2008年6月議会 一般質問 6月25日 和田あき子

1 浅川ダム建設予定地の地質・断層の再調査について

2 子育て支援について

1 浅川ダム建設予定地の地質・断層の再調査について

 6月14日に発生した、岩手・宮城内陸地震で被災されたみなさまに心からお見舞い申し上げますとともに、地震の猛威を改めて痛感しています。

 浅川ダム建設予定地周辺の地質・断層について再調査を求める質問を行います。
 岩手・宮城内陸地震で、宮城県荒砥沢(あらとざわ)ダム上流において1km四方におよぶ山体崩壊がおこり、崩れた土砂量は5000万立方mと大規模な地すべりが発生した報道を目の当たりにして、浅川ダム建設予定地直下に暮す方々はもちろんのこと、多くの県民は浅川ダム建設予定地周辺の地すべりや断層への不安を募らせています。
 不安の要因は、宮城の大崩落が発生した場所が火山灰の降り積もってできた地質と報道されていることです。浅川も裾花凝灰岩で同じような地質であることです。
 荒砥沢ダム上流の大崩落はどうして起きたのか?という疑問に、NHKクローズアップ現代で東京大学の小長井教授は「特殊な地すべりが、幾重にも連続して起きた」と解説しています。荒砥沢ダム湖の上流部の地下に地下水の高いところ、地下水の存在を指摘し、地下水の層が滑り台の役割は果たして、普通の土より長い距離の地すべりを発生させ、ダム湖に近い下の段から順に4回にわたって、一つのブロックが数百m滑るという大規模な地すべりが発生した結果、1km四方、最高148mも山が落ち込む山体崩壊になったと言われています。凝灰岩の地質、地すべり地にダムで水を溜めたことによって崩落の規模が拡大したと考えられます。

 さらに、心配されることは断層についての考え方です。浅川を含む長野盆地西縁部の山地は活断層に切り刻まれていると、地質・断層の事実を記載していたのは他でもない県が発行した「浅川総合開発事業、浅川とともに」という冊子であります。「県治水・利水ダム等検討委員会」では、「浅川ダム地すべり等技術検討委員会」が出した「ダム建設に支障になる第四紀断層はない」との報告を不十分として、「ダム建設を実施する場合は再調査を必要とする」ことを県に対して答申をしています。
 文部科学省は、6月20日までに政府の地震調査委員会が評価の対象にしている主要活断層帯に明確に含まれていない場所で岩手・宮城内陸地震が起きたことを受けて、未知の活断層の本格調査する方向で検討を始めたと、共同通信は報じています。
 さらに、地震調査委員会はこれまで、地表に残る過去の活動の痕跡に基づいて全国で110の主要活断層帯を選び、地震の発生確率を算出してきた。だが、2000年の鳥取西部地震や2004年の新潟中越地震など、評価対象外の活断層による大地震が続き、未知の活断層の扱いが課題になっていた、と報じています。近年の地震災害の経緯から、全国的な見直しが今後されるということです。

 浅川ダム建設予定地にある断層が動くか、動かないか専門家のあいだでも見解は分かれており、それを確認するうえでの再調査をおこなうべきではないでしょうか。
 2月県議会でも再調査を求める住民にこたえて、「調査をおこなうべきではないか」、と質問をしましたが、県は一貫して、すでに調査済みであり再調査の必要はないと答弁されました。そこで、確認のためにお聞きしますが、従来から県が調査済みであるという過去の調査はいつ、どういう調査をされたのですか。建設部長にお聞きします。

建設部長:
 浅川ダム建設予定地周辺の地質・断層の再調査に関するお尋ねですけれども、浅川ダム予定地周辺の地質・断層に関しましては、今井正子議員の質問に対する知事答弁のとおり、これまで詳細な調査・検討を行ってまいりました。その結果、ダム建設に支障になる断層が存在しないことを含め、十分に地質状況を把握しておりますので、これを踏まえ万全な構造物を設計し施工してまいります。これまでに実施した調査内容でございますが、ダムサイト周辺に関しましては、昭和46年から平成8年までの間、調査ボーリングを97抗、人が入って地質状況と岩盤の強度が確認できる調査横坑を14坑実施しております。その調査ボーリングの延べ延長は4712mに達しますし、調査横坑も671mに達します。
 また、地すべりに関しましては、昭和54年から平成11年までの間、調査ボーリングを112抗、調査横坑2坑実施しております。これも延べ延長にしますと、調査ボーリングでは、2906m、調査横坑は147mにも達します。
以上、申し上げましたが、浅川ダムではすでにダム建設に関わる十分な地質調査を実施しておりますので、再調査は必要がないと考えております。

