2009年6月定例会 一般質問 6月23日 高村京子

1、貧困と雇用問題について

2、東御清翔高校の多部制単位制への移行について

3、青年の家・少年自然の家の「指定管理制度」への移行問題について

1、貧困と雇用問題について

(1)「信州ものづくり産業投資応援条例」に基づく支援状況について

<高村県議>
 昨年秋からの世界同時不況は、日本経済を深刻な事態におとしいれました。特に輸出に依存してきた自動車や家電など製造業では、利益優先のために正社員をリストラし、派遣労働者におきかえてきました。全国では、昨年10月から本年6月までに216,000人もの非正規労働者が解雇される見込みとなっています。長野県では、235事業所で9,688人になります。企業の利益のために貢献した非正規労働者は、職を失うと同時に住居まで追い出され路頭に迷う人々も出ています。
 一年前の4月の有効求人倍率は全国が0.93、長野県が1.13で全国11位でしたが、今年4月の有効求人倍率は、全国が0.46、長野県が0.41で全国30位と落ち込み、上田地域は県内最低の0.26と、非常に深刻な雇用情勢です。4月現在、県内で仕事を求めている人は、常勤・パートを含めて約58,000人、一方求人は約21,000人しかなく、そのうち就職できる人はまたその何分の一かです。

 商工労働部長に伺います。「信州ものづくり産業投資応援条例」による支援企業の非正規労働者を含めた解雇の実態はどうでしょうか。今まで県が助成した企業への県の資金支援は総額いくらになっていますか。

<黒田商工労働部長>
 高村議員から「信州ものづくり産業投資応援条例」による支援企業の雇用状況、これについてのご質問と、それから資金支援の合計額というご質問であります。
まず、これまでに条例に基づき、助成金を交付した企業は19企業ございます。交付決定を致しましたのは、約43億ということになってございます。この19企業でございますけれども、そこで直接雇用した常勤雇用者、これは全体で1200人、これは雇用する方でございますけれども、1200人雇用しております。1社平均60人という感情になりまして、助成金の交付要件であります「常勤雇用10人」と、こういったものを雇用の段階では上回っているということはご理解いただきたいと思います。
 ところが今回の急激な経済変動ということで、受注の大幅な減少、こういったものをこれらの企業においても例にもれず、影響があったわけでございまして、残念ながらやむなく生産調整を行った企業もございます。具体的に申し上げますけれども、常勤雇用者の希望退職の募集を行った企業は2社ございまして、応じた従業員は20人となっております。なお常勤雇用者ではなくて、派遣労働者の雇用調整を行った企業は12社で810人ということでございます。これらの企業につきましては、助成金の交付後も従来から雇用の維持確保を、これに努めていただくよう、お願いしておりますけれども、昨今の厳しい経済環境を踏まえまして、昨年ではございますが、12月に助成金を交付したすべての企業に対しまして、文書で雇用の維持確保を要請してございます。さらに今年に入りまして、やはりすべての企業を訪問いたしまして、直接お願いもしてきたところでございます。
 お話の通り、まだまだ厳しい状況が続きます。今後も雇用状況を十分注視いたしまして、機会をとらえまして、雇用の維持確保を要請していく所存でございます。以上でございます。

(2)正規雇用をスタンダードとした雇用確保について

<高村県議>
 19企業に43億円の投資を県はしております。希望の正職員を20人、非正規の派遣労働者を810人、この間解雇したということでございます。企業へのそれぞれ出していただいて、ご努力はいただいているわけではございますけれども、県内には、従業員の幸せを大切にしながら、決して解雇せずに先を見越した健全経営を進めている優良企業もあります。正社員雇用がスタンダードとする優良企業育成を図って頂きたいと強く要望しますが、商工労働部長、いかがお考えでしょうか。再度ご答弁を頂きたいと思います。

