議第4号 生活保護基準の引き下げ中止を求める意見書案について、提案説明させていただきます。
厚生労働省は2008年度予算で、社会保障費の伸びを2200億円抑制することを求められ、生活保護費も削減対象にする方針を固めたといわれています。
今回の生活保護費の引き下げは社会・援護局長の私的検討会である「生活扶助基準に関する検討会」で、生活保護受給者や関係者の声も聞かず、わずか8時間程度の検討でした。
現在の生活保護基準は「一般国民の消費水準との均衡」を図るとして、一般国民の消費水準の60%から70%程度が妥当とされてきました。しかし、今回の検討会では「低所得者の消費実態を踏まえた見直しを行う」と国民生活を襲うデススパイラルを厚生労働省自身で加速させるものになっています。
みなさまにご提案した意見書(案)には「生活扶助基準に関する検討会」からの報告をうけ、生活保護費算定の基準となる最低生活費のうち食費・光熱水費等に当たる生活扶助基準額や6段階の級地制度を見直し、全体として基準を引き下げる方針を固めた、と記しましたが、その後、検討会の5名の委員全員から、厚生労働省が「検討会」の検討結果を受けて、引き下げをすると方針をだしたと報道されたことに対して、「引き下げを求めたものではなく、慎重にあるべきだ」と報告書の内容を説明する文書が出されていたことが昨日判明しました。
検討会の委員が厚生労働省に検討会を利用されることへの反論がされたものです。まさに、「引き下げありき」で進めている厚生労働省の姿勢が露呈されました。
厚生労働省は2003年に生活保護予算の削減を目的に物価水準の引き下げ、低所得者世帯との消費支出比較をもとに、老齢加算、母子加算の削減・廃止などを行いました。このことによって、「食事を1日3回から2回にした」とか「育ち盛りの子どもたちに人並みの食事や衣服を与えられない」と深刻な実態が広がっています。政府は加算の廃止で生じている実態の検証をして、元にもどさなければいけないと思いますが、これらに何らの検討もないまま、今回の扶助基準の引き下げを打ち出したことは、憲法25条の健康で文化的な最低限の生活を保障する責任を厚生労働省が放棄し、国民生活の最後の砦を突き崩すことになります。
さらには、介護保険の保険料・利用料、障害者自立支援法の利用料、地方税の非課税・減免の基準、国民健康保険税や公営住宅の家賃、公立学校授業料などの減免、就学援助等々の施策に生活保護基準は連動しています。あらゆる階層の国民すべてに大きな影響が及びます。国民生活最後の砦という所以です。
12月10日の参院決算委員会で、この問題を取り上げた日本共産党仁比議員の質問に対して、舛添要一厚生労働大臣は「憲法で勤労の義務がある。一生懸命働いている。そういう勤労世帯の一番下の人の水準に比べて生活保護の水準が高いからどうするかという議論が検討会であった」と言われました。相次ぐ規制緩和、労働法制の改悪で働いても、働いても暮らしてゆけない「ワーキングプア」を政治が作り出したことへの反省もないまま、人間らしい生活ができない人たちを舛添大臣曰く「一番下の人」の水準に合わせようという、冷酷な厚生労働行政では、際限なく貧困が拡大してゆきます。
社会保障予算の削減ばかりを国は言いますが、そもそも先進諸国のなかで日本の社会保障予算は最低レベルです。削減するところが違うのではないでしょうか。
在日米軍への思いやり予算は毎年2千数百億円にものぼっています。
みのもんた氏は、薬害肝炎患者救済に真剣に取り組まない政府に対して、「軍事費を凍結して救済するべき」とテレビで発言しています。国民を思いやる予算措置こそ、いま必要なのではないでしょうか。
議場の皆様のご賛同をお願い申し上げしまて、提案説明とさせていただきます。