日本共産党長野県議団を代表して代表質問を行います。
(1) 格差と貧困の広がりについてです。
安倍内閣が発足して最初の月例経済報告が昨年10月におこなわれましたが、日本経済の景気回復は02年2月以来続いており、これまで戦後最長であった「いざなぎ景気」を越えたといわれています。しかし、いまその実感を感じている人がどれだけいるでしょうか。私どもが昨年おこなった県民何でもアンケートは3000通が返ってきましたが、今の政治に対する厳しい批判とともに、誰かに聞いて欲しいという切実な思いや願いがびっしりと書かれています。
「暮らし向きはいかがですか」という問いに対して8割の人が「悪くなった」とこたえており、「その原因は何ですか」という問いに対する1位は国保・介護などの公的負担増、2位は年金の目減り、3位は税金の増額、4位は医療費の支出増と続き、この4項目が群をぬいています。
いくつかその声を紹介します。
「税制上の老年者控除がなくなり、所得税が生じ、その影響で諸々の負担、介護保険、濃く保税が増額し、住民税が10倍にもなりました。」(70代男性)
「私の家は8人同居。私は年金生活。子供は中小企業で低賃金。孫1人は低賃金。2人は派遣社員で低賃金不安定。こどもと孫の稼ぎは自動車費用でその他は全て私の負担です。昔は会社を辞めればこどもの扶養になったのに、今は私が扶養している。」(70代男性)
「こども達が大学に行っており、授業料・アパート代など仕送りしなければならないが当てにしていたボーナスが出ず、給料だけではどうにも足りず、貯金を下ろしての日々です。その貯金も底をつくのはもうすぐです。」(40代女性)
同じような状況は昨年暮れのNHKで「ワーキングプア」の特集として2回にわたって報道され、大きな反響を呼びました。
「法人企業統計」に基づく、試算によりますと、資本金10億円以上の巨大企業の役員報酬はこの10年間で1433万円から2820万円と倍に増えています。一方、資本金1000万円未満の零細企業労働者の場合は262万円から219万円へと17%も目減りしています。
一人当たりの県民所得も平成12年の308万3000円から平成16年の273万3000円と12%へっています。くわえて社会保障の負担増ですから生活が苦しくなるのは当然です。日本共産党は「なくそう貧困・格差」のキャンペーンをはじめ、ファックスやメールで国民の声が寄せられる窓口も設けています。
知事はこの格差と貧困の広がりをどうとらえておられるのでしょうか。見解を伺います。
(2) 次に長野県経済について伺います。
長野県経済をこの10数年のスタンスでみてみると、地域シンクタンク「長野経済研究所」によると、90年代のバブル崩壊で日本中が平成不況に突入したあとも98年のオリンピック開催をめざし、建設投資額が好調に推移し、善光寺のご開帳ともあいまって年間1億人を越える観光客も訪れ、高速交通網の整備で工場誘致もすすみ、有効求人倍率も2倍を超える活況を呈していたといいます。
90年代後半では、ホテルなどの新増改築ラッシュ、大型店の出店がある一方中心市街地の衰退、県内企業の海外進出がピークに達し、オリンピックの開催で観光消費は過去最高を収めたものの、下支えをしてきた建設投資が大幅に縮小し、デフレともあいまって長野県経済は急激に減速し始めたと分析しています。
2000年にはいると、IT景気が崩壊し、労働形態も派遣やパートが増え、公共事業の減、観光客の減、製造業の停滞で工場閉鎖や百貨店の破綻が相次ぎ長野県経済は急激な落ち込みを余儀なくされ、県財政も悪化したとしています。
私は一部の多国籍企業化した大企業と一握りの富裕層に膨大な富を集中させる一方、大多数の国民には格差と貧困を押し付けてきた新自由主義的な「小泉構造改革路線」が失業や生活苦を拡大してきたと思いますが、知事はこの間の長野県経済の動向について景気悪化の原因は何だと考えていますか。
また、小泉総理の5年間で公共事業を4割削減した中で、前知事が5割削減したことをもって長野県経済を壊滅させたという見解を述べる方もおります。この問題についても見解を伺います。
村井知事答弁
(格差と貧困)
毛利議員の質問にお答えします。格差社会と貧困の広がりをどうとらえているかというお尋ねでございますが、国税庁でまとめました年間給与実態調査によれば、年収2千万円を超える階層の給与所得比較 比率が増えている一方で、その間にある各階層、年収階層の9割の所得が減少している実態がございます。また、法人企業統計もこのような傾向を示す資料があると考えております。しかしながら、このような調査は、いずれも給与所得者を対象にしていまして、国民全体を対象とした調査では必ずしもない、働いても、働いても楽にならないという声があることは承知しておりますが、数量的に所得格差を ことは、なかなか容易ではない、私も経験していることであります。貧困という またありません。豊な生活というのは、人それぞれの価値観によって、違うものでございまして、年収額で一概に決めることはできないと考えております。物価の上下によっても貧富の実感が変わってまいります。行政では低所得者の定義を住民税の課税額で判断して、生活弱者である低所得者、住民税非課税者に対しましては、介護保険等の公費負担の軽減を図る等の支援をしている例もございます。いずれにいたしましても、豊な生活を実感しながら暮らすことは重要なことでありまして、このために県内産業を再生し、地域経済を元気にしなければなりません。県内企業の大半を占める地域の中小企業は、力強い回復をとげるために引き続き県内経済の早期再生がはかれるような産業振興施策を実施してまいりたいと考えております。
なお、雇用の面からみてまいりますと、正規社員の雇用拡大というのは県民所得の向上につながり、より豊で暮らしやすい環境が生み出されますので、2月13日に長野県、長野地方労働局、長野県経営者協会、そして長野県労働組合連合会が、長野県地域労使就職支援機構という連名によりまして、雇用環境改善へのメッセージを発したところでございます。
(長野県経済の動向について)
この10数年間の長野県経済をどう見ているかというお尋ねでございました。平成12年から13年にかけて、いわゆるITバブルが崩壊し、日本経済は景気の後退局面を迎えました。長野県の県内総生産は、1人当りの県民所得などの経済指標は、総じて減少に転じ、その後平成14年を底に、平成15年から回復傾向に転じたものの、長野県は全国に比べて回復の遅れが見られます。この背景、原因としては長野県経済への影響が大きい製造業において半分近くを占める電気機械関連業種を中心に生産拠点の海外シフトが進んだことにより、全国的な景気拡大の影響が反映されにくいこと、新たな市場分野に対する企業の事業展開が遅れたことなどがありまして、また、オリンピックまで下支えをしてきました様々な投資が減少したことなどが、この間の長野県経済の低迷原因だと考えております。しかしながら長野県製造業は、繊維からIT産業へといたる物作りのDNAが連面と受け継がれています。県といたしましては、こうした長野県の製造業のもつ可能性というものを、最大限に生かせるよう実効性のある産業振興策を講じてまいる所存でございます。
公共投資につきましては、これまで長野県では厳しい財政状況を踏まえまして、平成14年度に策定いたしました「財政改革プログラム」に基づき、計画的に減額してきたということは、承知しております。ここ数年の長野県の国庫補助事業の減少率は、他県の減少率を大幅に上回っておりまして、一部には継続中の事業が中断したものもあり、投資効率という点から言うと過去の投資が充分生かされていないということになりまして、けっして私は好ましいことではなかったと考えております。特に安全・安心のための治水・砂防等の「減災」対策に関しましては事業費の減少により整備が遅れたことは否めないところであります。社会資本整備については、車座集会でございますとか、ボイス81を通じまして多くの県民の皆様からご要望をいただいておりまして、今後も着実に進めていく必要があると考えております。このため来年度策定の中期総合計画のなかで、地域や市町村の要望を踏まえ主要事業をきちんと位置づけ、計画的効果的効率的に、真に地域に必要な事業を実施してまいる決意でございます。
(1)全国一の借金県である長野県は、累積借金がピークであった平成12年度以降県債発行額を抑制し、財政改革に取り組んできて、このまま順調に借金返済を続けていけばだんだん減らしていくことができるところまで進んできていました。
知事は「返す以上に借金は増やさない」と明言していますが、これでは減っていく保障はありません。平成19年度では県債残高を173億円減らしたと述べておられますが、突然普通会計ベースの数字を持ち出してきていますが、一般会計での減額は55億でしかありません。
前県政では毎年平均450億円減らしてきました。
来年度予算案では初めて「行政改革推進債」を100億円活用することになりました。
これは新たな借金です。総務省が地方に押し付けた「新地方行革指針」に基づいて、「集中改革プラン」を作成することになったことを踏まえて制度化され、平成18年度は使わずにきましたが、知事の初の予算編成である平成19年度にあらたに使うことになったものです。
この借金制度は、職員定数と給与総額を削減する見返りとして、公共施設の整備事業を行う際に、通常の県債で足りない分を上乗せすることができるとしているものです。しかし、今までのような基準財政需要額の交付税算定に含まれることはなく、つまり交付税措置されるものではなく、また使えるのも公共施設に限られており、文字通り国は制度はつくるが、返済は県の責任で行えというひどい制度です。
むこう5年間で県行政の民間委託化・スリム化と受益者負担増、1500人の職員削減を担保にしながら、この制度を使って毎年毎年100億円をかり、いったいどのような事業を行おうとしているのでしょうか。このようなやり方は借金残高を減らしてきた今までの努力をないがしろにするものではありませんか。
(2)日本共産党県議団は一貫して借金は借金である、地域総合整備債などあとから交付税措置されるからといういわゆる「有利な起債」に頼るべきではないと常々提案してきましたが、その指摘は的をえたものであるということが明確となりました。
「有利な起債」という名前で借金をしてきましたが、むしろ地方交付税総額が減額されているもとで、当てにしている交付税は年々削減され、県財政をいっそう借金体質にしてきただけではないでしょうか。
しかし従来は、まがりなりにも地方の借金を国が一定程度責任をもつという姿勢がありました。
ところが、竹中元総務大臣が主催した地方分権21世紀ビジョン懇談会報告書では、「分権改革工程表」を作成し、「10年後の交付税措置の廃止」を明らかにし、国の責任放棄をしようとしています。
