2008年2月議会 一般質問 3月4日 びぜん光正

1 雇用問題について

2 伝統工芸の振興について

3 原油高騰対策について

4 こまやか教育プラン(活用方法選択型教員配置事業)について

1 雇用問題について

 青年の雇用の問題について質問いたします。一昨年12月議会、私は青年労働者の実態について取り上げ、その中で知事は青年の雇用の実態調査を行うことを約束しました。そして今年度の予算で関連予算が盛り込まれました。
 非正規雇用の状況は深刻で、先日もある県内の大手電気メーカの派遣社員として働いてきた28歳の青年労働者からその実態を伺いました。4勤2休というシフトで最低12時間労働4日間の日勤後2日休みで、次は夜勤が4日続くという勤務だそうです。しかし1ヶ月もすると辞めていく者の穴埋めで、結局全く休みがとれず、待遇改善を訴えれば「来て3日や1週間で辞めるやつもいる、派遣なんて簡単に入れるから、辞めたら次の人を入れればいい」と全くのモノ扱いであった実態が語られました。月収は休み無しで働いても15万円程度で、バイトもできない。公的な保険は雇用保険のみ。怪我をしても自己責任だと言われているといいます。
 そこで、社会部長にお尋ねします。この実態調査の結果についてどうなっているのか。また結果を今後の事業にどう活かしていくのかお聞きいたします。

 国会ではこの2月、共産党がキャノンの派遣、非正規雇用の問題を取り上げました。派遣は臨時的、一時的な場合に限られるはずなのに実態は正社員の代替として導入されており、日本経団連会長会社のキャノンも、正社員から派遣への置き換えを大規模に進めてきていることに対し、首相は「派遣は臨時的・一時的と位置づけており、非正規雇用が増加して固定化することに十分な注意をしなければならない。派遣制度の見直しに政府も取り組む」と答えざるを得ない状況となっています。そしてキャノンは現在国内19事業所で働く派遣・請負労働者の正社員化などで5000人の直接雇用に踏み切りつつあると報じられています。そこで知事に伺いますが県としてもこのような労働者をモノ扱いする派遣法を改めるよう国に求めるべきであると思いますが知事のお考えを伺います。

藤巻社会部長:
 労働実態調査に関する質問についてお答えいたします。
 今年度実施している調査は、「多様化する就業形態の労働環境実態調査」という名称でさせていただいております。これは近年非正規労働者の増加に伴いまして、県内労働者における正規・非正規雇用の実態を把握するということを目的として行なっているものでございます。事業所に対する調査と個人調査とございまして、まず事業所に対する調査につきましては、平成19年の9月1日を調査期日といたしまして、約4000事業所に調査票を送付をいたしまして、約1500事業所から回答を得ております。調査項目といたしましては、正規・非正規雇用の労働時間や、勤務条件の異なる点、いわゆる正規と非正規で一体どのような異なりがあるのか。それから休暇制度や正規雇用への転換制度、あるいは社内研修制度の整備状況、こういったものを調査しております。
 それからもう一方、非正規労働者に対する個人調査でございますが、こちらは平成19年10月1日を調査期日といたしまして、約2000人に対しまして、勤務する事業所にご協力をいただきながら送付をいたしまして、1000人弱から回答を得ております。調査項目は、労働時間、勤務条件など就業形態ごとの実態や、有給休暇、それから各種制度の利用状況などについてでございます。
 で、現在調査票の集計を鋭意実施しておりまして、できるだけたくさんの調査票を集めるという観点から、できるだけ締め切り以降も調査票を集めておりまして、今調査票の集計をしているところでございます。調査スケジュール通りに、本年度末に向けまして取りまとめを行なっていきたいと思っております。
 調査結果の利用でございますけれども、この調査結果は労働行政の基礎資料にさせていただくとともに、事業所に対しまして労働環境の実態を周知する資料、それから正規雇用への転換制度の導入についてのケース資料などについて利用してまいりたいと考えております。以上でございます。