<黒田商工労働部長>
 再質問でございますが、先ほど非正規労働者も含めまして、各企業に要請している状況はお答えいたしましたけれども、全体といたしましては、 昨年の12月に緊急経済対策、これを出したときに、「緊急メッセージ」ということで、県、あるいは労働界、労働局、経済団体、こういった方々との共同の「雇用安定のための緊急メッセージ」を発しております。また12月24日には、県経営者協会等々、経済9団体に対しても、雇用の維持確保について、要請をしていると、こういったことでございます。先ほどもお答えしたとおり、これは県下全体の問題でもありまして、助成金の対象企業も含めまして、今後も粘り強く雇用の維持確保こういったもの、あるいはそういった企業の理解を求めていきたいと考えております。以上です。

(3)生活保護に関する厚労省通知の周知徹底について

<高村県議>
 仕事を失い、一生懸命仕事を探しても仕事に就けずに、収入が途絶え、住まいも失うなど、生活が困窮している人々が増えています。最後のセイフティーネットは生活保護です。生活保護法は、第1条で憲法第25条の理念にもとづき、困窮国民に対し必要な保護を行い、自立をうながす。第2条、無差別平等。第3条、健康で文化的な生活を維持することができる、第7条では申請保護の原則を掲げています。
 厚生労働省社会・援護局が3月に出した一連の通知について社会部長にお伺いします。その内容をどのように受け止め、生活困窮者への救済保護を強めるのか伺いたいと思います。また福祉事務所や関係機関への趣旨の周知徹底はどのようにされているのか、併せて伺います。

<和田社会部長>
 生活保護に関する国の通知についてでございますが、厚生労働省から今年の3月、自動車の保有要件の緩和などを内容とした実施要領の改正通知が、さらに雇用情勢の悪化により職や住まいを失った方への支援を図るための困窮者の早期発見、福祉事務所の体制整備の強化、あるいはハローワークなどの関係機関との連携を図ることなど、こうした内容を盛り込んでおります、大変重要な通知が出されております。県と致しましては、これをうけまして今回の補正予算案で必要な事務補助職員の配置をお願いしておりますし、またハローワーク等々、協議会を設置して積極的に連携を図っているところでございます。通知につきましては、市を含めました福祉事務所の査察指導員を集めまして、伝達いたしますとともに、文書により市町村民生委員を含めます関係機関への周知を依頼しておりますし、その他福祉事務所に対する県の生活保護法施行事務監査などを通じまして、指導徹底を図っているところでございます。

(4)生活保護に関する窓口の対応について

<高村県議>
 通達で押さえられております、自動車保有についての考え方、保証人が得られない人が入れるアパートの確保など、不動産業界の協力を求めること、仕事を求めながら仕事につけない人々が苦しんでいるのであり、単に稼動能力があることをもって保護の要件を欠くものではないこと、住居が確保されていないことをもって申請を却下してはならないこと、申請日が保護の開始日であること、等についてはどのような対応がとられているか、再度社会部長に伺います。
今年の1月から生活保護の申請が月平均300件台から500件台に急増しています。3月では、相談が545件、申請はその半分の219件、実際に保護決定されたのは175件で、三分の一です。保護決定されなかった人々が、人間らしい暮らしから排除されているのではないかと危惧されます。
 また、上田市では、保護申請から決定まで16日、支給日まで23日かかっています。それまでの期間の生活費がその場から支給されなければ生きてゆけません。困窮者の命とくらしを守るために「無条件に」「その場から」の救済保護の姿勢が求められています。申請者全員に、申請受付時の一時金の支払い等、もっと親身になって積極的に対応するよう、窓口業務の改善と、そのための体制整備を図って頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。再度、社会部長に伺います。

<和田社会部長>
 通知につきましては、先ほど申し上げましたように、年度当初の会議等を通じまして、十分もれのないように、各市町村に通ずるように配慮をしているところでございます。ただ、各市町村によって対応に若干の差があるという話も漏れ伝わる状況でございますけれども、私もですね国の基準に基づいて、法律に基づいて行っている事務でございますので、円滑に行われますよう周知・指導を徹底してまいりたいと、このように考えております。