このように国は、「三位一体の改革」によって地方交付税を人口・面積を基準にした新型交付税に姿を変えたり、不交付団体を拡大するなどの方向で、地方交付税を一層削減して地方自治体を窮地におとしめようとしています。
もともと長野県の借金は、長野五輪のための基盤整備に使われてきたと見る向きもありますが、2005年度末の一般会計ベースで見た県債残高1兆5800億円のうち、道路、河川、治山、公営住宅などの社会資本整備が約6千億円、北陸新幹線が約600億円、災害対応が約1150億円ですが、何とこれらの残高よりも一番多いのが経済対策、つまり90年代のバブル崩壊とその後の国の公共事業中心の経済対策に使われた借金です。
この額は県の借金の半分以上にもなる8000億円です。今後は、さらに「行政改革推進債」も含まれていくのです。
このように経済対策という名の公共事業の積み増しを実施しても、一向に景気の回復とならなかった国の政策の失敗を、地方が肩代わりする政治に唯々諾々として追従することは、自らの存立を崩すものとなります。
地方財政の再生のためには、財源保障と調整機能の縮小ではなく地方交付税制度の維持・拡充をはかることこそが不可欠です。
国の政策を転換するようしっかり提言すべきと思いますがどうでしょうか。
村井知事答弁
まず行政改革推進債の活用についてお尋ねがございました。この行政改革推進債は、集中改革プラン等に基づき数値目標を設定、公表して、計画的に行政改革を推進し、財政健全化に取り組んでいる地方公共団体において、行政改革の取り組みにより将来の財政負担の軽減が見込まれる範囲内で発行が認められる、こういう性格のものでございます。平成19年度の当初予算においては、厳しい財政状況が続く中で、必要な施策を展開するため、県債残高の縮減をはかりつつ100億円の行政改革推進債の活用を予定しているところでございます。行政改革推進債は通常の地方債に上乗せして社会資本整備のための財源として活用できるものでありまして、平成19年度においては減災対策の推進や、生活道路の整備、高校建設など県民生活に密着した真に必要な社会資本整備の財源として活用することといたしております。また行政改革推進債によって生み出された一般財源、これも活用しながら医師確保対策や、高齢者、障害者が安心して暮らせる体制整備など福祉、医療の充実、中小企業の育成や農林業の振興など産業の活性化、30人規模学級の実施をはじめとした教育の充実など、地域が輝く長野県めざし真に必要な施策を重点的に展開してまいります。今後とも厳しい財政状況のなかで県民生活に必要な施策を展開していくため行政改革推進債を活用していくことを前提としても、県債残高は毎年度減少するものと見込んでおりまして、後世代の負担も充分に考慮し、財政の健全化にも意を用いてまいります。
地方交付税についてお尋ねがございました。先ほど木下議員からもご質問がございましたけれども、これまでの三位一体の改革の影響により、地方交付税の削減が続いてきたところでございまして、一般財源の確保について非常に厳しい状況が続いているわけでございます。地方交付税については、その財政調整機能、財源保障機能を維持しつつ、地方の財政事情をより的確に反映し、安定的な財政運営が可能となるような枠組みと、それからその総額の確保が必要であるということを私も充分認識しております。さればこそ、昨年11月には総務省及び財務省に対し、様々な住民ニーズに迅速かつ、きめこまやかに対応するため安定した財政運営に必要となる地方交付税や地方税等の地方一般財源総額を確保するとともに、地方税財源を充実強化するよう働き掛けをおこなってまいったところでございます。今後とも分権型社会にふさわしい地方の財政基盤の確立のため、さまざまな機会を通じて国に要望をしてまいりたいと考えております。
いま知事の方から種種の答弁がありましたが、行政改革推進債の活用は将来にわたって、長野県が毒薬を飲まされたとでも言うべきものです。行革もやります。県民負担も増やします、だから貸してくださいという約束をさせられて使うものであり、示されている「行財政改革プラン」をみてみると行政のスリム化、民営化をベースに受益者負担の増大で平成19年から5年間で31億円増、高校統廃合の更なる推進などで教職員の削減が700人、事業の見直しで152億円の削減など住民生活にとって重大な問題が含まれています。一方公的施設建設ための借金ということで、任期中には着手したいとされている100億円の淺川の穴あきダムなど効果も疑問視され、安全性もなく住民世論の分かれている問題に大型の投資がされていくことが危惧されます。
いま知事は、これを使いまして福祉や医療を充実させていくとおっしゃいましたが、私どもがかねがね求めてまいりました介護保険に対する個人負担について、各県ではそれぞれについて補助をだしているが、長野県もぜひやってほしい、このようなことも求めてまいりました。しかし、新年度予算には。このようなことは一銭も盛られておりません。住民の医療・福祉・教育の充実など自治体本来の仕事をきちんとやるべきと強く申し上げさせていただきます。
(1)村井知事は、2月8日、浅川に治水専用穴あきダムを建設する計画を発表しました。計画の発表にあたり、知事は、「県民の生命・財産を守っていくためには、行政の責任者として一刻も早く結論を出さなければならない。」「穴あきダムは旧ダム計画に比べて、環境面のほかに経済性、安全性でもすぐれている。」と強調されました。
そこで、まず、ダム建設そのものの安全性についてお伺いします。今回の計画は100年に一度の大雨に、計算上は対応できるかもしれませんが、ダム建設予定地一帯は有数の地すべり地帯で、直下に活断層の存在も指摘されています。(略)ループ橋沿いの浅川右岸では、昨年7月、2004年10月、1995年と3回にわたって地すべりブロックが発生して対策工事が行われています。このような場所にダムを建設して、本当に安全性の保障ができるのでしょうか。
昨年完成したばかりの「水をためないダム」として注目されている島根県の益田川ダムは、現在全国で唯一稼動している穴あきダムで、堤防の高さが48メートル、堤防の頂上の長さが169メートルで、計画されている浅川の穴あきダムとほぼ同じ大きさのダムですが、大きく違うところが3つあります。
1つは貯水量です。益田川ダムは670万立方メートルに対し、浅川ダムは110万立方メートルと6分の一の貯水量しかありません。
もうひとつは堤防の体積です。益田川ダムは10万6400立方メートル、浅川ダムは、ほぼこの2倍の規模、当初計画では24万立方メートルといわれています。
貯水量は6分の一なのに、使うコンクリートは、何と2倍です。それはなぜでしょうか。益田川ダムは比較的安定した地盤に造られているのに対し、浅川は地滑り地帯で地盤が弱く、2倍の重さでないと安定しないためといわれています。建設費も益田川ダムが約50億円、浅川は倍の100億円です。浅川ダムの危険性と経済効率の悪さが、すでにこの計画の中で示されているのではないでしょうか。
3つめは、浅川ダムの穴の断面は1平方メートルと大変小さいことです。益田川ダムは12平方メートルの穴が2つあいています。地質、地盤が弱いのに穴が小さいのですから、堆砂問題はより深刻です。穴あきダムは、土砂や流木で穴がふさがれないように、上流に砂防ダムが必要になりますが、その砂防ダムが埋まれば、さらに上流に砂防ダムが必要となり、際限なくダム造りが続く危険があります。
ダムを造ること自体に無理があり、無理を通すために際限なく税金をつぎ込む、こんなことが果たして許されるのでしょうか。
イタリアのバイオントダムも、奈良県の大滝ダムも、長期間貯水したために地すべりが発生したわけではありません。いずれも試験湛水の段階で地すべりが発生して、とりかえしのつかない大きな被害をおこしました。バイオントダムでは地山の大崩落でダム津波がおこり、下流の村を飲み込んで多くの人々の命が犠牲になりました。大滝ダムでは「伊勢湾台風でもびくともしなかった」というダム湖の4キロ上流にある集落に壊滅的な亀裂が発生し、集団移転を余儀なくされ、今なお新しい地滑りが発生し、ダム建設後も大規模な地滑り対策工事が繰り返され、次々に100億円をこえる工事費を投入しながら、ダムはゲートを開けたまま使えない事態です。
浅川の穴あきダム建設について、何よりも、県は安全性についての説明責任を果たすべきではないでしょうか。村井知事にお伺いします。知事が記者会見で述べた「浅川の穴あきダムは経済性、安全性でも優れている。」とする根拠についてお示しください。
(2)また、治水利水ダム等検討委員会浅川部会の報告でも、浅川に治水対策上の構造物を造る際には専門家による安全性の調査の必要性を指摘しており、村井知事も、「土木工学・河川工学の最高の知見を結集した。」と述べているのですから、県として安全性を示す科学的なデータを示していただき、第三者による検証を県民に示すことは必要不可欠と思われます。専門家による安全性の調査は、どのように行なうのでしょうか、知事にお伺いします。
(3)次に、ダム建設より千曲川の抜本改修や下流への遊水地の設置を優先するべきではないかという問題について伺います。
浅川の治水対策で、最も重要な解決するべき課題は、増水時に浅川の水が千曲川に流れ込めずにおこる内水被害の緩和です。千曲川に流れ込む中小河川では、千曲市でも、長野市松代、柳原、屋島などの沿川でも、こうした問題が起こるため、千曲川の増水時には水門を閉めて逆流を防ぎ、排水機場でポンプアップしています。しかし、千曲川の日常的な管理予算がほとんど無く、改修が進まないため、ポンプアップにも限界があります。
私たち日本共産党県議団は、村井知事の穴あきダム計画発表後、改めて井上さとし参議院議員を団長とする国会議員団調査団や長野市の住民の皆さんとともに浅川上流から下流までの緊急に現地調査を行ない、先日、千曲川の立ヶ花上下流の現地調査も再度行ないました。
立ヶ花橋上流では、昨年7月の豪雨災害の復旧工事で、大量の土砂の除去作業が行われており、中野市の旧豊田村地籍では新設の替佐堤防築堤工事が進んでいましたが、長い間に堆積した大量の土砂や岩石により、河床の上昇や流下能力の低下が指摘される千曲川の抜本改修が行なわれない限り、浅川下流や千曲川沿線の中小河川では、今後も宿命的に内水被害が繰り返されることになります。
ダム建設に100億円をかけるなら、千曲川の抜本改修や内水被害に苦しむ下流域への遊水地の設置などにお金をかけて手立てをすることこそ優先するべきではないでしょうか。新年度予算で計上されている排水機場の能力強化も、私たちも要望してきたもので有効な対策のひとつではありますが、千曲川の改修が進まなければ、ポンプの強化をした分、洪水時には千曲川が危なくなり、ポンプを稼動できる時間が短くなることにもなりかねず、悪循環が続くばかりです。浅川の治水安全度を高めていく手順として、すでに河川改修は八割が終わって、天井川が基本的には解消している現状の下で、優先するのはダム建設ではなく、遊水地の設置や千曲川の改修促進ではないでしょうか。村井知事の見解をお伺いします。
