渡辺衛生部長答弁
長野県地域医療対策協議会に助産師がなぜ加わっていないかとの質問にお答えいたします。
長野県地域医療対策協議会の委員につきましては、委員の任期終了に伴いまして、本年7月に新たに委員を選任しておりますが、その際、保健師、助産師、看護師を会員とします長野県看護協会の代表者にもご就任いただいたところでございます。また、産科・小児科医療対策検討会におきましては、2名の助産師に、また二次医療圏ごとの検討会におきましては、地域の実情に応じて現在7つの医療圏で助産師に参加していただいております。
地域医療対策協議会は長野県の全体の地域医療を考える上で総合的な力を統合しつつ検討することが求められています。ただいまのご答弁によりますと、看護協会のメンバーが入っているということでございましたけれども、看護協会の中にも助産師部会はございますが、しかし日本助産師医学協会の中に長野県支部というのがありまして、ここがかなり一生懸命がんばっていただいているわけです。
産科医師のなり手がなく、医師確保が困難を極める中で、助産師の力をかりずして展望はでてきません。「助産師の言い分はなかなかとりあげてもらえない」は関係者の声です。専門職にふさわしい処遇と医師との連携こそ求められます。助産所開設を応援していくにも医療法の改正で医師や医療機関との連携が義務づけられました。活躍の場を制度的に保障していくことが求められているのではないでしょうか。7つの医療圏に助産師が加わっている問題、それからまた産科・小児科医療対策検討会に加わっている問題などお話ありましたけれど、政策決定、意思決定という場には加わっていないことを考えれば、私はぜひ加えていただきたいということを求めますが、再度お考えをお聞きしたいと思います。
渡辺衛生部長答弁
地域医療検討協議会に助産師の参加をという件につきましては、検討させていただきたいと思います。
地域医療対策協議会の中に助産師を加えるということは検討させていただくというご答弁をいただきましてありがとうございます。ぜひ現実のものとなるよう、お願いしておきたいと思います。
(2)次に集約化の問題について衛生部長にうかがいます。
飯田下伊那地域ではかつて13施設あった産婦人科が2年前には6施設になり、現在では3施設になってしまいました。
産科医療の崩壊を防ぐため、「産科問題懇談会」を立ち上げ、市立病院は分娩を受け入れ、検診は他の医療機関でおこない、カルテを共有しながら対応するセミ・オープンシステムを確立して動き出しています。
期待されているシステムではありますが、この結果、民間医療機関の検診は1.2〜1.5倍にも増え、検診予約はとれない、待ち時間も長い、労働環境も厳しく、午後の診療が終わるのが8時にもなる事態もでて、「これ以上はとても無理」と開業医から悲鳴があがり、早くも手詰まり状態になっていると伺っています。
そのうえ、ここで昭和伊南病院が新たに分娩休止を打ち出し、上伊那南部からのお産の流入が増えることがいっそう懸念される事態となりました。
下伊那日赤の産科廃止分を飯田市立病院が担わざるをえないため、施設の増設を余儀なくされ、伊那中央病院は昭和伊南の分娩休止分を担うため、1億2000万円かけて増改築を行うとお聞きしています。
一方では施設があるのに施設を使えず、一方では莫大なお金をかけてあらたな施設の改修を行う。こんな矛盾した事態がおこっているのです。国の医療費削減政策に大きな問題があるのですが、医療機関が集約化されればされるほど医師に負担がかかり勤務医は耐え切れなくなって辞めていく、残った医師にはさらに負担がかかる、まさにドミノ現象になっています。
集約化は妊婦にも負担、医療従事者にも負担となって、イギリスの例を見るまでもなく、遠からず破綻することが懸念されます。緊急避難的といいながら県は国言いなりに集約化をおこなっていますが、この方向は山あいの集落が点在する長野県にはなじまないのではないでしょうか。
集約化の方針を見直し、なんとしても地域医療を守る立場を堅持しながら、「地域医療対策協議会」を軸に知恵を出し合って努力してほしいと思いますが衛生部長のご所見を伺います。
渡辺衛生部長答弁
産科医療の関係でありますが、産科小児科医療対策検討会の、集約化・重点化の提言は、深刻な医師不足の中で、このまま何にもせず手をこまねいていると、ある日突然受診する病院がないといった事態が生じてしまうという危機感のもとに、そういった事態を避けるためのひとつの方向性を示したものです。
国や産婦人科学会が提示をする集約化・重点化というのはひとつの医療機関に10人以上の産婦人科医を集めるというような構想もございますけれども、長野県の状況をみますと、とても集約化するほどの産科医が今確保できていないというような状況にございます。
