日本共産党県議団を代表し、今臨時議会に提案されました補正予算ならびに経済対策について質問をいたします。
アメリカ発の世界金融危機の元で、我が国も深刻な経済危機に見舞われるなか、長野県でも中小企業を中心に深刻な経営危機と全国二位にランクされる派遣労働者の雇い止めなど雇用危機が日々拡大しています。
県がこの危機に際し、ワンストップ相談体制の実施など機敏な対応をはじめ、緊急経済対策を打ち出し、補正予算を組んで一日も早い支援に踏み出そうという姿勢については日本共産党県議団も求めてきたことであり、歓迎をするものです。そこで評価のうえに更なる充実への対応もふまえ以下4点にわたり質問いたします。
まず一点目は、緊急経済対策としての雇用の確保について伺います。
長野県はこれまで雇用の創出のためにも企業誘致やものづくり産業投資応援条例による企業支援を行ってきまいりました。そこでこれまで県費を投入し、支援してきた企業の雇用の実態はどのようになっているのか。当県における派遣切りは全国二位の4,000人規模に及ぶとされていますし、今後更なる拡大も予測をされていますが、この数値の中に支援企業は含まれているのか商工労働部長にお聞きいたします。
また、派遣切りなどリストラを極力行わないよう企業に対し強力な要請をしていただくよう求めるものですが、それでも解雇される県民を県が緊急雇用する対応も必要と考えます。この点については、先ほど県としても今後検討していくというご答弁がございましたので、質問を致しませんけれども、私どもとしても早急な対応を求めておきたいと思います。
二点目として中小企業支援について伺います。
既決予算で対応すると言うことで補正を組んではありませんが、事業資金の円滑化ということで中小企業融資制度資金の拡充が行われます。緊急借換対策枠が新設されることになりました。このことは切実な中小業者の要望に応えたものとして歓迎をするものです。
昨年末に実施をした緊急中小企業経営実態調査では7割を超える事業所の売り上げが減少し、資金繰りが苦しいと訴えている事業所は6割を超えています。この現状を反映し、必要な支援策として最も多かった回答が金融支援でした。今回新設した借り換え制度はこの声に応えたものですが、借換制度の創設と共に要望されているのは長期、低金利の融資制度であります。返済期間の延長や金利の引き下げについても検討すべきではないでしょうか。せめて借換資金や運転資金の返済期間を7年から10年に延長すべきではないかと思いますし、11月県議会でも商工労働部長が検討をすると答弁されている利子の引き下げについてもあわせで実施すべきと思いますが、改めて商工労働部長にお伺いいたします。
三点目として今回の補正額の9割を占める公共投資についてお伺いいたします。今回補正で提案されている公共投資が日本共産党県議団も一貫して提案してきた生活密着型の公共投資という対応であり、歓迎をするものであります。財源として30億円の県債が組まれていますが、生活密着型ということに限定したからこそこの額ですんだともいえるでしょう。知事はこれまで「県債は元金償還の範囲内で」という県政運営をされてこられましたが、経済対策は今回の経済対策を含む新年度予算全体では、このお考えを堅持されて実施されていかれるのかどうかお伺いいたします。
また、切れ目なく仕事を確保し実需を喚起していくという経済対策の指針を達成するうえでも、きめ細かな生活密着型の公共投資を引き続き優先して実行していくことが求められていると思います。先ほど維持・修繕の事業効果については、建設部長からもお答えがありましたけれども、改めてこの2点につきまして、知事にお聞きをいたします。
四点目として生活者への支援対策について伺います。
失業者向けの生活資金100万円の緊急融資制度の創設は全国的に見ても画期的で評価するものでありまして、失業者に生きる希望を開く制度として活用されることを切に願うものであります。
離職を余儀なくされ、住む所を失った皆さんに対する住宅確保対策についてです。雇用促進住宅の活用については当初早期の廃止対象でない住宅に限定をされていたものが、入居者や国民の大きな運動と雇用失業情勢をふまえた緊急の対応として厚労省は廃止を決定した住宅も活用することにいたしました。県としての住宅困窮者の実態についてはどのように把握されておられるのか。県営住宅の申し込みの実態と入居状況について建設部長にお聞きいたします。また、民間住宅の借り上げや家賃補助も検討するべきではないかと思いますが、あわせてお尋ねをし、一回目の質問とさせていただきます。
