今回は、発達障害児をはじめとする障害児への支援と精神障害者への支援について担当部長ならびに知事に質問いたしますのでよろしくお願いいたします。
渡辺衛生部長
自閉症発達障害支援センターは県内全域をカバーする役割を持ちまして、平成16年度に精神保健福祉センター内に設置し、県内の発達障害者及びその家族への相談支援と共に、発達支援を担う保育所、小中学校、特別支援学校、市町村の職員に対する専門研修を実施するなど、支援を行って参りました。発達障害児にかかる相談や療育につきましては、市町村が主体で行ないまして、県は市町村への技術的支援を行なうこととなっておりますが、併せて市町村で応じられない専門的な相談にも対応しているところでございます。
ご質問の中南信駐在は、利用者の利便性を考えまして、中南信地域への巡回相談の拠点として置いたものでございまして、今後ともこの駐在を活用しながら、自閉症発達障害支援センターの効率的な運営に努めて参ります。
(2)次に発達障害児をはじめ障害児の療育体制の整備促進について伺います。
障害者プラン後期計画では、療育の充実に向けた連携を図るために療育支援会議を設置し、県内の療育の実態把握を行なうとともに、県全体の療育指針を策定し、地域における療育を支援、また、障害保健福祉圏域ごとに県の現地機関も参加した各関係機関の関係者からなる地域療育支援会議を設置し、圏域ごとに療育の実態把握を行い、療育指針を策定するとしています。支援会議の設置の状況と実態把握の現状、課題と県としての対応について(社会部長に)お聞きします。
藤巻社会部長
二番目の療育支援会議の設置状況、課題、県の対応に対するご質問に対してお答えいたします。
まず地域療育支援会議の設置の関係でございますが、県では障害者自立支援法の施行に伴い、10圏域に設置されました地域自立支援協議会、この中に、地域における障害児療育の課題と必要な取り組みを協議するために、市町村の保健福祉担当、それから児童相談所、教育事務所、養護学校、それから通園施設、医療機関などからなります療育部会の設置を進めて参りました。これまでにすべて10圏域で協議会の中に療育部会の設置が済みまして、それぞれの協議が始められているところでございます。
この療育部会を中心といたしまして、保護者や療育関係者との意見交換などを行なう中で、圏域ごとのサービス、支援や、人材の実態把握などを行ないまして、今後の療育体制の整備に取り組んでいるところでございます。
現在取り組んでおられますけれども、各圏域で地域における療育の実態把握を進めているところでございますが、その中で、例えば療育関係者の研修の必要性や、また放課後や長期休業時の過ごし方など、それぞれの地域における課題が今洗い出されてきている現状でございます。
県におきましては、今後各圏域で取りまとめられましたこれらの実態に基づきまして、県の中の関係機関による県の療育支援会議を開催いたしまして、全県的な障害児療育の体制整備、それから今後の指針等を検討いたしまして、各地域の療育の拡充を支援してまいりたいというふうに考えているところでございます。以上です。
(3)障害児へのサービス利用料の減免について伺います。
障害者自立支援法による応益負担の導入は、障害児の療育支援にまで過酷な負担増を強いることになりました。政府は障害者や施設関係者の声と運動におされ、昨年12月に特別対策を講じ、通所施設、在宅サービス利用者に対しては、負担上限額を4分の1に引き下げるという軽減措置をとりましたが、支援費当時に比べ数倍の負担になり、利用を控えざるを得ないという状況が起きています。そして、それはそのまま報酬単価の引き下げと、日払い方式への変更で安定的な収入を確保できにくくなった事業所をも更に追い詰めています。
現在、国も利用料をはじめ自立支援法の見直しに手をつけ始めていますが、障害児の発達支援、療育、ディサービスは育ちへの支援という性格からしても、経済的な理由で療育を中断せざるを得ないということはなんとしても避けなければなりません。
私は障害児の療育の分野に関しては緊急の経済的支援が必要だと思います。
障害児・者への応益負担の廃止は、圧倒的な関係者の声でありますが、障害児の療育施設をはじめとする支援施設への応益負担の廃止を改めて国に要請するよう知事に求めるとともに、県として障害児療育施設への利用料減免制度を早急につくるべきと思うがどうか、知事にお伺いいたしまして、一回目の質問を終わります。
