国道142号ぞい、下諏訪地籍の産廃処理施設の問題について生活環境部長にうかがいます。和田峠から下諏訪に入る北の玄関口、142号沿いは数箇所の産廃処理施設がつらなっており「いで湯と街道の美しい街」の景観をそこねています。
このうちの1社が平成15年から、新炉を建設し、安定5品目の焼却を始めました。
しかし、稼動まもなく近くの町屋敷団地内に紫煙、悪臭が充満し、洗濯物は汚れる、窓は開けられないほど悪臭がするなど、周辺住民から苦情が相次ぎ、県も数十回に渡って立ち入り調査や改善指導を繰り返してきました。
それでも、なかなか住民の納得する改善が得られない中、平成17年8月の立ち入り検査で、2次燃焼室が800度になる前に廃棄物を投入、排ガス中の一酸化炭素濃度が基準値を超えるケースが確認され、県はとうとう焼却中止の行政指導を行いました
産廃の不適切な保管や決められた量以上の焼却、最終処分場のずさんな管理などもあり、会社に対する住民の不信が広がっていきました。
地元では対策委員会を作り県、町に監視体制の強化と生活環境の保持を強く求めつつ、業者と改善のための話し合いを重ねてきました。改善計画にもとづき、ほぼ1年後にためし焚きをしたところ初日からまた、紫煙と臭気の大量発生で、しかもダイオキシンが国の基準を上回る、8.7ナノグラム検出されるということになり、ふたたび改善命令が出されて、50日間の操業停止となりました。
健康被害に直結する、あってはならない結果に住民の不安と不信、怒りはいっそう高まり「もうどこかにいってほしい」「会社のやることは信頼できない」との声も出されるようになりました。
対策委員会では会社の姿勢に猛省を求め謝罪させ、国基準より低い3ナノグラム以下のダイオキシン値自主管理基準や検査を年3回義務付けるなど、新たな条件を提示し、以後法基準違反が発生すればもう事実上操業は認めないとの方針を持ちつつ、さらなる改善のチャンスを与えました。
ところが今年の2月改善が終わったとして試し焚きをしたところまたまた住民と約束したダイオキシン基準値は守れず、4.7ナノグラムが検出されました。
「まるで実験室とかわらない」と憤懣やるかたない住民の声です。
現状は更なる改善のもと、6月9日より試し炊きを行い、ダイオキシン濃度の測定を行なって結果待ちをしているところですが、昨夜関係者からいただいた連絡によりますと、今回のダイオキシン濃度は0.69ナノグラムだったとのことです。
この結果を受け7月2日から本格稼動に入るわけですが、それにしても疑問になるのは、なぜ改善計画に基づき県がゴーサインを出したものが、何度も何度も基準をクリアーできず、2年近くにもわたって住民を苦悩させたのかということです。県の指導とチエック体制に甘さや問題はなかったのでしょうか、明らかにしてください。
白井生活環境部長答弁
お答えいたします。国道142号線沿いの下諏訪地籍の産業廃棄物処理施設に対するお尋ねでございます。
今、毛利議員の方から、かつての経過等につきまして、たいへん細かいご説明をいただいたわけでございます。ここでいくつか私どもへのお尋ねの点につきましてお答えをしたいと思います。
まず平成17年8月に、いわゆる紫煙、悪臭に対して、抜本的な対策を施設に文書で指示いたしました。それに基づいた改善計画書が提出され、いわゆる塩素除却装置というものを取り付け、いわゆる紫煙、悪臭にたいする対応を講じるようにしたわけでございますけれども、その結果といたしまして、今度は排ガスの温度が下がりまして、その結果、ダイオキシンが生成されるという形になって、今度は基準を超えるダイオキシン類が検出されたというような経緯がございます。その中で改善命令なり、施設の使用停止命令をしてきたという経緯がございます。
実際ダイオキシンにつきましては、ナノグラム単位という、非常に微少な排出濃度でございますので、実際には焼却施設を稼動させてみないと明らかにならない部分もございまして、この施設の場合にも県が必要に応じて指導を行いまして、いわゆる試験焚き…今議員からお話がございましたけれども…、何回か試験焚きをしながら改善をしてきたというようなことでございます。
さきほど2月にダイオキシン測定で基準値を上回ったというようなことでしたけれども、5ナノグラムに対して4.7ということで、若干基準自体を下回っているということでございます。またいずれにしましても、地元の対策委員会で皆様方の要望を踏まえまして、よりすぐれた改善をしていかなければならないということもございまして、さきほど、また試し焚きをいたしまして、その中では一定の改善が見られているということでございます。
県といたしましても、操業再開に向けまして、操業再開された場合の排ガス中のダイオキシン類の濃度について、月1回の検査を義務付けるなど、焼却炉の操業によりまして生活環境に影響を及ぼすことのないよう、引き続き監視指導というものを強化して参りたいと考えております。