村井知事:
労働者派遣法を改めるように国に求めるべきであるというご趣旨のご質問を頂戴しました。労働者派遣は、多様な雇用形態を提供するという意味がある一方では、非正規雇用の増加を招くという問題が生じていることもよく承知しております。厚生労働省におきましては、平成15年の労働者派遣法改正後の課題や問題点を検討するために、平成17年5月から、労働政策審議会職業安定分科会におきまして、さまざまな角度から検討が進められていると承知しております。
 検討の過程では、常用型派遣と比較すると不安定な就労にある登録型派遣の見直し、派遣できる期間を制限すべきかどうかという派遣期間の考え方、一定期間以上労働者派遣を受け入れた場合は、直接雇用への移行を義務付ける雇用申し込みを実施するべきかどうか、こういった点が大きな焦点となっており、労働者派遣が原則自由であるべきだと考えるのか、本来限定的なものと考えるべきかという、労働者派遣に関する根本的な問題について、労使の隔たりが大きい状況になっておるのも承知しております。
 このような状況から、国におきましては、2月14日に、新たに学識経験者からなる研究会を設けて、登録型派遣の考え方等、労働者派遣制度の根本にかかわる問題につきまして、さらなる検討を進めていくということにしていると承知しております。
 こうしたことから、県といたしましては、国における幅広い議論を踏まえた動向を見守って参りたいと存じます。

 ところで行政職内における臨時的任用や行政嘱託員などの正規職員以外の職員増についても全国的に問題となっています。そこで今議会に手話通訳業務嘱託員の休業体制の整備と「手話通訳士」有資格者の処遇に関する請願書が提出されています。手話通訳者は聴覚障害者の社会参加の促進及び県の業務に欠かすことのできない特殊で重要な役割を果たしていますが、疲労困憊し休業や廃業せざるを得ない状況になっていることも伺うのですが、安心して療養し、雇用が継続されるよう正職員化されるべきであると思いますが、これについては社会部長に伺います。
 また他にも専門性を必要とし、実態として繰り返し任用されている嘱託員、たとえば消費生活相談員などの正職員化を検討すべきであると考えますがこれについては総務部長のお考えを伺います。

藤巻社会部長:
 手話通訳業務嘱託員の関係についてお答えいたします。
 まずあの、療養と雇用の関係、安心して働けるという、その部分でございますが、手話通訳業務は主に腕、上肢を使用するために、頸肩腕症候群−首・肩それから腕−こういった頸肩腕症候群を発症しやすいとされておりますので、県では適切な休息など業務の負担軽減を図るとともに、頸肩腕症候群に対する特殊検診を実施し、健康管理に努めているところでございます。業務に起因しまして万一休業するという事になった場合には、安心して療養ができますよう県の条例に基づきまして、公務災害として認定をいたしまして、治療が必要な間は療養保障、それから休業補償が支給されることになっております。
 雇用の継続につきましては、他の嘱託員と同様に、手話通訳業務嘱託員の任期が1年でございまして、その都度業務の適任者を任用するということにしておるわけでございます。正規化というお話ございましたけれども、手話通訳の業務というのは、一応日常的に恒常的にあるというものではございませんで、今本庁に1名と、それから各地方事務所に1名ずつ、合計11名配置しておりますけれども、……あ、失礼しました、全部で10名配置をしております。10名配置をしておりますけれども、業務の内容が、恒常的に存在するものではないということから、一応行政嘱託員という形で配置をさせていただいているというものでございます。
 以上でございます。

浦野総務部長
 行政嘱託員に関するお尋ねでございますけれども、行政嘱託員はお話にございました手話通訳業務や、さまざまな相談業務などにあたる非常勤職員でございます。その業務内容は特定の知識又は経験を必要とするものでございますけれども、複雑性、あるいは困難性は一定のものでございます。業務量についても、必ずしも恒常的に存在するものではないことから、行政嘱託員は月20日以内の勤務で1年の任用期間を更新の期間を定めて任用をいたしております。こうした業務内容、あるいは業務量を考慮いたしますと、特定な知識または経験のある方を任期を定めて任用する行政嘱託員制度が適切な雇用形態であるというふうに考えております。今後もそれぞれの業務内容や業務量を考慮しまして、必要に応じて行政嘱託員制度を活用して参りたいと考えております。

