2008年9月議会  毛利栄子

「雇用促進住宅の退去困難者への支援強化に関する意見書(案)」について、毛利栄子議員が賛成討論を行い、採択されました。

議第11号 「雇用促進住宅の退去困難者への支援強化に関する意見書(案)」の賛成討論

 議第11号「雇用促進住宅の退去困難者への支援強化に関する意見書」案に賛成の意見を述べます。
 そもそも雇用促進住宅は炭坑閉山で移転・離職を余儀なくされる炭鉱労働者の住宅を確保し、転職を容易にすることを目的として1960年から雇用促進事業団が建設を始めたものですが、その後、当初の「移転就職者向け」から「仕事と住まいを求める人達」に対象が拡大され、公営・公団住宅と同様に公営住宅としての役割を担ってきました。
 しかし提案にありますように国は、特殊法人改革のなかで、早期に廃止することを一方的に決め、30年かけて廃止する当初方針を、その後平成33年度までの15年間で廃止、さらに昨年暮れの閣議で前倒しを加速し、平成23年度までに半数廃止をきめ、今年の5月から入居者に何の説明も行うこともないまま一片の通知を送って退去要請をしており、知事も「ひどいやり方だ」との受け止めを述べられています。

 県内では14ヵ所850世帯が対象になりますが、文書を受け取った皆さんはあまりに突然のことであり何のことか分からず「犬や猫じゃあるまいし、いきなり出て行けなんて納得ができない」「去年の5月にはいったばかりなのに、また出ていかなくてはならないなんて困る」「市営も県営もあいていないし、2万円の家賃が3倍にもなる民間はとても借りれない」「これからどうなるか考えると夜も眠れない」と怒りと不安にさらされています。

 共産党県議団はこの事態を重く見て、入居者へのアンケート調査なども行い、国会議員団とともに厚労省や雇用能力開発機構、開発機構長野センターなどに交渉をかさね、是正を求めてきました。県としても国にきちんと説明会を持つよう要請していただいているようでありますが、その中で、年内の退去は求めない、今年度中にすべての入居者に説明会を開催する、退去困難な事情のある場合は平成22年11月末日まで退去を猶予するという回答を得ました。当初方針を見直さざるを得なくなったことは一歩前進ではありますが、入居者にしてみれば、退去が先延ばしになっただけで不安が消えさるわけではありません。
 岡谷市には長地120戸と川岸80戸の2か所に雇用促進住宅がありますが、それぞれ102世帯、45世帯が住んでいます。母子家庭の方、高齢者世帯の方、若年単身者の方などが多く住まっておられますが、昨年耐震改修工事が終わったばかりであり、合わせて室内の配線やベランダも取り換えたばかりで、まだ使えるのにどうして廃止してしまうのか、それこそ無駄遣いではないかと怒っています。廃止せず継続して住めるようにしてほしいと願うのは当然ではないでしょうか。

 先日の建設部長の答弁でも県営住宅の入居倍率は2.5倍で、希望してもなかなか入れないのが実情です。公営住宅に対する要求はいっそう高まっていますが、派遣労働者も増え、ネットカフェ難民などが社会問題化する中で雇用促進住宅の役割は終わるどころか、ますます必要になっています。廃止方針そのものを見直し、他県から来て保証人がつけられない、単身者でも入れるという雇用促進住宅のはたしてきた役割が果たせるようこの機会に公営住宅法の改正なども求めつつ賛成意見といたします。