(5)県内自殺者の動向について

<高村県議>
 全国の自殺者は11年前から毎年3万人を超えています。昨年県内では598人もの方が自ら命を絶ってしまいました。前年より80人の増加は北海道に次ぐ全国2位です。自殺者の実態動向について、県警本部長に伺います。

<小谷警察本部長>
 自殺の現状についてお答えいたします。全国の自殺者数は、平成10年以降、連続して3万人台で推移しており、平成20年中は、前年と比べて、844人少ない32,249人でした。男女別では男性が約71%を占め、年代別では60歳以上の方が全体の37%と最も多く、次いで、50代、40代の順となっています。動機別では、健康問題、経済・生活問題、家庭問題の順となっております。

 次に県内の状況でありますが、平成10年からは、500人を超え、平成15年の643人がピークであり、昨年は598人で、平成19年に比べ、80人増加致しました。男女別では、男性が約72%を占め、年代別では、60歳以上の方が40%、次いで30代、50代の順となっており、20代が約60%、30代が約55%増加するなど、若い方々の増加が目立っております。動機別では、全国と同じく、健康問題、経済・生活問題、家庭問題の順となっていますが、自殺者が80人増加した要因について、確たる要因についてはわかりません。なお、本年5月末の県内の自殺者は246人で、前年同期に比べて、11人減少しております。以上でございます。

(6)自殺対策について

<高村県議>
 これ以上、健康や生活困窮とする自殺が起きないよう、どのように予防対策をされるのか、衛生部長にお伺いします。先ほどの県警本部長のご答弁によりますと、30代を中心とした、40代、50代の働き盛りの方が多いこと、1番が健康問題、2番が経済問題となっています。この様なことも含めながら、衛生部長の対策についてのご見解を伺いたいと思います。

<桑島衛生部長>
 自殺対策に関するご質問であります。自殺は経済・生活問題の他、健康問題や家庭問題など、多様で複合的な要因が背景にあり、また生活困窮者の問題も、多重債務やリストラなど、様々な原因が考えられるわけでございます。県では、自殺対策を緊急かつ総合的に実施していくため、本6月定例会に「自殺対策緊急強化基金」に関する補正予算を提出致してございます。この基金を活用して、多重債務等の相談に併せて、心の相談を実施する他、電話相談体制の充実、モデル市町村に対する助成などの事業を実施してまいります。なお、原因別では、健康問題では、最も多く占めており、その中でもうつ病が自殺と直接関係していると指摘されておりますので、基金による取り組みに踏まえまして、かかりつけ医がうつ病を早期に発見するための研修会を開催することとしております。衛生部と致しましては、関係部局との連携の上、多面的に自殺対策に取り組んでまいりたいと考えてございます。以上でございます。

(7)生活相談活動に対する県の認識について

<高村県議>
 日比谷公園で開かれました、年末年始派遣村を頼って集まった人々の貧困に追い込まれた悲惨で深刻な現実は、今県内にも現実問題として起きています。
 日本共産党の事務所でも、野宿でふらふらとなりかけ近でくる方を救済することも多くなっています。県労連傘下の労働組合でも労働相談を行っていますが、一方的に解雇され、なんの保障もなく放り出された人々の生活支援をせざるを得ない事態です。困窮する人々の命とくらしを支援するために、相談と支援の活動を継続的に行っているSOSネットが、現在県内6箇所(上伊那・上田・諏訪・長野・松本・塩尻)で活動を行っています。
過日6月13日に日本共産党県議団は「誰もが人間らしく生きられるために」と題して、生活保護制度や生活福祉資金の最新情報を学び、相談支援活動の交流をする会を岡谷市で開き、150人が参加されました。県内で発生している生活維持が困難な人々の救済支援の取り組みを交流し、生活保護が受けられず餓死するなど、全国で起きているような悲惨な事件が出ないよう、引き続き連帯して支援活動に取り組むことを確認しました。
このような各地で行われている自主的な相談・支援活動を、どのように県は認識をされているのでしょうか。また県としてどのような連携や応援を具体的にしていただけるのでしょうか。社会部長にご答弁をお願いしたいと思います。

