<北沢建設部長>
管理区間の直轄管理化に関するお尋ねでございます。
千曲川の直轄管理化につきましては、これまで機会にとらえまして要望を行っておりますが、現時点で国からの具体的な回答はございません。しかしながら、一級河川の管理につきましては、昨今地方分権の議論の中で、現在国土交通省において国管理区間の間にある都道府県管理区間いわゆる「中抜け区間」を含む直轄管理区間の見直しの検討が行われているところでございますので、その結果について注意しているところでございます。
災害を防ぐ、被害を軽減するために、遅れている堤防の整備・強化を住民は強く求めています。また、流下能力が不足する箇所については河道掘削、堆積土砂の除去、河道内に繁茂している樹木の伐採など河川の維持管理が大事です。
しかし、千曲川河川事務所の改修・維持・環境改善の予算は平成9年に41億円あったものが、平成19年では28億円と予算が7割に落ち込んでいます。なかでも改修予算は平成9年36億円から平成19年13億円と3分の1で、必要な改修は出来ないと思います。
県の管理区間においては河川の改修・維持・環境改善にあてている事業費はいくらなのか、建設部長に伺います。
<北沢建設部長>
次に県管理区間の事業費のお尋ねでございます。千曲川の県管理区間における改修費につきましては、平成19年度実績で補助事業・県単事業および災害復旧を含めまして、6億5,500万円でございます。
維持費につきましては、500万円で堆積土の除去を行っております。
河川環境改善費につきましては、400万円で流木の伐採を行っております。
新しい河川法では河川の環境整備が位置づけられました。
先ほど千曲川河川事務所の予算が減っているといいましたが、その中でも環境改善の予算は河川法が改正された平成9年の3,000万円が平成10年には1億円に、19年には2億5,000万円に増額されています。
この河川環境改善事業で河川敷に生い茂っているアレチウ・ハリエンジュなど外来種の対策を河川生態の学術研究として取組んでいることを聞きました。ハリエンジュ、アレリウリが高水敷や中州など堆砂によって陸地化が進んでいるところに繁茂していることから、試験的に掘削をして、年に1回程度の洪水がかぶるような環境にしたところ、外来種が侵入しにくくなりクサヨシなど在来種が繁るようになり、効果が認められています。
県はアレチウリ対策として試験的に掘削に取り組んでいるのかどうか、建設部長に伺います。
<北沢建設部長>
次に河道掘削による外来種対策に関するお尋ねでございます。
国と河川生態学術研究会千曲川グループの共同で河川掘削により、流下能力を確保するとともに、河原特有の植生などが形成され、維持される環境の創出を図るため、千曲市粟佐地先におけます試験掘削を実施し、今後の河川管理に活かすための調査研究が進められているところでございます。
これまでの調査では、年に1回程度の洪水による冠水するような環境には外来種は侵入しにくい傾向があることが確認されましたが、引き続きこうそく調査を実施しておりますと聞いております。
長野県管理河川におきましては、現在のところアダプトプロダム等の地域の方々の協力を得て、外来種の駆除を行っているところでございますが、今後国の調査により、有効性が確認できれば、県管理区間での実施を検討していきたいと考えております。
アレチウリ対策の有効性が確認されるということを見ながら、ぜひ県でも前向きに進めて頂きたいと思います。
千曲川河川事務所の河川の維持・管理予算も十分とはいえないものですが、県はほとんどないに等しい予算であることがわかりました。県管理のいわゆる「中抜け区間」は信濃川水系から見て大変重要な箇所だと思います。ここを放置したまま河川整備計画を策定するということは、国が河川管理の義務を放棄しているということではないでしょうか。
河川整備計画策定をするこの機に、県管理区間を直轄区間に編入するよう国に強く要望してほしいと思います。知事の所見を伺います。
<村井知事>
県管理区間の国の直轄管理化におくというご質問であります。千曲川のように国土保全上、特に重要な河川は、水系一貫した河川管理が当然必要でございまして、「中抜け区間」を含めた国による一元管理が望ましい事であります。これまで信濃川水系河川整備基本方針を策定する際に、社会資本整備審議会等で直轄管理区間への編入をずっと要望してまいったところであります。今後とも国に対して機会があるごとに要望してまいりたいと存じます。
<北沢建設部長>
浅川ダム建設事業の平成21年度予算概要に関するお尋ねでございます。計上しました17億円の内訳は、ダム基礎面までの掘削、それにより生じた法面の保護など、浅川ダム本体工事の一部と貯水により不安定化が想定される斜面の地すべり対策などでございます。
