2009年2月定例会 一般質問 3月4日 高村京子

1、医師確保対策での成果と課題について

2、助産師外来、助産所開設支援など助産師活動支援について

3、県立病院の独立行政法人化移行問題について

4、「後期高齢者医療制度」開始から一年での問題について

5、介護職員の処遇改善と介護保険制度の抜本的見直しについて

1、医師確保対策での成果と課題について

 医師確保対策での成果と課題について伺います。
 県は、「医師確保は喫緊の課題」と位置づけ、医師確保対策を強化し、県内出身の医師を訪ね、じかに面談するなど、力を入れて頂いております。医師確保に向けて今まで、取り組んできた内容と成果について伺います。特に女性医師の復職就労支援策について、またこの間政府に対しても何度も要請をしていただいておりますけれども、その内容と成果についてもあわせて、衛生部長に伺います。

<渡辺衛生部長>
 医師確保対策の取り組み、女性医師の就労支援等の成果と課題についてお答え致します。医師確保対策につきましては、これまでに医学生修学資金の貸与、臨床研修病院の支援など医師のキャリア形成過程に応じた取り組みを実施しております。とりわけドクターバンク事業と医師研究資金の貸与を通じまして、本日までに37名の医師に県内で勤務していただく運びとなっております。
 女性医師に関しましては、平成19年度に長野県女性医師ネットワーク協議会を立ち上げまして、女性医師のライフステージに応じた支援策等について、協議・検討していただいております。それらも踏まえまして、今年度は女性医師3名に対する復職支援研修の実施や病院内保育所19施設への運営費補助、さらには信州大学との女性医師キャリア形成支援セミナーの開催などの支援策を実施いたしました。女性医師に働き続けていただくためには、病院における短時間正規雇用等の柔軟な勤務体制の導入や保育体制の充実などが課題でございます。また女性医師ご自身のモチベーションの維持といった要素も重要であると認識しております。

 県立須坂病院には産婦人科医師2名が配属され、この3月からめでたくお産が再開されることになり、関係者のご努力に感謝いたします。再開を念願していた地域の皆さんは本当に喜ばれている事と思います。一方上田市にある独立行政法人国立病院機構長野病院の産婦人科は昨年の8月から閉じたままであり、リスクのあるお産は、長野市や佐久地域でお世話にならざるを得ず、遠距離診療・入院で大変です。地元の上田市産院や民間の2施設と広域連携の長野地域・佐久地域の病院にも大きなご負担を頂いております。
 また常勤麻酔科医の不在もつづき、母子周産期医療センター機関病院としての位置づけや現在1病棟が閉鎖されていますが、この4月からさらに1病棟50床が閉鎖されると聞き及びます。看護師の体制を10対1から7対1体制に充実して病棟運営の効率化を目指すとのことですが、このままでは、上小地域全体の医療崩壊につながりかねません。県のご努力とあわせて、国立病院機構や厚生労働省の取り組みはどうなっているのでしょうか。

<渡辺衛生部長>
 上小地域医療を守り続けるための取り組みと課題についてお答えいたします。
 上小医療圏におきましては、国立病院機構長野病院の分べん再開と救急医療が最大の課題であると認識しております。そのうち産科医療につきましては、これまでも上田保健所を中心に、隣接する佐久医療圏や長野医療圏の関係者も加えまして、円滑な産科連携体制の構築を図るとともに、国、県、国立病院機構、地元自治体の四者による協議を続けてまいりました。
 産科医確保に関しましては、信州大学及び県外大学医局に対する派遣協力要請、本県出身の県外勤務師に対する協力要請、ドクターバンクを通じた個人医師への働きかけなど、あらゆる方策を講じてきたところでございますけれども、結果として確保に至っていない状況であります。
 長野病院は上小医療圏の中核的な病院でもございまして、上田地域広域連合や上田市が財政支援策を公表いたしまして、地域住民の長野病院に対する理解が進むなど、地域全体の病院を支える機運が醸成されつつございます。また病院としても引き続き魅力ある病院作りに取り組んでいただくとともに、県と致しましても、関係機関や地元とも連携を図りながら、今後とも粘り強く医師の確保に取り組んでまいります。