(4)続いて穴あきダム提案にあたり、流域協議会への説明を当初計画しないなど、河川法の住民参加の考え方や、長野県で積み重ねてきた議論を無視しているのではないかという民主主義の手続きの問題について伺います。
浅川の治水問題については、治水利水ダム等検討委員会の終了後、公募で募った流域住民約150名の参加による流域協議会が設置されて議論が進められてきました。ダム建設には賛否両論の、治水対策への意欲ある住民の自主的な議論の場で、県は要綱で流域協議会を設置しています。流域協議会開催の希望は村井知事就任後も再三あったにもかかわらず、県の意向で昨年2月以来一度も開かれず、今回の穴あきダムの方針はいっさい知らせず、一方的に発表されてしまいました。また、同じように公募で県が設置した基本高水協議会も最終的な報告書をまとめる段階になっていたのもかかわらず、いっさい無視です。たとえ県政トップの知事が変わり、治水に対する方針が変わったといっても、県が設置した住民の声を聞く組織を、全く無視していいと言うことにはなりません。平成9年の河川法改正の大きなポイントの一つは治水への住民参加であり、今回のような民主主義のルール無視のやり方は、県民の厳しい批判をあびているところです。
日本共産党県議団は、知事が穴あきダムの方針を発表した当日、直ちに中止を求めて3項目の申し入れを行いましたが、治水への住民参加と民主主義の保障は重大な問題です。今回の発表当初、知事は、穴あきダムの方針を説明する対象として、新幹線対策委員会と沿線の区長さんたちが参加する浅川総合治水対策協議会だけを考えていたようですが、申し入れの際にも指摘させていただきましたように、流域協議会は、県が要綱で設置した組織です。区長さん参加の浅川総合治水対策協議会は、長野市の区長さんが基本的には1年交代であること、区長就任時にダム建設の賛否を条件に選ばれているわけではないこと、その意味で、マスコミなどでもこの協議会に県が穴あきダム案を説明して「全員の了解を得た」などと報道されていますが、ダム建設の賛否を了解したり決める権限のある組織ではないこと、県の説明を受けて地元へ帰っても、地元住民を集めて区長の責任で穴あきダムについて説明するようなシステムにはなっていないこと等など、決して区長さんたちの日頃の住民のためのご苦労を否定するものではありませんが、流域協議会を無視しても、県の説明を優先するべき性格の組織とは思えません。
昨日の代表質問の中で知事は22日の流域協議会に責任を持って参加すると答弁されましたが流域協議会の招集にあたっては知事は出席できず、副知事が説明するとの事前連絡がされていたとお聞きしていますが、なぜそうなっていたのでしょうか。
流域協議会の位置づけや、今まで積み重ねてきた住民参加の議論について、どのように受け止めているかを含めて、知事の見解をお伺いします。
(5)また、下諏訪ダム、蓼科ダムは住民参加で策定してきた諏訪圏域河川整備計画が国の認可を経るなかで、すでにダムによらない河川改修として進行しており、住民の皆さんは歓迎しています。知事は淺川以外の他の河川について関係市町村の状況を把握する、ダムについて特別考えているわけではないとおっしゃっておられますが、下諏訪ダム、蓼科ダムについては住民参加で作り上げてきた結論をきちんと尊重して進めるべきだと思いますがいかがでしょうか。
村井知事答弁
(浅川の治水)
お答えをさせていただきます。治水専用ダムの経済性安全性の根拠を示すべきではないかというご質問でございますが、今回の治水専用ダムが経済性に優れ、また安全な構造物であること、さらにこの判断に至った根拠につきましては、今県会のなかでもすでにご説明をさせていただいておりますし、今後は浅川流域協議会や地域の皆様に対しましても、きちんとご説明させていただく所存でございます。
専門家による地質の安全性調査が必要ではないかというご質問についてでございますが、ダムの建設地点の基礎地盤、さらには断層、地すべり等の地質に関しましては、これまでの調査や浅川ダム地すべり等技術検討委員会における検討、さらにはその後の再検討を通じまして、すでにその安全性が確認をされております。また今後実施する詳細設計に際しましても、工学的地質学的な専門知識を有する国土交通省、独立行政法人土木研究所などの確認をいただきながらすすめてまいりますので、施設の安全性についても充分な検討が行われ、また充分な安全性が確保されるものと考えております。
ダム建設、千曲川の改修、下流遊水地の設置に関しましてお答えをさせていただきます。
浅川の治水対策といたしましては、浅川本川の洪水に起因する外水対策と、下流部固有の課題である内水対策に分けて、それぞれについて必要な対策を実施していく方針でございます。千曲川につきましては上下流の整理バランスや予算上の問題から、立ヶ花狭さく部の対策など抜本的な改修に関しては相応な時間が必要となってまいりますが、国、県それぞれの管理区間におきまして堤のない無堤地区の解消など必要な対策を講ずるとともに、洪水時に備えて適切な維持管理を実施してまいる所存でございます。
浅川における住民参加についてお答えを申し上げます。浅川の治水対策に関しましては平成13年2月の脱ダム宣言以降、長野県治水・利水ダム等検討委員会浅川部会、さらには浅川流域協議会、浅川の流域にとどまることなく多くの皆様にご参加いただき、議論が行われてまいりました。平成9年の河川法改正におきましては、河川整備に関する住民参加が大きなテーマのひとつであったものと認識しておりますが、おそらく全国的にみましても、このような形で長い年月をかけて多くの住民の方々が参加して、ひとつの河川の計画を議論した例は浅川以外ないのではないかと、私は思っております。しかしながら、私は河川法でゆうところの住民参加というものは、けして計画の是非の判断を住民にゆだねるという意味ではないと、このように認識をしております。これまでの流域協議会をはじめとする多くの議論を踏まえるなかで、一日も早く、河川管理者として責任ある判断を、また、一日も早く洪水対策を実行するべきであると、このように考えまして先般方針を決定したものでございます。今後は、この県の方針を、県の案に関してご意見を聞く場として設けられた浅川流域協議会や、地域にお住まいの皆様にご説明をし、できるだけ多くの方にご理解をいただくよう、行政としての説明責任をはたしていかなければならないと考えております。
なお、浅川流域協議会への出席につきましては、議会をはじめ多くの皆様からのご意見をお聞きする中で、私が出席するべきであると判断をいたした次第でございます。
砥川、上川の治水対策についてでございますが、これにつきましては当面の20年間の目標を治水安全度50分の1とし、河川改修を実施するとの内容で既に河川整備計画の認可を受けております。砥川、上川は 諏訪湖に流入する河川のなかでも、流域内の人口、資産などの観点から重要度の高い河川であると、将来目指すべき目標は治水安全度100分の1となっておりますが、当面は河川整備計画の内容に沿った河川改修をすすめ、治水安全度の向上をはかってまいりたいと、このように考えております。
ただいま知事のご答弁によりますと、浅川のダム建設自体は安全であると、すでに調査が終わっているというふうな話でした。しかも、また国土交通省、それから専門家、地質学、工学的な専門家によって安全性が確保されているというふうにおっしゃいました。
しかし、奈良県大滝ダムは、国直轄のダムではありますが、国土交通省が肝いりで技術的にもすでに安全だというふうに言いながら、実際に水を溜め始めて試験たん水をしているだけで大きなブロックが4キロ上流に起って、そこにすでに部落があったにもかかわらず、住民は住めなくなっているわけであります。これらの事態も勘案してみても、本当に知見が国土交通省にまかせてもいいのかということだけで、信頼できないというふうに私は言えると思います。地域の住民のみなさんが過去の調査を経て、なお3回も地滑りを起こしているなかで、何としても再度きちんと調査をしてほしいと言っていることについて、どう答えていかれるんですか。いま私が指摘をした大滝ダムとの事例とも重ね合わせながらご所見をお願いします。
さらに、私が先ほどお尋ねした浅川の流域協議会に参加するという問題でありますが、もちろん議会からの様々な要望もあり、22日に行なわれる流域協議会には知事御本人が参加されることを決めていただいたことはいいことでありますけれども、当初なぜ参加しようとしていなかったのかと、そのことについて私は見解を伺いたいと思いますので、改めてご答弁をお願いいたします。
村井知事答弁
第一の大滝ダムの問題でございますが、大滝ダムは大滝ダムでございまして、浅川ダムは全然別の話しでございます。その国土交通省の直轄ですか建設省ですか、建設省が直轄でやったからといって、唯一の共通点、失礼。その建設省が、改め国土交通省という役所になった。それだけのことで、大滝ダムの事例をとらえるというのは、あまり私は意味のある話ではないと思っております。
二番目の流域協議会の話しでございますが、これは私自身、率直に申しまして、どういう段取りで説明が行われる手順になるかということにつきまして、十分な認識をもっていなかった。で、議会でのいろいろなお話を伺う中で、これは私が出た方がいいなと判断したと、極めて単純な話しでございます。
流域協議会への参加の問題はですね、これは単なる自主的な団体ということではなくて、県の条例(要綱)に基づいて決められている協議会であります。ですから知事としては当然そこに出て、話し合わなければならない、説明をしなければならない、そういう義務があるわけですが、そもそもこれらのみなさんの求めに応じて、会うということすらもしていなかったという問題があるわけですから非常に私は無責任な対応だというふうに思うところでございます。
この問題につきましては、これから一般質問もありますし、委員会もありますので引続いて、私どもの立場をおおいに主張させていただきたいと思っているところです。
(1)「産業活性化・雇用創出プラン」の新たな策定について知事に伺います。
安倍内閣は「再チャレンジ」政策を重点施策として掲げています。しかし、雇用関係予算は昨年の当初予算からばっさり半減させました。
いま働く者の3人に1人、若者は2人に1人が非正規雇用だといわれています。昨年はどんなに働いても年間100万円に満たないワーキングプアの問題、また大企業での偽装請負の摘発、収入が少ないためにマンションもかりられず、その日もらった賃金を使い、漫画喫茶で夜を明かす青年達の問題など労働者が劣悪な状態に置かれていることが大きくクローズアップされた年でした。