2つ、昨年行われた水理模型実験を委託したニュージェックから最終報告がされたのですか。また、詳細設計は完成しているのですか。
<北沢建設部長>
次に、浅川ダムの設計等の状況に関するお尋ねでございます。模型実験は、これまでに終了しており、現在最終報告書の作成を行っております。また詳細設計につきましても、模型実験の結果を受け、取りまとめを行っている段階でございます。
3つ、昨年の実験直後の住民説明会で出された疑問に、県からは明確な回答がされないままで、しかもダム建設予算が計上されたことで浅川流域協議会など流域住民から、模型実験の最終報告やその結果がどのように詳細設計に反映されているのか、説明会を開いて欲しいと要望がされていることに対し、県は住民への説明をいつ、どのように行うのか。併せて建設部長に伺います。
<北沢建設部長>
次に浅川ダムの説明会に関するお尋ねでございます。来年度の早い時期に、流域協議会のみなさまや流域住民のみなさまに報告する機会を設けたいと考えております。
17億円もの予算を付けておく、こういう大変な規模であるにも関わらず、今のご説明では、あまりにも内容が不明ではないでしょうか。この段階で本当に17億円付ける必要があるのか、大変疑問に感じます。建設部長、浅川ダム本体発注はいつになるのか伺います。
<北沢建設部長>
浅川ダム本体発注時期に関するお尋ねでございますが、浅川ダム本体工事につきましては、今後積算等の作業を行いまして来年度中に実施したいと思います。
また住民への説明はどのようにするのかについてご説明をもう一度お願いいたします。
<北沢建設部長>
それから先ほどご説明した、ご答弁申し上げましたけれども、住民等への説明会に関するご質問、お尋ねですが、来年度の早い時期に流域協議会のみなさまや流域住民の皆様に報告する機会を設けたいと考えております。
いよいよ浅川ダム本体発注は「来年度中」というご答弁をいただきました。
私たち日本共産党県議団は一貫して浅川ダム建設に反対をしてきました。ダム建設予定地と周辺は地すべり地であり、地殻変動が激しく、複雑な地質の構造を持っています。その上浅川流域面積のわずか2割しかカバーできずダムの治水効果が得られるのか疑問です。
100年に1度の洪水から流域住民の生命・財産を守るといわれますが、今100年に1度の災害に匹敵する不況に直面しています。県政が今やることは、この世界同時不況のなかで先行きの見えない不安を抱いている県内経済の支援と県民生活を守ることだと思います。21年度にダム建設に着手する必然はないと思います。
<北沢建設部長>
建設資材や労務単価に関するお尋ねでございます。
建設資材につきましては、本県では市場の取引状況などを継続して調査を実施しております。随時、実施単価に反映しているところでございます。また労務単価につきましては、国と都道府県が共同で毎年10月に建設工事に関する51職種について、元請け企業や下請け企業の労務者の給与実態や勤務状況を調査しております。この調査に基づき、国が都道府県ごとに公共工事設計労務単価を設定しておりまして、県として独自の単価設定を行うのは非常に難しい状況であります。しかしながら、低価格入札による労務費や下請け企業の防止するために、4月より低価格入札対策を実施してまいりたいと考えております。
次に、国に対する改善の働きかけに関しましては、県と致しましても、労務費調査の改善事項調査時などに、機会をとらえて要望している状況であり、今後も継続して要望してまいりたいと考えております。
いまもお話がありましたけれども、国が実態調査を行って、それが基準になっているわけでして、その基準が年々引き下がっている。これに歯止めをどうやって、いつかけるのかということになりますと、やはり国がいまやっている中身では改善が進まない、この現実を深刻な実態を国にしっかりと示していただいて、そして関係業界の皆さんから切実にご要望されているこのデフレスパイラル、そしてこういう中で技術者も離れていく、また新しい若い人が入ってこない、またそこに加えて、業界の皆さんが、どんなに歯を食いしばっても厳しい現実。こういうものに県としても対策を進めて頂きますように、また国に対し、この実態を改善を強くさらに求めて頂きますようご要望致します。
さて入札制度の問題について他県や国土交通省に調査にそれぞれ出かけた折に、「長野県が談合防止など『入札制度の改革』の先鞭をつけてきた、長野県の制度を参考にした」と言われました。