 得がたいこういった有資格者であります。ぜひとも考慮もしていただきたい。そのことをお願いしたいと思います。

2.伝統工芸の振興について

 次に伝統工芸の振興について伺います。
 長野県には信州紬、木曾漆器、松本家具、内山紙など国指定の伝統工芸品7品目や知事指定の伝統的工芸品14品目などあります。さきほど水引についてとり上げられましたが、これら伝統工芸品は地元産の材料を加工し、自然との調和が基本にあり、きわめて環境配慮型製品といえます。昨今、大量生産・大量消費の使い捨て時代にあって、ほとんどの物が無味乾燥な機械生産品で、薄利多売の百円ショップ製品があふれていることに、これまで日本人が培ってきた文化を子どもたちに引き継ぐのに危惧を抱かざるを得ない状況です。
 以前の議会でも木曽漆器を中心に取り上げましたが、今回、飯山市・栄村などの内山紙を生産しつづけている伝統工芸士の方々や、松本家具や木曽漆器の関係者の方々にも、伝統工芸をとりまく状況について伺いました。

 <パネル説明>
 これは伝統工芸品の産地の状況を示した、伝統的工芸品産業振興協会刊「全国伝統的工芸品総覧」からのグラフですが、これは本県の伝統工芸品の国指定の7品目の91年から2005年比較で、生産額は118億円から54億円へと55%も落ち込み激減している。従業者数も2065人から1083人へと半減しております。14年間での衰退は著しいことがはっきり伺え、伝統工芸の存続すら危ぶまれる状況があります。
 また、これは伝統工芸品への県・国からの事業支援関連の推移ですが、99年には2500万円を超えたものが、国補助が小泉構造改革によって2004年から打ち切られて、今年度は500万円余と、5分の1に落ち込んでいます。
 そこで、県内の伝統工芸品の生産や取り巻く状況等をどうご認識されているか商工部長に伺います。
 
 さらに来年度予算案では伝統工芸後継者育成支援事業が廃止されましたが、その理由と県の伝統的工芸品支援関連事業費の確保についてはどうなっているのかお聞きします。特に、2004年からは国からの支援が打ち切られていると聞きますがその実態についても含めお聞きします。

荒井商工部長:
 伝統工芸品に対するご質問でございます。
 まず伝統工芸品を取り巻く状況についてでございます。先ほど、委員からもお話ございましたけれども、大臣指定の伝統的工芸品は木曽漆器・飯山仏壇など現在7品目ございます。この7品目について調査をした状況でございますが、平成10年には、事業所310事業所、生産額84億円。これが平成17年では254事業所、54億円と減少傾向にある状況にございます。大変厳しい状況だと思っております。
 また、商工部が19年度に行ないました調査によりますと、産地組合の抱える課題としては、生活様式の変化や輸入品の増加などによる販売不振、それから後継者不足や技能者の高齢化などが大きな課題として挙げられております。
 それから後継者育成事業の廃止の理由と、県の関連事業費の推移、また国の支援打ち切りの実態についてのお尋ねでございます。
 まず国におきましては、従来は技術・技法等の後世に残す保護・保存という考え方でございました。これが産業活動として維持発展を図っていく方向に変わりまして、産地組合等が主体的に努力を行なうことに対しまして、国県は側面的に支援すると、こういった方針に転換をされたところでございます。
 これを受けまして従来国と県があわせて10分の10、全額をですね産地組合に交付しておりました補助金を16年度からは国・県がそれぞれ別の事業を対象としまして、2分の1を補助する単独事業の補助事業に方針が変わってきております。16年度以降、県の伝統工芸品関係の予算でございますが、約600万円で推移をしてきておりまして、平成19年度の予算額は516万4千円でございます。一方、19年度に開始いたしました50億円の長野県地域産業活性化基金事業におきましては、たとえば19年度でございますけれども、伝統的工芸品団体が計画する首都圏での販路開拓事業が採択をされております。新たな商品開発や販路開拓等、幅広い取り組みを対象にしている、そういう事業でございます。ご指摘のように、県の後継者育成支援事業は補助事業としては廃止になりましたけれども、この基金事業に組替えまして、後継者の育成を支援してまいりたいと考えております。また時代にマッチした用途開発、また商品開発などに取り組む場合に、4月に発足いたします「地域資源製品開発支援制度」などが行ないます専門家派遣事業、あるいは人材育成事業も利用していただくことによりまして、いままでの補助事業と形は変わりますけれども、幅広い支援をしてもらいたいと考えております。 