 長野病院でございますが、大変多方面にわたりご努力いただいております。厚生労働省枡添大臣は昨年の春に、「長野病院は全国の中でも深刻な自治あの病院と認識している」と表明されておりますが、それ以降も充実する方向が住民としては見えてこなくて、非常に不安ななかにおかれていますので、引き続き国のお力添えを頂きながらの医師確保のご奮闘を心からお願い申し上げます。

2、助産師外来、助産所開設支援など助産師活動支援について

 助産師活動についてお伺いします。共産党県議団は、助産師さんの豊かな経験を土台とした、「ゆったりとした自然で豊なお産」の場をたくさん作って頂く為に、助産師さんの研修に力を入れて助産師外来や助産所開設の支援を県が積極的におこなうよう求めてきました。
 そこで衛生部長に伺います。県が取り組んでいる助産師研修の成果と課題について、2点目、県内の助産師外来や助産所の開設の数と今後の開設計画などの状況について、3点目に、助産師外来や助産所開設に向けての県の支援はどうなっているでしょうか。
 県内でのお産ができる施設について過日衛生部長からご説明があり、平成13年には68施設から、現在は45施設に減少しています。この7年間でなんと23施設が閉鎖されました。本当に深刻な事態です。
 お産ができる施設を県下市町村や病院との協力によって、県は本腰を入れて助産師外来や助産所の開設支援を行い、具体的な地域目標を持つ時期に来ているのではないでしょうか。
 以上、衛生部長に伺います。

<渡辺衛生部長>
 助産師研修の成果と課題についてお答えいたします。
 産科医不足に伴いまして、分べんを取り扱う産科施設の減少するなか、産科師の負担を軽減する方策のひとつとして、助産師外来や院内助産所が一定の役割を担っていると認識しております。助産師研修につきましては、助産師が妊婦健診や保健指導に必要な知識や技術を習得するために、平成19年度から開催しております。成果につきましては、新たな体制につながるなど様々ありますけれども、なによりも助産師としての役割、助産師外来の意義について学ぶことで、モチベーションが高まったとの声が多く聞かれました。課題につきましては、助産師外来や院内助産所の意義について、病院関係者や住民に理解を深めていただくとともに、信頼にこたえられるよう、さらに知識や技術を高めていくことが必要と認識しております。

 助産師外来の現状と計画についてお答えいたします。
 助産師外来は平成19年、14施設でしたが、現在21施設と7施設増えておりまして、院内助産所は1施設でございます。また、開業助産所は49施設で、うち分べんを取り扱っている施設は13か所でございます。
 助産師外来につきましては、平成19年に行った調査でも、開設を希望している機関がありますので、今後も徐々に増えていくものと考えております。なお地域で開業している助産所につきましては、平成19年度に12施設、本年度上半期は5施設が開設されたところでございます。

 助産師外来等への県の支援と開設目標について、お答えいたします。
 県の支援策といたしましては、本年度産科師と助産師で構成する検討会におきまして助産師外来の手引きを作成しているほか、医療機関が新たに助産師外来、院内助産所を開設する際の施設整備に対する補助制度を新設いたしました。助産師外来2施設へ予算をし、来年度も1施設への助成を予定しております。
 また出産育児で退職した助産師への職場復帰を支援するために再就業相談や研修会を開催しております。
 開設目標につきましては、地域の実情や医療機関の意向に応じて検討されるために、県として目標を設定することは、難しいものはございますけれども、助産師への研修、相談、助産師外来への設備、施設補助、開設の手引き等を通じまして、引き続き支援してまいります。

 また助産師外来や助産所に対するご支援も多方面にわたり行っていただいておりまして、だんだんに施設が充実してきているとご報告を頂きまして、大変うれしく思っております。
 上田市産院でも現在常勤医師とパート医師や助産師さんたちは、ユニセフに認定された地域の応援の期待を受けて赤ちゃんにやさしいお産を一層発展させるために大変なご奮闘をされております。また来年東御市が助産所開設を目指しまして、助産師外来、産院など助産師さんが主体での県の活動に一層の援助を求めまして安心してお産が出来る長野県の環境を促進して下さいますようお願い申し上げます。

