本日付の信濃毎日新聞では、元経営戦略局参事の職員が、県議会調査特別委員会(100条委員会)の証人尋問において、文書破棄について「知事室で指示を受けたことはフィクションだった。」と報道されています。
この参事の事実上の内部告発がきっかけとなって、いわゆる100条委員会が設置され、膨大な時間とエネルギー、貴重な税金が費やされ、多くの関係者を振り回したことを考えますと、萩原議長も「一連の審議がなんだったのか、むなしさを感じる」とコメントされておりますが、改めて憤りを感じます。
元参事の100条委員会での証言は、証言するたびに食い違いがあり、つじつまがあわず、矛盾を指摘されると証言が都合よく変わるというもので、常識的に考えれば、知事から排斥されたと感じた個人的な思いからの訴えであり、県政全体からみれば、その後同じ知事のもとで、対象の文書が公開された事実もあり、県政運営に、指摘しなければならない問題点はあるものの、100条委員会を設置するほどの問題ではなかったことは明らかです。
日本共産党県議団は、この100条委員会の設置にも、一連の有志による告発にも反対しましたが、元参事のフィクションを見抜けずに、それを根拠に、鳴り物入りで100条委員会の設置に走った県議会の責任も問われるのではないでしょうか。多くの県民が今なお解明を求めている長野オリンピック招致関係帳簿焼却問題の100条委員会設置は継続につぐ継続で事実上葬り去ろうとしていることを考えますと、大変、残念と言わざるをえません。
元参事の行為に対し、全体の奉仕者としての公務員のあり方としてどのようにとらえているのか、村井知事の見解をお伺いします。
(村井仁知事答弁)
先月23日、松本、長野、佐久、などの小学校12校と山梨県内3校の生徒が受けた学力テストの書類約2000人分が業者側ミスで紛失していたことが判明し、子どもたちの個人情報の取り扱い方への不安の声や疑問が出されています。
そこで本年、4月に実施するといわれている、全国一斉学力テストはどのように実施されるのか特に業者とのかかわりも含め教育長に伺います。
(山口利幸教育長答弁)
今回の全国いっせい学力テストはテストをベネッセコーポレーションとNTTデータに文科省が委託するというのですが、個人情報を民間に、しかも教育を利益の対象にする企業に丸投げするのはあまりにも無責任だとの声が保護者からも出されています。そこでこのような企業丸投げで、また個人情報が民間企業に委ねられることについて、教育長はどうお考えでしょうか。
(山口教育長答弁)
特に本県では結果の公表に関しては、昨年の9月議会の毛利栄子議員の一般質問に対し、教育長は市町村別、学校別の成績の公表について、「行わない」と答弁しています。しかし、民間企業にそのデータがすべて握られているということは、例えば、私の子どもたちにもどこからともなく、何社もの教育産業からのダイレクトメールなどが、ほぼ毎日送られているのですが、このようなことに使われる可能性がまったくないとはいえません。
また県教委は公表しなくても、学校関係者には成績が知らされると聞きます。このテストに学校や教師への外部評価が加わり、意図的に学校を振り分け、憲法に保障された教育の機会均等を歪め、エリート教育だけを手厚くするのが安倍総理の“教育再生プラン”です。
そこで教育委員長に伺いますが、市町村教委の判断で実施されるテストですが、学校間格差が広がり、「競争主義」も激化することが予想されることから、県として中止すべきと国に意見をいうべきであると考えますがどうでしょうか。
(綿貫隆夫教育委員長答弁)
この間私は、幾度とこの医師不足の問題についてとりあげてきましたが、今回の予算案には私どもが提案してきたことも加えられ歓迎したいと思います。
今日の医師不足はさまざまな要因がありますが、その大元には、政府・与党の社会保障切捨て政治があります。
この間、「卒後研修の義務化で医師不足が加速した」と言われますが、卒後研修義務化は医師不足が表面化する引き金にはなりましたが、根本的な原因ではありません。不安定な身分のまま研修先も自由に選べなかった研修医が、一定の身分保障と研修病院の選択権を得られたことは評価すべきだといわれています。そもそも研修医をフル稼働させなければ医師の需給バランスが保てなかったことが問題でした。
04年度厚労省調査でも常勤医が医療法の配置基準を満たしている病院の割合は35%という状況と、医療技術の高度化やインフォームドコンセントなど、仕事量が増加していても、政府は「医者が増えると医療費が増える」と医師養成数を抑制してきました。その結果、人口10万人当たりの医師数が日本は200人、本県は181人ですが(アメリカ240人、ドイツ340人、イタリア420人)と、国際的にはOECD加盟30カ国の平均が310人ですが、日本は27位と立ち遅れ、14万人も少ないというものです。ところが厚労省はいまだに「医師は足りている、問題は地域・診療科の偏在だ」といっています。すべての都道府県の医師数がOECD加盟国の平均数を下回る日本では医師が余る状況はありません。