<荒井商工労働部長>
最初のご質問でございますが、非正規雇用者の今回の雇い止めに関しまして、県の助成対象企業の中にこうした企業が含まれているかとのお尋ねでございます。ものづくり産業投資応援条例に基づきまして、助成金を交付済みの14の中にも、この急激な経済変動によりまして、やむなく派遣労働者などの非正規雇用者、また常勤雇用者の雇用調整を実施したところも一部ございます。ただ、この助成金の交付要件と致しましては、先ほども申し上げましたけれども、投資額10億円以上、企業が直接雇用する常勤雇用者の新規雇用者数、百人以上という要件を定めておりまして、この補助の要件に抵触するような企業は、今のところ出ておりません。従来からもこの雇用に関しましては、助成金の交付後においても、引き続き雇用の維持・確保に努めていただくよう、お願いしてまいりましたけれども、今回の急激な経済環境の変化を踏まえまして、先般改めて交付企業に対しまして、雇用の確保の協力を要請したところでございます。
それから、県の制度資金の返済期間と金利に関するお尋ねでございます。県の制度資金、これは中小業者の経営基盤の強化を支援するため金融機関、それから信用保証協会のご協力を得まして、長期・固定・低利という融資を行っているわけでございますが、このところの厳しい経済情勢の中、貸付状況の見直しも行ってきております。
今回の緊急経済対策に盛り込まれた借換制度におかれましては、中小企業のみなさんの借入金の返済の負担の軽減を図るために、対象をまず中小業者全体に拡充をいたしました。それから今までとは違いまして、別枠で借り入れることができるようにいたしました。お話のように、返済期間につきましても今まで5年以内だったものを7年以内に、据え置きも6か月から1年以内に延長することといたしたところでございます。また、この金利につきましても、昨年日銀が政策金利を10月に0.2%引き下げた、そしてまた12月にさらに0.2%引き下げました。こうしたことを受けまして、県内の金融機関におきましても、貸出金利を再度見直すことが予想されております。
したがいまして、この県内の金融機関の動向を見据えた上で、県の制度資金の貸出金利についても見直すことが必要であるというように考えております。今後ともこの制度資金につきましては、経済情勢あるいは金融機関の動向などを総合的に勘案いたしまして、タイムリーにそして柔軟に対応してまいりたいと考えております。以上でございます。
<村井知事>
議員からは公共事業と県債残高の管理の問題につきましてお尋ねを頂戴したと理解しております。平成21年度の当初予算におきましても、県有施設の耐震化、あるいは道路・河川など県民に身近な社会資本の整備について、必要性等を十分に検討しながら、事業を厳選して実施してまいるということを基本にしたいと考えております。そこで、これら社会資本整備というのは、国庫補助とともに世代間の負担の公平という観点から、県債の活用を前提にしてこれまで仕組んでまいっております。それに加えて、国の地方財政対策を見る限り、地方交付税の肩代わりとしての臨時財政対策債、これを大幅に増加発行せざるを得ない見通しだと、このように考えております。したがいまして、21年度の県債残高につきましては、現段階でどうなのか断定できないことでありますけれども、これまでも答弁いたしておりますが、将来の世代の負担を減らしていくという財政健全化のための基本的スタンスというのは変えるつもりはございません。
しかしながらこのために、今現在生活している県民の安全・安心の確保やあるいは地域の活性化という県が本来果たさなければならない役割、これを損なうようなことがあってはならないと考えているところでございまして、適切かつ柔軟な対応をしてまいりたいと、このように考えているところであります。
<北沢建設部長>
最初に、離職による住宅困窮者の実態把握についてのお尋ねでございます。厚生労働省が、昨年12月26日に発表した「非正規労働者の雇い止め等の状況」によれば、昨年10月から今年3月までに、職を失う方が全国で約8万5千人、県内では4,193人となっており、その状況については2,374人については判明し、そのうち住宅喪失者は212人で割合は8.9%であります。