 この間私どもは伝統的工芸品の振興に力を入れている、京都府と石川県の調査を行いましたが、両府県ともに従業員も生産額も激減する中でも、伝統工芸の振興の条例を制定し、宣伝普及、手厚い保存や奨学金制度を創設し、後継者育成や販路を拡大し、文化の継承に必死に取り組んでいました。
 そこで、本県の伝統工芸の振興について再度商工部長に伺いますが、現在は問屋がなくなり、職人が販路を開拓しているそうです。そのためにも工芸品の認知度を高めるアンテナショップ的なものが是非とも東京等の人口密集地に欲しいということです。一小規模事業者や組合ではとても都会では店舗はもてないので、多くの都道府県では東京事務所に伝統工芸品を置いているところもあるのですが、長野県はそうなっていないといいます。
 伝統工芸品は地名を冠したものが圧倒的で、本県の認知度のアップとともにこうした声に応え、観光部とタイアップして都心で、本県の伝統工芸品をPR・販売もできる拠点を作るおつもりはないでしょうか。
 また、県民に県の伝統工芸品の認知度を高めてもらうことも重要です。そこで県庁内や合同庁舎にもっとPRできる環境の整備をおこなうことはできないか、合わせて商工部長に伺います

 さらに知事に伺いますが、以前私は「匠の公共事業」という京都府の例を紹介しましたが、県事業での表彰や記念品等への伝統工芸品を積極的活用するなどできないか、例えば、内山紙を名刺や卒業証書、賞状や表彰状などへ、さらには漆塗りの名札とか表札など検討すればいろいろ考えられると思いますが、どうでしょうか。

荒井商工部長:
 伝統工芸品の販路、振興を図る方策についてでございます。ご提案の都心でのPR、販売できる環境作りについてでございますが、新たに4月から設置するマーケティング支援センターにおきまして、消費@@の専門家を新たに雇い入れまして、充実した体制をとってまいりたいと考えております。その中で販路の相談とともに、首都圏で展開する展示会、こういったところへの機会またバイヤーへの売り込みの機会こういったものを提供してまいりたいと思っております。
 また、観光部などが行なうイベント、そういったものとも連携して、いろんな機会にできるだけそういうものをPRしていく、そういうことにも取り組んで参りたいと考えております。
 またもう一つの伝統工芸品の県民への認知度を高めていくということでございますが、長野県伝統工芸品産業振興協議会という協議会がございますが、そこと連携していろんな活動をしております。たとえば、支援して開発した製品、そういったものにつきまして、県庁や合同庁舎のホールに展示する、あるいは県のホームページでPRすると、いろんな工夫をしてまいりたいとこんな風に考えております。

村井知事:
 ただ今、事業の表彰、あるいは記念品等に伝統工芸品を活用できないかという趣旨のご提案を頂戴いたしました。確かに、いろいろ工夫の仕方はあるだろう、このように存じます。そういう意味で、このような今ご指摘のような面で使用機会を増やすように、少し検討して参りたいとこのように存じます。

 この間の質問を通して先ほど、商工部長の方からも、マーケティング支援センターの行なうPR等に乗せていくというお話もありましたけれど、先日のお話でも、都心でのサテライトショップということが言われていますが、ここに伝統工芸をプラスしていくことは検討できないでしょうか。ぜひとも商工部長に再度ご答弁をお願い致したいと思います。
 
 この13日からは松本市内で県も後援して第23回伝統工芸品展が行われます。知事や商工部長の出席を要望されていることもお聞きしています。日常よく使う実用品だからこそ愛着の持てる物、安らぎを感じられる物と本県の文化を再発見し、次代に繋げていくことが求められると思いますが、今回いくつか提案もさせていただきましたが、これらも含め信州の伝統工芸品の振興をどう図るおつもりか知事に再度お聞きいたします。

荒井商工部長:
 今私共、東京事務所、それから名古屋事務所の観光部門と抱き合わせの中で、物産の販売を行なっている状況でございます。伝統工芸品だけではなくて、長野県産品の全体をどのように首都圏、あるいは名古屋・大阪へ売っていくかということが大きな課題だと思っております。
 そんな中でそのあり方についても、観光・農政も含めて検討を進めているところでございますので、そんな中で、そういう機会はできるだけ作っていけるようなことで検討をして参りたいと考えております。