提言を受けました地域医療対策協議会におきましても、緊急避難的措置としてはやむを得ないという結論に達しまして、進め方につきましては二次医療圏ごとに地域の実情に即した対応策を検討していくことが必要との意見をいただきました。
この意見を踏まえまして、現在地域の検討会におきまして、病院と診療所の連携と機能分担、助産師の活用などの課題についての話し合いが持たれておりますけれども、必要に応じて地域医療対策協議会や産科・小児科医療対策検討会の委員も加わって、地域医療を守るための検討を行っているところでございます。
集約化は終わりのないサイクルだということをぜひ認識していただきたい。国保浅間病院では地域医療をなんとしても守りたいと助産師外来を立ち上げ、必死の思いで産科医を確保し、年内にも院内助産所を開設するとうかがいました。地域医療を守る姿勢を確立しなければ結局は佐久総合病院に集約化され、医師を確保する努力も院内助産所を立ち上げる努力もしなかったのではないでしょうか。県内にもがんばっている医療機関は少なからずあるわけですので、ぜひ足を運んでいただき、現場で苦労しているみなさんの思いをしっかり受け止め、教訓を学びとっていただきたいとお願いしておきます。
(3)次に助産師支援および妊婦検診について衛生部長にうかがいます。
私達は助産師さんの力を借りることが今の事態打開のカギだと再三提案させてきていただいております。
県として「助産師支援検討会」をたちあげ、取り組みを始めていただいていることはとても嬉しく歓迎するところですが、どのような話し合いがされているのか、また、課題となっていることは何か、その解決のためにどのような検討がされているのかお示しください。
県は院内助産所を支援したいとおっしゃっておられますが、医師がいないと不安、施設の整っている病院でなくて大丈夫かなど、助産所での出産に不理解があるのも事実です。
そこで、県として助産師によるお産の啓蒙啓発のために講演会やシンポジウムなどを積極的に開催してほしいと思いますがいかがでしょうか。
元気な赤ちゃんを生むためにも母体や胎児の健康確保を図る上でも妊婦検診は重要です。保険がきかないために実費で検診にかかっていますが1回数千円と大変負担になっています。県内では自治体によって公費負担が1回もないところ、16回無料にしているところとまちまちです。ぜひ、県として無料検診の拡大のために市町村に補助できるようにしていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
渡辺衛生部長答弁
助産師支援検討会での検討内容についてお答えします。検討会は、助産師がその機能を十分発揮できるよう、最新の医療や助産技術に関する研修などを行いまして、助産師としてのレベルアップを図る支援策を検討するために現在までに2回開催しております。
課題として、助産師のモチベーションをいかに高めるか、医師と助産師の連携をどのように進めていくか、また最新の知識や技術研修の必要性などが挙げられたところでございます。これらの課題につきましては、引き続き議論をしていただき、周産期にかかわる医療従事者のそれぞれの役割分担について、共通認識を醸成しつつ、院内助産所や助産師外来の普及をすすめたいと考えております。
次に、助産師のサポートによるお産の啓発についてお答えいたします。上田市等で、母親を中心としました住民有志のみなさまがたが、ご質問のような趣旨でさまざまな活動を展開されていることは承知しておりますが、お産につきましては基本的には妊婦さんが個々の事情をふまえ、主体的に病院・診療所・助産所などの施設から選択すべきものであること、また繰り返し申し上げておりますように、県としましては、助産師外来や院内助産所の普及を図るべきものであると考えております。
次に妊婦検診に対する市町村への補助についてお答えします。妊婦検診は県を実施主体として低所得者を対象に昭和44年に創設され、昭和49年度にその対象を全妊婦に拡大しました。平成9年度に市町村への補助事業となりまして、翌年度に一般財源化され、今日にいたっております。
妊婦検診に対する公費負担の程度につきましては、各市町村の実情に応じそれぞれ決定されるべきものでありまして、県費による助成は困難でございます。県といたしましては、検診受診率向上のため、妊婦検診の重要性について、周知、広報に努めてまいります。
(4)次に須坂病院の分娩休止について開設者の知事にうかがいます。
この問題では過日、村石議員が実情を訴えておられましたが、須高地区で唯一分娩を扱ってきた須坂病院は医療と健康を守る砦としての役割をしっかり担わなければならない公的使命があります。地域住民の不安と期待にこたえるために、まず医師確保の手立てを尽くすこととあわせ、すぐには確保できない困難さもあるので、正常なお産は助産師さんの力を借り、ハイリスクの場合は近隣の連携強化病院にもお願いするということで住み分けをし、院内助産所の開設を検討してほしいと思いますがいかがでしようか。