<和田社会部長>
 ただいまお話にありました、ボランティア団体の自主的な活動についてでございますけれども、県内各地でボランティア団体が自主的に相談会を開催し、大変きめ細かな対応をされておられますけれども、行政としてなかなか目が届きにくいところを数多くのボランティアのみなさんのお力で見て頂いていると、このように思っております。
 連携ということでございますけれども、制度などに関する情報の提供などに関しまして、適宜提供させていただくなど、情報の共有を図りまして、ボランティアのみなさんの取り組みと県、市町村、あるいは社協などの行政サービスをうまくつながるように配慮してまいりたいと考えております。

(8)外国人支援のための通訳者の配置について

<高村県議>
 ブラジル系をはじめ、県内には42,000人もの外国人登録者がおられます。多くが派遣労働者として頑張ってきましたが、真っ先に解雇され、生活困窮の実態にあり、相談内容も深刻です。相談の場にも言葉の壁があります。福祉事務所や市町村相談窓口等にも通訳者を増やし、常時の対応が必要ではないでしょうか。又、民間の支援活動にも、県として通訳者の派遣を更に進めて頂きたいと要望しますが、企画部長、いかがですか。

<望月企画部長>
 外国籍県民の支援に関するお尋ねでございます。昨年来の経済関係の悪化によりまして、外国籍県民の雇用に影響を及ぼしておりまして、非常に厳しい状況にあると、まず認識しております。
 とくに外国籍県民の方は、日本語の理解が非常に不十分でありまして、再就職あるいは様々な問題を抱えているということでございまして、なによりも母国語で言う相談ができる体制を得るということが重要であると考えております。こういった中で国や市町村におきましても、相談窓口の充実を図りまして、職業相談あるいは生活相談に対応しているのが現状でございます。

 県と致しましても、この4月から日系ブラジル人の多く住む上小あるいは上伊那の地方事務所におきまして、「多文化共生くらしのサポーター」によります行政出張コーナーを開始致し、相談を受け付けている状況でございます。
 また5月には、6か所の県の合同庁舎におきまして、ポルトガル語を含む5言語による行政相談会、緊急の相談会を開催いたしまして相談員と県の機関が連携して県住の問題、税金の問題、生活相談の相談について、実施したところでございます。また、こういった相談を受けまして、6月には弁護士、行政書士といった専門の方々をお願いいたしまして、これも上田と上伊那でそういった専門相談も実施しております。4月以降、130件を超える相談をお受けしているところでございます。
 また、今議会に予算をお願いしてございますけれども、日本語能力が不足していることから、再就職が困難な状況にある方を対象にした再就職支援こういったものを予定しておりまして、この8月から、地方事務所や県庁に6名の方を雇用いたしまして、 母国語教室あるいは市町村や地域の国際交流団体と連携いたしまして、日本語指導あるいは県行政機関の相談通訳、翻訳、こういったものを行いたいと考えております。
 こういったものをご利用いただければ、先程のお答についても、一定の前進がみられるのではないかと思います。

 いずれにしましても、県としますれば、また市町村、国、そういった相談窓口とより一層連絡を密にしまして、役割分担の上、きめ細かい対応をしてまいりたいと考えております。以上でございます。

(9)ワンストップ相談窓口の設置について

<高村県議>
 このたび示された、上田や伊那に設置される「緊急求職者総合支援センター」については、大いに歓迎し期待するものありますが、このセンターを他地区にも拡大し、県内どこでも生活就労支援が、ワンストップで受けられるようにしていただきたいと考えますが、そのお考えはありますか。商工労働部長にお伺いいたします。

<黒田商工労働部長>
 上田市と伊那市に予定をしております、「緊急求職者総合支援センター」に関するご質問でございます。まずこのセンターについてご説明申しあげますと、このセンターは、国と県が共同で設置すると、こういうものでございまして、一方県が行う生活就労相談、それから国、ハローワークでございますけれども、これが行う職業相談、それから職業紹介を一体的にやっていこうというものでございます。