長野県の雇用状況は有効求人倍率が1.27倍で改善傾向にあるといいますが、南高北低でこの面でも地域格差は歴然であり、求人があっても、半分はパートや請負などの非正規雇用、年齢的にも45歳以上では10人に1人しか仕事に就くことはできず、依然として雇用環境が厳しいことに変わりはありません。
そのうえどんなに働いても一定時間以上は給与がでないホワイトカラーエグゼンプションの導入なども視野に入れられています。このようなもとで、県として攻勢的に、新たな「産業活性化・雇用創出プラン」を策定することは重要な課題と思います。ぜひ策定すべきと考えますがいかがでしょうか。知事のお考えをお聞かせ下さい。
(2) 続いて「ジョブカフェ信州」の充実について商工部長にうかがいます。
総務省が発表した06年12月の完全失業率は前月より0.1ポイント悪化し4.1%となりました。年間平均でみると男女とも15歳〜24歳がもっとも高く、男8.8%、女7.2%と依然若者の雇用拡大が急務になっています。
12月議会で知事も答弁しているように05年度ジョブカフェ信州の紹介で就職した1000人近い若者のうち99%が常勤雇用という事に見られるように、若者の就業支援としてのジョブカフェ信州が果たしている役割は大きなものがあります。
キャリアコンサルタントの出張相談の取り組みも優れたものがありますが、党県議団としてこの取り組みをさらに充実させるために、長野の場所についてはもっと、わかりやすく若者が訪問しやすい場所に移転するよう求めてきたところでありますがなかなか改善されません。
ぜひ具体的な対応をして欲しいと思いますがいかがでしょうか。さらに、県下にもっと常設の場所を広めて欲しいと思いますがいかがでしょうか。
村井知事答弁
(雇用について)
産業活性化・雇用創出プランにつきましてお答えを申し上げます。このプランは長引く景気低迷に伴う厳しい雇用情勢の中、当時年間の平均有効求人倍率は0.69倍と、こういう水準でございました。こういう情勢に対処するため雇用の維持、創出などをはかっていく観点から平成15年度から18年度までの4年間を期間として定めたと記憶しております。平成17年度末で常勤的雇用では創出目標2万人に対し72%に相当する14431人、短期的雇用では同じく目標111万人日に対して約82%にあたる91万人日の雇用を創出したということでございます。産業活性化・雇用創出プランは、本年度が最終年度となりますが、12月末現在での見込みでは、常勤・短期的雇用ともにおおむね達成できる見込みとなっている承知しております。一方雇用情勢は、17年9月以降有効求人倍率が16ヶ月連続で1倍台を越え、平成18年12月1.27倍となっておりまして、先ほど申し上げましたプラン策定時の0.69倍と比べまして、大幅に改善はされております。このような状況に鑑みまして直接公的事業による雇用創出をする形は一定の成果を果たしたものと考えております。しかし、まだまだ若年者を始めとして障害者など雇用情勢が厳しいことは、今後は雇用に関する観点を視野にいれながら若年者の就業支援や、企業誘致の促進などに取り組んでまいりたいと思っております。
山極商工部長答弁
(ジョブカフェ信州について)
ジョブカフェ信州長野分室についてお答えをいたします。まずジョブカフェ信州の利用状況でございますが、松本センターでは1日当たり平均で約48名、長野分室では約8名の若者が来所しております。この他、長野分室と同一フロアで接している学生職業相談室には、1日当たり約20名のかたが来所しております。議員御指摘のとおり長野分室は、長野駅東口にあるビルの6階にございまして、案内看板等の設置の規制もあって、わかりにくい、あるいは利用しにくいといった声も確かに聞いておるところでございます。このためにジョブカフェ信州長野分室と同じフロアで連携をしております学生職業相談室を所管している長野労働局と相談をいたしまして、若者により利用しやすい長野駅周辺の空きビルですとか、あるいは公共施設などへの移転が可能かどうか、いま一緒に検討しているところでございます。この検討の中で、移転にあたっていくつか課題がございます。いずれにいたしましてもより多くの若者に利用していただけるために、できる限り早い時期に移転が実現できるように関係機関と連携してすすめてまいりたいと考えております。
次に県下にもっと常設の場所を広めてはということでございます。ジョブカフェ信州は申し上げましたとおり、松本と長野で運営をいたしておりますが、遠隔地で訪れることができない相談者に対しまして、もよりの場所でコンサルティングが受けられるようキャリアコンサルティング事業を行っております。産業カウンセラーなどの資格をお持ちの方23名にお願いし、ジョブカフェに来所できない若者や、就学のために利用時間に来所できない若者に対しまして、若者が利用しやすい場所に出向き職業相談等を行っております。平成18年12月末で上田市、小諸市、佐久市、小布施町など東北信地方を中心にしまして37市町村で、のべ385名の方に利用していただいています。今後ともより多くの若者に利用してもらえるように制度のピーアールに努めるとともに、県内各地で市町村と連携した出前セミナーや相談会も積極的に展開してまいりたいと考えております。
ジョブカフェ信州の長野分室に関わりましては、いま探しているとのことですが、もっとスピーディーな対応をぜひ求めたいと思います。若い人たちがですね、本当に駅周辺で常に行きかう場所で、ほんとに入りやすい場所に設置していただくということを早急にやっていただきたいとお願いしておきます。それからですね。先ほど知事の方からは若者の雇用については今後ともしっかり取り組んでいきたいというようなお話がありました。しかしながらですね。新年度の予算では、特に前年度から比べましてもジョブカフェ信州という若者の就業支援にかかる予算が1千万円も削られているわけです。そういうことをみますと知事がおっしゃっておられることと実際はかなりかけ離れているというふうに、先ほどの高齢者福祉についてもがんばっていきたいという話でありましたけれども、多々あるわけです。従ってですね。私はこれどうして削ったのかなあということで、大変疑問に思っているところです。ぜひ充実させていただきたいと思いますが、知事どうでしょうか?それからまた、商工部長にはですね。青年たちの今後の就職活動を支援していくうえで、先ほど常設の場所ということでお願いを申し上げましたが、特に飯田、伊那地方からの要望が強いわけであります。県の施設の中に、空き施設というか、その場所を確保してやることができないかということで、そのことについても提案をさせていただきますが、ご回答をお願いします。
山際商工部長答弁
まずジョブカフェ信州の予算の関係でございます。確かに18年度予算と19年度当初予算を比較した場合に、約1千万の減額でございまして、この内容でございますが、予算につきましては最小の経費で最大の効果をあげるということが重要でございまして、実は17年度、18年度の2年間続けておりました就職基礎能力促成講座事業というのがございます。これは国から10分の10の委託費を受けまして実施している事業でございまして、内容的にはフリーターですとかニートなどの若者を対象といたしまして職業意識あるいは職場におけるコミュニケーション能力を高めるために1週間程度の、いわゆるセミナーを開催するものでございます。これの17と18を比べた場合に利用者が半分に減少しているということで、なかなか講座に参加する希望者がいないということでございます。この辺を見直しをいたしまして、こういった座学形式でやるセミナーよりも、いま体を使った実地体験をされたほうがより効果が上がるということで、18年度も少しずつ実施をいたしております。特に農業の実地体験これをさらに商業あるいは製造業に広めたいということで、これも若者から非常に人気が高いというようなこともございまして、実は19年度予算にこの予算として計上いたしたわけでございます。これはいわゆる職親制度をつくりまして、若者を預かっていただける事業主等に呼びかけまして、その方を登録してそこへ若者をお預けして体験をしてもらうと、こういう事業でございます。従ってこの差が約1千万減額ということでございます。より効果の上がる事業をとりいれた結果だということでございます。それからもう1点は、いわゆる常設の場を拡大というお話でございますが、これにつきましては各市町村にも働きかけを行いまして、先ほど37市町村で利用いただいているという話を申し上げたんですが、これをさらに広げるべく、このジョブカフェ信州の職員が中心になってですね、いまPRに努めているところでありまして、年々利用市町村も増えています。そういったことでこれから積極的に手をあげていただいて、市町村のイベント等とも併設というような形で積極的に展開をしてまいりたいと考えております。
(1)中小企業予算について知事にうかがいます。
企業数の99%、従業員数の約7割、製造業の出荷額の半分以上を占めている中小企業は「日本経済の主役」です。新たな雇用を生み出す「雇用創出力」で見ても従業員1〜5人規模の零細事業所では111万人の純増となっています。これは300人以上の企業が109万人リストラしたのに匹敵しています。規模の小さな企業が雇用を守って頑張っていることが数字上からもいえます。
「中小企業白書」でも、このことを「厳しい経済環境のもとで、大規模な事業所が雇用を純減させるなかで、小規模事業所がわが国の雇用創出に大きな役割を果たしたことが改めて伺われる」と評価しています。
「景気回復」といわれていますが、中小企業の景況は沈んだままです。一方で大企業は史上空前の大もうけをあげ、資金余剰は大企業を中心に82兆円まで膨らんでいるという試算もあります。
地域経済の再生をはかるにはなんといっても中小企業の経営への直接的な支援が不可欠です。
しかし、政府の中小企業予算は06年度で一般歳出のわずか0.34%にすぎません。1967年には0.88%あったものが年々減らされ1963年の中小企業基本法制定以来最低になってしまいました。長野県ではどうでしょう。
平成19年度予算に占める商工費は692億円。その大半は融資分で608億円。中小企業振興費はわずかに28億円。予算の0.3%と少ない国よりもさらに少なく、微々たるものです。これで中小企業の振興をするといっても、果たしてできるでしょうか。
中小企業の振興策に対する知事の見解を伺うとともに、この予算が適正なのかにつきましても見解を伺います。
(2)また、商工部長にはもの作りの現場は優れた技能、技術を有する職人のいる零細企業が支えて頑張っています。こうした零細企業に対して実態をどうとらえ、どう支援していこうと考えておられるのか伺います。
帝国データバンクの調査によりますと、長野県の製造業構成比率は大阪、埼玉、愛知、静岡、群馬についで全国6位とのことで県内22,000社のうち18.6%を占めているといいます。また。19市では岡谷市がトップで34.8%。地区別では南信が25.5%
