国民保護実動訓練について、危機管理局長にお尋ねします。予算では798万円が計上されております。この実動訓練の想定している事態とはどんな事態を想定しているのか。この訓練にはどのような団体が参加を予定しているのか、今後の訓練はどのような訓練が想定されているのか、また体制はどのように考えておられるかお尋ねします。
再質問:
最初に、実動訓練の課題でありますけれども、大規模なテロ行為を想定しているということでありますが、今テロやこういうものの状況を見ても、これは人的におこることで、これを回避することは政治的やさまざまな要素がたくさん含まれていることだと思うわけです。
逆に、今大規模な災害だとか千曲川の洪水、こういう部分は人的なものではなくて、自然の猛威によって起こるものであります。こういう部分に私はもっともっと力を入れていくべきで、テロを想定するといいますが、このテロというのが、どの程度の確率で想定されているかもわかりません。
そういう緊急性から見ても、もっともっとやるべきことはたくさんあるのではないかというふうに思いますし、外国のテロなどという部分では、政治的な努力によって回避できることのほうがはるかに多いこともあきらかであります。そういう点でも、こういう訓練ではなくて、ほんとうに今県民の直面しているさまざまな課題に真剣に取り組むべきではないかということを申し上げておきたいと思います。
次に知事にお尋ねします。
来年度の予算編成に当たり、障害者「希望の旅」「米粉パン」「福祉医療給付事業廃止・縮小」など切実な要望が廃止されるなど、容赦なく切り捨てているが、その一方で、国民保護実働訓練に798万円、浅川ダムに2億5000万円などの予算が計上されています、何を基準に予算編成を行ったのかお尋ねします。更に急峻な地形と、近い将来大地震も危惧される県土において、危険な河川の防災事業と災害復旧の規模をどの様な基準で予算化しているのか知事にお尋ねします。
次に土木部長にお尋ねします。
一昨年の諏訪、上伊那地方を襲った災害は甚大な被害をもたらしました。そして今、復旧工事が各地で進んでおります。住民からその規模の大さに驚きの声が寄せられています。私もこうした皆さんの声に現地を回り完成した砂防えん堤や工事現場を見てまいりました。この写真は完成した砂防えん堤の現場です、岡谷・辰野・箕輪の現場です。こういう砂防えん堤がほとんどであります。
写真だけでは実感が無いので、議会事務局に問い合わせたら実測していただいたようですが、この議場の前面の壁が高さは8.9m、幅は16mだそうです。現在作られている、えん堤のほとんどが高さは8m以上、幅は50m以上です。最も大きなものは、高さ14mこの議場の壁の倍近い高さ、幅は112mこの議場の壁の7倍の大きさです。
これを見た皆さんが必要ならば作らなければないが、私たちが住んでいる所は、同じ豪雨の際に大量の土砂が流出、幸いにも大災害に至らなかったが、今後の防災のために蛇籠でも良いから入れて欲しいと要望したが実現しなかったのに、今、建設されている砂防施設を見れば、自分たちの住んでいる地域の不安がつのるばかり同じ地域で何故こんなに違うのか分からない」こうした意見が沢山寄せられているので、県下の危険地区と必要な防災計画がどうなっているのか土木部長にご説明いただきたい。
また現在進められている砂防えん堤工事の規模の算定根拠を、私や住民に分かるように説明をお願いします。
村井知事:
本年度の予算の編成につきまして、ご付言ございましたけれども、松本サリン事件のような事件を経験した長野県県であります。県民の安全・安心という観点から、所要の予算を選択と集中により編成したということであります。
第二に、治水対策の優先順位についてのご質問がございましたが、まず治水対策は、住民の生命財産を水害から守り、安全で快適な社会生活を確保する上で重要な社会基盤である施設を整備する、そういうことであります。
この治水対策の実施に際しましては、大きく分けて二つの考え方がございます。一つは、現に発生した災害に対しまして、緊急的に対応を行なうものでありまして、もう一つは、流域河川の状況から危惧される水害に対して計画的にすすめるものであります。
まず最優先で行なうのは、一日でも早く、被災地域の生活基盤を復元するべきであるという観点から、平成18年7月の豪雨災害の対応のように、実施しているものであります。
また、予防的なものにつきましては、流域内の土地利用や、人口、資産の集積状況、さらには開発の動向なども勘案しまして、総合的に優先順位を定めて順次実施するものであります。
このような抜本的な対策に加えまして、通常の維持管理、あるいは人的被害を最小限にするための、各種のソフト対策を、治水対策の大きな柱であると、このように考えるものであります。
原土木部長:
2点ご質問がございましたので、お答えいたします。