 「詳細な調査を繰り返し行ってきた」というご答弁でございますが、ダムサイトなどで昭和の時代から行ってきたと、こういう中でございますが、平成になってからボーリング横坑等の調査は行われたのか、再度その点についてお聞きしたいと思います。

建設部長:
 先ほどもお答えしました通り、ダムサイトでは平成8年まで、だから平成になってもやっているということでございます。それから、ボーリング調査については、平成11年までということで、当然、平成になっても引き続き調査はやっておりました。

 平成になっても、ボーリング調査等も行っていると言いますけれども、浅川ダム建設予定地直下にあるF-V断層が活断層かどうかという判断について、県は文献調査と現地調査の結果、「F-V断層が約1.6キロで短い断層であるのでダム建設に支障はない」と結論づけています。しかし、「かつて行われた調査の範囲が狭すぎて全容が解明できないため、もっとひろい範囲を調査して検証すべき」と浅川ダム地すべり等技術検討委員会で奥西委員は指摘をしています。
 6月15日付の信毎で岩手・宮城内陸地震が教えることと題して、名古屋大学の鈴木康弘教授は「私も地震の長期予想の作業にかかわった者の一人として責任を感じる。国の評価も早急に改めなければならない」と言っています。F-V断層を検証しなおすために、範囲を拡大して調査をするべきではないでしょうか。建設部長、いかがでしょうか。

建設部長:
 
ダム周辺に古い連続性に乏しい小さなものの断層は確かに確認されていますけれども、それにつきましては、先ほど申したように、詳しい調査をして検討をしております。
 特にF-V断層ございますけれども、これについては、浅川ダム地すべり等技術検討委員会において、岩盤の表土を掘削して、地質構造を確認するトレンチ調査を行っております。また、ダム建設上、支障となるその結果、ダム建設上、支障となる活断層ではないとのご意見をいただいておりますし、また、長野県治水・利水ダム等検討委員会において、断層上に砂礫層に影響を与えているとの可能性が指摘された経過がありますが、同委員会によりますトレンチ調査の結果ですね、トレンチ面の観測等では、断層上の砂礫層に変異を与えていない、ということから、県としましては、F-V断層はダム建設に支障となる活断層ではないことを確認しております。その他の追加調査は、必要ないと感じておりますし、そのF-V断層が1.6kmというのは、私どもが調査した、一番上流側にあります、凝灰岩層に達していない、ずれがないということと、下流側にある長野市、西縁断層帯にそのずれが文献等からないということで、最大を見積もって1.6kmを達していないのでありまして、私どもの調査では連続性のない小さな断層と判断しております。

 今回の岩手・宮城内陸地震でも、この断層が連続していたわけではない、こういう判断のもとで、起こっているわけであります。その点確認・調査を求めておきたいと思います。
 宮城県の荒砥沢ダム上流の大崩落した地点は、震源地から地図上で11km離れています。ダム建設予定地直下に活断層が走っていなくても、ダム建設予定地は長野盆地西縁部の活断層からわずかな距離に位置していることや善光寺地震の震源地からも1.5km程度しか離れていないこと、など岩手・宮城内陸地震の災害をよそ事とせず、再検討すべき課題を示しているのではないかと考えますが、知事、いかがでしょうか。

知事:
 
岩手・宮城内陸地震に関連しまして、しみじみ感じますことは、地震はいつどこで起きるか予測できない。本当によそ事ではないということは、この議会でもすでに何回か申し上げております。
 ただ、岩手・宮城内陸地震とそれと今度起きました、というかそれで起きました地すべりの因果関係等々につきましては、これから現地で災害対応が終わった後、いろいろな調査が行われ、その上で様々な学術的因果関係が解明されることだと考えておりまして、今の段階でコメントは差し控えることだと思っております。

 今回の地震が示したことは、今また知事がおっしゃっているとおり、いま検証が待たれているところでありますので、この点に関してもダム建設に一路を走らず、慎重に進めていただきたいと思います。
 いま、市民の心配していることは、万が一に、地震がおこった場合、浅川ダムは長野市北部地域の住宅密集地の真上に位置しているということです。
 地附山地すべり災害から間もなく23年になります。地すべりにより、多数の死者を出した、戸隠有料道路の建設と地滑り発生の因果関係は、1997年6月に長野地方裁判所は「戸隠有料道路の管理の瑕疵(かし)が地すべりの原因になった」という判決を下したことを肝に銘じて欲しいのです。
 地附山と浅川は地続きです。市民は地附山地すべりの災害の記憶を風化させてはいないのです。どうぞ、その点をご理解願いたいと思います。