村井知事:
 経済産業省が昭和40年代の後半くらいから進めました伝統工芸品の全国における振興の事業の一環としまして、各地に伝統工芸品産業センターといいましたか、作りまして、そのうち、長野県には飯山仏壇、木曽漆器と、2箇所センターがあるという意味では、今議員ご指摘のようにいろんな意味でこのような伝統工芸品の、なんと言いましょうか、数の比較的多い地域であるといえるんじゃないかと思います。基本的には産業としての基盤が確立するようにしていくということが大切でありまして、いろいろな形で工芸品を現在の現代の生活に合致するような変容、変化というものを遂げてきていると。それはつまりは、売れる工芸品作りということに繋がるのでしょうけれども、そういう取り組みをしておられると思いますが、そういう方向への加速をしていかなければならないと思います。そういう意味では、デザインの改良ですとか、あるいは他の工芸品との提携、そういう意味では木曽の漆器で10年前の長野冬季オリンピックの時に、メダルが作られたというようなことも、一つの前例だろうと思います。それから、最近のEL液晶との合体というようなことで事例がございますけれども、先端分野と組み合わせというような積極的な対応も必要なんだろうと思います。
 そういう意味で県としましては、4月に設置を予定しております、地域支援製品開発センターを中心に伝統工芸品業界の新たな取り組みに対しまして、民間経験者による商品企画の助言でありますとか、あるいは人材育成のための研修会の開催でありますとか、あるいは販路の開拓支援や伝統工芸以外の分野との交流の場を設けるなどの形で支援を行いまして、いずれにしましても、売れる工芸品作りというものを応援して参りたいと存じます。
 今言い間違えましたが、木曽の漆業界とセイコーエプソンが協力しまして、有機ELのディスプレイに応用した試作品というのが発表されているわけでございまして、これなどは、電子機器など先端分野と伝統工芸の典型的な組み合わせの例ではないかと、こういうことであります。

 只今ご答弁ありましたけれども、産地ではいろんなデザインや商品開発に力を注いでいるところでございます。ぜひともお力添えをお願いしたいと思います。

3.原油高騰対策について

 原油・原材料の高騰は依然深刻な状況です。
 そこで12月議会では私は福祉施設、学校、事業者、農業等における原油高騰の影響について調査と対応を提案させていただきましたが、その後どう掌握されているか社会、商工、農政部長と教育長にそれぞれお聞きします。

 先日クリーニング業者にお聞きしましたが、「原油高で資材が高騰し、質を下げないよう努力しているが限界になっている。価格転嫁すれば客が離れ、大手チェーン店に流れ廃業に追い込まれる。貯金を取り崩して従業員の給与を払っているがもう止めたい」と深刻な窮状を訴えられました。
 そこで衛生部長に伺いますが、東京都渋谷区ではクリーニング業に対しての支援が始められると聞いていますが、長野県でも公衆衛生の観点からも、クリーニングの品質低下させない取り組みを行うべきではないでしょうか。

 また農業支援について農政部長に伺います。
 先日、洋ランの栽培農家の方に伺ったところ、暖房のための灯油はローリー買いで年間12から13万リットル使う。昨年からの灯油価格の上昇が約30円ですので、このままだと一昨年との比較でも単純に390万円の差がでるわけです。また畜産農家も同様に暖房とえさの高騰が深刻です。
そこでこういった農家の方々への支援策は考えられないのか、農政部長に伺います。