北信が14.8%で南信が際立って高いことがわかります。県内の景気動向を見た時に、製造業が頑張っている南は高いが北は低いと言われる所以にもなっています。この結果から言えることは長野県は観光県、農業県でもありますが工業県でもあると言う事ではないでしょうか。
この長野県が事業所数で平成元年〜17年のあいだに34%も減っていることは看過できない事態です。しかもこの統計には製造業の4割を占める従業員3人以下がカウントされていません。国の統計調査の基準から下請けで苦労を強いられ、四苦八苦して苦しんでいる家族経営を主体とする中小零細の業者が数年前から除外されていることは本当に心外で、これで製造業の実態が本当にわかるのかとても疑問です。
先日岡谷市内で「地元中小企業振興シンポジウム」が開催され私もパネラーの1人として参加させていただきました。そこには統計の対象からはずされている多くの業者が参加されておりましたが、会社勤めを止めて自分で会社をおこし、オリンパスやニコン、ペンタックスの仕事をもらって毎晩1時、2時まで仕事をしていたがバブルの崩壊で仕事が全てなくなり、やっていけないので板金と溶接に仕事を変えた。しかし、取引先からコストを15%下げられ、さらにまた5%、さらにとさげられるというなかで仕事も減り、とうとう継続できなくなって、従業員には止めてもらい夫婦でやるようになった。
それも立ち行かなくなり奥さんにはヘルパーで仕事にでてもらい自分ひとりで細々つづけているとの話がありました。
その方は人を使っているときは行政の調査も入ったが、一人になったときには訪ねてきても、一人でやっていることがわかると「ああいいです」と何も聞かないまま帰ってしまったといっておられました。日本の経済を足下から支え、もっとも行政の手を差し伸べて欲しい皆さんがこのような形で無視されていて果たして中小企業の振興ができるのか。しかも製造業の4割を占めている皆さんです。実態を知ることのないまま施策ができようはずがないと思います。
(3)続いて企画局長にうかがいます。以前のように3人以下の中小零細の調査を県として独自におこない実態に即した中小企業の振興策を実施すべきだと思うがいかがでしょうか。
村井知事答弁
(中小企業支援)
長野県の経済は、企業家精神があふれる中小企業のたえまない努力によって支えられていると思っております。経済のグローバル化が進展し、世界規模での企業間競争、国内での地域間競争など、厳しい経済環境におかれていることも、よく認識しております。また人口減少、少子高齢化現象のなかで商業や…対象となる地域内市場の縮小も懸念されているところであります。こうしたなかで、雇用と経済を支える中小企業に活力を与え、国内外の 対応できるような中小企業の振興策を展開してまいらなければいけない、いろいろ工夫をしているところでございます。来年度の商工関係予算では、このような視点に立ちまして、新たな成長の芽を育み、力強い長野県経済を構築することを目標にし、成長産業の集積のための「磨けば光る原石」ともいうべき意欲ある中小企業への集中的継続的な支援や、工業技術センターにおける技術支援機器の充実、それから創業支援の強化のための起業から創業後のフォローまでの一貫した支援、既存産業の充実・強化のための中小企業融資制度資金の充実や、総額50億円の基金による地域資源を活用した新事業展開などを行う中小企業への支援、次世代の人づくりのための技術・技能の伝承のための支援や、若年者の就業支援、観光立県長野を再興のための全県をあげた観光誘客キャンペーンの展開など、限られた予算のなかで、選択と集中によるメリハリをつけながら中小企業振興に向けて、より実効のあがるよう予算確保をはかっていく次第でございます。御理解をいただき、御支援をお願いしたいと存じます。
山極商工部長答弁
(物つくり)
物づくりの零細企業の実態をどのようにとらえ、支援策をどのように考えているのかという質問でございます。県内における従業者20人未満の小規模製造事業所は、製造事業所全体の8割を越え、切削プラスチック成型など本県における物づくりの基盤的技術を担っており、小規模企業の振興は大変重要なことと認識をいたしております。平成18年10月末における下請け企業を対象とした中小製造業の経営動向調査結果によりますと、3ヶ月前の7月時点に比べ、材料費を含めた受注単価は上昇しているものの、 操業度、収益性は悪化をいたしております。また、当面の経営面といたしましては、受注量の減少をあげる企業が最も多く、次いで経費の上昇、小ロット短納期化と続いており、厳しい経営状況が伺われます。
このような厳しい状況にある小規模事業を支援するため、先ほど知事から申し上げました中小企業振興策に加え、中小企業振興センターによる取引あっせん、経営相談、工業技術総合センターによる技術相談、産業大学校講座や技術専門校等による人材育成など、規模の小さい企業にもきめ細かな支援を実施しておるところでございます。昨年の4月から12月末時点での実績でございますが、取引あっせんは約340件ございます。17年度1年間の実績でございますが、工業技術総合センターの技術相談、これにつきましては20人以下の小規模製造事業に限っていいますと年間で約3122件ございます。いずれにいたしましても今後とも支援の充実に積極的に取り組んでまいりたいとふうに思います。
和田企画局長答弁
(実態調査)
3人以下の事業所を対象といたします工業統計調査を独自に実施すべきというご質問でございますけれども、お尋ねの事業者数3人以下の事業所につきましては、現在、国の指定統計調査におきまして調査をしております。しかしながらこの調査は、西暦の末尾が03、5、8の年に限定されておりまして、その他の年につきましては調査をしておりません。その他の年につきましては過去県単独事業として実施しておりましたけれども、平成12年にこの事業を廃止しております。その主な理由でございますけれども、ひとつには国の調査が行われます年以外につきましては、国が主要項目につきまして推計値を算出しているということがございます。それから2つ目には調査項目が非常に多岐にわたっておりまして、3人以下の事業所にとりまして大変負担が大きかったということがございます。こうした県単独調査につきましては、当時本県以外に7県で行われておりましたけれども、ほぼ同時期にすべての県で廃止をされております。せっかくの御提案ではございますが、国の調査等を活用することをもちまして調査目的を達成することが可能であると判断いたしますことから、現在の方法により対応してまいりたいと、そのように思います。
次に知事に伺います。
今全国的に企業誘致合戦がくりひろげられています。企業誘致はなんでも反対という態度ではありませんが三重県のシャープ亀山工場のように公的資金を135億円も入れながら地元雇用も税金納入もごくわずかで地域経済への波及も少ないというのでは何のための誘致かと言うことになってしまいます。
新年度では企業誘致への補助金を3億円から10億円にひきあげています。平成17年からの2年間で「信州ものづくり産業投資応援条例」にもとづく助成企業は19社43億円です。一方新年度の中小企業振興費は10,000社もあるというのにわずか28億円。あまりにもアンバランスではないでしょうか。前段で申し上げましたように中小企業が元気にならなければ長野県の活性化はありえません。中小企業へも光を当てた予算措置と対応を重ねて求めますがいかがですか。
商工部長に伺います。
今、労働現場では非正規雇用やサービス残業の横行で大変な状況にあることはいうまでもありませんが、中小零細の事業者のなかにも大変な事態が進行しています。
「材料が高騰してこまっている。昨年の1月にステンレス1キロ95円だった。暮れにはそれが320円になり、今は350円になっている。材料の値上げをそのまま製品に転化できないので四苦八苦している」
「親会社から突然カドミウムの入っている材料は使ってはいけないという指示がきて、在庫をたくさん抱えて使えなくなった。交渉してメーカーが引き取るといったのに、今もって実行されていない。公正取引委員会に提訴したら、親企業のそのまた親企業まで大変なことにになるけどいいかといってきた。底まで大事になるならと、しかたないので、とりさげた」
「中小下請けは親企業に逆らえばもう、仕事をもらえない。いくら単価が安くても、いくら急に飛び込む仕事でも受けざるを得ない」などなど切実な声が寄せられています。
このような実態は家族経営や一人でやっている事業者に顕著です。優れた技術力をもち精密な製品もつくれる腕のいい事業者がこのような実情にあることをどうとらえどういった対応をとっているのですか。
下請け2法も適用されず、・・なきがごときです。技術を継承する後継者の育成も急がれると思いますが、それぞれについて再度答弁をお願いいたします。
山極商工部長答弁
こういった中小零細企業のいろんな取引上での問題点とか、あるいは後継者問題にどういう対応をするのかという質問だったと思います。現在、中小企業振興センターの経営支援コーディネーターもおります。これが要請に応じてそれぞれ各企業に回りましてご相談に応じています。なかにはコスト削減、あるいは資金運用の助言、あるいは経営者に対します教育と申しますか、そういったことをするわけであります。後継者問題についての相談にもあずかっているところであります。こういった中小企業センターのアドバイスを中心にいたしまして、対応をしていきたいと思います。
それから後継者の問題につきましては、人材育成と申しまして産業大学校の講座のなかでも、経営のマネジメントあるいはマーケティング等々の講座も開いております。そういったところをお受けいただければ幸いと考えています。いずれにいたしましても中小企業振興センターあるいは商工会、商工会議所にも経営指導員がおられます。こういった所で長野産業支援ネットを充実強化をいたしておりますが、ネットワークを通じてできるだけワンストップでサービスできるようにこれからもさらに充実強化をしながら対応してまいります。
(1)長野県では昭和55年に策定した「長野県婦人行動計画」から25年余に渡って男女共同参画社会作りの実現に向けた取り組みをおこなってきています。また、平成14年12月議会では議員提案で「長野県男女共同参画社会づくり条例」が制定されました。男女共同参画社会に対する県民の理解はすすみつつありますが、しかし、一方で日本全体の動きとしても県によっては図書館からジェンダーフリーについて書かれた書籍がとりのぞかれるなど、バッシングもまた強まっているところです。
このような中で行政が率先して範を示して行くことが求められているわけですが、県の審議会等における女性委員の占める割合は目標に届くどころか平成13年の28.8%から5.3%も後退しており、一体どうなっているのか取り組みに腹立たしさと疑問を感じます。どのような努力がおこなわれ、このような結果になっているのか。改善方向についてもうかがいます。
