村井知事:
ただいま、公共事業実施にあたっての財源につきますご質問がございました。県税の伸び悩みや地方交付税のいっそうの削減などによりまして、一般財源の確保が困難ななかで、平成20年度の当初予算におきましては、県民のくらしや産業を支える社会資本の整備を行なうために、必要性、緊急性、計画の熟度等を十分に検証しました上で、国庫補助金など有効な財源を最大限に活用し、事業箇所を優先して予算編成をいたしたところであります。その結果、平成19年度当初予算と比較して、公共事業は102.8%、県単独事業は91.0%となっておりまして、これらを合わせて100.3%の事業量を確保したところでございます。事業量は微増となっておりますものの、県債を含む一般財源は97.5%と減少しております。事業の最適な組み合わせを工夫しながら、まさに議員ご指摘の通り、柔軟な財源の選択を図った結果でございます。
二つ目に、廃止した事業につきましての考え方についてのご質問がございました。限られた財源を効果的に活用し、真に必要な分野への重点的な財源配分をいたしますため、行財政改革プランにおきまして、事業の必要性、県の果たすべき役割、費用対効果などさまざまな観点からすべての事業につきまして検討し、抜本的な見直しを行なうこととしたものであります。この方針に沿って、平成20年度当初予算の編成にあたっては予算編成方針において、(引用させていただきます−)「政策評価の結果も踏まえ、県の果たすべき役割や、必要性、緊急性等を充分検討し、事務的経費も含め、既存の事業につき大胆な発想で見直しを行なう」(引用終わり)そのことを明記し、国庫補助事業であるか県単独事業であるかにかかわらず、すべての事業について検討を行なったところでありまして、その結果74の事業について廃止をいたしたものであります。別段国で実施しないものはやらないといういう対応では、県のすべきことではなくなってしまうということではありません。実際、30人学級の実施、乳幼児・障害者等に対する福祉医療費の給付、ウィルス性肝炎医療費の給付、地域発元気づくり支援金等々はじめ、県単独事業として必要な施策はちゃんと実施させていただいております。
今後とも、選択と集中の考え方のもと、行財政改革プランに沿って、徹底した事業の見直しを行なう等、県民生活に真に必要な施策の充実を図って参ります。
次に、財政健全化法について伺います。
努力はしていても県債残高があまりに多いことや、税収の伸びも少なく、交付税が減らされるもとで、県財政は依然として危機的状況にあり、今年度も収支不足が58億円あります。基金を取り崩して対応していますが、その基金も21年度で底をつき、22年度の予算が組めない状況です。
国は「財政健全化法」を制定し、2007年度決算で公表、2008年度決算から適用し、破綻認定をするとしています。
実質赤字比率は特別会計までふくみ、県で5%になれば財政破綻、連結実質赤字比率は病院など公営企業会計まで含み15%になれば財政再建団体に陥るとしています。さらに地方公社や第三セクターまで加えた将来負担比率まで公表しようとしています。そこで長野県は4つの指標についてどのような数値になっているのか、また知事はその数値をどう受け止めているのかうかがいます。
国はことあるごとに「夕張」をもちだし、破綻の代名詞にしながら見せしめ的に恐怖をあおっています。本来合算する性格でない企業会計の病院なども組みこんで収支計算をすること自体、筋違いではないでしょうか。そもそも地方を財政難に陥れてきた責任は政策誘導してきた国にあるのに、自分の責任を棚上げにしたまま、地方に結果責任だけを押し付けることは身勝手すぎます。知事には機会を捉えて国にたいしてこのような対応でなく交付税をもっと増やすなど、地方を応援できる財源をきちんと保障するよう求めてほしいと思いますがいかがでしょうか。
村井知事:
財政健全化法の指標についてのお尋ねがございました。財政健全化法による指標につきましては、昨年度から算定をしている、実質公債費比率を除いては詳細な算定方法がこれまでのところ示されておりませんので、現段階では確たる状況を申し上げることはできません。なお実質公債費比率につきましては、平成19年度は19.2%で、全国で3番目となりまして、平成18年度は全国でもっとも高い数字で20.1%でございましたのが、大分改善をいたしました。さらに平成20年度は引き続き公債費の減少が見込まれますことから、17.1%程度まで下落する見込みでございまして、地方債の発行にあたって総務大臣の許可が必要となる18%を下回ると見込まれております。
国の責任を棚に上げて地方をカモにしようとする国に対して地方を応援する施策をとるよう働きかけるべきであるというご趣旨でございましたが、財政健全化法による新しい制度は従来の制度にはなかった財政の早期是正機能や、あるいは普通会計だけではなく公営企業や地方公社、第三セクター等をふくめた、財政の健全化を判断する新たな指標を整備して、地方公共団体の財政の早期の健全化を図っていくことを目的としたものと理解しております。このような地方公共団体全体としての財政状況を把握することは、私は大切なことだと考えておりまして、この制度による指標を、分析、活用しながら、早期健全化、あるいは財政再生を要する団体に落ちるのでなく、財政運営ができるように努めて参りたいと考えております。
しかしながら、地方の財政は、平成20年度の地方財政計画において一定の配慮がなされたとはいえ、その深刻な状況に変わりはございません。本県の財政もきわめて厳しい状況が続いているのが現実でございます。引き続いて国に対しまして、地方消費税の充実や、地方交付税の所要額の確保など、安定した健全な財政運営に必要な施策の充実を強く要請して参るつもりでございます。
村井知事:
国の地方自治体に対する財政のチェックの手法が将来変わってきたときにどうするかというお話でございました。これはもう簡単に申せば、限られた財源を効果的に活用して、ほんとうに必要な分野に重点的に財源を配分するということでございまして、事業の必要性、県の果たすべき役割、費用対効果、こういったことを種種の観点から十分にすべての事業について吟味して、真に必要な事業に資金を投じて県民の福祉を図っていく、この一事に尽きると思っております。
ちょっと一言だけもうしあげさせていただきたいのは、国の補助率が高いものを選択的にやっているのではないかというような趣旨のご発言がございましたが、決してそんなつもりはないことは先ほど申し上げた通りでございまして、そもそも国の補助は、例えば小学校の改築のほうが、単なる補修より建て替えの方が高いというのは、一般的には建て替えのほうがひじょうに金額がかかるだろうからそれは補助しましょう、補助率を高めましょうという話でありましょうし、道路の新設等につきまして補助が高いのも、それは同じような趣旨によるものだと思っております。そういう意味では、必要なことを必要なものにつきまして十分な吟味をしてやっているということでありまして、補助が無いからといってやらないわけで無い事は言を待ちませんで、たとえば道路の維持補修費これは平成19年度に比べまして20年度は2.6%の増というものを増やしております。
先ほど財政問題にからめて知事のほうから、真に必要な事業に投資していくというふうなお話でございました。それは当然のことだと思います。
しかしながら前段の方でお答えいただいたように、抜本的な改革を費用対効果を検証しながらやっていかざるを得ないと、行政改革プランに沿ってやっていくというお話でございました。