藤巻社会部長:
 福祉施設におきます原油代高騰の調査に関してまずお答えをいたします。
 現在特別養護老人ホームなどの入所施設、それから老人デイサービスセンターなどの通所施設、それから訪問介護事業所等における車両の燃料代、それから就労支援施設におきます機械の燃料代、これらに関しましてのべ568施設を抽出いたしまして、施設運営への影響や燃料代値上がりへの対応策などにつきまして、実態調査を実施したところでございます。提出期限が2月末を設定しております。が今現在調査票を回収中でございまして、今回の調査の最終的な結果につきましては、3月中旬…できるだけ急ぎたいと思いますが…、3月中旬頃までに取りまとめたいと思っているところでございます。
 それから、福祉施設の暖房に対する県の支援策を一緒に聞いてございますけれども、現在までに回答のあった施設のうちいくつかの条件について見ますと、特に、入所施設の暖房代につきまして、値上がりの影響が出ております。また、これらの影響に対しまして、灯油に対する入札制度を導入するとか、あるいは灯油から電気などほかのエネルギーへの転換などで経費の節減を行なうなどの努力をされている様子が見られるところでことでございます。
 灯油等から他のエネルギーへ暖房設備を転換するために要する経費につきましては、独立行政法人福祉医療機構というものがございますが、そこの福祉貸付制度を活用することができることになっておりますので、県におきましてはこの貸付制度につきまして、社会福祉施設等へ広く周知して参りたいと思っております。また各施設で行なわれている省エネ対策など、効果的な取り組みにつきまして今調査しておりますので、そこら辺をまとめましたら、県内の社会福祉施設に情報提供を行ないまして、参考にしていただくことにしております。
 さらにまた今回の調査、かなり詳細にさせていただいておりまして、たとえば、前年度一年間分に対して、今年度一年間分はどうだという調査もさせていただいておりますので、こうしたきっちりした調査の結果を分析した上で、必要によって国に支援策を要望して参りたいと、そういうふうに考えているところでございます。以上でございます。

荒井商工部長:
 お答えをいたします。昨今の原油原材料価格の高騰によりおおきな影響を受けている中小企業の皆様方に、県としてすぐに対応していくため、昨年12月に腰原副知事を座長とする中小企業等緊急支援連絡会議を設置をいたしたところでございます。この第一回目の連絡会議におきまして、県として当面実施すべき緊急対策、それから原油原材料価格の高騰による中小企業への影響等に対する経営実態調査の実施を決定いたしました。この調査は年末から年始にかけまして、職員が事業者を直接訪問いたしまして、面接調査を実施いたしたところでございます。その調査結果では、収益への影響につきまして、収益を圧迫しているとする回答が9割を超えております。また事業者が講じた対応策と致しましては、「省エネルギーや燃料の効率化」がもっとも多く、今後とる予定の対応策は、「価格への転嫁」「省エネルギー・燃料の効率化」「業務の効率化」となっております。また必要としている支援策といたしましては「金融支援」がもっとも多い状況になっております。このような状況を踏まえまして商工部では支援策として要望の多かった金融支援につきまして、平成20年度予算に起きまして中小企業融資制度資金の融資目標額を50億円増額しまして、980億円といたしました。併せまして、原油高原材料高対策資金を創設したこと、それからまた小規模事業者に限りまして、借換措置の延長を実施することといたしました。
 こうした原油原材料価格の高騰は今後も続いていくと見込まれておりますので、引き続き相談窓口における経営相談、また技術相談を実施してまいりまして、また経営実態を把握して機動的な対応を図ってまいりたいと考えております。

山口教育長:
 学校関係の影響調査についてお答えいたします。県立学校の暖房用燃料につきましては、購入価格の調査に基づいて予算を手当てしておりまして、県立高校が購入しております灯油の平均単価は、本年1月の83円台をピークに、現在82円台にわずかながら下がっております。昨年に比べまして、20円程度高騰しておりますので、児童生徒の教育環境に影響を及ぼさないよう、予算の追加配当をしてきております。以上でございます。

渡辺衛生部長:
 原油高騰に伴いまして、クリーニング業界は大変厳しい経営を強いられていると承知しております。クリーニング業者への支援につきましては、国民生活金融公庫が、原油高により影響を受けた営業者に対しまして特別相談窓口を設置し対応しております。また公庫では、生活衛生セーフティネット、貸し付けなどの低利融資によりまして、売上や業績が落ち込んでいる営業者に幅広く資金を供給しておりますので、県では今後とも公庫の活用を営業者に広くPRしていきたいと思っております。

白石農政部長:
 原油高騰対策に関します農業者の支援についてのお尋ねでございます。2月28日の寺島議員のご質問にお答えしましたとおり、12月25日に原油飼料等高騰に関する農業経営緊急対策連絡会を設置し、農業関係団体と連携・協力し、緊急かつ総合的な支援を実施しております。具体的な取り組みといたしましては、農業改良普及センターに相談窓口を設置したほか、省エネルギー技術の研修会の開催や、巡回指導を実施しております。また、省エネ型の田植え機の導入や、ハウスの多層被覆化等、国庫助成事業を活用し、緊急的な支援を実施しております。また全農ながのでは、農家が購入する農業用燃料および農業資材に対しまして経営支援を行っております。今後も生産者団体と連携を図りながら、きめ細やかな農業経営の支援対策を講じて参りたいと考えております。