入札制度の透明性・公平性・競争性の確保、品質性の確保のために紆余曲折を経ながらも長野県の制度改革が進んできたと思います。流れは指名競争入札から一般競争入札です。厳しい経営環境、激しい競争のなか、県内業界は歯を食いしばって頑張っています。そして、いい仕事をして実績を残して少しでも上のランクを目指せるような制度改革の提案ができればと思います。
しかし、議会や業界団体の一部からは、この機会に制度の改革を言いながら、「指名入札」の復活ということがしきりに言われます。今、なぜ「指名入札」の復活なのでしょうか。
知事、24日の右近参事の突然の訃報を私は俄かには信じられませんでした。どんな思いで自ら命を絶たれたのか、ご冥福をお祈り申し上げます。
誰も表立って口にはしませんが、連日、政治献金の疑惑でマスコミ報道されている準大手ゼネコン「西松建設」はかつて浅川ループ橋を造りました。そして、日本で最初の「穴あきダム」島根県の益田川ダムも手がけています。今さまざまな憶測が飛び交っています。県政への信頼が揺らいでいくことのないようにくれぐれも慎重にとの思いであります。知事、ご所見を伺います。
<村井知事>
今和田議員がいろいろ問題提起をされましたことと右近君の逝去とは何ら関係がないことだと思っております。そのことは他のご質問に対して、お答えした以上に私は彼の逝去については申し上げることはありませんから。
そう申し上げました上で、今入札制度に関連して、積算根拠の労務単価等がどうなっているかが、その結果が積算が、ということなんでしょうか、私も一生懸命拝聴しましたけれども、私はどちらかというと、現在の建設関連企業の苦境というのは、率直に申しまして、過当競争によって採算の取れないことになっている根拠については、まさにいわゆる予定価格と呼ばれる金額から、非常に大きくかい離しているということのほうが、大きな話でありまして、仕事が基本的にないと、いうところで競争すれば、それはダンピングになるわけで、経済原理として、当然の市場としての減少であります。
そこで私が、しばしば指名競争入札について発言をした根拠は、要するに公共事業というもののその仕事というものは、一般論として申し上げれば、仕事の内容というものを発注者は常時管理監督できるものではないという宿命的なものがありますから、だからある程度信用のある企業に委ねるのが商慣行としてありまして、その信用が出来る実績を何十年にもわたって蓄積してきたところで、その間で価格競争を行わせると、事実は確かだと、とした仕事はしてきたと、いう前提の上でそれでいま価格はいくらでできますかっていうのが、いままでの指名競争入札の論理だったわけです。
残念なことに指名という事が、限られた世界でやりましたら、談合が起きた。そこで指名というのは、やっぱりいかんということで、一般競争入札にしたわけですが、その結果が今の状況。それと経済情勢とが合わさってそうなったわけですね。私はそこまで問題意識をお持ちでしたら、この際に県議会で、本当にこれは国の問題でもなんでもない。これは全く長野県の問題でありますから、長野県の中で本当にどうしたらいいか、これは党派を超えて、長野県経済のために、そして長野県民でもある、いま議員がおっしゃったように非常に大事な役割を担っている、建設事業、建設関係の仕事に従事しているその労働者のためにもご工夫を頂きたい。改めて申し上げたいと思います。以上であります。
知事の方からも、入札制度の問題について、しっかりと検討しろというお話でありまして、県議会でもそれぞれの会派が参加をして、入札制度の研究会を行っております。この中で十分に議論もして、そして提案をしなければならいないとこういうことで、それぞれの会派から研究会を続けておりますので、一緒に議論を進めていきたいと思います。
残念ながら、指名入札という事で、談合があったと知事もおっしゃったように、やはりその公共工事を巡っての指名競争入札、長い間に談合の温床として、これがほぼ同義語のように扱われてきた。こういうことがありまして、指名入札にするということについては、やはり慎重にしなければならないのではないでしょうか。今様々問題がある中で、すぐに指名入札にしなくても、県が行っている入札制度で、これから改善ができるのではないか、こういう事も申し上げておきたいと思います。
アメリカ発の金融危機に端を発した経済不況で、県内にもいま深刻な影響が出ています。そういうなかで、県の財政がますます厳しくなる中で、少しでも多くの仕事の確保と、こういうふうに県内業者の皆さんは考えていらっしゃいます。その限られたパイの中で、浅川ダム建設はあまりにも大きいと言わざるを得ないと思います。そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。