村井知事
障害者自立支援法に基づく応益負担への問題につきましてのお尋ねがございました。障害者自立支援法におきまして、応益負担が導入されまして、利用者の負担が増大し、一部にサービスの利用を抑制するような方もいらっしゃるというような影響が出て参りました。昨年私からも、厚生労働大臣にその負担の軽減をお願いしたほか、県議会におかれましても要請を頂いたところであります。
これらの要請を受けまして、議員ご指摘の通り国では、本年4月に低所得者に対する月ごとの負担上限額を4分の1にするなどの軽減策は講じたところでありますが、なおいっそうの利用者負担の軽減が必要であるという指摘がございました。本年10月に、厚生労働省に参りまして、障害者の生活実態に配慮して、必要とするサービスが利用できるように、低所得者への負担金をさらに拡充するように国に対して要請いたしたところでございます。
現在国におきましては、利用者負担を含めた障害者自立支援法の見直し作業が行われておると承知しておりますので、県としては独自の減免を現段階で行なうということではなく、国の検討状況を注視いたしまして、さらに改善が必要な事項については、国に更なる要請をおこないまして、障害者の負担、必要とするサービスが利用しやすい、そのような環境づくりに努めて参りたい、このように考えています。
先日、療育支援施設にお伺いいたしました。一日754円の利用料が払えずに通所できなくなった子どもさんがいるといわれました。
職員の皆さんからは、障害を持った子ども達が人間らしく成長できるための療育を、応益とみなし利用料を払わせるのはおかしい、発達が遅れているお子さんは、お母さんがかばってしまい、基本的な生活習慣や社会性が身につきにくくなっている、母子通園で、親子共々課題を一つひとつ乗り越えて成長しているんですよとのお話。
また自宅以外はパニックを起こしてしまう自閉症のお子さんが唯一安心して身を置ける場所であり、ここにいるときだけお母さんを解放してあげられるんです。こういうお子さんが利用料が大変だから通えなくなるということは、ほんとうに悔しいとおっしゃっておられました。
自立支援法の見直しでは、障害者の世帯分離で負担を軽くするというお話も出ておりますが、子どもさんを世帯分離はできないんです。お母さん達も働くことなど到底できませんから、ぎりぎりの生活の方たちが多いとのことでした。
私は、大変な思いで、それでも頑張っているお母さんや、療育施設のスタッフの声を、議会を通して知事にお伝え致しましたので、知事はぜひ心で受け止めていただき、国に対してしっかりとこの声を届けていただきますと共に、やはりですね、緊急措置が必要だと思うんです。子ども達の成長は待っていられません。ですから県として改めて、緊急的な軽減措置を講ずるべきと思いますが、再度質問をさせていただきます。
さて発達障害支援センターについては、中南信に設置というご質問でございましたが、明確な答弁はいただけませんでした。将来展望でも結構ですが、ぜひ、このことはね、中南信・東北信の均衡ある対応のためにもですね、対応していただきたいと。それから中南信駐在所はね、当初2名いたんですよ。でも今は1名。1名は厚労省に行って働かれています。留守番もままならないということですから、せめてですね、もう1名入れていただいて、留守番程度でも結構ですが、ぜひそんなことで対応をしていただきたいということでお願いをしておきたいと思います。
また療育施設につきましても、支援会議が活発に活動をしていただくということが、地域での療育体制を前進させるポイントになると思います。療育の拠点としての県の基幹療育センターを始め、待ち望まれている地域での療育センターの設置など、療育体制が前進するよう、最善の努力を払っていただくよう求めさせていただきたいと思います
村井知事
まず、障害者自立支援法に基づく療育負担の問題で、重ねてのご質問がございました。私の承知しておりますところの現在行なわれている国の見直しでございますが、これは月ごとの負担上限額引き下げでございますとか、あるいは救援対象所帯の拡大など、利用者負担の問題点を大きく改善する内容を備えるという情報もありますので、まずこの内容を私共、この改善の内容を注視して参りたいと、このように考えているところでございます。
再質問
