議第5号「後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書案」に共産党県議団として賛成の立場で発言します。
多くの不安や疑問の声が渦巻いている中、この4月から後期高齢者医療制度がスタートしました。75歳以上の高齢者を今までの医療保険制度から一方的に切り離し、ご本人の了解も得ずに大切な年金から保険料を強制的に徴収し、医療内容に差別を持ち込む、福祉の心も敬老の心も無い冷たい制度が始まってしまいました。
「月2万円の国民年金から1万円も天引きされた」「生きている限り保険料を強制される、年よりは生きているなということか」「年寄りを捨てる姨捨山制度だ、姨捨山でも入山料は取らなかった、もっとひどい」などなど日本列島に怒りが沸き起こっています。
3月末に保険証が郵送され、小さな文字のオレンジカードが高齢者に届き始めたころから、4月の保険料天引きの時期には、多くの方々から長野県後期高齢者医療連合会や市町村窓口に苦情や相談が殺到しました。上田市では多い日は100本の電話と窓口に20人もの相談者が見え、約1ヶ月間に1000件以上の問い合わせの対応に追われています。全県市町村でも相談・苦情が殺到する事態に市町村職員は土日も返上で対応し、医療機関や介護事業所でも対応に苦慮する事態です。この制度がいかに高齢者や家族を不安に陥れたかを物語っています。
この制度は、2年前の6月小泉内閣のもとで強行されました。
国民医療費の削減のみを目的に、高齢者の年金額や、介護保険料が天引きされていることも配慮せずに無謀な制度設計をして、長年社会に貢献してきた高齢者の暮らしと健康を脅かすものです。また75歳になったその日から医療内容に差別が生じます。外来では、一ヶ月6000円以内の包括医療に誘導して治療を抑制する、健診やドックは受ける必要はないと除外する。療養病床を大幅に縮小する中で入院も制限をし、回復の見込みがないと判断し延命措置をとらないことを文章で確認すると2000円が医療機関に払われる「終末期相談料」など、とても信じられない冷酷で差別的な内容であります。
その上保険料は2年ごとに値上がりし、保険料が天引きできない年金の少ない人が滞納すると保険証を取り上げるなど、高齢者弱者の暮らしと命を脅かす悪法です。
さらに厚生労働省は7割の人が保険料が安くなると説明していましたが、実際には架空のシュミレーションであることが発覚しました。正確な実態を示さない政府の不誠実な対応にまたいっそうの怒りがおこりました。
長野県民主医療機関連合会は、75歳以上の方々に直接聞き取った667件のアンケート調査の結果を公表しました。「今までより保険料が高くなった」は50.8%、「年金からの天引きは困る」57.6%など、制度が始まってから寄せられた切実な声がまとめられています。この制度は廃止してほしい、が県民国民の世論です。
中央社会保障推進協議会のまとめによりますと、全国の地方議会では今までに「中止や撤廃等を求める意見書」が594議会であがっています。また不服審査請求を全国で約4500人が出しました。全国医師会でも30都道府県医師会が反対の声明を出しています。反対署名は全国各地の老人会でも取り組まれるなど6百万筆もが寄せられています。
このような世論や国民運動が国会をうごかす力となって、6月6日参議院で史上初めての廃止法案が可決されました。衆議院に提出された廃止法案の審議は行われませんでしたが、政府は国民の大きな批判を受けて制度の見直しに着手する姿勢を示し、6月12日、低所得者の9割減免や、年金からの天引きを一部選択制にすることなどを打ち出しました。
しかし2年ごとに保険料が値上げされ、今団塊の世代が後期高齢者となる2025年には、今の平均保険料7万2千円が約2倍の16万円にもなる制度設計は変わりません。また保険料軽減内容も不十分で高いハードルがあります。例えば年金80万円の人で9割軽減をうけられるのは、一人暮らしか、夫婦二人がそれぞれ80万円以下の場合に限るとなっており、結局今回の軽減策の対象には約360万人で後期高齢者全体1300万人の3割以下です。
また舛添厚生労働大臣は25日「国民の批判が高まっている。参議院では野党が提出した後期高齢者医療制度廃止法案が通った。国会の一つの院の意思として重いものがある」と発言され、「終末期医療相談料を7月から凍結する」という方針を示しました。
しかし、国民が怒っているのは「75歳以上の高齢者を差別する制度」そのものです。制度の凍結や保険料負担の見直しをかさねても、根本問題は解決しません。いっそう複雑な制度となり、医療現場や市町村行政に更なる混乱が起きるだけです。75歳になったら家族も夫婦もばらばらにされ、個々ばらばらに保険料を取り立てる制度そのものに国民は怒っています。
千曲市の姨捨山伝説の地で6月8日「制度廃止を求める怒りの一揆集会」がおこなわれました。長楽寺のご住職も集会の激励に見えて「姨捨山伝説の教えは、お年寄りを大切にする心です、この制度にはその心がありません」とご挨拶されました。お年寄りを大切にする心を失ったしこの制度の廃止を長野県から国に求めようではありませんか。県議会議員の皆様のご賛同を心からお願い申し上げ、賛成討論と致します。