 次に若干の経過を申し上げますけれども、本来このセンターは国におきましては、1県1か所ということが基本でございまして、ところが長野県の場合には圏域も広いと、それから先ほど議員からお話がありましたとおり、非常に雇用情勢も、有効求人倍率も低くて、雇用情勢も厳しいと、こういったことから、長野労働局と協議を致しました。その結果、県内2ヵ所ということで、ご配慮いただいたという経過が一つございます。
 そこで特に、先ほどもお話がありましたとおり、有効求人倍率、そういったものの状況が非常に厳しい、東信では上田、それから南信では伊那と、設置をしていこうというものでございます。
 ご案内の通り、県内には、南信の松本市、それから北信の長野市、ここにはジョブカフェが設置してございまして、しかもこれは今年一月から離職を余儀なくされた方々のために、緊急雇用相談窓口というものを設けておりまして、生活相談含めました再就職支援も行っているところでございます。
 したがいまして、このジョブカフェ信州と今回のセンターこれを合わせますと、当面は東北中南信、4か所で支援体制が整うというふうに考えておりますので、ご理解を賜りたいと思います。以上です。

<高村県議>
 ただいまご答弁頂きました商工労働部長ですけれども、長野と松本にあります、ジョブカフェ信州は40歳以下が対象ということですけれど、今のご答弁では働き盛り、20代から60代くらいまでも対象にしていただけるというふうに理解してよろしいんでしょうか。再度伺いたいと思います。

<黒田商工労働部長>
 ジョブカフェ信州についてのお尋ねでございます。ご指摘の通り、本来は若者のための、仕事に対するご相談を受けてきたということでございますが、このたび1月15日から、一般的な雇用相談、あるいはキャリアコンサルティング、求人検索、職業紹介、これはハローワークと一緒になってございますので、それの窓口も兼ねると言いますか、事実上務めているということでございますので、よろしくご利用頂きたいと思います。

<高村県議>
 知事にお伺いたします。100年に一度の深刻な不況の中で、多くの県民があえいでいます。深刻な雇用破壊は、職を失った人々の暮らしと健康を脅かしています。仕事に就きたくても仕事がありません。生活保護申請の相談件数も増えています。このような事態を知事はどのように受け止めておられるでしょうか。県民の暮らしと雇用を守るその決意をお伺いしたいと思います。

<村井知事>
 深刻な不況の中で、どのように県民の暮らしと雇用を守るのか。認識と決意を述べよと、いうことであります。現在の経済情勢によりますと、県民の暮らしと雇用を守るためには、なによりも私は景気の回復を図ることが大事だと思っております。
 昨年後半から始まった今般の急激な経済情勢の悪化によりましては、緊急経済対策、そして今回新たな経済対策を通じまして、切れ目なく実需を喚起して雇用の確保を努めてまいりたい。これによりまして、県民の暮らしを守る、これを最重点にしてまいったつもりでございます。
 今回の新経済対策「暮らし・地域力向上プロジェクト」におきましても、事業規模では700億円を目標といたしまして、県民の暮らしと地域力向上につながる施策を幅広い分野で講じてまいる事で、県内経済の下支えと総需要の拡大をして維持確保を図ってまいることとしております。
 また環境・健康など今後成長が期待される分野におきまして、先行的な投資をすることによりまして、 将来を見据えた需要の喚起やあるいは新産業の創出と、いうことにも資するような施策にしてまいりたいと考えております。
 このように足元の厳しい状況に正面から取り組みながら、中長期的な視点に立って、県民の暮らしの安全・安心の確保に努めてまいる決意でございます。よろしくご理解を頂きたいと思います。