3、県立病院の独立行政法人化移行問題について

 次に県立5病院の地方独立行政法人への移行問題について伺います。
 県内5つの県立病院は、それぞれ役割と特色を持って県民の健康を守るために充実発展してきました。2007年6月に成立した「地方財政健全化法」によって自治体病院会計との連結が組み込まれ、赤字を回避するため地方自治体の多くが病院の自治体からの切り離しを始めています。
 「長野県行財政改革プラン」でも、職員削減など経営効率優先によって、県民の大切な県立病院のあり方を、県民合意がいまだない中で、急いで決めようとしていることは大問題と思います。

 以下、病院事業局長に伺います。
 一つ目は、説明会の周知、徹底はどのような方法で行われたのでしょうか。
 二つ目は、参加者数は該当地域住民のそれぞれ何パーセントくらいになるのでしょうか。
 三つ目は、また2月15日に開かれた須坂のシンポジウムでも、参加者から「1月になって説明して、2月県議会で定款を決めてしまうのは、あまりにも乱暴ではないか」という意見も出されていましたが、いかがですか。

<勝山病院事業局長>
 最初に県民への説明会開催の周知徹底はどのような方法で行われたのかというご質問を頂きました。
 県立病院の地方独立行政法人化に向けた検討の内容について関心を深めていただくために県民のみなさまへの説明会を1月に県内6か所で開催いたしました。説明会の周知につきましては、(1)説明会開催のチラシを県立病院の窓口や県の合同庁舎および保健所の行政情報コーナーを通じて配布致しました。(2)県や各病院のホームページに掲載させていただきました。(3)市町村へ通知させていただきました。また説明会開催のプレスリリースを行い、多くの新聞やテレビで説明会の開催について取り上げて頂きましたことは、ご承知の通りです。

 次に、説明会の参加者についてのご質問です。
 説明会には難解な制度の説明にも関わらず、約410名のみなさまにご出席いただきました。出席者の多いか少ないかは判断の分かれるところかと思いますけれども、関心のある方々にお集まりいただいたと理解しております。

 次に、地方独立行政法人化の決定が拙速ではないかとのご質問です。
 先日小林伸陽議員にもお答えいたしましたが、県立病院の経営形態の見直しについては、行政機構審議会での審議を含めると、すでに一年半近い検討を行っているわけで、決して拙速に進めているわけではありません。住民説明会では、地方独立行政法人化は、県立病院が担っているへき地医療や高度専門医療などの不採算医療提供体制の崩壊を防いで、今後も継続して地域に必要な医療を提供していくために行うものであることを説明してまいりました。
 県には地域医療を担う県立病院を維持していく責任があります。今日病院を取り巻く厳しい状況を考えると、一刻も早く経営形態を見直して、県立病院の機能の充実を図っていくことが、患者さんや地域住民の安心へとつながると考えております。県議会で定款案が可決されれば、中期目標の策定を進めることになりますが、この過程でも住民の皆さんの意見を丁寧にお聞きし、住民の皆さんの期待にこたえられる県立病院となるよう、十分検討を加えてまいりますので、ご理解をお願いいたします。

 また病院職員の皆さんには、職場説会で了承を得た、としていますが、県議会に対して、県職員組合から2月県議会に「地域医療の充実と県立病院を地方独立行政法人としないよう求める請願」が出されており、さらに県議会各会派へは「懸念される課題についてより慎重審議を」との要請が出されています。
 以下県職員組合の懸念される6点について伺います。1、住民サービスの後退が心配される。2、公営企業型の地方独立行政法人は独立採算の原則が徹底される。3、議会の関与が縮小される、法人理事長は議会に出る義務がなくなる。4、評価委員会による評価の基準が不明確。5、情報公開がどの程度されるのか疑問。6、いったん独立行政法人になれば後戻りはできない。以上の問題について、懸念はないのでしょうか。病院事業局長に伺います。

<勝山病院事業局長>
 県職員労働組合が、懸念していることにどうこたえていくかとのご質問であります。
 まず、住民サービスが後退しないか、法人化すれば独立採算性が徹底され採算優先になるのではないかとのご質問ですが、現在の医療サービスを持続的に提供するための経営形態の変更であり、また再三答弁させていただいておりますが、へき地医療や高度医療などの不採算医療が引き続き提供できるように、適正な経費を県が負担いたしますので、そのような懸念はあたりません。

 次に、議会の関与が縮小されるのではということですが、定款の制定、中期目標の策定、中期計画の認可などの重要な事項に関しては、県議会の議決が必要であり、また評価委員会の評価結果は議会に報告されるなど、議会の関与はむしろ大きくなるものと考えております。

