日本共産党長野県議団を代表して平成21年度長野県一般会計予算案に対する反対討論を行います。
全国トップクラスの厳しい雇用情勢や経済の急激な落ち込みが続き、生活不安が増大しています。この様な中で、喫緊の課題となっている医師確保対策や高齢者対策をはじめ、県政の抱える重要な課題に対応するために平成21年度予算は編成されました。
須坂病院の分娩再開、医師確保対策、佐久病院の再構築問題の進展、駒ヶ根病院建て替え、諏訪湖健康学園の移転改築、社会福祉施設整備、特別支援学校の教員増や栄養教諭の配置、生活保護行政の前進、中小企業融資制度資金の改善、公共施設の耐震改修、森林整備、林業・農業への就労支援、緊急雇用対策など県民の切実な要望が実ったことはおおいに歓迎します。
09年度当初予算は前年比-0.1%、9億円減の総額8,322億円で、03年以来続けて1兆円を割り込む緊縮財政となりました。緊急経済対策として1月、2月と補正予算を組み100億円前倒ししたのでそれらを加えると、前年比91億円増となっていますが、「三位一体改革」以来の国の地方交付税抑制路線と前年比-19.6%、516億円という県税の大幅な落ち込みが県財政を直撃し、借金に頼らざるを得ない深刻な事態に陥っています。
いきおい、県債発行予定額は前年比33.3%増の1,271億円となり、6年ぶりに1000億円の大台にのりました。知事が述べていた県債発行は元金償還の範囲内にとどめ、県債残高を縮減すると言う公約は残念ながらこれで果たせなくなりました。借金残高は02年以降の減少から増額に転じ、1兆5,788億円になりました。
県債のうち「臨時財政対策債」は前年比2倍の564億円にもなっています。県は後年度交付税として算入されるから借金とはみなさないと言っていますが、これまで交付税として全額補填されたことはなく、今後も補填される保証はありません。
知事は財源不足を補うために「消費税こそ最も公平で安定的な財源」と、繰り返し増税の考え方を述べられておりますが、藤沢議員や小林議員も指摘したように消費税は弱者を一層苦しめる逆進性の強いものであり、経済不況にさらなる拍車をかけるもので、容認できません。
財源は消費税増税に求めるのでなく、国に対し、地方交付税の大幅増額や先に県議会も全会一致で意見書を上げさせていただきましたが、今年度総額231億円にもなる国直轄事業負担金の廃止、地方の自立を助ける財政措置こそ強く求めていただきたいと思います。
大幅な職員削減、事務事業の見直し、外部委託などすさまじい行政改革と引き換えに「行政改革推進債」を新年度は60億円に下げたというものの、発行し続けることが予定されていますが、反対です。
21年度予算では「行財政改革プラン」にもとづく事務事業の見直しや使用料・手数料の値上げが目白押しで、廃止・縮小・休止する事業が260件で17億円です。
なかでも「福祉医療費給付事業」は1レセプトあたり300円を500円に値上げするもので、子育て中の保護者や患者団体、医療関係者、実施主体の市町村からも納得できないとの声があがっています。全国の流れとも逆行しています。ぜひ実施予定の10月までに撤回し、見直していただくよう求めます。
さらに、福祉大学校・看護専門学校・公衆衛生専門学校などの入学審査料、授業料などは大幅値上げで、現下の生活苦に追い打ちをかけ、全体の負担増は8,000万円にもなります。多方面にわたって当然のように「受益者負担」の考え方を押し付けていますが、行政の役割の放棄ではないでしょうか。特に教育の分野にはなじまず賛成できません。
その一方、農産物価格が暴落し農家は悲鳴をあげているのに輸送の効率化のためと、上水内広域営農団地農道整備事業に15億6,000万円、安全性や必要性に疑問があり、水理模型実験の結果もでていず、詳細設計もできていない、浅川ダムの本体着工に17億円、債務負担で120億円の大型予算を組み集中投資しようとしています。
また他県でも移行例が少なく、検証も十分されていないのに、県立5病院を一気に拙速に「地方独立行政法人化」することはあまりに乱暴で民主主義的な手続きにかけます。県民の命と健康を効率優先、採算重視の法人にアウトソーシングすることはサービスの低下につながり到底納得できないものです。
以上申しあげまして、公共事業は緊急経済対策時だけでなく今後も生活密着型で実施していただきたいことを申し添え反対討論といたします。