<高村県議>
 製造業では求職者は21,278人に対し、求職はたった一割の2,114人分しかありません。そしてさらに、なかなか仕事にはつけない、仕事を探しています、仕事が欲しい、だけれども仕事がない、こういうみなさんは、大変な状況でございます。所持金が底をつき、野宿するしかない、体調を暮らしている。そこまで至らなくても、どう暮らしていったらいいのか、暮らしに行き詰まっているみなさんが、悩み苦しんでおられます。こういう方はたくさん県内におられると思います。
 知事、ぜひ県内で行っております、ボランティアのみなさんによるSOSネットなどの現場に、相談活動の場に是非知事、お出かけください。そして、相談にいらっしゃる仕事を失った皆さんのその大変な状況を、その知事の肌で感じて頂きたいと思います。いま、長野県がしなければならないことは、人々の命と暮らしを支える県政ではないでしょうか。県民の皆さんと力を合わせて、困窮している人々の生活を再建、就労支援へと知事がその先頭に立って頂きたいことを申し上げたいと思います。

2、東御清翔高校の多部制単位制への移行について

<高村県議>
 東御清翔高校の多部制・単位制への移行について教育長に伺います。東御清翔高校は、現在募集定員200名の全日制普通科の高校です。旧12通学区の上小地域には6つの高校があります。東御市には唯一の普通高校となっており、遠距離通学を避けるために、長和町や真田町、小諸地域から通える高校で、地域の保育園との交流活動や花の町づくり活動など地域の皆さんと一体となった活発な学習活動が行われています。
 多部制単位制への移行が教育委員会に案として出されたのはこの3月で、6月の教育委員会で決定されたとしていますが、学校内部での充分な検討やPTA、地域との合意は図られてきたのでしょうか。多くの皆さんが多部制単位制とはどのよう学校なのか、受け止められずに不安が大きくなっています。
 6月13日には「東御清翔高校の明日を考える会」が結成され、学習と懇談の集いに70名もの方々が参加され、県教育委員会の進め方に疑問や不安が多く出されました。東御清翔高校が第2通学区の中で、多部制単位制に移行すると決めた理由と合意形成はどのようになされたのか伺います。

<山口教育長>
 東御清翔高校の多部制単位制への転換につきまして、合意形成が図られているのかというお尋ねでございます。昨年6月に、「東御清翔高校をよくする会」から、多部制単位制への転換のご提言を頂き、学校では職員学習会や数度にわたる学校視察を行い、検討を重ねてまいりましたが、その間同窓会総会、支部、PTA、「東御清翔高校を育てる会」、学校主催の地域説明会、東信地区中学校・中間教室担当者会議等の機会に様々な方々と話し合いを重ね、地域の意見を聞いてまいりました。教育委員会と致しましては、学校からのまとめを受けまして、再編計画案を提案し、パブリックコメントの募集、4月には地域懇談会が行って、このたび第一期再編計画を決定したとことでございます。
 またそののち、不登校児を持つ親の会や上田千曲高校定時制の存続を求める会との懇談や話し合いの機会を設け、地域の理解が深まるよう、努めてまいりました。今後も学校での教育内容の検討を受けて、実施計画などの地域への説明の場を設け、引き続きご理解を得るよう努めてまいりたいと考えております。また学校と致しましても、地区PTAや同窓会総会、中学校訪問や体験入学等の折に、説明の機会を設けてご理解を得る予定と聞いております。

<高村県議>
 松本筑摩高校に多部制単位制が導入されて3年目、箕輪進修高校は2年目となります。多部制・単位制の充実に向けて、試行錯誤で学校現場では大変なご努力が続いていると思いますが、現在の2校の現状と課題をどのように受け止めておられるか、併せて教育長に伺います。