(2)また、県職員の部長・課長などの女性管理職は平成16年から毎年減少しています。
校長・教頭についてもあまり変化はなく、依然として小中学校では全国下から数えたほうが早いくらいです。このことにつきましてもなぜこのようなことになっているのか、今後どう対応して行くつもりなのか伺います。
村井知事答弁
(男女共同参画)
県の審議会の女性委員の登用についてお尋ねがございました。女性が政策や方針を決定する場に参画するということは、男女共同参画社会づくりを推進するうえで、極めて重要であると認識しております。長野県では平成12年度に策定した長野県男女共同参画計画におきまして審議会における女性委員の登用率の目標を35%としておきましたが、議員御指摘のとおり平成13年3月には28.8%でありました登用率が年々下降し、平成18年9月には19.6%まで落ち込んでいます。先ほど議員御指摘では23.5%でございますが、それよりさらに落ち込んでいるということであります。県といたしましては現在策定中の平成22年度を目標年度とする第二次男女共同参画計画におきまして、行政機関等における女性の参画拡大を基本目標のひとつとして位置づけております。職務規定に対する柔軟な対応や民間研究機関、女性団体等を視野に入れた専門分野の人材のさらなる掘り起しによりまして審議会に於ける女性委員を増やすための努力をしたいと考えています。
浦野総務部長答弁
(女性職員の登用)
県職員の女性登用の関係でありますが、平成15年の2月に策定をいたしました女性職員の登用促進・職域拡大を取り組む指針というものがございまして、それに基づきまして積極的な登用に努めているところでございます。それによりますれば係長級以上への女性職員の登用率、全体職員のなかの女性職員の占める割合を登用率と呼んでおりますけれども、平成14年の4月が5.9%168人でございます。15年で6.7%193人、16年5月1日でございますが7.3%210人、17年が8.0%231人、18年が8.2%238人ということで、順次増加をしてきております。登用率については約4割上がってきております。
今回第二次の女性職員の登用促進あるいは職域拡大等の取り組み指針を改めました。平成18年度から平成22年度までの5カ年間で引き続き女性の登用をはかってまいりたいと考えております。具体的には全職種におきまして係長級以上の職員に占める女性の割合の増加をはかることとしておりまして、特に行政職の登用率が対平成17年度比で50%増加することを目標としております。
また、能力、意欲のある女性職員の役職者への登用ということもはかりまして、特に企画部門、事業部門など多様な分野への女性職員の配置に努めてまいりたいと考えております。
山口教育長答弁
(校長・教頭の女性登用)
お答えいたします。議員御指摘のとおり本県小中学校における女性校長、教頭の占める割合は、全国に比して下位に位置しておりまして、国の調査によりますと18年4月における中学校校長・教頭への登用者数は全国2位となっており、また、小中学校校長・教頭の在職者数は5年前と比較して25名増加しております。ひき続き女性教員の管理職登用を推進するため学校長と連携し、校内の指導的立場に積極的に任用するなど、人材育成に努めるとともに、市町村教育委員会へも女性管理職登用を積極的に推薦、内申していただけるようお願いしてまいります。
また女性教員が働き続けられる環境整備が必要でありますことから、育児休業等が終わり、学校現場に復帰する女性教員に対しまして意見や希望を聞きながら円滑に復帰ができるための情報提供や教科指導、学級指導等の研修を行うなど、環境整備の充実に努めてまいります。
(1) 乳幼児医療費の窓口負担の撤廃について衛生部長に伺います。
少子化が進む中で子育て支援は多くの住民の切実な願いです。子供の医療費は昨年4月から所得制限をとりはらい、対象年齢も小学校入学前までと拡大され、たいへん喜ばれています。助成制度はいまや全国47都道府県1616自治体に広がっています。このような広がりの中では国としてきちんと制度を創設すべきだと思いますが、窓口払いの撤廃を行っている県もすでに17県になっています。あとから償還されるのなら、最初から払わなくていいようにして欲しいというのは当然の思いです。長野県もぜひ窓口負担を撤廃して欲しいと思いますがいかがでしょうか。
(2) 次に国保税滞納者対応について伺います。
加入者の多くが高齢者や退職者、自営業者など財政基盤の弱い皆さんでなり立っている国民健康保険は所得の1〜2割が保険料となり、保険料が高すぎるということともあいまって年々払えない人が増えています。納入促進とのことで各自治体は短期保険証を発行していますが、長野県では平成12年度に8.7%だったものが平成17年度には21.2%と爆発的にふえています。税制の改正によりこれからはいっそう滞納者が増えるものと予想されます。
1年以上滞納すれば保険証を取り上げるという国の強力な指導もあって資格証発行世帯は平成12年度の0.5%から平成17年度は654世帯1.0%と倍化しています。保険証が無ければ窓口で10割払わなければみてもらうことができません。早期に医療機関にかかれないために手遅れで命を失う事例も増えているとうかがっています。
過日も子供さんの具合が悪く夜中に救急で病院に駆けつけた方が保険証が切れていて、実費でといわれ、「じゃあいいです」と帰っていったということがあったそうです。どんな思いで帰っていったのでしょうか。具合の悪い子供さんはどうなったのか心配です。
最近は滞納者に対して差し押さえまで行われていて、まさに人権問題です。
県として国民皆保険の立場にたち、実情を無視した資格証明書を発行させないようきちんと市町村に指導・徹底して欲しいと思いますがいかがでしょうか。
(3) 母子寡婦福祉資金の問題について社会部長に伺います。
母子家庭の皆さんは苦しい生活の中で精一杯頑張っていますが、児童扶養手当の削減、生活保護の母子手当ての削減などで、厳しさに追い討ちをかけられています。
高校等の進学にあたって就学資金の貸し付け制度がありますが、申請にあたって地方事務所まででかけて、子供同席での面接が行われているようです。利用した方からそこまでやらなければお金を借りられないのかとの声がよせられています。こども同席は必要ないと思いますがいかがですか。
(4)次に要介護認定者の障害者控除について伺います。
確定申告がはじまりました。昨年2月議会で高村京子議員が要介護認定者で市町村長が身体・知的障害者に準ずると認定した65歳以上の高齢者は障害者控除が受けられるという問題について取り上げ、県としてもきちんと指導すると約束していただきましたが、対応は自治体ごとにたいへんまちまちです。ぜひ徹底して欲しいと思いますが、どのような対応をしているのか伺います。
渡辺衛生部長答弁
(乳幼児医療費の窓口無料化)
乳幼児医療費についてお答えいたします。乳幼児医療費の自己負担分を助成し、医療費の家計への負担分の軽減をはかることを目的に、実施しているものであります。県では平成18年4月から乳幼児の通院年齢の対象を4歳未満から引き上げまして、入院、通院とも小学校就学前とするとともに、所得制限の廃止をしまして、充実をはかったところでありますが、ひき続き市町村と協働して乳幼児以外の福祉医療につきましても適用範囲や、所得制限のあり方を検討することとしております。
窓口の無料化につきましては、これを実施する場合、県及び市町村が本来、負担する必要のない国民健康保険国庫負担金の減額調整分や、健康保険組合の付加給付額まで負担することになりまして財政運営上、妥当性を欠くと判断されますので、実施は非常に難しいと思います。また、受給者のみなさんに負担いただいております自己負担金につきましては、福祉サービスの受益と負担の関係を明確にし、ともに制度を支えあうという観点から導入しております。制度の趣旨を御理解いただきたいと思います。
なお、県では全国の自治体が乳幼児医療費助成事業を実施しております現状を踏まえまして、国による乳幼児医療費窓口無料化の制度創設等を要望しております。ひき続き機会をとらえて国に働きかけてまいります。
(国保税)
続きまして国民健康保険は、住民相互扶助により成り立っている社会保険制度でございまして、国保財政の健全化と被保険者間の負担の公平をはかることは制度の維持のうえから非常に重要なことと考えております。低所得等の事情のある被保険者に対しましては、保険税の軽減措置が講じられておりますけれども、特別の事情がなく、負担能力があるにもかかわらず保険税を1年以上滞納している場合には、保険証の代わりに資格証明書を交付することとなっております。資格証明書の交付は、法で定められたものですが、その運用にあたりましては一律に発行することなく、事前に滞納者と相談をしまして、事情を充分考慮した上で交付するよう、かねてより市町村に助言してきています。
藤巻社会部長答弁
(修学資金の子どもの同席)
2点についてご答弁いたします。
福祉資金貸付金の子どもの同席についてのお答えでございます。修学資金の貸付につきましては、法令の規定によりまして修学をする者が連帯債務を負担する場合、借主として同席しなければならないと規定されております。貸付金の申請にあたりましては債務者となるお子さん本人にも承知していただく必要がありますので、福祉事務所の職員がお会いしてお話をしているところであります。一般的には議員さん申されたように、福祉事務所に来ていただき申込者と一緒に、お子さんも同席してもらう例が多いようでございますが、お子さんが来られないなど、都合によりお宅に伺う場合もあります。修学資金の貸付にあたりましては、お子さん本人とお話させていただく機会は重要と考えておりますが、福祉事務所で必ず同席をしなければならないということではありませんので、その方法につきまして柔軟にしてまいりたいと思っております。
藤巻社会部長答弁
(要介護者の障害者控除答弁)
次に要介護認定者の障害者控除への対応についてお答えいたします。
老齢者の所得税は地方税上の障害者控除については、身体障害者手帳の交付を受けているほか、障害者に準ずる者として、市町村長の認定を受けている・・認定の方法や基準につきましては、市町村長の判断により行われております。この認定は、申請に基きまして行われるものでございますので、該当する方への周知を従来から市町村に対して行ってまいりました。先ほどお話がありましたように、昨年の2月県会の議論を受けまして、昨年3月に開催をいたしました市町村担当者会議においても住民の皆様へ制度の周知を重ねてお願いしたところでございます。本年1月に注意喚起の意味も込めまして市町村における周知方法を文書によって確認させていただきました。