新年度の県の予算を見ますと、こういう方針の元に一番抜本改革ということでターゲットにされているのが、ソフト事業になっているわけです。そしてそのソフト事業も、ひじょうにささやかな、ほんとうに住民にとっては必要であって、しかも三桁に満たないようなお金のソフト事業ではありますが、それらが切られていくというのが実態でございます。全体的な財政状況をみてみますと、今全国的にはひじょうに公共事業が減少せざるを得ない事態の中で、全国平均で公共事業にどれだけお金を使うのか、そしてまた社会保障にどれだけお金を使うのか、そういう割合の中で、公共事業の1.2倍ぐらいが社会保障にお金を使われています。長野県はかつて大変なときには、公共事業費のわずか3割しか社会保障には使われていませんでしたが、その後、どんどんと改善も進んで参りまして、現状は社会保障と公共事業の割合は同じ割合でお金が使われているところであります。財源をどこに求めるかというふうに考えたときに、必要な身近な道路整備や学校や保育園やそれから作るものについては当然やっていただくこととして、この問題では全国並みの平均で1.2倍、公共事業よりも使えるようにしていけば、今より300億円ソフト事業に使うことができるということがいえると思います。ですから、わたくしは先ほど事業を選ぶ場合にはしっかり補助事業の問題でもきちんと比較検討しながら選んでほしいと申し上げたところでございます。この問題につきましては、小林伸陽議員がですね、後ほど一般質問の中で課題な公共投資の問題について具体例をあげながら引き続いてお問い合わせすることになっておりますのでぜひよろしくお願いいたします。
次に指定管理者制度についてうかがいます
自公政権による「構造改革」路線のもとで「民でできることは民で」と規制緩和と公務の市場化、縮小化、経費節減を意図した指定管理者制度が全面実施されるようになってから、2年を迎えます。総務省が06年9月に行なった調査によりますと都道府県が指定管理者制度を導入した割合は全施設数の11.5%、市区町村では79.5%となっており、長野県では県営住宅66ヶ所を含めて95施設となっています。指定期間は西駒郷は4年間ですが、あとはすべて3年間で平成20年度には更新の時期を迎えます。
そもそも指定管理は「公の施設」を企業や法人、公共的団体などに管理させるものですが「公の施設」とは地方自治法で「住民の福祉を増進する目的を持って」設置されているものであり、導入の条件を「公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるとき」と規定しています。
このような基本的な立場を踏まえた上で、更新を迎えるにあたり、この間の指定管理の状況がどうであったのかを検証し、課題を明らかにして検討することが必要だと考えています。
今議会に信濃美術館の指定管理を特殊性および専門性に考慮し、公募によらない方法に変更するための条例改正案がだされていますが、歓迎するものです。
そこで総務部長に伺います。
県が今指定管理を行なっている施設について、効果を経費節減、人員削減だけで考えるのではなく住民サービスの向上にどう役だっているか、専門性、継続性、安定性の見地からどうか、また、指定管理させている施設の中には、労使紛争も起きている民間企業もありますが、職員のモチベーションを上げるための雇用関係はどうなっているか、公募によって管理者がくるくる変わることが果たして妥当か、指定管理料は質の担保がはかられるものになっているかなど、総合的な検証と課題の洗い出しが必要だと思いますが、いかがですか。ご所見をお聞かせください。
西駒郷は現在社会福祉事業団が管理していますが、人が代わると不安定になる利用者の特性、利益の保護、今まで長年培ってきた公益性と実績、指定が外れた場合の200人に及ぶ雇用問題など指定管理のあり方によっては社会問題にもなる重要な問題を含んでいます。障害者施設、社会福祉施設などは多面的に考えたときに果たして公募が適切かどうか疑問が残るところです。全国的には委託した法人が破産状態に陥り、保育所を直営にし直したところもでてきています。社会部長の見解をお聞かせください。
また、文化振興事業などは企画にあたって有名アーテイストを呼ぼうと思えば1年、2年前から交渉を進めなければならないこともあり、一律に3年という短期間での指定では事業に支障を及ぼす場合もあります。
5年、7年ともっと長いスパンでの指定期間が検討されてもいいと思いますが、期間を長く設定することについてどう考えているのか、またそもそも指定管理者を導入するに当たって、直営の道もあり、指定管理者に委託するべき対象施設かどうかの再検討も必要と思われます。総務部長の見解を求めます。
浦野総務部長:
指定管理者制度に関するお尋ねでございます。指定管理者制度は民間事業者などのノウハウを活用しながら、経費の節減だけでなく、多様な事情に効果的効率的に対応して、住民サービスの向上に結び付けていくことが目的でございます。実際にも、制度を導入しています施設では、利用料金の割引でございますとか、開館時間の拡大ですとか、あるいは特色ある自主事業の実施など、それぞれ施設の特色を生かしながらサービス向上に配慮した管理運営が行なわれております。この制度を導入する際に、それぞれの施設の設置条例におきまして、施設の管理基準やあるいは指定管理者が行なう管理業務の範囲、指定管理者の選任方法などを規定しまして、公の施設として機能を発揮させる仕組みとしているものでございます。
このうち、指定管理者の選考方法に関しましては、原則的にはこれまで公募としておりましたけれども、施設によっては専門性やノウハウの蓄積が特に必要な施設が御座います、そうしたものについては公募ではなく、特定の者を指定管理者とすることが適切というふうに考えておりまして、現在、西駒郷のほかに信濃美術館について公開条例の改正をお願いしているものであります。
制度の運用でございますけれども、まず指定管理者の選定でございますが、それぞれの施設の設置目的や特色に応じて、専門的知識、経験など、必要な能力を持っているかどうか。あるいはそういった指定管理料のほかに、サービスの内容ですとか、施設管理の内容といったものを審査をいたしまして、候補を定めて、議会の議決を経て指定をすることとなっております。管理運営が効果的あるいは効率的に行なわれているかどうかというのは、毎年度報告を受けて評価をし、公表するとともに、満足度調査などにより、利用者の意見を十分汲みながら、サービスの向上を図ることとしております。
次に指定期間のお尋ねでございます。平成18年度からスタートした現在の指定期間は西駒郷を除きますと一律3年といたしました。サービスの継続性、ノウハウの発揮など施設によって考慮する必要があるという考えから、この次といいましょうか、は、施設ごとに、3年から5年の範囲で定めるようにして、来年度行なう予定の次回の募集までに具体的に決定することといたしております。
いずれにしても、先ほど申し上げたことも含めて今後とも現在の制度のもとでいろいろな工夫をしながら、施設の専門性、あるいは継続性、安定性を確保してサービス向上につなげていきたいというふうに考えております。
藤巻社会部長:
社会福祉施設によります指定管理者の選定についてのお答えをいたします。現在社会福祉施設、県営の社会福祉施設でございますが、これでは障害者福祉施設でございます西駒郷、先ほどから話が出ておりますが西駒郷、それから県の障害者福祉センターサンアップル、それから聴覚障害者情報センター、これはサンアップルの中にございますが、この三箇所で指定管理制度を導入しています。
指定管理者制度の選定は、先ほど総務部長からもお話ございましたけれども、一般的には公募が原則ということになっておりますが、障害者施設などの社会福祉施設では、その施設の利用の特性、あるいは利用形態などを考慮しまして公募するか否かということを決定させて頂いております。県障害者福祉センター、それから聴覚障害者情報センターにつきましては不特定多数の来館者へのサービスの向上を図るといった提案を広く募るために、一応公募といたしたところでございます。それから一方で先ほど総務長からも話もございましたが、西駒郷につきましては障害者の入所施設であるということから、利用者個々の特性に応じた支援の継続性というものを考慮いたしまして、条例上も公募によらずに受託実績のある長野社会福祉事業団を選定したところでございます。
その結果、いずれの施設におきましても、利用者の要望に沿ったサービスの向上が図られておりまして、適切な管理運営が行なわれていると評価しているところでございます。
今後も社会福祉施設における指定管理者の選定にあたりましては、施設ごとの利用者の特性、あるいは支援の継続性、こういった観点を十分に配慮して対応して参りたい、そういうふうに考えております。以上です。