<山口教育長>
 次に松本筑摩高校と箕輪進修高校の現状と課題をどう生かすかということのお尋ねでございます。多部制単位制を導入した両校の評価は、中学校時代の不登校から脱却し、積極的に学びなおしを目指す生徒が多くなった、少人数講座により、個々の生徒に即した、個別指導が効果的に行われ、学習意欲や授業へ集中度が大きく向上したというものでございます。また平成21年度の午前部と午後部を合わせた志願倍率を申し上げますと、松本筑摩高校の前期選抜が2.17倍、後期選抜が1.58倍、箕輪進修高校の前期選抜2.25倍、後期選抜1.73倍と増加し退学生につきましても、箕輪進修高校がこれまで20数名だったのが数人に減少しており、成果が表れております。また保護者からは、中学の時とは別人のようだと、多部制単位制高校を選んでほんとによかったといった声も寄せられております。一方、時間割編成が大変難しく、教員の授業時間が変則的なため、生徒との個別相談の時間や連絡会議がなかなか持ちにくいという実態もあり、生徒送り手である中学校や特別支援学校からの期待の大きさに比べると多様な生徒への個別指導等への対応へと、高校側の受け入れ態勢が十分に追いつかない現状もございます。こうした先行する多部制単位制の優れた実践に学び、課題は課題として、真摯に受け止めまして、これまで東御清翔高校が地域とのつながりを大切にして取り組んできた実習体験を重視したコース制や、コミュニケーション授業の実践などを生かしまして、東御清翔高校らしい新しい学校づくりを進めてまいりたいと、こんなふうに考えております。

<高村県議>
 東御清翔高校は全日制からの移行であります。午前の一部、午後の二部制とするとの方針であり、現在の2校とはスタートの土台が違っていると思います。昼間の学校にあえて、ただいま教育長からも課題としていくつか答弁を頂きましたけれども、今まで以上に複雑で全体が見えにくいホームルームの確保ですとか、個々の対応、そういった時間がとりにくい等の課題もございます。3年から4年限の多部制・単位制に急ぐ必要があるのか疑問であります。
 また、過日21日、「上田・千曲高校の定時制存続を求める会」の皆さんが、先ほど教育著言うからも触れて頂きましたけれども、県高校教育課長のご参加を得て、意見交換を行いました。ゆくゆくは上田高校・千曲高校の定時制を廃止し、東御清翔高校の夜間3部制へと移行するのではないかとの不安の声が多く出されました。上田高校の普通科と上田千曲の機械科の夜間定時制を必要としている子どもたちが今います。卒業文集には大変感動的な定時制を愛する心が発表されています。この定時制を守り存続していただけるのでしょうか。教育長に再度伺います。

<山口教育長>
 多部制単位制の設置とですね、定時制についての再編の考え方についてのお尋ねでございます。再編計画案におきましてもですね、ただし、多部制単位制の設置に合わせてですね、今夜間部と定時制がございますけれども、そういったものの適正配置を進めていくと、こういうことが基本的な原則であります。ただし、ご指摘のように、松本筑摩高校には、夜間部がございました。それから箕輪進修高校にも定時制の夜間部がございました。また隣接のところに上伊那農業高校に定時制がございました。こういったことの中で、進めてきたことは御承知のとおりでございます。そういう点につきましてですね、東御清翔高校は違う条件下にございます。したがって、今までのような形での適正配置というものは、機械的に当てはめるというようなことはできないんじゃないかと。したがいまして、いろいろな生徒の志願状況、それから新しくスタートする東御清翔高校の様々な教育課程、そういったものを総合的に見て、生徒や保護者の志願状況等を見まして、今後の課題として、考えております。

<高村県議>
 上小地域、旧12通学区、あるいは現在の第2通学区、こういった全体の高校教育環境全体を見据えながら、急ぐことなく学校現場や地域、PTAのみなさん、特に子どもさんが他の合意を得る。こういうことに是非力を割いていただきたいですし、実施する場合には、十分な予算配分や人員の配置も求めておきたいと思います。