まず砂防施設の整備にあたりましての件でございますが、砂防施設につきましては、すでに災害の発生した箇所、あるいは弱者施設とかそれから公共の重要施設等の防御、これを優先的にやるものとして、順次進めておりますが、すべてに対応することは困難でございますので、土砂災害の危険区域等の指定や、災害危険情報の提供、こういう中で住民の皆様にもそれぞれ守っていただくような体制をお願いをしておるところでございます。
そしてもう一点の、工事規模の査定根拠という質問でございます。これらの砂防施設の整備につきましては、更なる豪雨などにより流出が懸念される不安定な土砂および流木を、現地調査をおこない、対策が必要な量に見合った規模を算出しております。なお、事業の実施にあたりましては、当然ながら、国土交通省との協議も行い、決定しておるところでございます。
一例を申し上げますと、蓑輪町中ノ沢の場合、砂防計画においては、不安定な土砂等の量が、20,600立方メートルで、そのうちの16,400立方メートルを高さ13.5メートルの砂防えん堤で対応することとしております。又残りの4,200立方メートルにつきましては、土砂溜め溝やその他の施設で対応することとしております。
砂防えん堤は、谷の出口付近に設置されることが多く、周囲の森林や山々との景観的な調和も必要不可欠であることから、今後の工事の中で、地域の方々のご意見をお聞きし、周辺の植樹を行なうなど、景観に配慮した対策工事も取り組んで参りたいと思っております。
再質問:
次に、先ほど土木部長が説明したのが、この砂防えん堤であります。これを見ますと、この洪水吐口が約二階建ての民家がそっくり入るほど大きいものであります。これが仮に流木で一杯になったとしたら、この口から全部吐き出るわけです。そうすると、この下流は以前の災害よりはるかに大災害になることは間違いありません。ですから、この部分がこの部分の高さがどうして必要なのかということが、多くの人から聞かれる中身であります。
それから、これは辰野の現場であります。この一番上は、ここに見えます森の頭が一番上であります。すでにすべて崩落してきている。ここにこういうえん堤がなぜ必要かという疑問も私には説明ができないわけです。こういうことを住民がきちっと理解をしなければならないというふうにわたしは思うわけであります。
そういう点からも、そのとなりの沢沿いに住んでいる皆さんから見てみると、あそこはああいう施設がなければ安全ではないが、私の住んでいる地域はじゃあどうなるのか、こういう意見がたくさん寄せられるわけです。そういうものに対して、私はちゃんと説明が求められるのではないかと、こういう点で、土木部にその図面や資料を求めたら、残念ながら土木部には無いということで、岡谷でやった災害のシンポジウムの冊子を持ってきていただいて、これしかありませんという説明でちょっと驚きましたけれども、これで本当にそういう現地の実態を把握されているのか、大変疑問であります。再度この点について説明を頂きたい。
原土木部長:
お答えいたします。この事業にあたりましては、当然現地の測量から、その際には住民の方に説明をしたり、それからそれを設計する段階、それからその設計図ができた段階、その段階ごとに住民の方に説明をしてきております。と同時に、ここの中の構造物の機能というものも、当然先ほどのようにニ階建てといいますが、あれはあそこのところに多分鋼製の流木止めを作ったりとか、そういうのがございます。それと同時に、その切り欠き部分は当然土砂と水の量ですね、これの流下する断面、これは下流側と見合った断面を作っております。
と同時にさきほど、高さがひじょうに高いといいましたが、これはやはり渓流でございますので、土砂の堆積するためにはある程度の高さがなければならないわけです。と同時に、また土の中にも安定するために、土の中にも2〜3メーターほど入れます。そういうことになりますと先ほどのような高さではないし、それからえん堤の幅っていうのは、左右の岩盤に貫入させる必要があります。それはやはり地形状やむを得ない必要なものとなります。
そういうような機能的なものから含めて、今のものを作っております。さらにこれが他の地域の方々、それからまだおわかりにならないことがあれば、また建設事務所のほうでご説明をさせていただきたいというふうに思います。
いずれにいたしましても、私どもは、事業を進めるにあたりましては、住民の方に充分に説明してやるようにしておりますので、ご理解をいただきたいと思います。
再々質問:
土木部長にお尋ねいたします。さきほど、まだ未改修の危険箇所というのがたくさんあろうかと思いますが、そういう中でその危険箇所の今後の改修の見通しや計画について、説明をいただきたいというふうにお聞きしているので答えいただきたいと思います。
それから、農政部長に水田経営安定対策事業の目玉として、収入減少影響に対する交付金というのがあるわけなんですが、10%の減収という中で、対応されるように仕組みとしてはあるわけで、先ほども説明がありましたが、本年度のこの制度でどの程度補填されていくのか、その辺についてもう一度おたずねいたします。