 ただいま各部署からご答弁いただきましたけれども、まずは衛生部長に、渋谷区のような対応ということが今出されたわけですけれど、これについてのご検討がなされたのかどうか。その点について再度お聞きしたいと思います。

 また、農業関係ですけれども、農水省の対策も含めてですね、例えば省エネボイラーの導入などの新規設備を入れるのには利用可能だが、実際に経費がかかっている中で買い換えることができるでしょうか。農家では既に設備投資してあり、返済中でもありこれ以上の設備の更新なんて考えられない状態であります。実態に合わない支援策だと言っています。
 融資にしても同様で、この間農業自体が低迷しており返済の見込みが立たないような融資をこれからうけるでしょうか。
 この間融資を受けられた人たちはどの程度いるのか実績についてはどうなっているのでしょうか再度農政部長に伺います。
 また、社会部長におかれましては、これ2月末ということですけれども、発表が3月中旬となりますと、もう春がすぐそこに来るわけですね。どうして私どものほうにも、社会部関係のところから社会部関係のところから調査などは来ていないということが訴えられた経験があるわけですけれども、こういった寒いときに調査をしてきっちりとその対応をすぐ行なうというのが、行政であるというふうに思いますが、これについて御答弁を再度お願いしたいと思います。

 さて、次に私が先の12月議会にも取り上げましたが免税軽油の申請手続きの簡素化について再度伺います。
 これは県からのデータで作成した免税軽油の申請者数の推移ですが、申請資格は農業者や工事関係、航空や鉄道などの業者ですが、県からの資料では約9割が農業者です。一方、使用量はといいますと正反対であることがわかります。農家は、6、7%で小口利用が圧倒的です。
 そこで農政部長に伺いますが、本来申請する要件にあてはまるが申請していない人がどの位いるのか、そのような調査をしているでしょうか。農業者からは小規模、高齢化とこの原油高騰の折、申請の簡素化を訴えられるが農政部長としてはこの状態をどうお考えか伺います。
 このデータで免税効果を算出すると、農業者以外の事業者は1申請者あたり160万から170万円で、一方の農家は1万4千から1万9千円です。若い農家では煩雑な書類作成をパソコンを使い書類の作成を省力化している人もいますが、専任の事務員を擁する事業所ならまだしも、農家は家族や高齢者で手間をかけ申請書類を作成しています。そこで総務部長にお聞きしますが、総務部は徴税側なので立場が拮抗すると思いますが、農政部と協力して原油高騰の折、免税軽油の制度を少しでも役立ててもらえるよう農家への支援を検討できないでしょうか伺います。

渡辺衛生部長:
 お答えいたします。県といたしましては、現在ある制度の活用をお願いいたしたいと考えております。

白石農政部長:
 農業経営の支援についてのお尋ねでございます。補助事業関係でですね、施設整備に省エネルギー化の緊急対策を実施をしておりまして、進めておるわけでございますけれども、この中身はですね、実はハウスの中に換気扇を設置いたしますと、15%位の燃料の節約になります。詳細は申し上げませんけれども。こういった換気扇のような小さな、そういった器具、こういったものを対応するような形で、農業者の支援を行って参るということでございまして、きめ細かな対応をすすめさせていただいております。
 それから免税軽油の関係でございますけれども、18年度におきましては、2300人ということで、全体の販売農家の3%程度でございます。この周知活用支援でございますけれども、農業改良普及センターにおきまして、相談窓口・農家巡回・省エネルギー技術講習会等におきまして、個々の農業者に対しまして制度の活用を啓発等をしておりますと共に、特にメリットの大きな大規模経営者につきましては、重点的に啓発を行なってきたところでございます。
 また集落営農組織の申請手続きでございますけれども、添付資料に必要な耕筰証明書、これがまた大変でございますけれども、これにつきまして農業委員会の農家基本台帳の写しで可能になるように関係部と調整をさせていただいてございます。今後も少しでも農業者が増えますように、ひきつづき周知啓発に努めて参りたいと考えております。