それから指定管理の問題ですけれども、それぞれの持っている施設の内容に即して何がいいかということでやっていかれるということでしたが、全国的に見ますと、何でもかんでも公募にしなければいけないということはありません。全国の例で市町村都道府県政令指定都市なども含めて6万余の自治体規模別の指定管理者制度を導入している施設があるわけですが、そのうちの61.6%は従前の管理受託者を公募によらずに選定をしていると、公募でやっているのは3割ということがあります。ぜひそういう全国的な状況も長野県としては見ていただきながら、その施設にどういう指定管理を取り入れることが一番いいのかということを考えていただきたいと思います。
しかもまた、指定期間につきましてですけれども、長野県は3年がほとんどなんですけれども、3年以下は全国的には55.3%、4年が約1割、5年が3割、6年以上ということが6.5%ということがあります。この問題では、ほんとうに安定性、継続性、住民のサービスという点から考えて、この問題につきましても、全国的な流れなども勘案していただいて、今度の更新にあたってはぜひ配慮していただきたいと思いますし、きちんとマニュアルみたいなものも必要ではないかと、条例だけではなくて、必要ではないかと考えておりますが、このことにつきまして、総務部長のご見解をお伺いいたします。
浦野総務部長:
指定管理のマニュアルをといったお尋ねでございましたけれども、現在も18年度の指定の際にもすでに平成16年度に指定管理のガイドラインを定めてそれによって運営をいたしております。このたび、これまで21年度までの指定にかわりになるにあたりまして、このたび改定いたしております。さきほど私が申し上げました、指定期間を3年から5年ぐらいとしたいというものも、このガイドラインの中で、実情に応じて3年から5年の中でそれぞれの施設で選ぶとか、あるいは先ほどモニタリングといいますか、年度毎の評価を公表するとか、あるいは単独度調査を行なうということを私申し上げましたけれど、これもこれまでのガイドラインには無い、新しいガイドラインの中で定めております。こういった先ほど申し上げましたけれども、これまでの実情といいましょうか、実績を見ながらいろいろ工夫をするということでこのガイドラインも変更をし、それによって指定管理そのものが円滑に運用できるようにいたしていきたいと、こういうように考えております。
和田企画局長:
アルピコグループと信南交通に関する質問でございますけれども、まずアルピコグループにつきましては、これまで数回に亘って会社から状況をうかがっておりますけれども、現在さきほどご質問にありました私的整理に関するガイドラインに基づきまして金融機関の指導のもと、法律・税務等の専門家で構成いたしますアドバイザーにより事業再構築に向けた手続きが進められているところでございます。再構築にあたりましては、できる限り地域交通に影響させないよう努力したいと、こういう考えを伺っております。今後、今月末のアドバイザーによる金融機関向け説明会、さらに三月下旬の第二回債権者会議の動向を注意深く見守りますとともに、状況に応じて会社や関係市町村の相談に応じるなど、適切に対応して参りたいと考えております。
次に信南交通についてでございますが、今年明けより、会社から直接状況をうかがいますとともに、下伊那地方事務所や南信州広域連合等と連携を取りながら、国土交通省本省、北陸信越運輸局、及び長野運輸局支局と相談や意見交換を重ねてきております。信南交通の直営運行12路線15系統につきましては、18年度約29万人の利用者があること、飯田下伊那地域は高齢化率も高く、他に交通手段を持たない交通弱者が多いこと、それから直営路線に接続する形で各市町村が地域バスを運行していること、などの理由から撤退による影響は大変大きく、できるだけ早く地域に即した公共交通への見直しを行い、住民の足を確保していく必要があると受け止めております。
現在、南信州広域連合及び関係市町村では、国が創設を予定しております、地域公共交通活性化再生総合事業、これを活用いたしまして、地域公共交通総合連携計画これを策定する予定でございます。県といたしましては、計画策定のための南信州地域交通問題協議会へ参加いたしますとともに、県の単独事業として予算案に計上しております生活交通システム構築支援事業による支援も併せ、地域の公共交通の維持確保におきまして、ともに取り組んで参りたいと、このように考えております。
荒井商工部長:
アルピコグループの雇用の問題についてのお尋ねでございます。アルピコグループ各社は地域経済、地域の雇用にとりまして重要な役割を担っている企業であることから、そこに働く従業員のみなさんの雇用を確保することは大変重要な課題であると認識をいたしております。
雇用への影響に関しましては、アルピコグループでは基本的に人員削減は行なわない旨を表明をいたしております。長野労働局などを通じまして情報を収集しておりますが、現在のところ人員整理に及ぶ情報はございません。雇用対策法によりまして、事業主の都合により30人以上の離職者が生じる場合には、事業主は1ヶ月前までに離職者のための再就職を援助する計画、いわゆる再就職援助計画を作成し、ハローワークに提出して認定を受ける事とされています。県といたしましては、ハローワーク、長野労働局、また地方事務所等を通じた情報収集に努めるとともに、先ほど申し上げました再就職援助計画が提出される状況になった場合には、ハローワークにおいて開催されます離職者向けの就職相談会に県も出席いたしまして、県また雇用能力開発機構で実施しております職業訓練コースの紹介、また労働相談の案内を行なうなど、関係機関と連携して離職者の支援に努めて参りたいと考えております。
それから公共交通の問題につきましてですが、これはほんとうに長野県のように山合いの村々が連なっている地域にとってほんとうにお年よりの皆さん、障害を持つ皆さん、そしてまた学校に通う高校生のみなさん、いわゆる交通弱者といわれる皆さんが自由に移動できるためには、たいへん大事な手段になっているわけでありまして、ぜひですね、この問題では地域と一緒になって国の新しい法律の元に、制度が生かせるように取り組んでいただきたいと思います。地域が今村民町民の利便のためにということで、コミュニティバスを走らせているわけですけれども、先般木曽町などにもおじゃまさせていただいて状況をうかがって参りました。
木曽福島と開田、日吉、三岳(みたけ)ということで、合併をしてできた町でありますが、皆さんのご要望に応えるために、ということで放射状に木曽福島駅から移動するのと、それから循環でまわるものということで、一律に契約でるようにしながら運営をしておりました。
しかしながら、料金に入ってくる問題と、運営委託、ここはおんたけ交通が前面撤退するということの中でそのような施策をなさっておられるわけですけれども、そういう中では、持ち出しが1億1千万になるということでこれは小さい自治体にとって非常に重荷になっていると。しかしみなさんに喜ばれているものであるので、これをなくすわけにはいかないということで、歯を食いしばってもがんばらなければならないということでやっておられますが、こういう実態もあるわけですので、県としてもこの実態もつかみながら、それぞれの自治体が利用者の便宜にしっかりようしていけるように、応援をしていただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。
それから、アルピコグループの問題ですけれども、さきほど商工部長は、今のところリストラをするということはなさそうだというお話でございました。しかしながら、3年間で今まで債務超過182億もあった会社が、これから赤字を解消して利益を上げていくということなれば、何をやるかということは自ずと見えているのではないでしょうか。路線を切る、人を切る、そのことで営業をしていくと思われます。ぜひアンテナを高くしていただいて、先ほど相談活動などにはハローワークと一緒に乗っていくということでございました。しかし長野県は一時期、上田などで解雇があったときに、最後の1人まで就職口が見つかるところまで県として応援するという立場をとって、そのために頑張っていただいたわけですから、大いなる後退じゃないかとわたしは思います。
一人ひとりの就職先、どこまで要望に応えられるかということはありますけれども、道筋がつくまで責任を持っていく、そういう立場をしっかり確立していただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。