発達障害支援センターにつきましては、複数配置の県もあるんですよね。認可は国は1箇所というような対応もしていますけれど、現実に複数配置をしているところがございます。それは社会福祉法人という形も使ったり、さまざまなお考えの中で対応されているんですけれど、ぜひですねえ、中南信に発達障害支援センター、いますぐ無理でも、ぜひ将来展望を持って対応していただきたいことを強く申し上げておきたいと思います。
次に、精神障害者の福祉医療給付事業対象範囲の拡大について伺います。
福祉医療の見直しの年ということもあり昨年6月議会において精神障害者の福祉医療給付を保健福祉手帳1級から2級までを対象とし、通院のみを入院まで拡大するよう求め、合わせて所得制限を市町村民税非課税世帯から特別障害者手当て準拠とすべきと提案させていただきました。
当時の衛生部長は関係団体からも要望をいただいているとした上で、市町村の意向を把握するための調査を行い市長会、町村会、県の三者で見直しの方法も含め協議しすすめていきたいと答弁されています。
しかし今もって見直しは行われていません。
どのような協議がされたのか、見直しがされなかった理由と今後の取り組みについて衛生部長に伺います。
渡辺衛生部長
精神障害者にかかる福祉医療制度の見直しにつきましてお答えいたします。平成18年6月定例議会一般質問で藤沢議員の質問にお答えしましたとおり、昨年度は現行制度の課題を把握するため、市町村に対する意向調査を実施いたしました。その調査結果や平成14年の福祉医療制度のあり方検討委員会の提言を踏まえまして、今年度県の助成基準の見直し検討を行なうこととし、その一環をいたしまして、市長会、町村回、及び県の3者による検討会を設けて協議してまいりました。
検討過程では、外部の有識者の方から、精神障害者の生活実態についてのお話もお聞きいたしました。検討会といたしましては、精神障害者の対象範囲を1級から2級に拡大し、所得制限は1級を特別障害者準拠に、2級は所得税非課税者までとする。また入院については現行と同様に対象外とするとの意見集約が成されたところでございます。
県といたしましては、福祉医療制度を将来に亘って持続可能なものとしていくことが大切と考えております。そのような観点に立ちまして、検討会の検討結果や関係団体からの要望等を踏まえながら、現在見直しの内容等を検討しております。
再質問
そして、精神障害者への福祉医療の件ですけれど、これは、あり方検討委員会でも改善の提案がされたということで、これに基づいてぜひ県としても、前進させていただきたいわけですけれども、この件につきましては、知事に決意をお願いしたいと思いますが。先ほどですね、御答弁の中で、行政というのは平等でないとだめだといううふうに稲荷山養護学校のときにおっしゃいました。この福祉医療の中で、精神障害はほんとうに遅れている分野です。ですからこの件につきましては県としてもしっかり決断を下していただいて、知的そして身体と同様の平等の医療対応をしていただきますように、心からお願いをさせていただきますが知事の決意をお願いしたいと思います。
村井知事
精神障害者にかかる福祉医療制度の見直しについて、私の決意をというご質問でございますが、私は制度というものは基本的に持続可能性ということを考えなければいけないと思います。先ほど衛生部長からもお答えをいただきましたけれども、県としましては福祉医療制度が将来に亘って持続可能なものにしていくことが大切、そういう観点で検討会の検討結果、それから関係団体等の要望等を踏まえて、見直しの内容を今検討しておるということでございますから、そういう意味でその検討結果が十分出ましたら、それは恐らく持続可能なものになりましょうから、そういうものとしてきちんと実行をしてまいりたいと思います。
県立駒ヶ根病院改築に伴う病床数削減への対応について伺います。
本県の精神医療専門病院として基幹的役割を果たしてきた県立駒ヶ根病院は昭和31年の開設、昭和46年の建替から30年余を経過し老朽化のために一日も早い改築が待ち望まれていました。
このたび県は改築に向けて事業着手することになり、今12月県議会に測量費や基本設計費用1億4千万円余の改築経費が計上されました。4年後の2011年度中の完成を目指します。
改築に当たって19年3月に県立駒ヶ根病院マスタープラン作成委員会から県に対し、「県立駒ヶ根病院改築に関する提言」がなされましたが、その内容は現在の5病棟235床を改築後は120床台にすることと併せ、長期入院者の退院促進を図り地域ネットワーク部門を新設するなど県内の精神医療を支えるセンターとしての機能を目指すものとなっています。