多くの市町村におきましては、広報誌への掲載はもとより要介護通知に制度を紹介したものを同封したり、あるいは確定申告時に案内をするなどの工夫をした方法により周知がはかられておりました。しかしながら、まだ住民の方への周知が充分でないという市町村も見受けられましたので、文書で要請をいたしますとともに、今回又3月に市町村担当者会議がございますので、その際に再度周知をお願いしてまいりたいと考えております。
今ほど国保税の滞納の問題でですね衛生部長さんのほうから、負担能力があるにもかかわらず払わない人たちがいるという話がありました。納めていないみなさんの実態というのをですね把握しているかということについて、私はぜひ問いたいと思います。
私どもの調査によりますと、県下の国保税の滞納世帯は100万円以下の所得のみなさんが7割、600万円以上の所得のみなさんはほぼ0.5%、それで滞納なさっているみなさんのことです。ですから、特別な例をとりましてね悪質な滞納者であるとか、払える能力があるのに払わないとか、本当に所得がなくて払えないみなさんに対して差し押さえをしたり、保険証を発行していないというのは人権侵害だと思います。衛生部長さんどうですか。具体的な実態について把握している部分についてお伺いをしたいと思います。
引続きまして母子寡婦の福祉資金の問題についてですけれども、高校に入りたいという母子のみなさんが話し合ってですね、お金が無いから借りてこようということで、制度を利用しようとした時に、子どもさんがただでさえも親に負担をかけたくないと思っている時に、わざわざ子どもをですね、同席させて、お母さんが頭を下げて借りるということがあって、本当に子供さんの心にも大きく傷がつくという訴えがありました。本当に母子の人たちはこんな思いをしなければ学校へも行けないんですかと、そういうふうに訴えられたわけでございますので、長野県としても心配りのある行政をやっていくという意味で、単純なことではないですか。こんなのははずしてもらいたいと思いますがどうですか。
渡辺衛生部長答弁
一つ一つの症例、ケースにつきましては、この場ではお答えすることはできませんけれども、現在、17年度の状況ですと県内の滞納世帯の割合が14.9%、資格証の発行が1.0%ということで全国の順位からしますと長野県は非常に少ない県ではございます。
確かに負担能力のある、ないの見極めは非常に難しいものだと思いますけれども、本当に負担能力のない場合は、貸付制度もございますし、また生活保護という手段もございますので、そのような手段を使いながら生活をしていっていただくということになると思いますけれども、なかなか難しい問題ではございますけれども、これは制度の公平性ということを考えれば、ある程度やむをえない部分もあるというように考えております。
藤巻社会部長答弁
毛利議員のお気持ちは私も、1月から社会部長になりまして、この制度を初めて、この質問があって知ったわけでございますけれども、確かに子ども心としてもお母さんと一緒に福祉事務所に行かれるとような、なかなか・・あろうかと思います。私もそういった気持ちはわかるんでありますが、先ほどお話しましたようにお子さん本人と話をさせていただく機会っていうのはどうしても、まあ、法令の規定もありまして・・なっておりまして、必要でございますんで、いずれにしても福祉事務所に同席しなくても、いろんな形でお会いするような方法をとっていきたいということで、先ほど柔軟な方法をとお答えをした通りでございます。
(1) 最初に学校給食費未納問題について教育委員長に伺います
文部科学省がはじめて小中学校の給食費徴収に関する調査結果を公表し全国で22億円が未納になっていることを明らかにしました。県下では27.1%の小学校と45.1%の中学校に924人の未納者がおり、総額で2200万円と公表されました。
未納が生じる主な原因について「保護者としての責任感や規範意識の問題」が60%ということで、マスコミでも大きくとりあげられ、徴収を強化する世論もつよまっています。しかし、一方で「経済的な問題」も4割あり、経済的に苦しくて払えない家庭も少なくない状況です。学校に関係することなら、子供に関ることなら親としてどんなことをしてでも用立てようというのが親心ではないでしょうか。
該当する学校では滞納解決に悩み、保証人をつける自治体や、督促の強化、学級担任や担当者が立て替えるなどの事態もおこっていると伺っています。
しかし、親の規範意識ばかりを強調して、徴収強化するだけでは解決できない問題もあり、丁寧な対応が求められていると思います。
今回の調査では「規範意識」なのか「経済的な問題」なのかとの択一式な調査だったという不十分さもあることから、一人一人の実態をよくつかみ、担任や担当者任せにすることなく、市町村教委の力も借りて就学援助や生活保護など他の施策を活用するなどきめ細かな対応こそが求められていると思います。
また、督促する場合でも、子供の心情を考え、学校で督促状を子供に渡すことが本当にいいのかと職員会で真剣に議論し、郵送にすることを決めたという学校もあるとお聞きしています。
学校給食は重要な教育の一環であること、本来的には義務教育は無償であることなど、未納問題の解決にあたってはただ単に、未納がいけないと強権的に取り立てるのではなく、教育の原点に立ち返った心ある対処を求めるものですが教育長の見解を伺います。
(2) つぎに高校授業料値上げについて教育長に伺います。
新年度予算では全日制と定時制の授業料、通信制の受講料をそれぞれ値上げすることとされています。総額で5700万円の増収見込みとのことですが、平成13年度から平成17年度の5年間の授業料減免をみてみると対象生徒は4.8%から7.9%へと1.6倍に増えている実態があり、減免額も同じように増え、4億4000万円になっています。このようななかで授業料の値上げをすれば当然払うのが困難な生徒もでてきますし、減免額も増えてきます。また、このような数字に表れないまでも困っている生徒のために、先生方が立て替えて通学保障をしている実態もあるとうかがっています。知事は昨日、高校生一人あたりにかかるコストが91万6千円と示しながら、応益負担の原則からやらざるを得ないといっておられます。
片や1社10億円の補助を出して経営を助け、片や91万のためにお金を取り立てる。米百俵の精神もあるではありませんか。
国際人権規約第13条では、高校教育も含め教育費は無償と定められています。この批准を留保しているのはルワンダとマダガスカルと日本のたった3国だけです。従来3年に1度の値上げだったのに、1年前倒しで実施することも問題であり、困難をいっそう強いる値上げは止めて欲しいと思いますがいかがですか。
(3) 続いて特別支援教育支援員とほっとサポート推進事業について教育長にうかがいます。
ほっとサポート推進事業は小中学校で障害のある児童生徒や外国籍児童生徒が安心して生活できるよう、一人一人の状況に応じて介助員、支援員を配置して必要な支援をおこなってきている県単独の事業であり、学校現場や市町村から配置要望も強く平成17年度の98校から平成18年度は146校に増やして対応してきていただいたわけですが、それでもまだまだ要望のすべてにこたえ切れていない状態でした。今年度は特別支援教育支援員ということで国から市町村に交付税措置されることから、市町村において計画的に配置されるまでの半年分の予算しか計上されていません。10月以降は県が関わることをすべてやめてしまうという予算内容ですが、市町村でどのように配置されるのかも定かではなく、また必要なだけ配置されるのかも定かではありません。これだけ歓迎され、効果も上げている事業を市町村にまるなげしてしまうやり方だけでいいのか、従来どおり県としての配置も残すべきではないかと思いますが、取り組み状況についてお尋ねします。
(4) 次に高校改革について教育委員長にうかがいます。
統廃合が凍結となった12校について今年の6月までに一定の方向性を出すということで、各方面からの意見を聞き、統廃合の是非、新たな計画の必要性、意見集約のあり方などを慎重に検討するとしていますが、そもそも統廃合先にありきの強引な進め方に多くの反対があり、結論が下されたわけですから、次なる再編計画をいそいで検討するのではなく、まずはリセットした上で、長野県にとってどのような高等教育が必要なのかそもそも論にたちかえった検討を住民参加で進めていくことが必要だと思いますがいかがでしょうか。
(5)定時制、通信制の問題も実施計画どうりに進めるのではなく、信毎に連載された木曾高校定時制の記事にあるように生徒の立場にたった、素晴らしい成長が保障出来る場としての役割をきちんと認識し、始まった多部制・単位制の動向を見極めながら時間をかけて検討して欲しいと思いますがいかがでしょうか。また、定時制を県下4つの多部制・単位制に集約してしまうことは(略)長野県の地理的条件、交通事情からいってもふさわしくないと思いますのでやめて欲しいと思いますがいかがですか。
(6) 教育問題の最後に知事に伺います。
知事は過日議会が議決した、統合や廃止に関して議会の同意を要するとした高校設置条例改正について「県教委に失礼だ。そろそろやめてもらえないか」と語ったと報道されています。その真意について伺います。
綿貫教育委員会委員長答弁
(給食費未納問題)
教育問題につきまして私への質問に順次お答えいたします。
給食費未納問題につきましてお答えいたします。学校給食費の未納につきましては、過日、県教育委員会定例会でも報告があり、大変憂慮すべき事態と認識しております。議員の御指摘のとおり学校給食は単なるお昼ごはんの提供ではなく、食事について正しい理解と望ましい食習慣を養うことを始めとした重要な教育活動のひとつであります。また、子ども達の朝食、欠食や肥満の増加傾向などの食の乱れを背景に、学校に於ける食育の推進をはかっている今日において、その重要性は益々増しております。教育委員会といたしましては、市町村教育委員会等に対し、保護者の規範意識の低下による未納については、学校給食の教育的な意義を充分に認識いただくように努めること、経済的要因による未納の場合は、就学援助制度の活用・充実や生活保護による教育扶助を依頼したところでございます。
山口教育長答弁
(高校授業料値上げ)
高校授業料の改定についてのお尋ねでございますが、高等学校の授業料については高校生の保護者の皆様に応益負担をしていただくという基本的な考え方にたちまして、また、他県との均衡も考慮して、地方財政計画に沿った改定を行うものでございます。この改定によりまして全日制の新1年生にはさらに月300円の負担をいただくことになり19年度は総額で5,700万円程度の収入を見込んでおります。この財源が確保できない場合は、受益者である新1年生ではなく…ことになりますので、何卒御理解を賜りたいと存じます。
