2007年2月議会一般質問 2月23日 高村京子

後期高齢者医療制度について

地域医療体制について

きのこ農家の生産安定支援について

しなの鉄道の運賃値上げ問題について

1 後期高齢者医療制度について伺います。

 昨年の国会で自民党・公明党が数の力で決めた「75歳以上の高齢者が強制的に加入させられ、年金から介護保険料の約2倍、年額約9万円前後にもなる医療保険料を年金から天引きする新たな制度」が、来年の4月からスタートすることが決まっていますが、どのような制度となるのか、事業を運営する「長野広域連合」とはどのような団体か、長野県行政の役割はどのようになるのか衛生部長に伺います。

(渡辺衛生部長答弁)

 共産党県議団がおこなった県民アンケートには、暮らし向きが悪くなったとの高齢者の切実な声が寄せられています。
 70歳代女性「介護保険料の負担が倍以上になり、ますます生活が苦しくなりました。年金支給額が毎年下がる中、何を節約すればいいのか、この上政府は骨の髄まで吸い取るのでしょうか?弱者には不安ばかりです」
 70歳代ひとり暮らしの女性「2ヶ月10万円の年金から国保・介護保険料1万7800円引かれ、心臓病と喘息で医療費も2万円かかります。要介護1で介護サービスの負担もあります。ぎりぎりの生活です。一人暮らしでこれからどうなるのか助けてほしいです」
 格差社会は、まさに国や地方自治体の一方的な負担の押し付けによって進められ、年金生活者高齢者の生活を直撃しています。
 このような中で、来年から介護保険料と後期高齢者医療保険料を合わせて、月4万円の年金の人が約1万円もの負担を強いられることや、医療内容がどのようになるのかを当事者である高齢者や、いずれ高齢者となる多くの県民が知らされていません。
 今、県としてこの制度を県民に知らせ、意見反映できる仕組みを保障すべきと考えますが衛生部長に見解を伺います。

(渡辺衛生部長答弁)

上田市議会をはじめ多くの市町村から、この制度での付帯決議として平成19年の4月からの準備期間を含めて、市町村議会への報告義務、後期高齢者の意見反映の仕組み、情報公開の徹底などに務めることを要望しています。県としてもその立場に立つことを求めます。
 知事に伺います。このような多額の負担を高齢者に強制的に求める制度が、来年の4月からスタートすることになりますが、今の県民生活や年金生活者の実態から見て、知事がめざす「すべての人々が安心して暮らせる長野県」となるのかご見解を伺います。
 私は、お年寄りが「これ以上年金から天引きされて、どうして暮らしていったらよいのか、お医者さんにはかかれません、早くお迎えが来てほしい」などといわれ、暮らしと健康を脅かす制度を根本から見直すよう知事として、国に強く要請されること、また事業主体者となる81市町村に「高齢者の暮らしと健康を保持する制度」とするよう強く求めるべきと考えます。知事にご所見を伺います。

(村井知事答弁)

2 次に地域医療体制について伺います。

 県内の病院勤務医の不足がいよいよ深刻になってきました。来年度の医師確保対策事業に当初の7千万から、約9千300万円に増額して予算を盛り、医師養成、確保事業の強化、ドクターバンク、女性医師が働き易い環境支援策など強化されることを歓迎し評価するものです。しかし、地域医療体制の崩壊現象が県内各地域で起こっており、半年といわずに、深刻な事態に陥っている地域があります。
 千曲市で起きている長野日赤上山田病院の縮小問題は深刻です。私は昨年の9月県議会で、取り上げましたが、事態は現実問題としてひどい状態に向かっています。昨年の12月には「日赤上山田病院の存続を求めて千曲市民の決起集会」がもたれ「地域医療の火を守ろう」と市民が一丸となって立ち上がりました。
 長野赤十字上山田病院は、昨年3月には19人いた医師が、この4月からは8人となり、ベッドは250床96%の稼動であったものが、昨年の7月より185床へと縮小されました。そしてさらに、この4月からは99床と大幅な縮小となり、365日24時間体制で行っていた救急医療は休止すると日赤側から発表されました。来年度以降の病院存続できるかどうかも危ぶまれています。
 17年度の救急外来には4千人が受診し、千曲、坂城消防署によれば18年度の救急患者2778人中21%に当たる573人が上山田病院に搬送されています。この事態に対して、県はどのような対応とご努力をされているのか、展望はあるのか衛生部長に伺います。

(渡辺衛生部長答弁)

 次に独立行政法人病院機構長野病院―略して長野病院に常勤の麻酔科医が不在のため、時間外・土日休日の2次救急対応機能「地域後方支援病院」の役割が果たされていない問題について伺います。
 2月6日、上田合同庁舎において行われた「ボイス81」では共通問題として喫緊に取り組んで戴きたい課題として上田市、東御市、青木村,長和町の首長から要望が出されました。知事もその場で対応を約束されました。過日、長野病院に伺いましたところ、新年度4月からの常勤麻酔科医の確保の展望は見えていないとのことです。県が中心となって早急に上田小県地域の医療保険関係者に集まってもらい対策会議を持つべきではないでしょうか。衛生部長に見解を伺います。

(渡辺衛生部長答弁)