 次に、評価委員会の評価基準が不明確との事ですが、法人は幹事や公認会計士、県の監査委員のチェックを受けます。その上に、評価委員会が自ら客観的な評価基準を定めて、毎年中期計画の実施状況の調査及び分析を行い、その達成度をチェックして総合的な評価を行いますので、透明性の高い判断がなされるものと考えております。

 次に、情報公開はどの程度されるのかとの事ですが、地方独立行政法人では法人運営の基本となる中期目標・中期計画はもちろんのこと、その財務諸表や評価委員会などの評価結果などすべて公開されることになっております。

 次に、経営がうまくいかなくなった場合、後戻りできないとのことですが、地方独立行政法人が病院運営に最適な経営形態と考えており、後戻りすることは考えておりません。地方独立行政法人化は、今まで通りの医療サービスをこれからも引き続き提供していくために行うものでありますのでご理解をお願いいたします。
 いずれしましても、新しい制度を取り入れる時には、それに伴い課題が生ずることと思いますが、一つ一つクリアして、県立病院の医療機能を十分発揮できるよう対応してまいる所存であります。以上です。

 県民の皆さんの周知・説明ですけれども、1月6日から13日にかけて6回行われておりますけれども、400人のご参加でいらっしゃいます。今の事業局長からのご説明でも、「いいことだと」いう説明ではありますけれども、多くの皆さんが理解が及んでおりません。県民の皆さんと県当局との方向が非常にかい離しているように思います。急ぐことはないのではないでしょうか。
 地域医療の崩壊現象は、全国で深刻な事態にあります。この原因は国において、1980年代からの医師養成の抑制、2005年からの臨床研修制度の導入、診療報酬の度重なる減額、医療保障制度改悪での保険料負担の増額、医療費窓口負担での値上げが行われた結果です。その下で、医療現場と患者、地域住民を不安に陥れてきました。特に小泉構造改革での社会保障予算増額分を毎年2,200億円削減して、民間、自治体、公的病院を問わず、病院経営を苦しめ、診療機能の縮小や閉鎖など、地域医療の崩壊を加速させてきました。今県立病院の独法化を急ぐのではなく、国の総医療費抑制政策を根本から変える方向で県民の皆さんと力を合わせたいと思います。

4、「後期高齢者医療制度」開始から一年での問題について

 「後期高齢者医療制度」開始から一年での問題について、知事に伺います。
 昨年4月から始まった後期高齢者医療制度は、多くの国民の反対の声を踏みにじって強行実施されました。差別的な年寄りいじめの制度であり、強制的な保険料の年金からの天引きは、年金生活高齢者のくらしをいっそう脅かし、ますます医療にかかれなくする事態となっています。
 多くの国民の皆さんの世論で、昨年の6月参議院では制度廃止法案が可決されましたが、政府は低所得者の減免制度の手直しで、制度を続行させています。特に制度に盛り込まれている一年以上保険料を滞納した場合は、保険証の交付を取り上げるとしている問題です。保険料の滞納は、年金額1ヶ月1万5千円以下の普通徴収の本当に年金が少ない方々です。本来なら保険料の負担そのものを免除されるべき皆さんです。
 過日2月20日の後期高齢者医療広域連合議会を傍聴しましたが、この点を質問した議員に対する説明で、「昨年の7月納付期の未納者は2,034人、未納額2,561万円余、11月納付期には4,144人、未納額3,949万円余」と増えていることが説明されました。
 長野県として、後期高齢者医療給付事業負担金は、毎年200億円を負担していただいておりますが、来年度は約206億円を負担することになっています。県内81市町村広域連合の事業ではありますが、県も負担金を拠出して後期高齢医療を支えています。低所得高齢者が苦しい生活の中で、一年以上保険料が納められない場合には、県として保険料の減免制度をして、保険証が機械的に取り上げられる様なことが起きないようご努力を頂きたいと思いますが、知事にご所見をお伺いします。