今部長さんのほうから、非常に微量、精微なものであるので、試験焚きをしてみないとわからないという話がございました。しかしこのようなことであれば、新設炉も含めて日本中の焼却炉は一時的にダイオキシンを基準値以上に発生されるということもあり得るということになってしまうわけですから、この問題については、ぜひ厳格に対応をしてください。失敗は許されない局面でしたので、改善計画に基づききちんと運転できるように県としてしっかり見定めていく指導が大事だったのではないでしょうか。
いま、関係者の努力により、今後、町・業者・区が公害防止の三者協定を結んでより良い生活環境をつくっていこうというところまで進んでいます。
下諏訪での取り組みをモデルケースとして、今後、県内に公共関与の産廃処理施設をつくるのではなく、企業に社会的責任を果たさせ、優良な産廃業者を育成することこそ県の大きな役割です。指導、監視の強化とともにしっかりした業者を育成するために県として技術指導も含めリーダーシップを発揮してほしいと思いますがいかがですか。
白井生活環境部長答弁
お答えいたします。循環型社会を形成するためには、廃棄物の発生抑制、資源化促進とともに、最後にどうしても利用できないものは適正に処理するという必要がございます。そのために廃棄物処理事業者の果たす役割はたいへん重要であると考えておりまして、県民の皆さんの廃棄物処理に対するいっそうの信頼の確保を図るために、事業者の自主的な環境保全に対する取り組みや、情報公開等の積極的な推進が必要であると考えているところでございます。
県といたしましては、従来から産業廃棄物業界が行う各種研修会への支援等を行いまして、事業者のみなさんの遵法意識や処理技術の向上などに努めておりますけれども、さらに一定の評価基準に適合した事業者を県が認定しまして公表するという、優良事業者評価制度を昨年12月に新たに導入をしておりまして、その積極的な運用によりまして、事業者の資質向上と信頼性の確保を図ってまいりたいと考えております。
また、一部の悪質な事業者による不適正処理や,廃棄物処理をめぐっての周辺住民との紛争などが、依然として発生している原状にかんがみまして、今後も処理事業者や排出事業者に対する監視指導を徹底して行って参ります。
ぜひそこに暮らす住民の立場にたっての取り組みを、強く求めるものであります。
また、私が今取り上げております町屋敷地籍の皆さんの苦悩という点で言いますと、このような紫煙の中に長期間に亘って曝されていたわけですから、ほんとうに、地域住民のみなさんは、常に不安な気持ちにさらされながら粘り強く大人の対応を続けてまいりました。健康不安も増している中で今後保健所などとも連携し、健康相談や健康チェックなども行なっていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
白井生活環境部長答弁
産廃処理施設の周辺におきまして、健康被害の心配がある方がいらっしゃれば、ぜひ保健所に行って相談していただいたり、検診を受けていただくということでお願いしたいと思っています。
次にコムスンの問題について知事ならびに社会部長に伺います。
訪問介護最大手「コムスン」の不正問題は介護を儲けの対象にし、弱い立場にあるみなさんを食い物にしてきたという点で許しがたいものがあります。県内でも22事業所のうち16事業所で虚偽申請や人員基準違反を確認しています。しかもこの22箇所のうちすでに7箇所は問題が表面化する前に廃止をしておりまったく悪質です。
そもそも介護の公的責任を放棄し、営利企業任せにしてきたことが問題ではないでしょうか。この問題に対する知事の所見を伺います。
村井知事答弁
今度のコムスンの問題につきましては、問題となりますのは事業者が現行の法に反して不正行為等を行ったという点でありまして、この点につきましては、4月24日からコムスンの各事業所に対して監査を実施して、その結果22事業所のうち16事業所で虚偽申請、人員基準違反や不当が確認されたものでありまして、誠に遺憾なことだったと思っています。
県としては介護サービスが必要な方に対して、求められるサービスが適切に提供されるということを、どういうふうに確保していくか、これが非常に重要だと考えておりまして、この観点から今後とも事業者に対する適切な指導、監督を行って参りたいと思いますが。そもそも、今議員ご指摘のような介護というものを法的責任とおっしゃいましたが、法的サービスとして提供するのか、それとも市場メカニズムに委ねるかというと、これはもうそもそも制度設計の段階から議論があるわけであります。
この介護の問題につきましては、いろいろな議論があった中で、保険というものを介在させながら、市場メカニズムに委ねるという取り組みがされたわけでありますから、その中でどのように円滑な運用をしていくかということが、われわれに今課せられた課題だと思っておりまして、その中でできるだけの努力をするということだと思っております。
介護報酬が低い中で、市場化されればその中で営利を求めていくためにはやはりサービス水準を切り捨てなければいけない、あるいは脱法行為もせざるを得ないということになっているということがいえると思います。