次に県営住宅の申し込み及び入居条件のお尋ねでありますが、県では県営住宅98戸を提供する体制を整え、昨年12月24日に開設した総合相談窓口及び地方事務所建築課で受付を実施し、1月9日現在、19戸の入居が決定しているところであります。なお市町村及び、長野県住宅供給公社においても住宅の提供等について働きかけを行い、1月9日現在県営住宅と合わせ、238戸を提供しているところです。
次に、民間住宅の借り上げ家賃補助については、国の第二次補正予算において、離職者住居支援給付金の検討がなされているところでございます。その動向を注視してまいりたいと考えております。
雇用対策に伴う長野県の信州ものづくり産業投資応援条例、これによって県の資金を受けている企業が、先ほどのご答弁ですと、これは常用雇用も含めて調整をしている企業があるというご答弁でございました。県が応援条例によって条件を付けているわけですが、課税免除と助成金についての条件をつけているわけですが、この条件には解雇というのが一致をしていないということでおっしゃったんですが、しかしですね、昨年の6月県議会で商工労働部の報告によりますと、長野県がこの信州ものづくり産業投資応援条例に基づいて不動産取得税の課税免除と助成金を合わせて、支援を始めてから3年間で36億円という投資をしてきています。
ものづくり産業投資応援条例というのは、地域経済の持続的発展と雇用確保を図るために設置をされたものでありまして、条件に合わないということだけではなくて、この条例設置の目的からしても、大切な県費投資を最大限活かす県としての雇用の確保をしていくべきだというふうに思うんです。これは県としての責務であるとも思います。ということで、改めて県費が投入されている企業に対しては、雇用を守るよう強力な要請を改めて直接すべきではないでしょうか。このことに対しては、知事のご見解を伺いたいと思います。
それから身近な公共事業の実施の問題ですが、昨年松本の建設業協会でお話を伺ってまいりました。
建設業としての登録件数は横ばいで減少はしていないけれども、事業所の規模は縮小していると。「大規模の事業よりも、生活関連の小規模事業を継続的に出してくれる方がうれしい」というお話でした。つまり、大型公共事業ではなく、今回の補正で対応した生活密着型の公共投資というのは、地元の建設業者にとっても、いまの現状の中では大変望むところという、このことを踏まえて今後のお取り組みをしていただきたいというふうに求めておきたいと思います。
それから、住宅確保政策についてでありますけれども、大分県では解雇された派遣従業員らに、短期ではありますが、月4万円の家賃補助を行うと発表されています。自治体が民間住宅を借り上げたり、家賃補助をする場合には、国交省が事業費の45%を支援する地域住宅交付金制度、これもございますので、ぜひ活用して採用すべきではないでしょうか。改めてこのこともお伺いして2回目の質問とさせていただきます。
<村井知事>
ものづくり産業投資応援条例に基づきまして、長野県が様々な助成をしている企業に対しまして、雇用維持をきちんと求めるべきではないかという一つの見識だと思います。よく検討させていただきたいと存じます。
<北沢建設部長>
離職による住宅困窮者への対応でございますけれども、県営住宅の本来の目的外という事でご用意させて頂いたのが98戸ということでございます。家賃もですね最低家賃のさらに減額を予定しておりますので、検討と対応をしておりますので、建設部としては離職による住宅困窮者は十分だと考えておりますし、計算しても238戸の戸数を用意させていただいていますので、住宅喪失者の数とすれば十分足りているのではないかと考えております。
県営住宅についてなんですが、県営住宅に入りたいという要望と現在提供されているその需要と供給の関係は満たっているのか、これについて改めて建設部長にお伺いしたいと思います。
それからですね、知事のご答弁先ほどございましたが、県債の問題ですが、やはりこれは後退ではないかというふうに思うわけでありますが、その辺はまたしっかりとよろしくお願いしたいと思います。
派遣切りの大半が製造業によるものであります。その大本は使いすての労働形態を生みだした労働法の改悪にあるわけでありまして、この雇用対策は安易にリストラはさせないというこういう対策を県がしっかりとやって頂きたいという事を申し上げて質問を終わります。
<北沢建設部長>
住宅困窮者の需要と供給に関するご質問でございますが、先ほどの答弁でも申し上げましたが、わかっている範囲で212名という数字を頂いております。私ども先ほど長野県住宅供給公社も含めまして238戸を用意させていただいています。以上です。