そこで衛生部長にお伺いいたします。
(1)今回計上された基本設計はマスタープラン作成委員会のこの提言に基づき策定されるのでしょうか。
もし提言どおりとすれば、5病棟から2病棟を閉鎖するということで基本ベッド数は115床削減となります。現在満床ではないということですが、数十人の方には退院をお願いすることになります。入院患者への対応はどのようにされるのか。どのような退院計画を組もうとしているのか又、長期入院者や社会的入院者の退院促進も図るとしているがそれぞれ対象者は何人おられ、この取り組みはどのようになっているのか併せて伺います。
(2) マスタープランを実行していくためには、総合的な退院支援を改築と共に実施しなくてはなりません。
専任職員を配置した退院患者や家族の相談に応じる専門部署を設置すべきではないでしょうか。又、退院促進に当たっては県立病院として他の民間病院のモデルとなるような取り組みをすべきではないか。そのためには早急に医療、保健、福祉関係者による部局横断的な対策を県をあげて取り組むべきではないか、この点につきまして知事にお伺いして、2回目の質問を終わります。
村井知事
駒ヶ根病院の改築の問題については、長期入院者の退院への対応についてご質問がございました。駒ヶ根病院では、現在3名の精神保健福祉士を配置し、入院から退院、在宅支援など、患者さんやご家族の相談を行なっていると承知しております。
マスタープラン作成委員会からの提言もございました、新規ネットワーク部門におきましては今年度、医師、精神保健福祉士、看護士長からなる退院促進委員会を設置いたしまして、患者さんの退院に関する不安を極力取り除き、退院後の訪問看護やデイケアなどの参加に向けて支援体制の更なる強化に取り組んでいくと、このように承知しております。
いずれにしましても、患者さんの退院に向けまして、木目細かなケアが必要であるとはよく認識しておりますし、市町村の福祉部門とも連携しながら、県内唯一の県立の精神科の専門病院としての役割をきちんと果たしていただきたいと考えております。
渡辺衛生部長
次に駒ヶ根病院の対策についての質問にお答えします。平成18年11月に設置いたしました駒ヶ根病院改築マスタープラン作成委員会からは、駒ヶ根病院の担うべき機能について明らかにした上で、3病棟12床台規模の病院改築を行なうよう、平成19年3月に提言をいただきました。
今回の基本設計につきましては、この提言を元に施設規模を想定しております。老朽化の進む駒ヶ根病院におきましては、年々入院患者数が減少しておりまして、現在5病棟235床の許可病床数に対しまして、入院患者数は150名程度となっております。 改築後の入院病棟は120床台となりますので、計画的に退院を促進することが必要となります。それに向けての準備をすすめることとし、ソーシャルワーカーを中心に個々の患者さん毎の退院支援計画を策定することとしております。また、長期入院患者などの人数についてでございますけれども、長期入院患者数は約70名。地域の受け入れ態勢等の条件が整えば、退院可能な社会的入院者は、そのうちの半数程度と考えております。
いずれにいたしましても、新病棟完成までに計画的に退院を促進いたしまして、地域生活に移行できますよう取り組んで参ります。
駐在に関してですけれども、県といたしましては、センターは、精神保健福祉センター内に設置しているものを1つと考えております。ですからその地域的に少し北信の方に偏っておりますので、それをカバーするために、中信地区に中南信をカバーする駐在を置いているというそういう位置付けでございます。
再質問
なお、駒ヶ根病院の件ですけれど、長期入院者、これは社会復帰に非常に木目細かな対応が求められます。基本生活習慣がほとんどできていない中で、グループホームにすぐには移行できないということもあるんです。ですから本当に木目細かな対応が必要でありますので、暖かい社会復帰への対応を求めまして、私の質問を終わらせていただきます。
村井知事
それから駒ヶ根病院につきましては、ご指摘のように社会的入院者に対してのサポートでございますけれども、非常に大事なことだ、入院医療中心から地域生活中心へという大きな流れをよく踏まえ見据えて、対応に遺漏なきようしてまいりたいと思います。