3、青年の家・少年自然の家の「指定管理制度」への移行問題について

<高村県議>
 青年の家・少年自然の家の「指定管理制度」への移行問題について、教育長に伺います。
 現在ある4つの青年の家、少年自然の家は、自然とのふれあいの体験活動の場として、また自主的・自立的な集団活動を基本とする生涯学習の場として利用されています。私たち共産党県議団は4つの施設すべてを視察させていただきました。
4つの施設はそれぞれにすばらしい大自然にいだかれた体験型の教育研修施設であり、主催事業も多く計画され、幅広い年齢層の参加が広がっています。利用者の合計は年間7万人以上と多くの人が利用され、県の生涯学習施設として大切な共有財産だと思います。
このたびの「指定管理者制度」への移行については、現場職員や利用者の意見はどのように反映されたのでしょうか。教育長に伺います。

<山口教育長>
 指定管理者制度の検討についてのお尋ねでございます。現在県内に4所あります青年の家、少年自然の家では、青少年を対象に集団宿泊研修を通した自然体験や交流体験などの事業を行っております。指定管理者制度の導入すること、また利用料として応分の負担を頂くことにつきまして、これまでに利用者の立場から青少年団体・社会教育団体、地元市町及び区等に説明し、ご意見を頂いてまいりました。その際に、青少年の体験活動を提供する施設を存続してほしいと、また利用料金については大きな負担とならないようにしてほしいなどのご意見を頂きました。また現地機関からは、現在のサービス水準が確保できるようにしてほしいなど、利用者の声を踏まえた意見があり、検討してきたところでございます。指定管理者制度が円滑に導入できるように、今後とも利用者をはじめ、関係機関・団体等のご意見を参考に、細部について検討を進めてまいります。

<高村県議>
 続きまして、現在の自己負担は食費とシーツ代で、1泊2,200円程度で済みますが、このたびの条例改正案では、宿泊料の300円から900円の負担、体育館・研修室の利用料金の負担を求めるものです。不況で家庭の収入も目減りし、就学援助を受ける家庭も増えている現在、小学生や中学生・高校生などの負担を増やすことは、教育施設としての利用促進の方向とは逆行するのではないでしょうか。そのことの検討はされたのでしょうか。教育長にお伺いします。

<山口教育長>
 利用料金と教育活動についてのお尋ねでございます。利用料金につきましては、施設を利用する受益者負担の観点から、お願いするものでございます。利用料金の導入に当たっては、光熱水費と実費相当分について、他の都道府県及び県内市町村の同種施設を参考に、設定させて頂いたものでありまして、ご理解を頂きたいと思っております。
なお、県内の小中高等学校、および特別支援学校が教育活動で利用する場合には、全額減免とし、支障がないように特段の配慮をしてまいります。あわせて、それぞれの施設の特色を生かしながら、積極的な教育活動を行える指定管理者の選定を行うとともに、定期的に実地検査を行うとともに、教育活動が損なわれないように、指導してまいりたいと考えております。以上でございます。

<高村県議>
 それぞれの所在地は市街地から遠距離にあり、建物や野外施設の管理に経済効率を持ち込むことは、無理があると考えます。さらにどこの施設も現在は次長が教育職であり、教育研修企画の援助や多彩で魅力的な主催事業をコーディネートされており、大きな役割を持っています。その機能は指定管理となっても発揮されるのでしょうか。担保されるのでしょうか。一層の施設利用が保障されるのかどうか、大変危惧されます。その点再度、教育長にご答弁願いたいと思います。

<山口教育長>
 ご指摘のように、それぞれの所に次長の立場で教員を配置しておりまして、その所の持つ教育的な機能の維持に努めているところでございます。この考え方は、指定管理者制度に移行しても、変えるつもりはございません。そのために、募集要項や仕様書、審査基準におきまして、教員同等の職員が配置されるよう、要件設定をしてまいりたいと、こんな考え方で進めてまいりたいと考えております

<高村県議>
 今県内にあります青年の家、少年自然の家は、本当に素晴らしい教育環境施設であります。今県民の皆さんが、お金の心配なく豊かな自然環境の中で、学習活動がいっそう旺盛に発展するよう、教育委員会におかれましては、しっかり主体性をもってこの施設の利用促進、充実を図って下さることをしっかり申し上げまして、私の質問を終わります。