原土木部長:
今危険箇所は、21,000箇所、それから従来でいきますと、その3倍以上の箇所が、危険な箇所として認識されております。これらすべてやるというのはとても困難でありますので、先ほども申し上げましたように、ハザードマップの作成であるとか、土砂危険区域の指定であるとか、そのような面で、住民の方にその状況を充分に知っていただいて、住民の方にもそういう対応をしていただきたいというように、私どもやっております。
と同時に、それぞれ危険な箇所につきましては、先ほどのように、本当に危険な箇所は優先的にやるんですけれども、それ以外の箇所につきましても当然私ども市町村の法から、地域の状況を充分に建築事務所でお聞きしていますので、そういう中で状況を把握して、順次やっていくというそういうことでやっておりますので、今後とも、すべてができる、そんなような財政的に厳しい状況でありますので、そういうソフト対策もあわせてやってもらいたい、そういうことであります。
次に農政問題でお尋ねします。
長野県農業は再生産に必要な収入が無く、離農者が増え荒廃農地も急増、後継者不足など深刻な事態に直面しています。現在の政府の進めている規模の拡大政策で長野県農業が再生できると考えているのかその見通しについて知事の所見をお尋ねします。
次に、農政部長にお尋ねします。品目横断的経営安定対策の制度の見直しがされ、新しい名称として水田経営所得安定対策となりましたが、品目横断的経営安定対策で長野県農業がどの様に変わったのか、この事業に参加した農家の実態と、所得はどの様に安定したのかその成果と課題についてお尋ねします。
また、農政部長は小松議員の質問に対する答弁で「水田経営安定対策の参加の農家を本年17%参加、来年度は27%に増やすために努力する」と答弁されましたが、私はこの間品目横断的経営安定組織に参加した農家の皆さんと懇談してまいりました。その多くが「この制度は農家の経営を不安定にする水田経営所得不安定制度」と厳しい評価でありました。「今年は脱退したい」「複雑すぎて分からない」などこの制度に批判の声が殆どでした。この制度に参加する農家を増やすために全力で取り組むというが、これで農家の経営が安定されると考えて居られるのか。農政部長にお尋ねします。
農地・水・環境保全向上対策事業は現在でも地域でセギさらい、草刈、道路の清掃など共同作業として行っている地域は沢山ある、しかし参加は9.3%程度にとどまっていますが何故進まないのかその原因と今後の取り組みについて農政部長にお尋ねして第一回の質問を終わります。
村井知事:
つづいて、農業問題につきまして、現状をどのように認識しているかというお尋ねを頂戴いたしました。
農林業センサスによりますと、長野県下の平成17年度における耕作放棄地面積が17,094ヘクタールでございます。これはほぼ、辰野町の面積に相当しまして、耕作放棄地率は17.5%。また、基幹的農業従事者のうち、65歳以上の高齢化率は64%という状況であります。
このように、農地と人は農業の重要な基盤でありますが、このように脆弱化が進んでいるということは、長野県農業の振興という面からは、もとより大変憂慮すべき事態でありまして、大きな課題であると認識しております。
この事態に対応して、昨年策定しました「長野県中期総合計画」におきましては、農業の担い手育成、農産物の高付加価値化を進め、地域が輝く元気な農業農政の構築を目指しております。
具体的には、昨年9月に策定いたしました、議会のご施策もあってやったことでありますけれども、長野県食と農業農村振興計画の中で、農業農村を支える多様な担い手作り戦略、元気な中山間地域づくり戦略など、5項目の重点戦略を掲げて、積極的に取り組んでまいる所存であります。
白石農政部長:
3点お尋ねでございます。
まず、品目横断的経営安定対策の成果と課題についてでございます。本対策は、本年度から事業が創設されたところでございまして、この制度の導入によります変化といたしましては、本対策への対応するための検討をきっかけに高齢化や担い手不足に対応した地域農業の将来についての検討が各地で積極的に行なわれたことが挙げられます。その結果、新たな集落営農組織の設立につながるなど、成果が出ているところでありまして、特に麦につきましては販売農家のほとんどが加入しているところでございます。
また農家経営の影響では、19年度に、5ヘクタールの米を生産した農家を例に、米の所得を試算比較いたしますと、対策に加入した農家と加入しなかった農家の所得の差は、1アールあたり、15,000円となり、農家の所得確保の面で確実に成果が上がるものと考えております。
課題につきましては、本対策への加入条件の免責要件が厳しいこと。10%を越える価格の下落に対応できないこと、交付金の支払い時期が遅いこと、申請事務が煩雑なこと等がございましたが、昨年12月に制度の見直しが行なわれ、改善充実が図られているところでございます。