藤巻社会部長:
 調査が遅いのではないかというご質問でございますが、私ども原油価格高騰というのは一時的なものではなくて、恐らくこれからも高止まりすると考えております。社会福祉施設などにつきましては、一時的な支援ではなくて、介護保険法、あるいは障害者自立支援法、そういったものにもとづきます給付費の報酬単価などに、原油価格の高騰が適切に反映されるように配慮することが必要だというふうに考えておりまして、このためしっかりした調査を元にしまして、ちょうど20年度に検討されます介護報酬の単価などが改正されますので、その検討の資料にするために国のほうへこの調査結果を伝えていきたいというふうに考えているところでございます。以上でございます。

浦野総務部長:
 軽油引取税と課税免除手続きに関するお尋ねでございます。軽油は全国規模で流通しておりますので、軽油引き取り税の免除についても全国で統一した手続きをいたしております。もとより申請者にとって事務の煩雑さを極力回避すべく、さきほど農政部長からお答えを申し上げましたけれども、耕作証明書など、手続きの簡素化に努めてはきているところでございますけれども、@@税の公正性を確保するといった原則を堅持する意味からも、申請者のご理解をいただいて、所定所要の手続きを行なっていただいているところでございます。また、申請書の受付は地方事務所の担当者が書類作成等の相談にあたりながら行なっておりまして、必要な免税証の交付を気軽に申請していただけるよう、今後とも引き続き対応してまいりたいとこのように考えている所でございます。

4.こまやか教育プラン(活用方法選択型教員配置事業)について

 活用方法選択型教員配置事業は教員配置を市町村の裁量に任せるということですが、来年度の教員の配置予定はどうなっているのでしょうか。
  また、こまやか教育プラン特に30人規模学級編成の教育の成果についてどうとらえているか。
 最近の情報では来年度から山口県では中学校への30人規模学級の導入方向のようですが、本県の義務教育の問題点を克服し充実させて行くための発展型としての中学への30人規模学級の導入をはかるべきであると考えますが、先の議会でも「非常に多額の経費を必要とする」と答弁されましたが、その経費はどのくらいであるのかも含め教育長の考えをお聞きします。

山口教育長:
 まず、活用方法選択型教員配置事業の来年度の教員配置予定についてお答えいたします。県教育委員会から各市町村に配分いたしました教員数932人に基づき、市町村教育委員会と学校長が相談協議しながら各学校の@@@に応じた配置を決めているところでございます。

 次にこまやかプランの成果についてのお尋ねでございます。昨年校長会、あるいは市町村連絡協議会等の教育団体関係者によりまして、検討委員会を立ち上げましてこまやか教育プランの成果や課題につきまして検討いただいたところでございます。その中で、小学校30人学級編成事業につきましては、教員が1人1人の児童と向き合う時間が増え、個に応じた指導が可能となり、児童のつまずきにすぐに対応できるようになったとして評価を頂くなど、一定の成果を上げております。また市町村教育委員会・校長会等、学校現場からは、こまやか教育プランの課題としまして、配置目的を限定せず、現場の判断で課題に柔軟に対応して活用方法が決められるようにしてほしいという要望も頂いたわけでございます。県教育委員会といたしましては、こうした意見要望を踏まえまして、学校のさまざまな教育課題に柔軟に対応できるようにするため、県からの配分を学校単位から市町村単位に変更しまして、市町村や学校現場の判断で活用方法が決められるよう、活用方法をメニュー化し、活用選択型教員配置事業としたところでございます。
 なお、中学校30人規模学級の導入についてでございますけれども、前回12月議会でも議員にお答えいたしましたわけですが、中学校での30人学級の実施は、多額の県予算が必要となり、きわめて難しいと考えております。おおよその経費でございますけれども、約12億弱を想定しております。以上でございます。

 ただいま、中学への30人学級約12億円というお話がありましたが、これが高いか安いか。わたしはやはり、今いじめの問題や不登校の問題が直近の課題である中、やはり中学への導入というものが、今山口県でも始められようとしておるわけであります。そういった意味でもこれを要望させていただきまして、質問を終わらせていただきます。