<村井知事>
 後期高齢者医療制度についての私の考え方につきまして、ご質問を頂戴しました。この制度は高齢化の進展に伴いまして、医療費が増大する中にありまして、世代間で負担について納得しやすい医療制度とするために制定されたものでありますけれども、施行後様々な意見があらゆる方面から提起されたことも事実であります。これを踏まえて、国では低所得者にたいするさらなる負担、特別徴収となどの選択制などの導入などの改善策を実施し、一段落したものと認識してはおります。
 また本年1月の麻生総理の施政方針演説はこの制度につきまして、さらに議論を進め、高齢者の方々にも納得していただけるよう見直しを行う、このようにされていると認識しております。
 県としましては、国民皆保険を維持し、医療制度を将来にわたって持続可能なものにしていくため、引き続き市町村、および長野県、後期高齢者医療制度医療広域連合とともに、現行制度の円滑な運用を図るとともに、見直しについての国の動向を見守ってまいりたいと考えております。

 続いて低所得者が滞納した場合の対策につきまして、お尋ねを頂戴いたしました。
 低所得者につきましては、本人や世帯の所得状況に応じた保険料の軽減対策が実施されておりまして、県におきましてすでに必要な費用の一部を負担している理解しています。一方軽減対策を実施しても、保険料の滞納は生じうるところでありまして、県広域連合と市町村の連携の下、個々の保険者の状況に応じた対応が必要であることは事実だと思います。
 県広域連合では、被保険者が一定期間以上滞納したのみで機械的に保険証の返還を求めることはしないものとしておりまして、また市町村におきましても、相談体制の強化が図られていると承知しております。県と致しましては、県広域連合や市町村に対し、民生委員や税・福祉担当部門との連携を図るなど、被保険者の生活状況に応じたきめ細かな対応をとるよう、引き続き助言してまいりたいと思います。

 秋からの後期高齢者医療制度の保険料の減免はかなり行われておりますけれども、しかし年金がない方でも均等割の負担が発生するという事です。先ほどのご説明を、先ほど説明頂きましたが、1か月500円の負担が払えない、こういう状況になっておりますが、この高齢者のみなさんの生活実態に鑑みて、知事おっしゃっていただきましたように、機械的に保険証を取り上げることはないよう引き続きイニチアチブを取って頂きたいと思います。

5、介護職員の処遇改善と介護保険制度の抜本的見直しについて

 介護職員の処遇改善と介護保険制度の抜本的見直しについて社会部長に伺います。今年の4月で、介護保険制度が始まって10年目を迎えます。介護の仕事は命とくらしを支える崇高な仕事です。介護職員の皆さんには、その仕事内容にふさわしい、社会的評価と処遇、賃金が保障される必要があると思います。
 しかし現実は、過酷な仕事と賃金の低さに年に21%の介護職員が職場を去っています。一方雇用情勢の悪化で、有効求人倍率は急下降で、1月はなんと0.61までに落ち込んでしまいました。介護職員の募集は1.91、2級ヘルパーは2.41とダントツです。しかし資格や賃金の低さが、就職になかなか結びついていません。そこで、介護福祉職員養成校における離職者委託訓練制度の内容と今後の見込みについて、商工労働部長に伺います。

<荒井商工労働部長>
 介護福祉職員養成校における離職者委託訓練制度についてのお尋ねでございます。
 この離職者委託訓練制度は、ハローワークから受講のあっせんを受けた離職者を対象に、就職に必要な知識・技能を習得するための3か月の訓練を民間の教育訓練機関に委託して実施するものでございます。これまで介護福祉の分野におきましては、介護員養成研修課程を設けている専修学校に委託しまして、ホームヘルパー2級の資格取得のための訓練を実施してきたところでございます。これにつきましては、21年度におきましては、雇用情勢の悪化に対応するため、委託訓練の規模を拡大することと致しておりまして、特にホームヘルパー2級のコースにつきましては、20年度の3コース・定員45人から、24コース・定員418人へと大幅に拡充いたしてまいります。この他に21年度から介護福祉士の資格取得のための2年間の訓練コース、これを新設いたしまして、介護福祉士養成課程を設けている短期大学校や専修学校に委託をしてまいります。21年度7コース定員40人で訓練を実施してまいることといたしております。
 雇用の受け皿として期待のできます介護福祉分野の離職者訓練を重点的に実施いたしまして、離職者の安定雇用の促進、また担い手不足の介護業界の人材確保を図ってまいりたいと考えております。