次に、社会保障にかかわるいくつかの問題につきまして、知事ならびに、社会部長に伺います。
最初に「福祉灯油」の問題について知事に伺います。
原油が高騰し灯油が2倍にもはねあがっています。今年の冬はことのほか寒く、特に生活困窮者にとっては大変な問題です。日本共産党県議団と党県委員会は県下の実態調査にもとづき、12月17日に、村井知事に対して6項目にわたって「緊急申し入れ」を行ないました。
その席で知事は福祉灯油について「市町村が実施するなら県としても応援する立場で考えたい」と答えられ、このことも弾みとなって県下81自治体中80の自治体で福祉灯油が実現できる運びとなりました。
ベッドの中で布団をかぶり厚着をしてコタツにくるまって寒さをしのいでいた高齢者にも灯油券がとどき「本当に嬉しい」と歓迎されています。
該当者は県下で8万1000人余いると伺っておりますが、国で交付税措置される施策であるので、行政の責任で該当者1人1人にもれなくいきわたる取り組みが必要です。
そこで知事に質問いたします。
県として助成を決めているところが北海道、宮城、青森、秋田、福島、山形、岩手、新潟、群馬、島根、鳥取と11あります。しかし、知事は県としての助成はしないといっています。これでは約束違反ではないですか。なぜ、「市町村が実施するなら応援する」といったのに、長野県としての応援をしないのですか。県としての応援策とは一体何でしょうか。
村井知事:
福祉灯油につきましてご質問がございました。国は昨年12月25日、原油高騰下請け中小企業に対する緊急対策関係閣僚会議におきまして、地方公共団体が生活困窮者に対する灯油購入費等の助成を行なった場合、所要一般財源の二分の一に、特別交付税により措置することといたしました。これを受けまして県内では、80市町村がこの取り組みを実施しております。このようにほとんどの市町村が対応し、それに対しまして二分の一の交付税措置がされることになりましたので、県がさらに財政的な支援をする必要は薄いと、このように判断をしたものであります。県としましては、今回の市町村独自の助成制度が円滑に運用され、特別交付税がきちんと措置されるようにすることが市町村に対する支援であると、このように考えております。
藤巻社会部長:
2点ございますが、まず福祉灯油に関する市町村の対応状況につきましてお答えいたします。市町村の対応につきましては、先ほどから議員さんから申し出がございましたように実施80市町村。このうち、市町村があらかじめ対象世帯を把握して申請を要せずに直接灯油券等、あるいは現金の場合もございますが、これを支給する市町村が25ございます。また申請を要する市町村は25失礼しました、55でございますが、そのうち、先ほどご質問の中にもございましたが、民生児童委員さん等が対象世帯を訪問いたしまして、その場で申請書と引き換えに支給するというところが11市町村ございます。したがって残りの44市町村が何らかの申請をしないと漏れる怖れがあるということになるわけでございますが、これに対しまして、申請を要する市町村に対しましては、遺漏がない様に私どもから確実にお願いをしてまいりたいと思っております。
また、税金の滞納者など支給対象から除外している例についてのご質問でございますが、これは今回の助成措置、各市町村で地域の実情に応じまして、またそれぞれの市町村の判断によって実施されたものだというふうに私どもは受け止めております。
わたしの聞き方が悪かったかもしれませんが、先ほど知事の方から市町村が応援しているのにその上県が応援することはないということでございましたが、システム上かかった費用の二分の一を国がみる。その二分の一は、現状のままだと県が何もしていただかないことにはその二分の一を全額を市町村が見るということになってしまうので、通常の補助制度のように、そのまた二分の一を県が補助していただければ、市町村は四分の一で済むということがあって、そういう形での補助をお願いできないかということなんです。秋田県などではそのような形で対応をされているようであります。
知事は今私どもが12月お願いしたときの「お手伝い」というのは、@@@がですね滞りなく市町村にわたるようにお手伝いすることだとおっしゃられましたけれども、それはまあ、当然のことです。それで、ほんとうにがっかりさせられちゃうんですが、市町村によれば、ある村のホームページなどを拝見させていただきますと、それぞれが民生委員さんが一軒一軒回って、灯油券を1万円分届けたりしているんだが、それでももれたりする人があっちゃいけないということで丁寧にチェックして、その後このホームページの中でも、「この灯油券をご利用いただいて、寒い冬を少しでも暖かくお過ごしいただければ幸いです」というふうにアピールしているわけですよね。一方知事にそういう冷たい対応をされるということをお聞きすれば、ほんとうにがっかりしてしまうわけですが、そういう意味で、プラスの上乗せではなくて、普通の補助制度のような形でですね、県として何らかの対応ができないかということで、再度お伺いをいたします。
それから県下自治体の対応状況につきまして、部長のほうからご答弁をいただきました。申請ということでやっている中で、11の自治体では直接その場で行って申請をしていただくということになっているので、残り44ということですけれども、ぜひこれは、私ども知事に再度県としてのご支援をして欲しいということで申し入れさせていただいたときに、交付税で措置される以上、該当の一人一人にまでしっかり行き渡らなければ国に対してほんとうに虚偽というか働いたことになるというようなお話までいただいているわけですから、ぜひ一人一人にまで行きわたるようにご指導をお願いしたいと思うんです。
昨日ある市では、なかなか申請が個人の意志に任せられているということで、実態をうかがったところ、1万1千人の該当者がいるにもかかわらず、申請があったのはわずか4400人だと。しかも、この29日には申請を締め切りますということをやっておられるようですけれども、これは支所とか市役所に申請用紙を置いておいて、くれば該当になるということで申請を受け付けましょうということなんですよね。これではあまりに不親切だと思うわけです。ですのでぜひ部長には丁寧に最後の1人まで該当者はこの制度の利用ができますように、しっかりお願いをしたいと思いますがいかがでしょうか。
村井知事:
福祉灯油についての先ほどの答弁の通りでございますが、付け加えれば市町村から私に対しましても、県の財政支援に対する要望は聞いておりません。市町村の主体性を発揮していただくということだと思います。
つぎに社会部長にうかがいます。
該当者への周知の仕方は各市町村様々で民生委員さんが1軒、1軒訪ねながら趣旨を話し、申請してもらって届けているところもあれば、市役所や支所に用紙を置いて申請されれば対応しているところもあります。また、広報に掲載したり、回覧板でまわして終わりという自治体もあれば申請書を郵送しているところもあります。
県下自治体の対応状況をどう把握されているでしょうか。該当者にもれなくゆき届くよう市町村を丁寧に指導してほしいと思いますがいかがでしょうか。
またいくつかの自治体で税金を滞納している場合には、支給を除外していると伺っています。生活困窮者を応援するための制度であるのに、このようなことがあっていいのでしょうか。部長の所見と対応をうかがいます。
藤巻社会部長:
福祉灯油の件で、申請に遺漏が無いようにというお話でございましたけれども、私どもといたしましても申請を要する市町村に対しまして、先ほども申し上げましたけれども、確実にお願いをして参りたいと思っております。
次に重症心身障害児の短期入所施策について社会部長に伺います。
医療的ケアの必要な子供たちに対する学校教育の保障の問題ではこの間常駐看護師の配置や20歳を超えても希望者には訪問看護ができるようになったことなど、改善がすすんできているところですが、人工呼吸器をつけた子供にも対応できるように範囲を拡大してほしい、落ち着いて看れるように看護師の労働条件を改善してほしい、介護者が病気になったり、冠婚葬祭があったとき、見てもらえる場所がないのでショートステイで預かってもらえるようにしてほしいといった要望がまだまだたくさん出されています。