対策への加入促進で農家経営が安定するかとのお尋ねでございます。ただいまお答えいたしましたとおり、消費の減少等により米の価格が低下している昨今の状況下にありましては、価格の下落に伴う収入源を補填する本対策は、重要な役割を担っており、特に将来の本県水田農業を担う中心となる認定農業者や、集落営農等の担い手にとって、本対策に加入することは、確実に農家経営の安定につながるものと考えております。
県といたしましては、経営規模の小さな農家や、小規模な集落営農が加入しにくいとの声に応え、20年産の加入から創設された、市町村特認制度の活用を推進し、市町村、農業団体と連携し、小規模農家の加入や集落営農組織の育成を進めるとともに、未加入の大規模農家への契約をすすめ、より多くの農家が対策に加入するよう、推進を図ってまいります。
次に農地・水・環境保全向上対策についてのお尋ねでございます。本対策は、市町村の要望に基づいて実施しておりまして、平成19年度のカバー率は議員ご指摘のとおり9.3%となっております。
県では県内の全市町村におきましてこまめに制度説明会等を開催いたしまして、啓発普及に努めて参りましたが、カバー率が低い要因といたしまして、市町村において取り組みの姿勢の差、財政事情があったこと、活動組織づくりのための合意形成に時間を要し、19年度の取り組みに間に合わない地区があったこと、過去から続いてきたいわゆる「おてんま」等の活動体制が脆弱化することを危惧する地区があったことなどが考えられます。
平成20年度につきましては、小松議員のご質問にお答えした通り、市町村の要望に基づきまして、カバー率を11.8%と見込んでおります。今後とも活動組織におけるより質の高い保全活動と、活動体制の整備を推進して参ります。
再質問
それから農業問題につきましては、品目横断経営安定対策事業に参加している、これは伊那市でも模範的な組織とされておりましたが、加入者が、80戸。耕作面積は24ヘクタール。この組合の今年の結果は、10アール当たり、借地料を1万円支払い、農作業は時給900円で取り組むと。そして乾米が欲しい人は1万5千円で買い上げていただくと。これでようやくとんとんになるそうであります。
また、駒ヶ根の方であります。大変米作りに意欲がある方でありましたが、昨年は約100万を越えた収入がありましたが、今度この組織に入ってやったところ、60万になってしまった。とてもこんなことでは脱退をせざるを得ないというお話しでありました。
こういう実態を、農政部は、先ほど参加した人が安定してきたというお話しでありましたが、こういったほんとうに現地に入って聞いておられるのか、もう一度お尋ねをいたします。
白石農政部長:
お答え申し上げます。
昨年におきます水稲農家の一番の課題は、水稲の、米の価格の下落でございます。要因につきましては、全国7万ヘクタールの過剰作付けということが原因でございまして、平均7%、とりあえずの下落がございました。政府の対策等によりまして、すぐ戻ったわけではございます。
そういった中で、18年度が、キロ当たり240円の実績がございます。それから19年度は229円ということでございます。こういった価格下落対応の中におきまして、10アール当たり、従前の対策と比べて、今度の19年度からの対策とを比べますと、19年度の対策のほうが、モデル的には所得は高くなっているというようなことでございまして、本対策は先ほど申し上げましたように、経営安定、米農家の経営安定に対しまして、大変役にたっているということでございますし、小さな農家につきましても、集落営農という形で、機械の固定の装備が当然共同化で節約されます。確実に経営の効率化、コスト削減が図られるというふうに考えております。
再々質問:
それから、農政部長に水田経営安定対策事業の目玉として、収入減少影響に対する交付金というのがあるわけなんですが、10%の減収という中で、対応されるように仕組みとしてはあるわけで、先ほども説明がありましたが、本年度のこの制度でどの程度補填されていくのか、その辺についてもう一度おたずねいたします。
白石農政部長:
お答え申し上げます。
品目横断対策の、収入減少影響緩和補填でございますけれども、10アールあたりにしますと、19,232円の補填でございますが、このうち、生産者の拠出金が3,717円ございます。それを引きますと、10アール当たり、15,515円になります。以上です。
農業保護問題では、長野県の農業が家族農業にささえられ、小規模農家で構成されている中で、規模拡大だけを追及していったら、ほんとうに長野県農業は崩壊してしまうという声が、ほんとうに農家の皆さんから寄せられています。先ほど知事の答弁でも、多様な農業を育成していくということが表明もされているわけであります。この事業の推進だけではなくて、ほんとうに長野県農業にあった農業の促進のために、いっそうの努力をいただきたいことをお願いして、質問を終わります。