 ただいま、商工労働部長からご説明いただきましたように、ヘルパー・受講者あるいは介護福祉士、介護福祉学校へのコースを拡大しての支援策ということで、大変期待がされております。
 今回の県の支援制度が、県内で働く介護福祉職員の増員につながることを心から期待しておりますが、問題は、現場での賃金保障と働き続けられる労働環境です。そのための具体的支援策についてはどのようにお考えでしょうか。
 4月からの介護報酬3%アップでは、目に見えての賃金アップにはならないとどの事業所も試算しています。県が介護福祉師職員の定着のために、何らかの雇用安定支援策、たとえば介護福祉職員の賃金の底上げをするなど要望をしたいと思いますが、いかがでしょうか。社会部長に伺います。

<和田社会部長>
 介護職員の処遇改善に関連しまして、県が賃金の底上げなどをというご提案でございますが、介護職員の処遇改善につきましては、基本的に介護保険制度の充実とその適正な運用により図られることが望ましいと考えております。県と致しましては、昨日竹内議員のご質問にお答えしたとおり、今回の報酬改定について、国の検証結果を見守りながら、必要に応じて実態の把握に努め、また人材の確保・定着事業の拡充などに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 本当に実態を調べて頂きたいと思います。
 この10年、社会保障切捨ての構造改革が強引に進められるなか、保険料は値上げされ、食費・居住費などの自己負担は大幅に増やされております。また家族がいる場合は家事援助が制限されるなど、「介護取り上げ」がおこなわれています。また家族介護の負担は重くのしかかり、介護のために仕事をやめる家族も後を絶ちません。介護を苦にした痛ましい事件も後を絶ちません。また保険料や利用料が払えず制度を利用できない人々もいます、介護現場の過酷な労働環境と低い賃金の実態は、年間2割の介護職が職場をさり、サービスが確保できない事業所も出てきております。現状の介護保険制度では、介護サービスを充実し、利用者が増えると、すべて保険料や市町村、県の負担の増額にむすびつき、高齢者も自治体からももう限界との事態になっています。
 4月改定の介護報酬3%のアップでは、介護職員の処遇改善は期待できるものではなく、今回の改定によります特定事業所の特定加算などの評価は、介護を受ける高齢者の負担となってまいります。一方改定された新しい介護認定は、2-3割の人が、軽い介護度となり、いままでの介護ができなくなる。こういうことも専門家から指摘されています。いっそう現実と乖離した介護制度となります。
 このような介護保険制度設計の不備は、介護支援専門員や施設・職員に大きなしわ寄せが行っています。予防から介護サービスまで、介護の必要な人に必要な介護が提供できるよう、県は介護支援専門員協会、介護関係の皆さんの実態、高齢者の皆さんの声に耳を傾け、すべての高齢者が安心して利用できる介護保険制度となるよう国に対しまして要望をあげて戴きたいと考えますが、この点社会部長のご所見を伺います。

<和田社会部長>
 ただいま議員の方から、大変多くの介護制度に関するご指摘がございましたが、私どもといたしましても、今後の大きな課題というものは、ひとつには増大する需要というものに応じていくための財源確保、二つには介護技術者の確保、またその他には要介護認定、あるいは介護報酬改定への検証等々、いろいろあると考えております。
 こうした課題につきましては、それぞれ国の社会保障国民会議をはじめ専門の委員会等で検討が予定されているわけでございます。こうした動きを注視しながら、関係者のご意見もお聞きしながら、国に対して、申し上げることはきちんと伝え、よりよい制度となるよう努めてまいりたい、このように考えております。

 介護保険制度が始まって10年でございますので、本当に抜本的にこの制度が高齢者にとってどうなのか、そのことを検証する時期に来ていると思います。
 社会保障の充実を本当に求めたいと思います。介護保険制度の抜本的な見直し、これは消費税の増税ではなく、生存権の保障、所得の再配分、負担は能力に応じて、給付は平等に。こういった社会保障の財源論の基本を踏まえながら、私は介護の充実、これが介護の分野にあらたな雇用を生み出し、介護を理由とした離職者を減らすなど、内需を拡大するこういう方向にも進んでいくと思います。
 経済対策にも貢献できる方向だと思いますので、介護保険・介護サービスの充実に介護職員の支援を心から求めまして私の質問すべてを終わらせていただきます。ありがとうございました。