 日赤上山田病院の救急医療の存続そして、長野病院の2次機能の強化は、千曲市・坂城町・上田市、東御市、青木村・長和町の皆さん方約20万人以上の命と健康を守れるかどうかの大きな問題です。
 長野病院では、県内病院の診療ベットの縮小、病棟閉鎖も起きています。長野病院では、看護師の7対1確保のためにやむなくおこなったと説明されていますが、県としてこのような状況をどのように把握していますか。また、県内病院に勤務している医師、看護師の充足状況はどのようになっているか衛生部長に伺います。

(渡辺衛生部長答弁)

 知事は「すべての人々が安心して暮らせる長野県を目指す」と決意をされていますが、地域の医療体制の確立、救急医療、特に2次医療の確保は県の責任であります。
 共産党県議団は、日赤病院や長野病院の医師不足の実態について、昨年12月6日に厚生労働省に国としての対策を伺いにまいりましたが、「日赤さんのご努力で、独立行政法人としても手当の策はありません、それぞれの病院のご努力で医師を確保していただく以外には」と、まったく地方で進行している事態を傍観するような姿勢でした。
 日本共産党は2月7日に深刻な医師不足を打開し「医療崩壊から地域を守る提案を発表し、厚生労働省に要請し、全国の病院にもお届けしました。
 医師不足地域、診療科への医師の派遣と確保に国が責任を果たし、都道府県の取組を抜本的に支援するようー求めています。
 私は、もっと県が真剣に中核病院や関係市町村と共に真剣な話し合いをかさね、厚生労働省に出向き、じかに柳澤大臣や安倍首相に、実効ある医師確保対策を講じるよう強く求めて戴きたいと思います。知事のご決意をうかがいます。

(知事答弁)

 病院や自治体責任者は、努力も限界、医師の確保の展望はない、現状はお手上げの八方ふさがりと県や国が手を差し伸べる事を願っています。安心してかかれ、医師も落ち着いて診療に当たれる医療体制の確立に知事として全力で当たって戴きますよう強くお願いを致します。

3 きのこ農家の生産安定支援について伺います。

 長野県のきのこ産業は、冬場の副業や中山間地域の産業として、小規模の生産農家のたゆまぬ努力によって「長野県産きのこブランド」を作り上げてきました。80年代では、えのきが全国シエアー7割、ブナシメジでは100%を誇ってきましたが、2005年には、えのきだけ55%、ブナシメジ43%とシエアーが他地域に押され、企業の参入、輸入しいたけの増加などで需給バランスが崩れ、価格の低迷が続いています。生産者は1998年の1100戸をピークに05年では700戸と400戸もがきのこの生産をやめました。
 きのこ生産最大手のホクトは、昨年7月県の工場立地支援2億5千万円を受けて長野に進出しました。商工委員会でも農家への配慮に欠けるなどの意見が出されたところです。今年9月には上田市にブナシメジの生産工場、さらに県の県営佐久産業団地にブナシメジの生産拠点を建設する予定です。
 昨年11月に全農県本部きのこ専門委員会などが1万8千の署名を添えて「大規模企業の工場進出が続き、このままではいっそうの価格低迷は避けられず、農家は壊滅的な打撃を受ける」とし、県に「過当競争を助長させない」「価格保障制度の充実」「低利融資制度の創設」「消費拡大策の強化」を要請されました。
上田市は、きのこ農家に高額となる「菌種購入の支援」を決めましたが、長野県はどのような支援策を講じるのか農政部長に伺います。

(農政部長答弁)

4 しなの鉄道の運賃値上げ問題について伺います。

 2月1日、しなの鉄道の井上社長と、JR東日本長野支社の両角(もろずみ)営業部長は会見を開き、6月1日から運賃の値上げと、しなの鉄道とJRを乗り継ぐ乗客を対象に一部区間で実施している割引制度の廃止を発表しました。
 翌日の新聞報道でも、「負担増 客離れの恐れ」と表現がされているように、利用者にとっては、増税や介護保険の負担増などに加えて、さらなる負担増がかぶさってくることになります。とりわけ高校生や専門学校生などは電車の利用しかできず、その負担は当然父母・保護者にかかってきます。当初予算案で値上げを予定している高校授業料の値上げに、さらに通学費の負担ではやりきれません。
 このように運賃値上げは客離れを誘発するとともに、利用者が減れば経営が圧迫されるということにもなります。電車の更新も必要になるなどの経費も必要であることは理解できますし、これ以上の人員削減で労働条件の低下や安全運行が損なわれてはなりません。
 そもそも新幹線の操業とともに、並行在来線の経営分離する条件の枠がはめられ、鉄道資産も無償譲渡から有償譲渡となったこと、国からの支援もないなど、スタートの時点で困難が指摘されていました。
 それだけに、国やJRに対して支援を求めるよう私どもは主張してきました。
 長野以北の並行在来線の経営分離により、しなの鉄道が引き受けるとの動向といわれていますが、県民の信頼をとどめおくためにも運賃の値上げは慎重に対応すべきではありませんか。
 そこで伺いますがJRとの運賃単価(価格)の比較はどうなるのでしょうか。今回のしなの鉄道の運賃値上げは県民への負担増となりますが、県としてどのような見解なのですか。
 また、JRは「開業から5年間と規定していた」が、「10年続けたので一定の使命は果たした」と説明しています。なぜ運賃引き上げと同時でなければならないのか、県として撤回を強くはたらきかけるべきではないでしょうか。併せて企画局長に伺います。

(企画局長答弁)