その点では私は特に介護報酬をいっそ上げていく事、それから営利を目的とする企業の参入については厳しくチェックをしていくということが必要だと思いますので、ぜひ機会があれば、そんなことを国に対してあげていっていただきたいと思います。
次に社会部長に伺います。
コムスンは来年3月ですべての介護事業から撤退するとしています。後を引き継ぐ事業者もまだ定かではありません。大切なことは今、利用しておられるみなさんが、これからいったいどうなるのかと不安にさらされている中で、切れ目なくサービスを継続できるようにすることではないでしょうか。
他の事業所を利用するにしてもヘルパーが不足しているということも伺っています。特にショートステイやグループホームなどはすぐに対応できるキャパがありません。受け皿は果たしてあるのかどうか。
さらに、利用者の問題とともにコムスンで従事している皆さんの雇用の問題も深刻です。
また、グループホームの中にはコムスンの求めに応じて、農地を転用して新築し、賃貸しているところもあります。「ローンもたくさん組んだのにこれから先どうなるのか」と心配されている所有者もいらっしゃいます。
是非、これらの問題に総合的に対応していくために市町村任せではなく、県として「110番相談窓口」を開けていく必要があると思いますがいかがでしょうか。
藤巻社会部長答弁
3点ありましたか。まずコムスンの利用者さんの受け皿に関する質問についてお答えします。現在長野県内にあるコムスンの事業所につきましては、少なくとも来年3月までは、利用者に対して引き続き介護サービスを提供する義務があります。また、この点に関しまして、コムスンでも来年3月までは責任を持ってサービスを提供するというふうに明言をしております。県と致しましても、その約束が遵守されるように、国とともに強力に指導してまいる所存でございます。
また、コムスンの介護サービス事業は、来年4月以降、いろいろな名前が出ておりますけれども、一括譲渡されるというふうに私どもも聞いておりまして、本年7月末までに事業移行計画というものをコムスンの方から厚生労働省、それから各自治体に対して提出されるということになっております。県といたしましては、現在の利用者の皆様が引き続き安心してサービスの提供が受けられるよう、市町村など関係者との十分連絡をとりまして、適切な対応を図って参りたいと考えております。
それから従業員のみなさんの雇用の問題と、施設の所有者の件でございますが、先ほど申し上げましたように、コムスンの介護サービス事業は来年4月以降、他の社に譲渡されるということでございまして、コムスンでは事業の譲渡に対して、全従業員の雇用の確保を条件とすると表明をいたしております。この点に関しましても、従業員のみなさんが不利益を被ることのないよう、私ども十分監視をしてまいりたいと思っております。
また、施設、特に認知症グループホームに関しまして、いくつかコムスンと施設所有者の間で賃貸借契約を結んでいるという例を聞いております。現在と同じ契約条件で事業移管先に引き継ぐ意向であるというふうにコムスンから聞いております。これにつきましてはグループホーム関係は、指定権限あるいは監督権限が市町村にあるわけでございますが、市町村と連絡を取りながら、私どもとしましても問題が生じないように指導して参りたいと思っております。
それから総合的なこととしまして、110番窓口を設置するべきではないかというご提案でございますけれども、6月6日に国の方から都道府県に対しまして、コムスンの事業者に対する指定更新を行ってはならないという通知が出されたものでありますけれども、これに伴いまして、県と致しましては、介護サービス利用に支障が生じることがないよう、HPなどによりまして、県民の皆さんに正確な情報提供を行いました。それから県庁及び地方事務所…これは福祉課が窓口になりますが、そこに相談窓口を開設させていただきまして、該当の事業所の利用者あるいは従業者、関係者からの相談に応じているところでございます。今後も国や関係省庁との連携をさらに強化しながら、この問題に総合的に対処して参りたいと思っておりますのでよろしくお願いします。
来年の3月いっぱいまではやるというふうにコムスンの方では言っているようでありますが、しかし、信頼関係が損なわれてきた中で、来年の3月をもってすぱっと切り替わるということが利用者にとってありうるかどうかということを考えますと、ほんとに五月雨式に別な業者を選びたいという意向が出てくるということは考えられます。そのときに受け皿がないということが、あってはいけないということを私は心配しているわけでありますので、ぜひ意を配していただきたいと思います。
今、国民は「消えた年金の問題」「増税の問題」などで行政に対して大きく不信と怒りを広げています。県行政が納税者である県民の立場に立ってさらに真剣な努力を重ねていただきたいことを強く求めながら私の一般質問を終わります。