2009年11月定例会 11月27日 びぜん光正
期末・勤勉手当の引き下げについての質疑
- 人事委員会のはたすべき役割と、勧告制度のあり方について <人事委員会委員長>
まず、人事委員会の果たす役割、その勧告制度のあり方についてのご認識を伺います。
そもそも人勧制度は1948年7月31日、「昭和二十三年七月二十二日附内閣総理大臣宛連合國最高司令官書簡に基く臨時措置に関する政令」(昭和23年政令第201号)が公布・即日施行されて、公務員の団体交渉権や争議権(ストライキ権)などの労働基本権が制限されているため、それらの代償措置として始まりました。しかし、今回、国の人事院勧告が期末・勤勉手当0.35ヶ月カットですが、長野県人事委員会は民間との格差が0.72ヶ月の差があるとして、国の倍の0.70ヶ月の引き下げの勧告を行いました。私は県人事委員会は公務労働者の権利が特に制限されている条件下で、その権利擁護の役割を果たしてきたと認識してきましたが、人事委員会委員長は今回の勧告にあたって人事委員会の果たすべき役割をどう発揮されたのか伺います。
- 0.7ヶ月引き下げの根拠について、その影響 <人事委員会委員長>
今回の国の勧告0.35ヶ月削減を上回る0.7ヶ月削減の算出根拠について伺います。またそれはスト権剥奪や労働基本権の代償制を放棄させる条件下で公務労働者の権利の擁護や生活の安定を果たすものとして適切な判断をされたのでしょうか。
また、人事委員会勧告に準拠している民間事業所のJAや商工会議所などの労働者への影響はどう考えて勧告されたのでしょうか。
- 市町村は県の勧告とは異る内容のところが多いことについて<人事委員会委員長>
従来は県内自治体では、県人事委員会勧告に準じて対応する例が多かったのですが、今回は県とは異なる内容のところが多く、県の削減率が大き過ぎる印象ですが、このことについてどう考えているのでしょうか。
- 知事は労使交渉にあたってどのような努力を尽くしたのか <知事>
今回の提案にいたるまで知事自身どういった努力をはらわれたのでしょうか。少なくともこれだけのことを職員に強いるのには自ら交渉に出席され、国の人勧を2倍も上回る切り下げにあたっての必要性を訴え、納得してもらう努力をされたのでしょうか。知事は交渉には何回出席され、何時間の対応をされてきたのでしょうか。
いくらブラジルでの公務があったとしても、25日には帰国したのですから、議会提案まで時間は少ないが交渉の余地があったのではないでしょうか。日本共産党県議団として交渉再開の努力を11月19日に申し入れましたが、ぎりぎりまでの努力がなされたとはいえないのでしょうか。
これだけのことを決めるのに、知事は交渉の場には一回も出席されていないと伺いましたが、何故出席しなかったのでしょうか。
- 県職員の給与の引き下げが県内経済に与える影響について <知事>
知事は会派代表者会議で「公務員の賃金引下げは地域経済に与える影響が問題だ」という趣旨の発言をされたと伺っていますが、今回の改訂による県内影響額はどの程度と受け止めているのでしょうか。
また、今回の提案は会派代表者会議での発言とは大きく違う結果になっているのではないでしょうか。言っていることと、やっていることが違っているのではないでしょうか。
- 県の独自判断があっても良いのではないか <知事>
12月1日期限ということもありますが、人勧を尊重することは重要ですが、双方が歩み寄るための努力を行うべきではないでしょうか。また、市町村は独自の判断に基づいて国基準の0.35ヶ月のところが多く、また、長野市は当初0.45ヶ月減と提案されましたが、最終的に0.4ヶ月減と歩み寄ったといいますが、こうしたことからも県独自の判断があっても良いのではなでしょうか。知事に伺います。
- 民主主義のルールにてらして <知事>
労使交渉に誠意を尽くしたのでしょうか、職員団体が納得していないものを議会提出して議決するということは、民主主義のルールを踏みにじるものではないでしょうかこのことについて知事はいかがお考えでしょうか。
職員組合も「現下の厳しい経済状況や雇用状況は認識しており、今回の人事委員会勧告すべてを否定するものではない」と言っています。これを頑なに人事委員会の勧告のみに固執するのでは歩み寄ることができず合意に至らなかったと思います。
以前、同様に労使間で妥結していない案件について、議会に提案された際、議会は差し戻しをしたことがありましたが、労使間で決着が得られなかった事案の決定を議会に委ねるということになれば、労働組合の存在意義をも否定されかねません。
今回このような県当局の努力も不十分なまま、職員団体に理解の得られなかった案件の議会提出は、議会に諮る条件が整っていないといえます。こうした提案に私どもは採決に応じるわけにはいかないと考えるものです。以上申し上げ質疑とします。