現実問題としてショートステイのベッドは足りません。困ったときに預かってもらえる保障がないのです。
保護者の皆さんから切望されている施策です。新年度概算要求としてわずか322万円ですが社会部からあがっていたので、「ようやく願いがかなう」と皆さん喜んでおられました。ところが何と冷たいことでしょうか。予算を決める段階ではゼロになってしまいました。
社会部長は、介護をされている方々がどんな思いで毎日を過ごされているか。ご存知ですか。
生後2歳のときから、食事も移動も、寝返りもできなくなった養護学校高等部1年の子供さんの思いをつづった手紙をいただいたのでご紹介します。
「食事は経管栄養でチューブを使って胃や腸に直接栄養を注入します。350CCを2時間かけて点滴のように落とします。ほうっておくと気管に流れ込んで呼吸ができなくなるのですぐ吸引が必要です。ですから母は僕のそばを離れることができません。同時に胃から注射器をつかって胃液を引くことも必要です。これを1日5回します。2時間かけて食事をして2時間休んだらまた食事という具合です。一日の最後の注入が終わるのが午前1時です。このときオムツがぬれていなければ導尿もしなければなりません。その後母は2〜3時間ごとに起きて僕の寝返りをさせます。そうしないと下になっているほうの肺にタンが詰まって呼吸ができなくなってしまうからです。」と書き「お母さんの健康状態が心配」だとしています。
この子供さんは週に2回スクーリングで学校に行き週1回は訪問教育を受けているそうです。みんなの声が聞こえる学校はとても楽しく、大好きだといっています。学校に行っている間お母さんは子供さんのそばを離れることができるようになったようですが、家にいる間は病気になっても休めず、下の子の授業参観にも、家族そろっての食事にもでかけられません。倒れるまでがんばっても倒れた後がなお心配というのが実態です。
いざというときのために是非安心して預けられるショートステイがほしいといっているのです。この願いはそんなに贅沢な願いでしょうか。
そこでお聞きします。
社会部として必要だからこそ予算要望したと思いますが、予算要望をした理由とその内容についてお聞かせください。
また、いくら県財政が大変だといっても322万円の予算を生み出すことができない長野県なのでしょうか。この切実な要望をなぜ予算化しなかったのか、その理由をおうかがいいたします。
藤巻社会部長:
それから次に、重症心身障害児・者の、短期入所施策に関する予算要望についてお答えいたします。ご質問にもございましたけれども、日常の看護は大変ご苦労されているというのは私も聞いているところでございます。人工呼吸などの医療的ケアが必要な重症心身障害者の短期入所を受け入れている施設は、医療機関に併設されているということに限定されまして、県内では今5箇所ございます。これらの施設は地域によっては常時満床状態であったり、それから身近なところに施設がない、特に南信に施設がないなどの課題がございまして、保護者のみなさまから急に使いたい場合利用しにくいというようなお声が寄せられております。このためより身近なところで短期入所が利用しやすくなるように予算要望したものでございます。
要望した内容でございますが、医療機関が短期入所を受け入れやすくするために、一般の病棟で障害児・者を受け入れた場合に、入院したときの診療報酬単価、それよりも短期入所、私どもでいう自立支援法によります短期入所の際の事業報酬単価、これのほうが低いわけでございまして、その差額を補助しようというものでございました。
この予算を見送った理由でございますけれども、まず一点目といたしまして、医療機関とそれから障害者の受け入れに関して調整をすすめて参りましたけれども、協力体制の構築にさらに時間を要する状況があったこと。
それから二点目といたしまして、短期入所の利用のしにくさを根本的に改善するには、広く医療機関に短期入所事業の指定を受けていただいて、そのことの協力を要請し理解を得ること、それから障害者自立支援法で新たに制度化された、例えば三才山病院がそうでございますが−、療養介護事業の利用促進こういったものを図ること、等によって利用できる施設を増やしていくことが必要ではないかということ。
それから三点目といたしまして、医療機関が短期入所事業を実施しやすくするためには、短期入所の、先ほど自立支援法によります事業報酬、これの増額を国に要望することが必要ではないかということ。このようなことを勘案いたしまして、これらの点を今後さらに検討していくことといたしまして、今年度の予算計上を見送ったものでございます。
しかしながら、短期入所、在宅の重症心身障害児・者の方や保護者の方の地域生活を支援する重要な制度でございますので、引き続き短期入所が利用しやすい環境作りのために努力をして参りたいと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思っております。以上でございます。
次に、この重症心身障害児者のショートステイの問題についてなんですけれども、さきほど医療機関の協力体制に時間がかかる、あるいは指定を受けてもらわなければ、医療的ケアの必要な障害児者を受け入れることができるという指定を受けてもらわなければ難しい、あるいは三才山のように療養介護の事業の認定をとってほしいということで、なかなか進まないということでございました。しかしたとえばこの三才山の問題にしても長野県下で今稲荷山と下諏訪のしなの医療センターと2箇所以外で、ほんとうに重症心身障害児者を受け入れる施設ということでほんとうに長い間かかってようやく昨年の10月からですか、三才山さんがいれてくれるという状態なんですよね。
ですからやはりこの問題を考えてみたときにも、今の状況の中では対応できないみなさんが本当に多くて、今困っているこの実態は解決できないんです。じゃあ今部長さんがおっしゃるように、協力体制、これからやっていくっていうことであれば、今そのまんま先ほども例をあげて申し上げましたけれども、困っている皆さんの今のその状態はどうやったら解決できるのかということなんですよね。このままどのくらいまだ待たなきゃいけないかということになると思うんですけれども、そのことについてはどうでしょうか。
藤巻社会部長:
それから重症心身障害者の入所施設の施策の関係でございますが、今困っている人にどうしたら対応できるのかというお話でございますが、確かに困っている方、ひじょうに困っていらっしゃるわけでございまして、ご親戚の方に頼むということもあるようでございますが、その場合でも技術的にできる方でないと無理な場合もございます。5箇所、ございまして、先ほどご質問にもありましたように、しなの医療、稲荷山、そのほかに国立系の東長野病院ですとか小諸高原病院、中信松本病院などもございまして、こういったところが空くのを待ってお願いしているというような実情もあるようでございますが、中にはどうしてもということでかかりつけ医、かかりつけの病院のところに入院という形でお願いしているというようなこともお聞きしております。いずれにしてもお困りになっていることは事実でございますので、引き続き先ほど答弁いたしましたように努力を重ねて参りたいと思っております。以上でございます。
ものづくり産業応援について商工部長にうかがいます
地域が活性化するためには働く場所があることと安定した雇用が確保されることが重要な条件の一つになっています。今ある企業が引き続いて受注を確保し、利益を上げながら納税もでき、労働者に真っ当な賃金を払えれば個人消費の拡大にもつながり地域振興に大きな貢献となります。日本経済を支えているのは9割を占める中小企業であり、中小企業の振興こそが日本経済や長野県経済の発展につながることを念頭に置きながら商工部長に質問いたします。
長野県では平成17年に「信州ものづくり産業投資応援条例」を制定し、誘致企業に対して「不動産取得税」の免除と「助成金」の交付を行ない、現在までに県内業者17社、県外業者10社が認定されています。土地や建物の取得額は約770億円。新規常用雇用は763人を予定とのことですが、これへの県助成金は約60億円、不動産取得税の免除はおよそ10億円です。今回これらの施策に関し、3年間の時限立法をさらに3年間延長するための条例改正案が提案されていますが、地域の小さな事業所がつぶれそうになっても行政からは何の応援もしてもらえないのに、中堅企業には大きなお金を応援している。不公平ではないかといった声も聞かれます。そこで今まで3年間取り組んできて、この間の成果をどう分析しているのか、課題は何かについてお伺いいたします。
