平成19年度長野県一般会計補正予算案に対する修正動議の提出についてご説明します。
この提案は、今回の補正予算に計上されております浅川に治水専用穴あきダムを建設するためのダムの概略設計、模型実験等の予算、1億7600万円を修正削除するものです。
村井知事が、今年の2月8日、浅川に治水専用穴あきダムを造ると発表してからちょうど5ヶ月が立ちました。住民説明会や流域協議会、議会での論戦をへて、流域住民の中では、むしろダム建設に疑問や反対の声が広がっているというのが私の実感です。その疑問や反対の声は、県の説明が具体的になるにつれて、私たちとは今まであまり接点のなかった、浅川ダム建設予定地周辺のボーリング調査に携わった業者、ループ橋の建設に関わった業者、ダムサイトに向かう八櫛トンネルの設計、建設にあたった県内最大手の建設会社の技術者の中にも広がり、この1ヶ月半で1048通が郵送で戻ってきた日本共産党の長野市内でのアンケート結果にも、ダム建設反対47%、もっと時間をかけて検討するべきが29.6%で合わせて77%、穴あきダムならよい10.6%、わからない16.2%と反映されています。
6月県議会での一般質問や委員会審議の中で改めて、天井川が基本的に解消された浅川では、浅川そのものがあふれて起こる水害の可能性はほとんど無く、ダムを造っても、千曲川の増水で深刻な内水被害を繰り返している浅川下流域の水位は5ミリ程度下がるにすぎず、浅川より7メートルも堤防が高い千曲川との関係では、その5ミリに何の意味も無いことが確認されました。浅川の河川整備計画に内水対策として唯一盛り込まれている排水ポンプの強化だけでは、むしろ、ポンプの能力を強化した分、ポンプを動かすことが出来る時間が短くなるだけです。なぜ、公聴会でも大多数の公述人が要望した遊水地の設置を優先的に盛り込むことができないのでしょうか。
住民の意見を聞き、長野市長・小布施町長の意見、学識経験者の意見を聞くと言う河川法上の手続きは整っていても、住民の意見は聞いただけで尊重されず、学識経験者は浅川ダム地すべり等技術検討委員会で安全性を主張した委員や、公述人としてダム建設賛成の意見を述べた人たちだけを委員にして、ダム建設に異論や批判的意見を持つ委員はいれず、奈良県大滝ダムで起こった初生地すべりなどという新たな見解の真剣な検討も無いのですから、長野県弁護士会が指摘しているように、県の進め方は、違法ではなくても、あまりにも乱暴、つまり、手続きに重大な瑕疵があると言わざるを得ません。
本当に、安全な川にするための計画だと自信を持っているのなら、こんな乱暴な進め方でなく、なぜ、指摘されている疑問に正面から答えるため、県としての説明責任を果たさないのでしょうか。
県は、この計画に対しての国の認可をこの秋にも得たいとしていますが、今回計上されている概略設計等の費用は、認可後に計上すれば、当然国庫補助の対象になるものです。認可前のこの時期に、なぜ、県単独予算で補正予算まで組んで、ダム建設の準備を急ぐのでしょうか。ダム建設の賛成、反対では今なお一致できない流域住民が、ダムの賛否を超えて圧倒的に要望している内水被害緩和のための遊水地の設置をはるか20年以上先送りしたまま、住民合意のないダム建設を急ぐ――このような予算計上は認められず、土木委員会に修正削除の提案をしたところですが、残念ながら賛成少数で委員会では否決となりました。改めて、本会議に浅川ダム関連予算削除の修正動議を提案し、良識ある多数の議員の皆様のご賛同をお願いするものです。
よろしくご賛同をお願いをいたしまして、提案説明といたします。