今後考えております進学対応型の単位制においては、やはり単位制の加配ということで、先生を増やすということができますので、そういうようなことはしてまいりたいと考えております。また、同時にさらに申し上げますと、魅力づくりの大きなひとつの要素とすれば、当然ながら教員の資質向上、また教員のやる気ということかと思っております。そういうなかで先ほども質問にお答えすることで申し上げましたように、今後は公募制等も取り入れまして、やる気のある先生をぜひお迎えして、それでいい学校づくりを考えたいと教育委員会としては思っている次第でございます。