2.子育て支援について

 続いて、子育て支援についてお伺いいたします。家庭で子育てをがんばっているお母さんを支える、地域子育て支援センターについて社会部長にお聞きします。
 保育園などで行っている地域子育て支援センターは、保育士を配置し、専用の部屋を用意して、0歳から3歳の子どもたちとお母さんが、登録や予約をしなくても利用できる、相談や交流ができることで、育児で一人で悩んでいる、こういうお母さんたちの苦労や悩みを支える支援の場になっています。地域子育て支援拠点事業のメニューが平成19年度から再編され、地域子育て支援センターが週5日以上かつ1日5時間以上が補助の対象になり、いままで小規模でやってきた週2日、1日2時間以上で運営をしている小規模型の地域子育て支援センターは21年度までの移行期間でこの週5日、1日5時間以上にすることが国の方針のようです。利用者はより利用しやすくなるということは一方ではありますが、この週5日、1日5時間以上に移行する、これを受ける保育所の方は保育士の配置ややりくりが厳しいところもあるとお聞きしています。センター型に移行するための支援が必要ではないかと思いますがいかがでしょうか。

社会部長:
 地域子育て支援拠点事業についてのお尋ねでございますけれども、お話のように、より多くの利用者のニーズに応えるということで、制度の再編が行われまして、事業実施が限られておりました、従来の小規模型につきましては、より幅広い事業に実施されるセンター型などへの移行をするということになりまして、現在順次移行が進められている状況でございます。現在、この従来の小規模坑でございますが、県下31箇所で実施されておりますけれども、平成21年度末までに、スムーズな移行ができますよう、これまでに移行しております先行事例の紹介など、個々の実情に応じた、支援を県としても行ってまいりたい、とこのように考えております。

 まだ、31箇所、県下では残っているとお聞きしています。長野市内でも、この中に何箇所か含まれるところがありますが、長野市の担当に聞きますと、このうち長野市内にあるところでも、すべてを21年度までに、センター型に移行できるかどうかわからない、こういう風に言っています。こういう中で、是非県としても支援を具体的に進めていただきたいと思います。

 次に、19年度から今地域子育て支援拠点事業がどのように再編されたか、そのメニューについてそれぞれ事業を、選択をどのくらいしているのかについてお聞きをいたします。社会部長、お願いいたします。

社会部長:
 事業の移行と言いますか、新しいタイプのものでございますけれども、長野市の15所を除きまして、内訳が出ておりまして、長野市については、中核市であると言うことで、私どもちょっと詳細をそこまでちょっと把握をしておりませんで、まずそれを除きました117箇所ございますが、その内訳ですが、新しい広場型が50箇所、それからセンター型の新しいものが36箇所、それから児童館型が7箇所、その他に先ほどのセンターの小規模型というものが24ございます。それで合計の117箇所、ということになっております。

 今示されたメニューの中で今までになかった形で、児童館型ということが出てきました。これは今、放課後の児童の健全育成のために使っている児童館をさらに空き時間を活用して、その子育ての支援センターの一部として組み込んで活動していく。こういうことを認めている中身だと思います。こういう新しいメニューも含めていろいろな形で今後さらに市町村が子育て等に関する悩みの相談や情報交換、お母さんや子どもたちの交流の場として、いろいろなニーズに合わせて、支援事業を実施できるよう、県はそれぞれの自治体の状況を早く把握をしながら、さらにその拡充をするように支援すべきではないかと思いますが、この点について社会部長にお聞きをします。この児童館型などについての周知などについても、是非お聞きをしたいと思います。

社会部長:
 この事業でございますけれども、国の「子ども子育て応援プラン」という、こういう中でも積極的に推進すべき事業だと位置づけられておりまして、こうした国の後押しもございまして、本年度本県では、先ほどの事業実施個所が昨年度に比べまして、22箇所ほど増えているということでございます。これは長野市も含めてでございますが。本事業は、育児におきます負担感・不安感・孤独感という、こうしたものの解消に一定の成果を上げておるということでございまして、中期総合教育でいう、地域で安心して子どもを生み育てられる環境づくりを推進する上で、大事な施策であると考えておりますので、市町村における事業推進が図られますよう、事業の周知も含めまして、推進してまいりたい、とこのように考えております。

 引き続き、十分にこの事業が展開され、一人で子育てで悩むお母さんたちを救うためにも、頑張っていただきたいと思います。
 そして、今「次世代育成支援行動計画」が来年度末で前期行動計画が終わる、こういう時期にあたって、次の行動計画策定に向けて市町村では、子育てや保育ニーズの把握をする、こういう時期になっています。次の策定に向けて、市町村でつかんでいる、そういうニーズとも連携も、意見もしながら、子どもの医療費無料化など子育て世代のニーズが高く、県よりも市町村が先行して、拡大をして行っている、こういうものも、共同をして、県としてもあらゆる角度からの支援を検討されること要望いたしまして、質問を終わります。