議第2号、道路特定財源諸税の暫定税率維持を求める意見書案に意見を述べます。
長野県は全国4番目の広さを持つ高い山々に囲まれた県であり、県歌「信濃の国」で歌われているように峠を挟んで10の圏域で構成されています。それらをつないでいるのが国道、県道、市町村道などであり、人々はその道路を使い通勤、通学、通院をし、日々の生活を営みながら文化を交流させ社会経済活動を発展させてきました。
道路は、日常生活ばかりか、災害時や、救急時に重要な役割を果たしており、住民の皆さんの道路整備への要望も強いものがあります。
しかし、長野県の道路改良率は全国平均を下まわっており、私たちは全国最下位水準にある生活道路の整備をもっと充実させること、一度つくったらもうおしまいということではなく、身近で頻繁に利用される道路や橋梁ほど安全で安心に利用できるために、歩道の整備や維持補修が大事ということを求め続けてまいりました。
このような立場から9月議会では「道路整備財源の確保と充実を求める意見書」にも賛同してきた経緯があります。
道路特定財源では、小泉元首相も安倍前首相も一般財源化を国会で明言し、公約していました。ところが道路族議員や国土交通省、石油・自動車業界などの抵抗を受け一般財源化を見送ってしまいました。07年度予算では道路特定財源は温存したまま、「余った分は一般財源に入れる」ということになりました。政府・与党は新年度にむけて道路特定財源の見直し案を発表し、暫定税率の10年間延長、むこう10年間で道路整備費を59兆円とし、余剰分を一般財源化すると打ち出しましたが、この仕組みは道路特定財源の恒久化につながるものです。
朝日新聞は12月6日の社説で「出発点にたちかえって道路特定財源を廃止し、どんな予算にも使える一般財源へ切り替えるべきだ」と述べ、中日新聞も同様に社説で「値下げよりも一般財源化を」と書いています。
日本共産党は、暫定税率を維持して道路特定財源を温存させることには反対であり、提案されている意見書には賛同できません。以下理由を述べます。
1つはガソリン税や自動車重量税、軽油引取税などの道路特定財源諸税は、国道と都道府県道の舗装率が5%しかなかった半世紀前に「整備が急務だ」として暫定措置法としてスタートした制度です。以来道路整備五カ年計画が作られるたびに10兆円が20兆円に、20兆円が40兆円に、40兆円が53兆円に、と増えつづけ、1971年、当時の福田赳夫大蔵大臣が新たに自動車重量税を導入するにあたって「今年度からの5カ年計画ができれば国道はほとんど整備される」といっていたにもかかわらず、以来、30年間で310兆円以上が投入されてきており、その配分も国が6割、地方が4割と地方へは手薄な一方、東京湾アクアラインに代表されるように、浪費と腐敗の温床になっています。
2つはいま、国と地方で800兆円を越す借金があり、厳しい財政運営が強いられている中で、地方交付税も減額され、社会保障費も2200億円削減されるという事態になっているもとで、無年金者は118万人にも上り、命綱である、生活保護費すら引き下げられようとしています。
税金の無駄遣いに対する国民の批判もたかまっているのに、6兆円の財源を道路にしか使わせず、民営化した本四公団の債務処理に1兆5000億円もあてるなど、とうてい納得しがたい使い方をしています。一般財源化すれば道路建設には使えないかのような論調もありますが、地方にはまだつくらなければならない道路もあるわけで、一般財源化し、地方の裁量権で優先順位を決めて社会保障にも真に必要とする道路にも自由に使えるように配分すべきではないでしょうか。
3つは平成19年度で見た場合、国の総道路投資額は8兆860億円。そのうち道路特定財源でまかなわれるのはその6割の4兆8500億円。地方はそのなかのまた4割、約2兆円を道路整備につかっていて、これは全体の道路関係費のわずか4分の1です。受益者負担といいながら吸い上げたお金は、圧倒的には国家的な道路プロジェクトに使われているのであり、国の無駄遣いの隠れみのになっています。長野県は道路特定財源から300億円配分を受けているとのことですが、うち150億円は過去の道路整備への返済に充てられ、実質的に使えるのは150億円です。日本中の地方交付税15兆円に6兆円を一般財源化して上乗せし、ルール通りに配分を受けたほうが、今以上に裁量権を持って地方の道路整備の予算は確保が可能になるのではないでしょうか。
以上、申し上げまして反対討論といたします。