村井知事答弁
須坂病院に院内助産所を開設せよというご意見でございます。これは先に村石議員に衛生部長がお答えしているところでありますが、須坂病院ではご案内の通り、緊急時に対応できる産科医が1人となっていることから、新たに産科医を確保できない場合は、やむを得ず産科を休止せざるを得ないところに追い込まれているわけであります。院内助産所の開設につきましては、助産師のみではすべての分娩に対応できないことから、助産師と医師との役割分担や連携が必要でございまして、産科医1人では、院内助産所の開設は困難であると認識しております。医師の確保ができれば院内助産所の開設に向けての検討も可能になると考えております。そのためにも医師確保に向けてあらゆる手立てを行使し、全力を挙げて取り組んで参りますので、議員各位におかれましてもまたご協力を賜わりたいと存じます。
須坂病院の分娩を引き続き4月以降もやっていく上でぜひ院内助産所をということで申し上げたわけでございますけれども、今の状況の中ではなかなか難しいというお話でございました。もちろん医師を確保するということを大前提として努力いただきたいということは当然ではありますけれども、しかし、開業医などを見てみますと、お一人で分娩を400件、300件と扱っておられる事例もあるわけですから、長野県は特に役割分担をしながら、ハイリスクな人たちについては早くに判断をしつつ、連携強化病院にお願いするというふうなシステムも作っておられるわけですから、わたしは他の病院に対して院内助産所をということをするでしたら、まず「櫂より始めよ」ということで長野県が率先してやっていただきたいというふうに思うわけであります。
(すべての質問、答弁ののち)
あわせて先ほどの須坂病院の分娩の休止をしないで欲しいという問題では、この短期間で地域のお母さん方が3万数千の署名を集めて知事にも要請をされていると思います。このようなお母さん方の想い、しっかり受け止めていただいて、休止しないで引き続きできるような方途を探るために全力を尽くしていただきたいとお願いを申し上げながら、私の一般質問を終わります。
加藤林務部長答弁
里山整備等の条件整備に関するお尋ねでございますが、議員ご指摘のようにこれからの森林整備は、里山の周囲の整備が大きな課題であります。このため里山整備の条件整備につきましては、これまでの取り組みから一歩踏み出し、集落や地域のリーダーが中心となり、地域住民が主体となって行う森林所有者の確定や、境界の明確化など、集約化へ向けての取り組みを推進し、間伐作業地の確保に努めて参りたいと考えております。
また担い手の確保につきましては、森林整備事業の拡大に伴い、仕事量の確保が図られることにより、林業事業体においては、技能職員の新規採用など計画的雇用や就業日数の増大が期待されるところでございますので、関係するさまざまな制度を活用し、引き続き林業事業者の確保・育成に努めてまいります。
村井知事答弁
いわゆる森林税の負担額、それからスケジュールについてお尋ねがございました。
現在の検討案では税額はお示しせず、県民のみなさまから幅広くご意見を頂戴しているという段階でございます。先行県、すでに実施している県の事例を申し上げますと、個人は年額500円程度、法人は5%相当額、資本金額等に応じまして、年額1000円から4万円くらいの間というようなことを採用している県が15県でもっとも多いという状況であることは承知しております。これは森林の恩恵を、県民、法人、一人一人が等しく享受しており、薄く広くご負担をいただき、みんなで森林作りを支えていこうという考え方に基づくものだと思われます。
今後とも県民のご意見や■■からのご提言を踏まえまして、使い方、規模に見合った税額となるように検討してまいりたいと考えております。スケジュールにつきましても同様でございまして、いろいろなご意見がございまして、なお、ご議論に待ちたいと存じます。
里山の整備を集中的にやるというようなことはこの間今議会の中でも縷々ご説明をいただいてまいりました。しかしながら只今も部長からお答えいただきましたけれども、非常に抽象的でありまして、例えば個人所有林が多いところは団地化していく、あるいは条件を整えていく、人材も確保していくというお話でしたけれども、そのプロセスの説明がわたしも県民のための集会ということでださせていただきましたが、今ひとつはっきりいたしません。
はっきりしているのは、平成27度までに25万ヘクタールを間伐しなければいけない。36年生から50年生の林について、緊急にやらなければいけないということがはっきりしているだけでありますので、その部分についても今後きちんとした説明を求めていきたいと思います。