企業誘致で問題になるのはやはりそのことによって雇用がどれだけ増えたかということではないでしょうか。長野県の場合は助成の条件に「常用雇用」ということを義務づけています。今雇用をめぐっては「雇用破壊」といわれるほど、派遣、請負、パート、臨時など非正規雇用が労働者の3分の1をしめ、不安定でなおかつ生活もできないほどの低賃金であることが大問題になっています。長野県の12月の有効求人倍率は1.10で全国平均の0.98を上回っていますが、この中にはパートもふくまれており、正社員は0.73です。
県が条件にしている「常用雇用」とはどのような働き方をいうのでしょうか。きちんと「正規雇用」として地元で雇うことを条件にすべきではありませんか。
私達日本共産党県議団では京都の条例について調査にいってまいりました。
京都では、平成14年に施行した条例が平成18年度に切れるに当たって、「雇用の安定・創出と地域経済の活性化は府民が豊かで安定した生活を送るためには不可欠なものである」との位置づけのもと、正規雇用と障害者雇用を義務付けた全国初の条例に発展させて「京都府雇用の安定創出と地域経済の活性化を図るための企業の立地促進に関する条例」に改正し、平成23年度まで再延長をしています。その中身は設置補助のほかに雇用についてきちんと位置づけ、地元正規雇用1人につき40万円、障害者雇用1人につき50万円を補助するというものでした。
長野県としても中期総合計画で県民所得を全国平均にもっていく目標を掲げていますし、障害者の法定雇用率を達成していないと厳しく指摘されているわけですから、この施策の中で労働者の給与の引き上げにつながる正規雇用を増やし、障害者の雇用の場を確保するためにもこういったきめ細かな対応策の検討も必要ではないかということを、紹介させていただきながら部長の答弁を求めます。
荒井商工部長:
信州ものづくり産業投資応援条例についての成果、課題と、雇用要件についてのお尋ねでございます。
はじめにこれまでの成果についてでありますが、平成17年度から始まった条例による不動産取得税の課税免除と助成金の認定企業は、両方併せまして107社にのぼっております。これらの投資総額は1272億円。新規雇用予定者1800人でございます。またこの制度によりまして、県外から9社の企業誘致に結びつきました。またさらに県外を出て行くといったような立地計画のあった県内企業3社につきましては、これによりまして県内で増設をし、引き止める効果がございました。
課題につきましては、地元の企業への経済波及効果の高い県外企業の誘致、あるいは研究所の新規立地、こういったことへの対応が必要だということがございまして、19年度の見直しの中で更なる優遇施策の強化を図ったところでございます。
今後の課題といたしましては、助成対象とする投資額の引き下げ、あるいはインターチェンジから遠い場所などにつきましては、それが理由で企業立地が進まないと、こういう地域の加算制度などのご意見ご要望をいただいておりますので、今後研究をしてまいりたいと存じます。
それから次に、助成金の認定にあたっての雇用要件についてのお尋ねでございます。私どもが交付要件としております常勤雇用者につきましては、これは雇用保険法の一般被保険者となっているものと定めておりまして、就労形態といたしましては、「週20時間以上でかつ1年以上の就労が見込まれる者」でございます。この中には、季節的雇用者あるいは1年未満の短期雇用者、派遣労働者、請負社員、日雇い労働者は含まれておりません。また助成金の交付後5年間、雇用実績も含めた事業成果報告書の提出を義務付けてフォローをいたしております。
正規雇用を条件とすべきではないかとご指摘でございますが、正規雇用の定義そのものも必ずしも明確でない部分がございまして、私どもも認定企業のうち、これまでに雇用が完了した企業の実績を見ますと、私どもが対象としている新規雇用者のほとんどが正規雇用に近い状況にあると考えております。
あとものづくり産業支援につきましてですけれども、さきほど部長は、県が常用雇用をしているっていうのでは、雇用保険の対象者ということで1年以上20時間以上ということでやっておられるということでした。しかしこれは考えてみますと、20時間ということは一ヶ月80時間ですよね。時給800円とみても6万4000円ですよ。調べたところ、正規雇用に近いというようにおっしゃっておられますが、週40時間そして社会保険もきっちり掛けていただける、そういう雇用の方のことを言っているわけで、そういう対応をぜひしてほしいということで、そういう検討をぜひ進めてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。認識がちょっと甘いんじゃないでしょうか。派遣でもない、請負でもない、パートでもないと言いますが、ここで言われている常用雇用というのは月わずか6万7万の世界です。それでも何十億も応援してやった長野県の企業が雇用だけはしていますということでそれでいいのかということですが、再度ご答弁をお願いいたします。
荒井商工部長:
これは補助の要件になっておりますので、雇用要件につきましては私共企業に出向きまして書類ですとか台帳で確認をしておりまして、確認するその事務的な手段、そういうものも念頭においてこういうものは考えていく必要もございますが、そういう中で、雇用保険法と連動させて常勤雇用者という押さえを私ども今まで使ってまいりました。極端な例として、週20時間といったようなお話もありまして、実態としてそういう人が何人も雇われている状況にはないと承知をしているところでございます。ただ制度でございますので、その辺につきまして、もう一度調べてみたいと、こんな風に思っております。以上でございます。
次に森林税と間伐材の利活用につきまして、林務部長に伺います。
私達日本共産党県議団は森林の持つ多面的な機能を評価する立場から森林整備の必要性は当然のこととして理解しながら、重税続きのなかで逆進性の強い新たな税金であること、一般財源のやりくりの中での確保が必要、林業従事者の育成、確保への取り組み、民地境界が未確定であること、県産材の利用促進の方向性が不十分、住民理解が得られていないなどの立場から今回の森林税導入には反対しました。しかし、条例が制定され、新年度予算には森林税を使った事業が提案されていますので、その使い道が有効であることを願いながら、以下林務部長に質問いたします。
地域によっては森林整備のために「林野費」などといって年間何千円と納めているところもあるわけですので、その上どうして必要なのかといった思いはぬぐえないと思います。
新年度予算ではみんなで支える森林づくり事業として森林税徴収分3億6400万円があてられ、「里山を中心とした森林づくりの推進」「森林づくり関連施策の推進」「森林づくりに対する県民理解等の推進」の3点にわたって進めるとしています。
トータルとして森林整備には49億3779万円が当てられ、2万ヘクタールの間伐を推進するとされています。そこで森林税活用事業を実施するに当たり、今までの議論を踏まえ、どのような政策的配慮がなされたのか、何を重点にしようと考えたのか伺います。
森林整備の問題はただ単に間伐だけをやればいいというのではなく、県としては間伐が喫緊の課題ということで位置づけているわけですが、川上から川下まで一貫した流れとしてつながってこそ、間伐への理解も森林整備への意欲にもつながります。また、近年ではCO2の吸収源として地球温暖化防止としての役割にもスポットが当てられるようになりました。
県産間伐材の利用は2割そこそこということですが、山中に切り捨てられ、放置されているだけではなかなか「さらに間伐を進めてほしい」というようにはならないと思います。