そこで衛生部長に伺いますが、
今回の確保策によってどのくらいの医師を県内に増やすことを目標としているのでしょうか。
また、この間の論議で衛生部長は「医師不足は新臨床研修制度によって医師の地域、診療科の偏在」と答弁されていますが、では長野県の医師数はどのくらいが適当と考えているのでしょうか。またこの間の県産科・小児科医療対策検討会では小児科や産科の集約化が言われていますが、何人くらいの医師を想定しているのでしょうか。また、集約化で間に合うのか。衛生部長に伺います。
(渡辺衛生部長答弁)
先ごろの新聞紙上で日本医労連がまとめた勤務医の労働実態が報道されていました。これによると勤務医の95.8%は、通常の8時間勤務に続いてさらに16時間の宿直勤務を経て、さらに通常の勤務に入る32時間労働をこなしている、過酷な労働実態が報告されています。また3割近くは月に一度も休日をとれない過酷な状況にあり、「職場を辞めたい」という医師が5割にもなることが報告されています。
長野県内の勤務医の実態について県医労連に聞き取りしたものでも、宿直明け勤務は当たり前、連続勤務36とか42時間、時間外勤務が月150時間などや、毎日が待機状態の医師などや、「医療の質が高度化しているのに同じ数の医師で業務ができるわけがない。医師の絶対数が不足している。」「医師の地方偏在だけでなく日本全体の医師数が少なすぎる。」など異口同音にこうした医師たちの限界を超えた状態での診療が住民の命を支えていることが明らかになりました。
この過酷さを裏付けるように、開業医が増えていることが報道されています。昨年の県内の医科診療所の開所が47件と過去2番目に多く、「背景には勤務医の過酷な労働環境があり、開業ラッシュが病院側の医師不足とそれに伴う勤務医の過重労働を助長する悪循環が顕著になっている」と報じられています。
そこで、先の議会では非正規雇用の青年の労働者の実態調査等を求めましたが、早速来年度予算に盛り込んでいただきましたが、今回はこの県民の命を守る勤務医の労働実態を掌握し、改善させる手立てを講じるべきであると思いますが見解を知事に伺います。
(村井知事答弁)
ある北信地方の産科医は「この地域において当院の私一人しか産婦人科医がいない。しかも豪雪地帯で大学や行政は数字上の集約化をおこなおうとしている。地域性を考慮した集約化でないとコンセンサスは得られない。住民あっての病院であり医療である。」と述べられています。
産科・小児科医の確保は喫緊の課題であることは確かです。しかし集約化での対応は、一時しのぎに過ぎず、むしろ勤務医の待遇改善も含め特に勤務医数の確保を行わなければ、上山田病院の救急の休止にもみられるように県民の医療が守れないことは明らかだと思いますが再度知事に伺います。
(村井知事答弁)
国は昨年8月末に新医師確保総合対策として、医師不足が顕著な長野県を含めた10県の医学部の定員を暫定的に10%前倒しで増員させ、奨学金制度の拡充を行うことになっていると伺いますが、これはどういった内容で具体化されるのでしょうか。衛生部長に伺います。
また、県の医学生修学資金貸与制度は、へき地診療所や公立や公的病院などでの勤務が条件とされていますが、実際には県立病院優先で、初期研修も県立須坂病院が指定されており、拘束しすぎていると医学生から指摘されました。また民間病院への要請には応えられないのは不公平ではないでしょうか。病院の設立主体にかかわらず、病院の担う機能で奨学生の勤務先、臨床研修の受け入れを可能とするなど自由度をあげるよう改善を求めますが衛生部長に伺います。
(衛生部長答弁)
再質問(略)
(衛生部長答弁)
医学生の確保からはじめる点では即効性には乏しいと思うが、島根県では県が10人の医師を雇用し、研究などの保障もしながら、あるいは宮城県でも県が医師を採用し、安定した県職員の身分で、医師不足の院所へ派遣する体制をもっているといいますが、本県も同様なことを行うべきではないかと提案しますが衛生部長に伺います。
(衛生部長答弁)
今回、女性医師バンクもスタートするということです。日本は就労している女性医師は16.4%とOECDの中で最下位です。高いフィンランドなどでは55%前後過半数が女性です。私は女性の進出する病院現場で勤務してきた実感としても女性が働きやすい職場は男性も働きやすい職場であることを、終わりに付け加えさせていただきます。女性の地位向上のためにも長野県の医師確保が総合的に進められることを願って質問を終わります。