なお授業料の納入が困難な保護者の皆様にはセーフティーネットとしまして授業料を全額免除する制度、それから奨学金、遠距離通学費の貸与制度を御活用いただくことができます。また定時制・通信制課程の生徒を対象にいたしました修学奨励金制度は、卒業した場合には償還が免除されます。これらの制度の運営にあたりましては、きめ細やかに対応してまいりますので御理解をいただきたいと思っております。
(ほっとサポート推進事業)
議員御指摘のとおり来年度から新たに特別支援教育支援員の配置に係る経費が市町村に対し、地方交付税措置されることになりました。来年度は全国で小中学校数の3分の2に相当します2万1千人程度、金額で約250億円の地方交付税措置を予定しているとのことでございます。ただし地方交付税算定の基準が未定であるため、市町村における年度当初からの配置ができないことが予想されます。また年度当初は児童・生徒がとりわけ不安定になる時期でもあることから、制度移行に伴うすきまが学校現場に生じないようホットサポーターを6ヶ月配置することとし、円滑に移行できるよう経過措置を行うこととしたものでございますので、御理解をいただきたいと思います。
現在、市町村教育委員会や市町村には国からの通知をお知らせするととともに、各種会議等におきましても計画的な配置をお願いしているところでございます。また地方交付税算定等の基準が判明しだい再度趣旨の徹底を要請してまいりたいと思います。
なお来年度に於ける市町村からのホットサポーターの配置の要望が、小中学校合わせまして約290人でございまして、地方交付税措置によりまして対応できるものと考えております。
綿貫教育委員長答弁
(高校再編)
昨日、柳田議員の質問に教育長がお答えいたしましたように、計画の一部を凍結して以降、凍結となった地域を始めとする関係の市町村長や教育委員会、小・中・高校のPTAの皆様など幅広くご意見をお聞きしてきております。今後も引き続き多くの皆様方からのご意見をお聞きするとともに、教育委員会といたしましては凍結した計画について、取り扱いや高校再編に関する新たな基準作りの必要性、あるいは県民の皆様に御理解をいただくための必要な時間などについて、検討をすすめているところでございます。
今後は平成20年度の入学生が…おおむね6月頃までには、その時点での一定の方向をお示ししてまいりたいと考えておりますが、再編を始めとする高校改革を推進していくうえでは、地域の皆様や学校関係者の皆様の御理解が得られるようすすめていくことが大切であると考えておりまして、これまでの議論の経過を踏まえつつ、今後の議論の方向についても、慎重な検討をすすめてまいりたいと考えております。
綿貫教育委員長答弁
(定時制・通信制)
先ほど高見沢議員のご質問に教育長からお答えしましたとおり北信及び東信地区への多部制・単位制高校の設置につきましては、松本筑摩高校や箕輪工業高校への志願状況や生徒・保護者の皆様からの評価などを参考にしつつ、各地域において議論を重ねていただき学校関係者や地域関係者の皆様の意見が集約できた段階で、改めて設置について検討してまいりたいと考えております。
なお定時制につきましても、それぞれの地域での議論を踏まえ通学の利便性等も考慮して適正な配置について慎重に検討してまいりたいと考えております。
村井知事答弁
(高校設置条例の改正)
高等学校設置条例に関する私の発言についてお尋ねがございました。
昨日の柳田議員のご質問にお答えいたしましたけれども、昨年6月の高等学校設置条例の改正などに至る経緯を考えてみますと、県議会があのような非常手段にお訴えになったということは、ある意味で理解できるところでございますが、基本的な考え方といたしまして、私は教育の中身の問題については独立した行政である教育委員会が責任を持ってすすめていただくことだと、これが趣旨だというふうに考えています。全国の都道府県高等学校設置条例を見ましても本県のような県立高校の統廃合に関して議会同意を義務付ける条例というのは、例がないわけでございまして、高校の再編整備に関する具体的方向付けや・・形成といったことにつきまして、教育委員会におかれて責任を持って企画・立案し実施していくというを私は期待を申し上げたい、そのような意味から設置条例について率直な感想を述べさせていただいたところでございます。
子どもホットサポート事業について教育長さんのほうからお話がありまして、国で措置される特別教育支援員の予算の範囲で、市町村からあがっている290人分については措置できるのではないかと、そんなお話でございました。ただ、あれですよね、長野県の場合はAD・HDですとか、LD以外に外国籍児童につきましても特別措置をしていたわけですが、そういう部分については今度の特別支援教育のなかで措置されないというふうに、私は理解しておりますが、その部分はどのように長野県として対応されていかれるのかと、そういう問題についてお伺いをしたいと思います。
それから今、知事から教育の条例につきましてですね、教育の中身については教育委員会に任せるということで、中身について任せるということは、私も同感でありますが、例えば学校をつくるとか、つくらないとかは中身ではなく、それは条件整備の最たるものなんですよね、だから例えば教育基本法でいうところの第11条、行政は子ども達がすみやかな学校教育を受けられるために条件整備を整えなければならないと決めているところの部分であるので、かなり、やっぱり知事は誤解があると思います。
しかも高校の設置についても廃止についても、これは議会の議決を経なければ、それは決まらないんです。決まらないってことですから議会の権限の範囲なんですね、だから今度の条例改正につきましては、議会がどんなに決議をあげても、どんなに反対署名が集まっても、どんなに請願や陳情を重ねても、それを無視して、一方的に強引に住民世論を押さえつける形で強行を重ねた県教委に対して、教育の本来もっとも信頼が重視されなければいけない、その現場に取り返しのつかない不信感を植え付けることになり、将来に大きな禍根を残すとの判断から、議会に与えられている権限を行使し、合法的に民主的手続きを経て行ったものであり、二重チェックでも何でもありません。県教委に失礼どころか、知事の発言は議会と県民に対して私は失礼だと思います。撤回を求めますがいかがでしょうか。
高校統廃合は、政府の方針で日本中で強行しようとしていることです。長野県では行政改革推進債を向こう5年間で500億円借りて、ダム建設など大型公共事業に使うことと引き換えに、政府と交換条件で約束させられて行おうとしていることであります。国いいなりで本当に長野県の将来を背負って立つ子ども達を育てることができますか、長野県にあった高校改革を国家百年の計にふさわしく県民参加でしっかり議論しながらすすめていくことを求めるものですが知事にお考えがあったらお示し下さい。
山口教育長答弁
(ホットサポーター)
国が今度行います特別教育支援員の地方財政措置、交付税措置の件でございますけれども、現在私どもがおこなっておりますものと同じように外国籍の児童・生徒さんがですね、生活上に非常に不自由をしていると、学校生活においてですね、そういったものについても同じように対象とすることができるこういうふうに理解しております。
村井知事答弁
(高校条例)
教育の主として内容というのにはどういう学校を設置するというようなことも含むわけです。そこのとこで最後に県議会がいわゆる別表ですね?そこをいじらないと高等学校の統廃合とか一切できないわけです。そこのところまで踏み込んで別に否定しているわけではない。現在の二重のチェックというのがいかにも、ちょっと過剰ではないかということを申し上げた、それにとどまるということでありまして、特段のことを申し上げたつもりはありません。
知事提案によると国民保護計画に基づき、国などとも共同して今年は図上訓練をおこない関係機関との連携や職員の能力向上にとりくんでいくとされています。 全国的に見ても国民保護計画に基づいて訓練をやっているところはそう多くはありません。何を目的にどのような想定でいつ頃どんな規模でおこなうおつもりかご説明ください。
村井知事答弁
(国民保護計画)
それから国民保護計画につきましてお尋ねがございましたけれども、私は、これは危機管理局長からお答えすることかもしれませんが、万が一大規模テロ等が発生した場合に(略)
計画ができましたら計画を具体化するための緊急時の態勢のあり方につきまして、平時から周到な対策を整えておくことが必要だと考えておりまして、こうした観点からいろいろの想定を事前に検討していく訓練の実施というものは非常に重要だと私は考えております。
鎌田危機管理局長答弁
(保護計画)
先ほど目的とか規模とかという具体的質問がはいっておりましたので、その点については私の方からお答えをしたいと思います。
この訓練の目的は、県計画の実行の検証がまずあります。計画を具体化するための情報の伝達マニュアルとかですね、いろいろな各種マニュアルの策定につなげていきたい。県が国民保護計画を実施する際には、国とかですね、関係機関との連携が欠かせないものであるということ。国民保護法や計画は策定されてから間もないことから、訓練を通じて習熟することにより、職員や関係機関の能力を高める必要がある。それから全国の9都県と共同の開催実績のある国の訓練ノウハウを学んでこれからの訓練に生かしていくといったことを目的に実施いたします。開催の時期等につきましては(略)訓練の費用は国が負担することとなっております。この事業採択が今年の6月頃と聞いております。従いましてその後、国と具体的に協議をすすめていくということでありますので、秋以降になるのではないかと思っております。
想定とか規模につきましては、6月以降の国との協議のなかで決まってくるということでございます。想定によりまして規模とか範囲が代わってまいりますけれども、関係機関との連携が重要でありますので、市町村、警察、消防、自衛隊等のできるだけ多くの関係者に参加を要請して一緒に実施していこうと思っております。
私どもはかねがね申し上げていますが、武力攻撃事態はそうならないように外交努力と話し合いで解決すべきであり、テロ攻撃に対応するとのことで訓練を重ねながら国民をいつでも思想動員していくやり方には同意できません。国民保護というなら条例(計画)に示されているように国も地方も平和的な解決をこそまっさきに行うべきであることを強く求めたいと思います。
限られた時間の範囲内で一定の議論を行わせていただきましたが、格差と貧困の広がる中での村井県政初の予算議会にあたり、これから一般質問や委員会審議なども通じて本当に今県民の置かれている立場を十分認識し、本来の自治体の果たすべき医療・福祉・教育・健康を応援するものであるのか、国の悪政をそのまま押し付けてはいないか十分検証させていただきながら、後戻りを許さず、県民の立場にたった県政を求めていきたいと思います。
以上で代表質問を終わります。