知事の方からは今具体的に税率を決めたわけではないというお話がございました。しかし、懇話会の方から提案されているのは、有力な額ということで、個人県民税については一律500円、法人県民税については5%ということで提案されていますので、そのような問題提起をさせていただきました。
今議会の中でも、この新しく税をかけるという問題の重要性にかんがみて、2000cc以上の自動車税に上乗せしたらどうかとか、あるいは、森林を手入れすることによって最大の利益をこうむる発電をしている会社に対してかけたらどうかとか、そのような意見が出されたところでございます。これだけさまざまな意見が出ている中で、ぜひこの議論の結果を今後の政策の中に反映していただきたいということを申し上げておきたいと思いますし、一律に課税するということは、やはり税の基本にも反すると思いますので、そのような意見を述べさせていただきたいと思います。ぜひ採択していただいて今後の施策に反映していただきたいと思います。
荒井商工部長答弁
岡谷技術専門校の自動車整備科の廃止についてのおたずねでございます。
平成18年10月、長野県職業能力開発審議会からの答申にもとづきまして、18年度から22年度を計画期間とする、第8次長野県職業能力開発計画が策定されまして、現在この計画に定める方針にもとづいて、現在7校ある技術専門校の訓練科目の見直しを進めているところでございます。
見直しの方向といたしましては、産業界や県民ニーズに応えて、訓練内容を充実強化する一方で、少子化の進展やきびしい県財政の状況を踏まえまして、複数校にまたがる訓練科目を集約することにより、指導スタッフや訓練設備の集中による重点化と効率化を図ることといたしております。
審議会の答申の中で、平成18年度に松本市に自動車整備関係の専修学校が新たに開校されたことを受けまして、民間機関で訓練機会が確保されているものは原則として民間に任せるという方針が盛り込まれておりまして、自動車整備科におきましては、この方針にもとづく見直しが必要となっております。
そこで松本校、岡谷校、飯田校の3校にある自動車整備科を集約して、岡谷校の訓練科を廃止する理由でございます。まず、県下の民間校の状況ですが、自動車整備関係の学科のある民間校としては、長野市に定員120名の専修学校が1校。それから先ほど申し上げました、18年度に松本市に開設された定員80名の専修学校が1校であります。そこでこの松本市の民間校の通学エリアと重なる松本校、岡谷校の訓練科の見直しが必要となってきております。
それから2番目に、入校者の減少でございます。今年度岡谷校では定員20名のところ16名の入校で、定員割れの状況となっており、そのうち高校新卒者は9名でございます。ここ数年高校新卒者の減少傾向が続いております。少子化による大学全入時代の到来によりまして、この傾向はいっそう顕著になってくるものと思っております。
それから施設の状況をみますと、岡谷校の自動車整備科の実習棟は昭和50年の建築で、大変老朽化している点がございます。一方の松本校は平成11年の建築で、将来的な設備投資の負担を考えますと、松本校への統合がメリットがあると判断いたしております。
さらに入校生の通学の利便性という点でございます。現在、岡谷校、松本校ともに、北信あるいは東信からも入校生がございますが、やはりこの広いエリアをカバーできる松本校への統合が合理的であろうと考えております。また、JR平田駅の新設ということもございまして、大変利便も向上していると思っております。
以上申し上げました点を総合しまして、限られた県の教育訓練資源を効果的に活用していくため、岡谷校の自動車整備科を松本校に集約し、飯田校との2校体制とすることとしたわけでございます。今後の少子化の進展を考えますと、このような集約を実施いたしましても、民間校と県との役割分担によりまして、県下の訓練ニーズには対応していけるものと考えております。
またすべてを民間に任せるということではなく、県としては、民間校では対応が難しい部分、すなわち経済的に厳しい家庭の師弟や、離・転職者の教育訓練機会の確保等、職業能力開発のセーフティネットとしての役割に重点を置いてまいりたいと考えております。
岡谷校の自動車整備科を松本校に統合することによりまして、岡谷・諏訪地域のみなさんには今までに比べると不便をおかけいたしますが、指導スタッフや設備を重点化することで、将来質の高いサービスの提供が図られるという面もございます。
議員ご指摘の地域産業の後継者育成の面、また教育機会均等の面につきましても、民間校との役割分担の中で、地域の産業界や県民のニーズに応えるよう、最大限の配慮をして参りたいと考えております。以上です。
関係者は車検のときに自動車税が未納になっているお客から税金をもらい県に納める仕事のお手伝いまでやっている。行革は弱いもののところにばかりしわ寄せがされるといっています。ぜひ再考を求めます。