利用するための施策は「木の香る環境づくり推進事業費」が前年の1億6700万円から6200万円に、「森のエネルギー推進事業」は1210万円と前年同額、県産材利用木造住宅への助成金は新築50万円から40万円、リフォームが25万円から20万円、森林整備技術者養成事業は219万から90万へと軒並み減額されています。
信州型木製ガードレールは県が事業所を立ち上げてまで応援したのにトーンダウンしていますし、灯油が最高値を更新し続けている今だからこそ「ペレットストーブ」や「まきストーブ」を積極的に普及すべきなのにその意欲が感じられません。
「住宅マスタープラン」で掲げられた県産材住宅は平成22年度には年間600棟、平成27年度には年間1000棟を建設するとなっていますが目標達成はできるでしょうか。間伐とあわせ、林業振興と間伐材の利活用をもっと積極的に進めることを求めますが林務部長に所見を伺います。
加藤林務部長:
森林税と間伐材の利活用についてお答えいたします。始めに、森林税活用事業に関するお尋ねでございますが、ご案内のように現在適切な手入れが行き届かずに森林が荒廃し、県民のみなさまの安全・安心な生活環境などへの影響が懸念される状況にございます。特に整備が遅れている森林の多くは、集落周辺の里山に位置していますが、身近な生活の場における山地災害の防止や、集落水源の保全等の森林の機能を緊急に回復させる取り組みが必要となっております。また、地球温暖化防止の観点からも、京都議定書で定められたわが国の温室効果ガス6%削減約束の達成に向け、本年から5年間の第一約束期間がスタートし、本県でも森林整備による二酸化炭素の吸収源対策として、間伐を中心とした森林作りのペースをさらに加速、集中して実施しなければならない状況にあります。このため、森林作り県民税による新たな財源を活用した事業においては、この里山での間伐等の森林整備を重点的に実施することとし、あわせて、市町村の進める森林作りへの支援や県民意識の醸成などを行なっていくこととしたところでございます。
次に間伐材の利活用に関するお尋ねでございますが、森林の整備とこれを支える林業の振興、地域材の活用、総合的かつ効果的に展開することにより、森林の多面的機能の持続的発揮と、資源の循環事業をすすめることが重要であると考えております。したがいまして、地域材のいっそうの利用を進めるため、林道・作業道路網の整備や、高性能林業機械の導入、さらに今後は経営感覚を持った実践的な技術者の育成にも力を入れて取り組んで参りたいと考えております。
また間伐材の利用促進につきましては、昨日平野議員のご質問にお答えいたしましたとおり、流域ごとに、資源量あるいは樹種などの特性に応じて、加工・流通体制の整備や販路拡大などの支援に取り組んで参ります。
税活用により、整備の遅れている里山の間伐を緊急に進めるとともに、あわせて、これらの取り組みを進めることによって、森林整備を支える林業振興と、間伐材の利活用を積極的に推進して参りたいと考えております。
産科医療についてうかがいます
国の医療費抑制政策と医療機関集約化政策のもとで地域医療をめぐる環境はますます悪化の一途をたどっています。県が今年度「医師確保対策室」をもうけ、具体的な医師確保に一歩ふみ込んだことは評価できますがそれとて日本中で取り合っている現状のなかでは成果を上げていくのは並大抵のことではありません。
この間産科医療をめぐってはまさにドミノ倒しのごとく次々分娩を休止しています。4月からは須坂病院、昭和伊南病院、国立長野病院で分娩を休止し、分娩施設は平成13年の68からこの4月には45施設へと3分の2に減ってしまい危機的状況です。
いま扱っている施設も本当に医師たちの献身的で超人的な努力によって支えられており、私の地元の岡谷病院でも昨年暮れには2人の医師のうちお1人が体調をこわされ、あわや「分娩お断り」かという事態にもなりました。さいわい、回復され、また診療に当たっていただいているようですが、いま順調に回っているように思える医療機関でも脆弱な基盤のなかでぎりぎりの対応をしていただいています。
しかし、一方、休止していた富士見高原病院が来年4月より再開の見通しですし、長野中央病院では4月に新たに開設すると伺っております。飯田市立病院には信大から医師が1人派遣されるとのことで、県民を励ます勇気ある明るい話題もあります。
この危機を打開するために私達は医師と助産師のよりよい連携、助産師の活用をずっと提案させて来ていただきました。県としても女性医師ネットワーク協議会や助産師支援検討会をたちあげ、女性医師の働きやすい環境づくりや助産師研修を開始するなど医療関係者と協力しながら一歩一歩前に進み始めたことは、嬉しく思います。
安心して子供を生み育てたいとする地域でのお母さん方の粘り強い取り組みも続けられ上田市産院、信州大学を始め助産師外来を開設するところがふえてきました。
そこで、助産師外来、院内助産所の現状と今後の見通し、開設のために県としてどのような支援をするのか、また新年度の助産師研修の内容について衛生部長に伺います。
県行政の末端にかかわるものとして、県立須坂病院の分娩が地域住民の願いにもかかわらず、4月以降休止になってしまうことには、県立だからこそ最後のセーフテイネットであってほしいと内心じくじたる思いがあります。
過日病院の正副院長先生にお会いして直近の実情を伺ってまいりましたが、8ヶ月までの検診の受け入れと産後のケアは担っていきたい、地域の皆さんとしっかり協力しながら、夢を持ってがんばっていきたいとおっしゃっておられました。
助産師外来の可能性についても伺いましたが、すでにやっているという認識でした。しかし、よく伺うと分娩を扱っていたときには出産が多くなると助産師が病棟にかかりきりになってしまい、外来を担当するわけにはいかず、年度年度で不安定な状況にあったとのことでした。平成18年度は助産師が6人しかいなかったので、助産師外来は休止していたようですが、平成19年度は13人いたので対応ができたということでした。
そこで、衛生部長に伺います。助産師外来や院内助産所を県下に広めようとすすめている県が自ら実施しないのはどうしてですか。これでは県の熱意が映りません。まず何ごとも「櫂よりはじめよ」が大事ではないでしょうか。ぜひ、県立須坂病院で常設、安定して「助産師外来」が実施できるようにし、広く県民に周知してほしいと思いますがいかがですか。
あわせて病院まで定数管理の対象にされているために助産師も増やせないことに大きな疑問を感じます。衛生部長のご所見を伺います。
渡辺衛生部長:
助産師外来、院内助産所についてお答えいたします。現在助産師外来を開設している医療機関は18ヵ所、開設を希望している施設は10ヵ所となっております。また院内助産所は一ヵ所で開設されておりまして、開設希望のある施設は11ヵ所となっております。産科医が不足している状況の中で、助産師外来等開設する施設は今後も増えていくと見込んでおります。
こうした動きを支援するために県といたしましては、医師と助産師の役割分担や連携体制を検討するとともに、助産師外来への開設に向けた手引きを作成いたしまして、医療関係者をはじめ、妊産婦の皆様へ周知普及を図ってまいります。
あわせて施設や設備の整備に対する補助事業を新たに創設いたしまして、開設を支援してまいります。助産師支援研修につきましては、今年度講演会や助産師研修会を実施しておりますけれども、新年度においても助産師が妊婦検診や正常産の分娩介助ができますよう、先駆的な病院での実習を含めた研修など、最新の産科医療や、助産技術についてのより実践的な研修を計画しております。
次に、県立須坂病院での助産師外来開設についての質問にお答えいたします。須坂病院では、昨年7月から助産師外来を開設しておりまして、現在は週3回、最大18名まで診療できる体制を整えまして、助産師12名により医師の診察と並行いたしまして、充分に時間をかけ、きめ細やかに検診や保健指導などを行なっているところでございます。また、須坂病院では、妊娠8ヶ月までの妊婦検診などを行なっておりまして、本年4月から新たにほかの病院で出産された方の入院を受け入れる事としております。今後は常設の助産師外来として病院のホームページや市町村広報などを通じて広く周知することといたしまして、地域に身近な病院で安心・安全なお産を提供できるよう、引き続き努めて参ります。
次に、定員管理の考え方についてでございますけれども、県立病院は、地方公営企業法の一部適用により運営されておりまして、病院職員の定数は長野県職員定数条例により定められております。実際の病院に運営におきましては、社会保険診療報酬で定められる人員基準を満たすために、定数のほかに非常勤職員も採用して対応しているところでございます。今後とも病院が適切なサービスが提供できますよう、必要な職員確保に向けて取り組んで参ります。
県教委が住民や関係者の声に耳を傾けず一方的に推進しようとした高校統廃合は大きな県民的反対運動のなか、議会が議決した改正条例によって2006年9月に、提案された9件のうち6件が否決という結果になり、一つの区切りを迎えました。
そのご、2007年6月に県教委は「高校改革プランの今後のすすめ方について」を発表しました。
ポイントは再編整備は?2005年3月の検討委員会の「最終報告」を基本にすえる
?おおむね2年間の検討をする?一斉実施ではなく、できるところから順次実施し2013年を一区切りとするというものでした。
それを受けて県高校長会は今年の1月31日に組織を挙げて検討をしてきたと「高校再編についての(最終まとめ)」を発表しました。
県教委はこれらをうけて、仕切り直しをし、今年6月に「再編計画の骨子」を作成、来年5月頃には新たな「再編計画」を策定する予定とのことです。昨日の代表質問の中では高校校長会の最終まとめは専門家集団からの提言のひとつととらえたいということでした。
そこで、県教委には再び同じ轍を踏むことなく、高校授業料減免者がますます増え、生活格差が学力格差につながっていると指摘されているたいへんな教育環境のなかで、本当にどのような高校にするのか、子供達が生き生き学べる学校にするにはどうしたらいいのか、どんな力を身につけさせるのか、どうやったら教育の機会均等が保障できるのかなど、しっかり議論をしたうえで、十分な時間をかけて取り組んでほしい、その立場からすでに再編がスタートしている学校の現状がどうなっているかをしっかり検証してみることが必要だとおもいます。
先発した学校は順調にいっているでしょうか。
「教員生活の中で新しい学校をつくる経験などはおそらくないなかで本来なら、新たな学校づくりに胸躍らせて取り組むことができるとおもうのに、なぜか気持ちがついてこない」というのはある先生の弁です。新しい学校の教育課程の検討が十分できなかったこと、施設整備が整わないうちに生徒募集を始めざるを得なかったこと、必要な教員が配置されなかったことなどがおもな原因のようです。
すでに新たな学校として出発したにもかかわらず、1年たっても中野立志館、丸子修学館、木曽青峰の学校施設整備は進行中であり、普通教室棟や特別教室棟は完成していません。離れた校舎の間をバスで移動するという変則的な学校運営が続けられています。先生方の苦労もさることながら、落ち着いた環境の中で学べない子供達こそ最大の犠牲者ではないでしょうか。このような現状を見るにつけ平成19年一斉実施と提案された9本の議案を議会の良識で6本否決したことは大きな意味があったとあらためて噛みしめています。
そこで教育長に伺います。再編スタートした学校の現状をどうとらえていますか。
再編整備にかかわる初年度経費は8億8900万円、新年度予算は11億円。そのおもなものは箕輪進修高校の講義室棟と木曽青峰高校の特別教室棟の建設工事費です。
「高校改革プラン」に基づく統廃合が大きな県民的議論になったとき、当時の県教委は完成すれば教員が減ることで23億円が削減できると減ることだけを強調していました。文教委員会で私が「統合による学校の整備や総合学科をつくることによる教員増でかなりの費用がかかりはしないか」と質問したときも時の担当者は「ほとんどかかりません」と言い切っていました。見通しの甘さというよりこのような「ウソ」を平気でついて統合先にありきで暴走を続けていたのです。
箕輪進修高校は4月から多部制・単位制の高校になるわけですが、新1年生は午前・午後・夜間と3部に分かれて入学してきます。一方旧箕輪工業高校の2年生、3年生の生徒がいますし、さらに旧校の定時制の生徒も2年、3年、4年と在校しています。このように生徒が複雑に混在している学校で、4月には完成するはずの校舎は8月にずれ込み、理科や家庭科の教室を普通教室として使わなければ対応することができない状況になっています。新校舎が完成したとしても来年、再来年と生徒が入学してくれば確実に2〜4個の教室を増やさなければ対応できないことも指摘されています。
障害を持った子供さんも入学してくるというのに、エレベーターも設置されず、平面図にはその分のスペースが「倉庫」として確保されているだけです。普通教室も足りない、エレベーターもない環境で新校舎が建設されるのは、どうみても理解できません。後でつけ加えるようなことになれば割高で二重投資につながります。
どうして最初から必要な予算措置をしないのでしょうか。きちんとエレベーターなどもつけ、学ぶ環境を整えてほしいと思いますが教育長どうですか。
以上の点から新たな再編整備は急ぐことなく関係者の意見を聞きながら十分な時間をかけ、財政的な保障もしっかりしたうえで、準備の整ったところから取り組むことが必要だと思いますがスケジュールもふくめ、教育長の見解をうかがいます。
山口教育長:
高校再編に関する質問に順次お答えいたします。まず最初に高校再編でスタートした学校の状況についてのおたずねでございます。
昨年4月から飯山高校、中野立志館高校、木曽青峰高校の3校の統合校が新たに開校いたしました。また丸子修学館高校は総合学科として、松本筑摩高校は多部制・単位制として新たなスタートをしたところでございます。これらの学校では、一期生が誇りを持って意欲的に学習に取り組んだり、統合により学校規模が大きくなったところでは生徒数が増えまして、クラブ活動が活性化するなど、再編の効果が現れてきたと思っております。
施設設備等につきましては、現在各校において、必要な施設の建設工事や備品類の購入など鋭意整備を進めておりますが、現地での改築改修でございますので予期せぬ事態も生じており、不自由をおかけしている面もございます。こうした状況の中で、各校の教職員も新たな学校づくりにさまざまな工夫をしながら熱意を持って取り組んでおりますので、学校の要望を聞きながら、引き続き学習環境の整備に努めてまいる所存でございます。
次に、箕輪進修高校についてのお尋ねでございます。箕輪進修高校は箕輪工業高校の多部制単位制の転換に伴い、上伊那農業高校定時制を統合して本年4月に開校いたしますが、統合および転換に伴う教育環境の整備等につきましては、両校の関係者や地域の方々のご要望を実現できるよう配慮をしてまいりました。新たな講義室等の建築につきましては、構造設計の確認の対応等に時間を要したことから、本体工事の着手が遅れましたけれども、工事工程の見直しにより、予定通り本年8月末の竣工で進めております。また教室の不足につきましては、新たな講義室棟が完成するまでの間は、既存教室の活用により対応できるものと考えております。なおエレベーター設備につきましては、通信制課程のある長野西高校と松本筑摩高校二校にのみ設置しておりますが、このほかの高校で障害のある生徒への対応が必要となる場合には、階段昇降機の配置など個々の状況に応じた対応をして参りたいと考えております。いずれにいたしましても、授業運営に支障がないよう、引き続き必要な施設設備の整備に努めて参ります。
次に、再編計画は関係者の参加と理解、財政的な保障もきちんとしてから取り組むべきではないかとのお尋ねでございます。昨日倉田議員にお答えいたしましたとおり、再編計画を策定するにあたりましては、県会、自治体、学校関係者などのご意見をお聞きして、県民の理解を深めつつ、具体的な再編計画を策定していくこととしております。また今後の再編計画の実施にあたっては、一斉実施ではなく、予算的な措置や、生徒の学習環境にも配慮し、順次計画的に実施して参りたいと考えているところでございます。以上でございます。
今多岐にわたっていろいろな質問をさえていただいて参りましたけれども、ほんとうに長野県に住む人々が長野県に住んでよかったといえるような施策をぜひやっていただきたいということを強く求め、不足だった分については、ほかの私共の会派の議員が一般質問等を通じてまた正していきますのでよろしくお願いいたします。